著者
劉 廷璽 天谷 孝夫 朝倫 巴根 劉 小燕
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.233, pp.449-460, 2004-10-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
31

乾燥地における, 降雨の浸透過程や不圧地下水の蒸発過程中での, 不飽和帯断面の水分動態特性と貯水量変化の特徴とを検討した. 結果は次の通りである.(1) 不圧地下水の蒸発は, 不飽和帯の土性と地表植生とに大きく影響される.(2) 降雨浸透過程中で, 含水率が最も大きく変化する領域は地表から深さ1m以内にあり, 断面含水率は四つの領域に分かれる.(3) 降雨浸透涵養量は, 地表植生, 地下水深不飽和帯貯水量により大きく影響される.(4) 降雨浸透涵養係数は, 不飽和帯貯水量と降雨量とが増すにつれて大きくなる. 降雨浸透遅滞日数と降雨浸透涵養継続日数は, 地下水深と共に増加する.(5) 不圧地下水の蒸発係数は, 地表植生と地形類型に影響される. さらに不飽和帯貯水量と地下水深の増加に伴い減少する.(6) 不圧地下水蒸発比率は地下水深の増加につれて減少し, 植生がある場合は不圧地下水蒸発量と共に増加する.(7) 降雨浸透と不圧地下水蒸発との連続過程における不飽和帯水分の動態は, 四段階を経た.
著者
藤井 勉
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-36, 2013-07-30 (Released:2013-08-28)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

本研究では,潜在的な対人不安を測定する潜在連合テスト(Implicit Association Test:IAT)を作成した。研究1では,55名の大学生および大学院生とその友人162名を対象に実験を行った。参加者の顕在的/潜在的不安と他者評定の特性不安/状態不安の関連から,対人不安IATの予測的妥当性が示された。研究2では,32名の大学生および大学院生を対象に実験を行い,シャイネスを測定する潜在連合テストと対人不安IATの相関関係を検討した。両者の相関係数はr=.46 (p<.01)であり,対人不安IATの併存的妥当性が示された。研究3では,26名の大学生および大学院生を対象に,対人不安IATを1週間の間隔を空けて実施し,対人不安IATの再検査信頼性を検討した。2回のIAT間の相関係数はr=.76 (p<.01)であり,十分な再検査信頼性が示された。一連の研究において,対人不安IATの妥当性,信頼性は十分であると判断された。
著者
岡村 貞夫 佐々木 政一 勝見 正治 谷口 勝俊 田伏 洋治
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.113-118, 1984-02-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
22

当科及び和歌山県並びに周辺地区の関連16施設において手術を受けた消化性潰瘍患者2,175名について血液型と潰瘍の関係を調査し,和歌山県の昭和56年度献血者69,097名の血液型分布を対照に検討した. 調査項目は個人的背景に重点をおき,手術適応別,潰瘍家族歴及び初発年齢別に分類し調査した. その結果,対照群ではA型37%, B型23%, AB型10%, O型30%であるのに対し,潰瘍2,175例では, A型33%, B型21%, AB型8%, O型38%とA-O型分布の逆転がみられた(p<0.01). この傾向は胃潰瘍(GU)及び十二指腸潰瘍(DU)いずれにおいても認められ,手術適応別では出血性GUにおけるO型の頻度が47%と最も著明に増加していた(p<0.01). 家族歴を有する潰瘍患者は平均初発年齢が約10歳若く, GUでは家族歴のない潰瘍群と異り対照群と殆ど同様のA型優位の分布を示した. 又初発年齢別の検討でも30歳以下の年齢で発症したGU 116例は家族歴を有するGUと同様にA-O型分布の逆転がみられず,対照群との間に殆ど差を認めなかった. O型頻度の有意な増加はDU及び31歳以後に発症するGUのみに明らかであり, early onset typeのGUは血液型以外の因子が発症に関与している事が示唆された.
著者
林 和弘
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.40-43, 2018-03-09 (Released:2018-05-18)
参考文献数
8

デジタルアーカイブの目的にはICT を活用して文化財等を保存することだけでなく、その利活用を促進することが含まれており、人文社会学系研究において、これまでになかった新しい研究スタイルと社会への波及効果を生み出し始めている。一方、オープンサイエンス政策は、科学技術系を中心に論文のオープンアクセス化から始まったが、現在では、研究データを中心とした幅広い研究成果をできる限り広く共有しイノベーションを加速する政策に拡張し、文理を問わない新しい研究パラダイムの構築を前提とした、研究活動の変容を志向している。今回世界のオープンサイエンス政策の現状とその実践の一つとして世界をリードする研究データ同盟(RDA)が取り組むデータ共有活動を紹介し、文化財を中心としたデジタルアーカイブに関する活動の接点を考察しながら、オープンサイエンス時代の科学技術・学術研究のスタイルを展望し、変容のキーとなる相互通用性のあるデータフォーマットの重要性を述べる。
著者
曹 蓮 杉森 伸吉 高 史明
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1-10, 2017 (Released:2017-04-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

In this study, we investigated cultural differences in multisensory perception of emotion between Chinese and Japanese participants, focusing on mutual interference of visual and auditory emotional information. In this experiment, the face-voice pairs were consisted of congruent or incongruent emotions (e.g., a happy (an angry) face with a happy (an angry) voice in congruent pairs, and a happy (an angry) face with an angry (a happy) voice in incongruent pairs). Participants were asked to judge the emotion of targets focusing on either face or voice while ignoring the other modality’s information. In the voice-focus condition, the effect of to-be-ignored facial information was smaller in Japanese than Chinese participants, only when the participant and the target belonged to the same cultures (in-group). This indicated that Japanese people were more likely to be based on the voice information in multisensory perception of emotion of in-group. Our study illuminated that although both Japanese and Chinese people belonged to the Eastern culture, there were cultural differences in perceiving emotion from visual and auditory cues.
著者
新木 悠斗 上道 茜 山﨑 由大 金子 成彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.861, pp.17-00507-17-00507, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
8

As a method for mining offshore gas fields, a floating production, storage and offloading (FPSO) system is attracting attention. However, sloshing in the oil-gas separator installed in FPSOs excited by sea waves is expected to cause significant difficulties. To suppress sloshing wave heights, one possibility may be to install perforated plates in a tank. In this study, a method is proposed for the accurate estimation of the first resonant wave height in the horizontal cylindrical tank with a perforated plate under pitching excitation in less time. To accomplish this purpose, the pressure loss due to the perforated plate in the open channel must be estimated accurately. Therefore, the pressure loss is modeled using steady CFD calculations considering the effects of the distribution of the flow velocity and the distribution of the inflow angle. The first order sloshing wave height is calculated in the theoretical analysis by substituting the pressure loss calculated in steady CFD. The wave heights determined using the pressure loss utilized by steady CFD are compared with the experimental value measured with a small-scale model. Using the method proposed in this study, the first resonant wave height of sloshing wave height is calculated accurately in less time.
著者
松浦 茂樹 山本 晃一 浜口 達男 本間 久枝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.193-204, 1988-06-20 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

河川環境が重視されている今日、樹木が注目されている。河川周辺の樹木と云えば、我が国には治水伝統工法の一つとして水害防備林がある。水害防備林は、立地位置より堤塘林、護岸林、水除林に分類される。水害防備林は、近世までは重要な治水施設として管理・育成されていた。もちろん洪水の疎通の支障となる堤防上の樹木は、大風によって揺さぶられ堤防が危険になる等の否定する意見もあったが、幕府によって奨励され各藩でも整備された。明治になっても太政官による「治水法規」の中に、堤脚を保護する竹木は保存するようにと指示されているように、水害防備林は重要視された。1897 (明治30年) 発布の森林法でも保安林に編入された。明治末年から、政府により全国的な治水工事が進められた。近代治水事業は都市部そして大きな平野部での築堤事業を中心に行われ、一定の流量を氾濫原も含めた河道内に収めようとの考えを基本に進められた。河道内の樹木は洪水疎通に支障があるかどうかとの観点から見られ、それ以外の機能は検討範囲外に置かれていたというのが実状であろう。一方それ以外の機能に注目していたのが林学、農学の関係者で、築堤による治水に加えプラス・アルファの効用を水害防備林に求めてきた。戦前でも水害防備林、遊水林の造成が奨励され、昭和20年代の大水害後には、現地調査を中心に研究が進められた。しかし社会経済の高度成長時代は、水害防備林に関心が払われることは少なかった。河川環境が注目されている今日、樹木は重要な素材となり得るものである。また超過洪水対策が重要な課題となっているが、超過洪水対策の観点から、水害防備林のもつ効用を再度整理しておく必要があると筆者らは考えている。
著者
吉村 賢二 神吉 理枝 中野 智
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.229-234, 2018 (Released:2018-04-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2

症例は妊娠37週5日の25歳女性,発熱後に異常言動,記憶障害が出現し,辺縁系脳炎と診断した.後に奇形腫ではないことが判明したが,帝王切開の術中に両側卵巣腫瘍を認めた.不穏,口部ジスキネジア,薬剤抵抗性の全身性ミオクローヌス,中枢性無呼吸,自律神経障害を呈したが,免疫治療に良好に反応した.経過から抗N-methyl D-aspartate(NMDA)受容体脳炎が疑われたが抗NMDA受容体抗体は陰性,一方,抗SS-A抗体が陽性であり,唾液腺生検でシェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome; SjS)と診断した.SjSに合併した辺縁系脳炎は過去に数例報告があるが,抗NMDA受容体脳炎様の経過を呈した報告はなく,辺縁系脳炎の鑑別を考える上で重要な1例と考え報告する.
著者
岸田 直裕 秋葉 道宏
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.195-201, 2009-12-31 (Released:2010-07-15)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1
著者
伊藤 英覚 小林 陵二
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.211-218, 1981-04-10 (Released:2011-07-11)
参考文献数
22
著者
伊藤 健太 下川 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.2846-2852, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
7

我が国では,人口の高齢化や生活習慣の欧米化に伴い,虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患患者が増加してきている.我々は,基礎研究の結果を基に,低出力の衝撃波を用いた血管新生療法(「低出力体外衝撃波治療」)を開発し,(1)重症狭心症,(2)急性心筋梗塞,(3)下肢閉塞性動脈硬化症を対象に臨床試験を行っている.重症狭心症に対しては,第1次臨床試験(オープン試験)と第2次臨床試験(二重盲検プラセボ対照試験)を行い,本治療法の有効性と安全性を確認し,論文報告している.本治療法は,麻酔や侵襲的な処置を伴わずに,体外から治療を行うことができる非侵襲的な治療法であり,繰り返し行うことも可能である.今後幅広い疾患への応用が期待される.
著者
栗野 盛光 島田 夏美
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.10, no.Special_issue, pp.S12-S15, 2017 (Released:2018-04-12)
参考文献数
5

本研究は,自動車を運転するドライバーが走行情報の情報開示における意思決定問題について,oTreeによる被験者実験を行う.栗野・高原(2016)の理論モデルとの整合性や現実への制度設計に関して分析する.リスク態度の測定も行い,実験分析はリスク態度ごとにも行った.結果は,人々が完全情報開示・規制速度を選択するのには,観察確率・罰金・報酬全て効果があることが分かった.さらに,罰金よりも報酬のほうが効果を持つ .また,観察確率の上昇は,完全情報開示・規制速度の選択を増やし,ある確率を境に急に完全情報開示・規制速度選択の割合が増加する.リスク回避的な人ほど,小さい観察確率の上昇に反応することが分かった.
著者
岡 希太郎 原 昭二
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.25-39, 1979-01-01 (Released:2010-01-22)
参考文献数
105
被引用文献数
1

This review involves the synthetic studies on the salamander alkaloids isolated from an animal venom in the skin gland of Salamandra maculosa Laurenti. Syntheses of three groups of the alkaloids, one with a bicyclo-oxazolidine system, one with a carbinolamine system, and another with a pure 3-aza-A-homo steroid system, are discussed separately. It will be emphasized that the synthetic works described herein made a considerable contribution to the structure analyses of this field of alkaloids and earlier proposed structures based on X-ray and spectroscopic analyses have been changed step by step. Regio and stereospecific syntheses of the alkaloids are mainly discussed in connection with the construction of the bicyclo-oxazolidine system of the major alkaloids and with Beckmann rearrangement of steroid 3-ketoximes for the syntheses of the other alkaloids.