著者
須永 剛司 小早川 真衣子 敦賀 雄大 高見 知里
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-7, 2011-01-14

情報通信技術を基盤とするさまざまな表現メディアが私たちの社会の表現活動を広げている.しかし,それらを受け入れられるフィールドはビジネスと個人そして大学だけである.いま,メディアはミュージアムや学校や地域のコミュニティなどパブリックな社会をフィールドにできていない.例えば,小学校に導入された電子黒板は学年の共用教室に置かれ,学び手たちの道具になっていない.表現活動をかたちづくる文化的プログラムの不在.著者らはそれが原因のひとつにあると考えている.技術システムと文化的プログラムをカップリングし,車の両輪として研究開発している,ミュージアム活動を変革するためのデザインを報告する.Various expression activities with the media based on Information Communication Technology have been expanded in our society. However the fields of the activities are limited to business and private. The media are not sufficiently accepted by public activities on social learning or local communities. For example, electronic black boards installed into classrooms of elementary schools by governmental treatment have not been succeeded enough in many cases. The reason why the cases happened is lack of Cultural Programs with the media. This paper shows a new design approach with coupling of Technological System and the Cultural Program into one platform for an innovation on museum activities.
著者
櫻庭 京子 今泉 敏 筧 一彦 Erickson Donna
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.726, pp.47-54, 2001-03-23
被引用文献数
2

本研究では日米の幼児・児童を対象に、母語の音声的制約が感情表現に及ぼす影響の言語間差異を、日米同一の発話内容を用いて検討した。その結果、平静発話では母語の音声的制約を反映した特性が多くみられたものの、感情をこめることにより、FOピークの移行、音節長の延長なとの共通した傾向がみられた。しかしながら、母音の無声化率や音節長の制御の方略などは感情発話においても言語固有の特性を示した。
著者
岡野 裕行
出版者
Japan Society for Information and Media Studies
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.21-38, 2006

一般に文学館の機能には,「図書館的機能」と「博物館的機能」の二つがあるとされている.だが,図録,館報,目録,復刻などの発行物があるように,文学館には第三の機能として「出版者的機能」も含まれていると考えられる.その中でも復刻は,研究者に新たな事実の発見を促し,通時的な事実の確認を可能とするために,日本近代文学研究において重要な資料となっている.日本近代文学館の図書と雑誌の復刻を調べたところ,累計で2,056冊の発行冊数となっていることを確認した.また,1967年から1985年までの間に,そのうちの95%が作製されていたことが判明した.1986年以降に復刻がほとんど作製されなくなった理由として,復刻を望まれる資料の払底,他の出版者の参入,著作権,原本の未入手,復刻技術の消散,資金不足があったと推測される.
著者
伊藤 隆二
出版者
東洋大学
雑誌
東洋大学児童相談研究 (ISSN:02885247)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-15, 1998-03

子どもの「嗜虐性」の払拭の機序は何か,という問題意識のもとで,「小動物虐待」の悪癖をもつ中学生(男子)のカウンセリング経験を通じて,考察した。その結果,「嗜虐性」の払拭は自分が「spiritualな存在」であることに気づき, そのことを常に覚醒し,自分を生かしてくれている,人間の力を超えたものに感謝し,祈るというspiritual conversionに深くかかわっている,という結果を導き出すことができた。
著者
深川 博史 吉岡 英美 清水 一史 久野 国夫
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

近年の韓国企業は、短期間に産業技術革新を成し遂げ、日本や米国の企業を追い上げている。しかし、この産業技術革新の原因や背景については明確ではない。そこで、我々が提示した仮説は、韓国に在住する日本人エンジニア達が、韓国企業の一部の産業技術革新を主導した、というものである。本研究の過程では、これらの日本人エンジニア達にインタビュー調査を行い、この仮説の検証を試みた。
著者
水本 智也 小町 守
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.217-223, 2012-02-15

日本語学習者は世界的に増加傾向であり,自然言語処理を利用した学習者支援が望まれている.しかしながら,日本語学習者の書いた文は誤りやひらがな,ローマ字を含んでおり,従来の日本語母語話者の文を対象とした自然言語処理の技術をそのまま適用してもうまく処理することができないといった問題がある.本稿では,ウェブの登場によって新しく産まれつつある日本語学習者コーパスとそこに含まれる従来の自然言語処理の技術では扱えない学習者の誤りを紹介し,ウェブから抽出した大規模データを用いた日本語学習支援の新しいアプローチについて述べ,自然言語処理を使った日本語学習支援のための今後の課題を示す.
著者
杉山 あかし
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、おたく文化系コンベンションの実態を明らかにすることである。本年度は最終年として、研究の取りまとめを行なうとともに、研究成果報告書を作成した。本研究で主に取材・調査対象としたのは、同人誌即売会の「コミックマーケット」と造形物即売会の「ワンダーフェスティバル」である。この二つのコンベンションを中心に、(1)日本におけるおたく文化系コンベンションの歴史と展開をあとづけ、(2)現在のコンベンションの実態を明らかにし、そして、(3)おたく文化系コンベンションの社会的意味について考察した。研究成果報告書の目次を以下に掲げる。第1章 おたく文化系コンベンションについて1.「おたく文化系コンベンション」と「おたく文化」2.おたく文化系コンベンションの展開(1)同人誌即売会3.おたく文化系コンベンションの展開(2)造形物関係4.大衆文化生産社会と「おたく文化系コンベンション」第2章 おたく文化系コンベンション調査1.「ワンフェス」実地調査2.「コミックマーケット」一般参加者調査2.1.調査の実施と回収2.2.調査結果(1)回答者の基本属性2.3.調査結果(2)同人誌即売会参加状況2.4.調査結果(3)同人誌購入状況2.5.調査結果(4)コミックマーケットの魅力など2.6.結びに換えて第3章 そして"解放"とは本研究の当初予定した方法論はカルチュラル・スタディーズ的エスノグラフィー作成であったが、調査対象(コミックマーケット)からの好意的な協力によって、数量的な社会調査の実施が可能となり、調査方法を変更した。これまでこの種の調査の対象となって来なかったおたく文化系コンベンションの実態を数量的データの形で明らかにすることができた。
著者
今中 哲二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

研究代表者の今中は、平成12年度に3回、平成13年度に2回、平成14年度に2回海外調査を実施し、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアにおいてチェルノブイリ原発事故の研究を行っている主要な研究所を訪問した。チェルノブイリ事故研究に従事している研究者との意見交換の結果、欧米や日本では紹介されていない興味深い研究が数多く行われていることが判明し、まとまった成果を出している研究者に対し、本調査研究のために特別論文の作成を依頼した。こうして作成された論文22編と今中の論文1編をまとめ、平成14年に京都大学原子炉実験所テクニカルレポートKURRI-KR-79として英文で出版した(306ページ、研究成果報告書にCDで添付)。このレポートはチェルノブイリ事故に関するユニークな論文集として評価されている。一方、各研究者との議論や最近の論文・資料を基に今中は、「運転員はなぜAZ5ボタンを押したか:チェルノブイリ原発事故の暴走プロセス」ならびに「水素爆発か核爆発か:チェルノブイリ原発4号炉爆発の正体」という論文を「技術と人間」誌に発表し、平成15年1月には、「ベラルーシ、ウクライナ、ロシアにおけるチェルノブイリ原発事故研究の現状調査報告」と題して、京都大学原子炉実験所学術講演会において本調査研究の概要を報告した。また、資料収集・整理作業としては、チェルノブイリ事故発生当事にソ連共産党中央委員会政治局に設置された「チェルノブイリ原発事故対策特別作業班会議」議事録の翻訳を行うとともに、チェルノブイリ事故が発生して以来の日本国内の新聞ニュースを整理した。なお、本調査研究にともなう成果は、逐次ホームページ(http://www-j.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/)に掲載した。
著者
平山 修久 河田 惠昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.112-119, 2007 (Released:2007-05-18)
参考文献数
32
被引用文献数
2 3 2

平常時の一般廃棄物排出量からみた災害廃棄物発生量である災害廃棄物量相対値を用いて,東海地震,東南海・南海地震,首都直下地震に係る災害廃棄物に対する我が国の災害対応力を明らかにした.また,行政の災害対応力を考慮した災害廃棄物処理期間推定モデルを構築した. 災害廃棄物の広域連携シミュレーションモデルを構築し,首都直下地震における災害廃棄物処理に関する数値シミュレーションを行った.その結果,サテライト方式あるいはバックヤード方式での全国連携による災害廃棄物処理に必要な処理期間は,それぞれ1.95年,1.80年と推定された.また,広域災害時における災害廃棄物対策では,都道府県間を越えた広域的な連携が重要となることを示しえた.