- 著者
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柴田 博仁
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.3, pp.1204-1213, 2009-03-15
本稿は,ディスプレイ構成の違いが業務にもたらす影響を定量的に測定することを狙いとするものである.知的財産管理業務を行う8人の被験者を対象に,17インチのシングルディスプレイ環境(Small条件)から,24インチの大画面ディスプレイ環境(Large条件),あるいは2つの17インチディスプレイを並置する多画面ディスプレイ環境(Dual条件)へと移行した前後で,およそ2週間ずつ実業務でのウィンドウ操作ログを取得した.ディスプレイ構成の違いによる業務効率化の程度は,ウィンドウ操作に要する時間の総和でとらえることができるという考えに基づき,ウィンドウの切替え,移動,サイズ変更というウィンドウ操作に要する時間を条件間で比較した.結果として,Small条件では,コンピュータ操作を行っている時間のうち8.5%をウィンドウ操作に費やしていることが分かった.これは,現状のウィンドウシステムにおける改善の必要性を示唆するものである.さらに,Small条件に対して,Large条件ではウィンドウ操作のコスト削減は見られなかったが,Dual条件では13.5%のコスト削減が見られた.これは,ウィンドウ操作に要するコストという観点から,大画面ディスプレイに対する多画面ディスプレイの優位性を示すものである.