著者
四蔵 茂雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.3, 2006 (Released:2006-10-20)

海水浴場における散乱ゴミ対策として,ゴミ箱と看板の有効性について,舞鶴市の海水浴場を事例に検証した.以下の結論を得た. 1)ゴミ箱の設置は,発生原単位を大きくする,2)看板の設置は,発生原単位を小さくする,3)ただし,ゴミ箱と看板が併置されると看板の効果は現れなくなる,4)ゴミ箱の設置は,散乱率を小さくする,5)看板の設置は,散乱率を小さくする,6)不燃ゴミは可燃ゴミより放置(散乱)される,7)飲料用容器の中では,ビンが放置されやすい,8)ゴミは人目に係わらず,アクティビティーの場付近で放置される.
著者
土屋 輝一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.25-31, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
10

FGIDは器質的異常を伴わない疾患と定義されてきたが,急性胃腸症などの細菌感染,ウイルス感染症後に消化管の機能障害を慢性的にきたすことが指摘され,上皮細胞構成,免疫担当細胞,炎症性サイトカインなどの器質的変化が明らかにされた.またFGIDにおける腸内細菌叢の変化が近年の解析手法の向上により見いだされ,腸内環境への影響とFGIDの病態,症状との関連が注目されている.
著者
別所 正博 小林 真輔 越塚 登 坂村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.249-255, 2009-04-01
被引用文献数
10

コンピュータと通信,特にその複合システムの進展に伴い,位置情報を利用したサービス,例えば観光ガイドや歩行者ナビゲーションといったサービスに,いつでもだれでもどこでもリアルタイムにアクセスできるようになってきた.このような位置情報を取得するための技術,すなわち位置認識技術は,ユビキタスコンピューティング環境実現の鍵として特に注目されている.位置認識技術として,屋外では主にGPSがかなり普及してきた.一方で屋内や地下街といった環境ではGPSの利用が難しいため,ユビキタスインフラを活用した方式が注目を集めている.本稿では,このようなユビキタスコンピューティングと位置認識技術の関係を概説する.ここでは,位置認識の要素技術,例えば赤外線や超音波を使った方式や,無線通信技術を活用した幾つかの方式を概説し,更にこれらを組み合わせて用いる複合的位置認識技術についても触れたい.そして,このような技術が可能にする応用を,幾つかの先進的な実例とともに紹介する.
著者
石山 裕慈
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.63-51, 2009-07

従来、字音直読資料は規範性の高い字音注を得られる資料群として重視されてきたが、その一方で漢文訓読資料や仮名交じり文の日本漢字音には見られない特徴がある。すなわち、親鸞自筆『観無量寿経註』においては、同じ文字列を訓読した場合「語頭」として出現すると考えられる箇所で中低型回避や連濁などといった日本語化が発生している例が散見され、直前の文字との間に境界が置かれない場合があったということが読み取れる。このような現象は句の一字目と二字目の間に多く発生しているという特徴もあり、これは漢語全般に二字のものが多いという傾向を反映したものと考えられる。さらに、この傾向は親鸞自筆資料のみならず、同年代の字音直読資料二点においても観察されるのであり、字音直読資料に現れた漢字音とは常に「規範的」と言えるわけではないことが指摘できる。
著者
鈴木 雅之
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.131-143, 2011-06-30 (Released:2011-10-21)
参考文献数
28
被引用文献数
5 10

本研究では, テストをフィードバックする際にルーブリックを提示し, 評価基準と評価目的を学習者に教示することの効果について, 中学2年生を対象とした数学の実験授業によって実証的に検討した。また, 返却された答案とルーブリックだけで, 自身の答案内容とルーブリックの記述内容との対応関係が理解できるのかを検討するために, ルーブリックを提示し具体的な添削をする群と, 添削をしない群を設けた。さらに, ルーブリックがなくても具体的な添削があれば, ルーブリックの提示と同等の効果が得られる可能性を考慮し, ルーブリックを提示せずに添削だけを施す群を設定した。その結果, ルーブリックを提示された2群は, 提示されなかった群と比較して, 「改善(自身の理解状態を把握し学習改善に活用するためのものであるという認識)」テスト観や内発的動機づけが高く, 理解を指向して授業を受ける傾向にあり, 最終日の総合テストでも高い成績をおさめた。また, パス解析を行った結果, 動機づけと学習方略, テスト成績への影響は, ルーブリックの提示によって直接引き起こされたのではなく, テスト観を媒介したものであることが示唆された。さらに本研究では, 添削の効果がみられないことが示された。
著者
岡崎 友子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.77-92, 2006-04-01

現代語のソ系(サ系列)の指示詞には対話現場に対象も,先行文脈に先行詞もない用法がある。これらはソ系の曖昧指示表現・否定対極表現であり,ソ系(列)・サ系列がそもそも持っていた中心的な用法であることを,心的領域を用いて指摘した。これについてはまず,現代語の感動詞・曖昧指示表現・否定対極表現は,照応用法と同様に,談話情報領域内の要素を対象とする指示であること,また,古代語(上代・中古)では照応用法・観念用法と連続する,今,現在目に見えない,感覚できない対象の指示であったことを明らかとした。そして,歴史的な変化の中でソ・サ系列は観念用法を失い,曖昧指示表現も次第に衰退していった(感動詞も「ソウ」に偏っていく)。そのため,感動詞・曖昧指示表現・否定対極表現と,照応用法のつながりが感じられにくくなり,例外的・周辺的なものと考えられるようになったことを指摘した。
著者
彦坂 佳宣
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.61-75, 2006-10

準体助詞には,本州ノ,九州ト,土佐・北陸・山陰ガ,新潟県ガン,山形県ナ等がある。地理学的には連体格から発達したノ・ガが新・古の関係,ト・ナは地域性が強くて更に古く,格助詞トとナリに由来すると推定した。文献からは,ノは中央語である近畿で近世初期には発達したとされ,恐らく江戸も同じ。一方,新潟・土佐・九州の近世方言文献によれば,他の形式もこれに遅れない時期に独自に発達したと考えた。その分布要因は,ノ・ガの尊卑表現と連体格/主格の構文分担機能とが関連し,ガは周辺地域で前者が,ノは中央地域で後者が優位の時期に発達し近隣へ伝播したと推測した。発展的用法であるノニ・ノデ・ノダ等の論理的表現は中央語が先かと思われ,地方語との差異も見られる。
著者
森 勇太
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.78-92, 2010-04-01

本稿では命令や依頼などの行為指示表現について,尊敬語命令形と受益表現命令形の用法の歴史的関連を調査した。中世末期では,「-ください」などの受益表現命令形は,受益表現の本来的な用法である上位者に対する話し手利益の表現("依頼")を中心として用いるが,近世以降用法を広げる。一方「-なさい」などの尊敬語命令形は,近世までは行為指示表現のすべての用法で用いることができるのに対し,近代以降受益表現命令形の中心的な用法である"依頼"から用いることができなくなる。この歴史的変遷の要因として,近世から近代にかけて,"話し手に対する恩恵があるときは受益表現で標示する"という語用論的制約ができたことを指摘し,話し手に対する利益がある用法から尊敬語命令形が衰退することを述べる。
著者
原田 健一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.383-387, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
参考文献数
8

新潟大学の研究プロジェクト「にいがた 地域映像アーカイブ」は、地域の町や村と連携しながら、新潟を中心とした地域の生活のなかにある映像を発掘して、整理・保存を行い、デジタル化をし、さらには、その内容を整理、分析し、映像メディアの社会的あり方を考え直し、新たな社会の文化遺産として映像を甦らせるものとして構想された。地域のデジタル映像アーカイブは、デジタル化という現在の大きな社会変容のなかで、機能しなくなった研究状況を打破する装置であり、地域の時間層へのボーリング調査によって、社会変容の基層にあるものが何なのか、デジタル化することによって再帰的に実証し、地域そのものをブーツストラップ(編み上げ直す)するものだ。
著者
奥本 素子 岩瀬 峰代
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.205-215, 2012
被引用文献数
2

本研究では,PBLにおける社会的手抜きの有無,社会的手抜きと対立する状態の有無,それぞれの促進要素,阻害要素,各要素間の関連を質的手法によって調査していった.本研究の分析では,PBLにおいて社会的手抜きの発生の有無は個人よりもチームの活動に影響を受けていることが分かった.また単に社会的手抜きをしないだけでなく,学習者が自発的に行動するためには,チーム活動において意思決定に参与し,協力体制を構築した上で,責任を自覚し,具体的な問題発見を行うという過程を辿ることが明らかになった.よって,本研究では,PBLにおける自発的行動とは,チーム活動との相互作用の中で生まれると結論付け,自発的行動を促進するチームデザインを提案した.
著者
梶野 洸
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

原子価を守った分子グラフを常に生成可能なグラフ文法とそのデータからの学習方法を提案する。
著者
鳴海 伸一
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.60-45, 2012-01-01

漢語「随分」の受容と変容を例に、どのような過程を経て程度的意味・評価的意味が発生するのかを明らかにし、漢語副詞の意味変化のパターンを示した。「随分」」は、もともと程度的意味を持たなかったのだが、具体的な分量の意味を表す量副詞用法を介して抽象的な程度的意味を表すようになった。さらにその後、程度の高さを表すだけでなく、そのような程度性を有する事態に対する評価的意味を伴うようになった。この「量的意味」・「程度的意味」・「評価的意味」は、程度的意味とその周辺的な意味として、意味的に近接していると同時に、「量的意味」→「程度的意味」→「評価的意味」というように、通時的な変化の道筋でもあり、それは、程度副詞の成立とその程度的意味の変化のパターンと位置付けられることを示した。
著者
里見 正隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.266-269, 2016 (Released:2016-06-07)
参考文献数
23
被引用文献数
2
著者
南京事件調査研究会編訳
出版者
青木書店
巻号頁・発行日
1992
著者
松林 達史 清武 寛 幸島 匡宏 戸田 浩之 田中 悠介 六藤 雄一 塩原 寿子 宮本 勝 清水 仁 大塚 琢馬 岩田 具治 澤田 宏 納谷 太 上田 修功
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.wd-F_1-11, 2019-09-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
29

Forming security plans for crowd navigation is essential to ensure safety management at large-scale events. The Multi Agent Simulator (MAS) is widely used for preparing security plans that will guide responses to sudden and unexpected accidents at large events. For forming security plans, it is necessary that we simulate crowd behaviors which reflects the real world situations. However, the crowd behavior situations require the OD information (departure time, place of Origin, and Destination) of each agent. Moreover, from the viewpoint of protection of personal information, it is difficult to observe the whole trajectories of all pedestrians around the event area. Therefore, the OD information should be estimated from the several observed data which is counted the number of passed people at the fixed points.In this paper, we propose a new method for estimating the OD information which has following two features. Firstly, by using Bayesian optimization (BO) which is widely used to find optimal hyper parameters in the machine learning fields, the OD information are estimated efficiently. Secondly, by dividing the time window and considering the time delay due to observation points that are separated, we propose a more accurate objective function.We experiment the proposed method to the projection-mapping event (YOYOGI CANDLE 2020), and evaluate the reproduction of the people flow on MAS. We also show an example of the processing for making a guidance plan to reduce crowd congestion by using MAS.
著者
金 愛蘭
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.18-33, 2006-04-01

語彙調査の結果などによれば,20世紀の後半には,外来語の増加に伴って,少なからぬ外来語が基本語彙の中に進出したと推測される。そうした外来語の多くは,生活の近代化に伴って借用され,多用されるようになった具体名詞であるが,一方では,抽象的な意味を表す外来語の中にも,雑誌や新聞などで数多く用いられるようになり,基本語彙の仲間入り(基本語化)をしたとみてよいものがある。しかし,抽象的な外来語の基本語化は,生活の近代化といった言語外的な要因によってではなく,意味・用法の記述によつて明らかになる言語内的な要因によって説明しなければならない。本稿では,そのような記述の一環として,新聞文章における外来語「トラブル」の基本語化に注目し,1960年ごろから新聞に使われ始めた「トラブル」が,1980年ごろまでにはその意味・用法を3種6類にまで拡大させ,最終的には,新聞で報道される機会の多い《深刻・決定的な危機的事態に至る可能性を持って顕在化した不正常な事態》を「広く」「概略的に」表すことのできる,それまでの新聞語彙にはなかった「便利」な単語として成立したことを明らかにし,そうした基本語がそれまでの個別の類義語とは別に必要とされた背景に,20世紀後半における新聞文章の概略的な文体への変化があるとの見方を提示する。
著者
下林 典正
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

奈良県吉野郡天川村より採集された,イリデッセンスによって虹色に輝く"レインボーガーネット"を試料に用いて電子顕微鏡観察を行った結果,本産地のレインボーガーネットが通常のガーネットでは見られない波状のラメラ組織および数百nmオーダーの微細なラメラ組織をもつことを示し,後者の微細ラメラによる光の干渉がイリデッセンスを引き起こすことを明らかにした。しかし,電子顕微鏡による観察だけでは,作製試料に依存した局所的な情報のみに限られてしまい,例えば試料全体の歪みの分布などの情報を得ることは困難である。そこで,これまで電子顕微鏡を用いて観察してきたレインボーガーネット中のラメラ組織の形成に格子欠陥等の結晶不整が関連しているのかを検証するために,放射光を用いたX線トポグラフィーによる結晶評価を行なった。実験はSPring-8のBL28B2に設置された白色X線トポグラフカメラを用いて,室温で撮影を行なった。その結果,得られたトポグラフ像においては,ほとんどの回折斑点内に結晶外形に垂直方向に伸長した2または4本の筋が確認できた。これまでの電子顕微鏡による観察から確認されている累帯構造・波状ラメラ組織・微細ラメラ構造のうち,累帯構造および微細ラメラ構造は結晶外形に平行な構造を持っており,本実験で得られた結晶外形に垂直方向に伸びた筋の成因としては考えにくい。そのため,波状ラメラ組織がこの筋の成因だと考えられる。前年度の報告書に「レインボーガーネットの構造色の原因は,初生的には微細ラメらによる多層膜干渉による」が、「その副次的な効果を波状組織が担っている」と仮説した。今回観察された波状組織による僅かな方位のズレがその副次的な効果を与える要因である可能性が示唆された。