著者
錦織 淳美
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.188-191, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
4
著者
畑田 彩 鈴木 まほろ 三橋 弘宗
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.57-61, 2008-03-30 (Released:2016-09-16)
参考文献数
6
被引用文献数
5

連載「博物館と生態学」では、毎回生態学と関わりの深い博物館事業をテーマとして取り上げてきた。当初予定した6回が終わったところで、これまでの執筆者を中心に連載によって達成できた点や今後の課題について話し合った。その内容をまとめることで、連載「博物館と生態学」の意義を考えてみたい。
著者
佐藤 典宏
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.128-134, 2016-04-25 (Released:2016-04-29)
参考文献数
50

細胞外マトリックスの中心的コンポーネントであるヒアルロン酸は多くの癌で重要な役割を果たしている.大部分の膵癌はデスモプラジアと呼ばれる豊富な線維性間質を有し,ヒアルロン酸の著明な蓄積を伴っている.したがって,ヒアルロン酸は膵癌の治療標的として注目されている.これまでにヒアルロン酸を標的にした膵癌の治療戦略として,①ヒアルロン酸産生の阻害,②ヒアルロン酸シグナル伝達経路の阻害,および③間質のヒアルロン酸除去といったアプローチ法が報告されている.中でも,ヒアルロン酸を分解する酵素製剤であるPEGPH20は,ゲムシタビンをはじめとした化学療法の効果を高めることが証明され,米国での臨床試験においても有望な結果が報告されつつある.本論文では膵癌の進展におけるヒアルロン酸の役割に関する最新の知見およびヒアルロン酸をターゲットにした治療戦略について概説する.
著者
郭 莉莉
出版者
北海道大学大学院文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.213-230, 2011-12-26

近年,少子化への関心が高まっている。各種メディアでも度々特集が組まれ,各政党のマニフェストには少子化対策が多く盛り込まれてきた。このような少子化動向への対応の高まりは,日本国内のみで起きていることではない。西欧などの多くの先進国も同じような問題を抱えており,さまざまな政策が取られている。このように,少子化動向は世界の先進国と中進国を問わず,問題になってきた。 とりわけ,日本では,少子化がますます進み,人口減少に歯止めがかからない。これまで政府主導による「新旧エンゼルプラン」「少子化対策プラスワン」など,各種の少子化対策が積み上げられてきたが,社会全体の少子化傾向は止まらない。本稿では,日本の少子化の現状,原因,影響を考察して,日本における少子化対策の問題点究明を試みる。少子化の進行は将来の日本の社会経済にさまざまな深刻な影響を与えると懸念されるが,反面で日本社会のあり方に深く関わっており,社会への警鐘を鳴らしていると受け止められるからである。 少子化を克服した先進国フランスは,近年少子化に悩んでいる日本でもその実情が広く知られるようになった。フランスにおける対応のうち優良事例を検討することは,日本で少子化対策を進めるうえでも,一定の意義がある。
著者
宮崎 康
出版者
医学書院
雑誌
JIM (ISSN:0917138X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.191, 2010-03-15

ある日の外来に,「右の横腹が痛む」といって28歳の女性が来た.1週前に同じ訴えで近医を受診し,尿と血液検査,腹部エコーを行ったが異常ない.「胃炎」の診断で胃薬をもらったが一向によくならず,ちょっと咳をするだけで痛みが強くなるという.看護師の介助を得ながら,眼・頸部から胸背部の診察を行う.帯状疱疹を示唆する皮疹はない.仰臥位になって膝を立ててもらい,腹部全体を掌全体で触診すると,臍の下に鈍い痛みを訴える.右上腹部を打診すると,痛みで顔をしかめる.さらに第2から5指の腹で柔らかく押さえながら,「指を持ち上げるように」深く息を吸ってもらうと,やはり顔をしかめる.体温は36.5℃.「いきなり聞きますが,おりものはないですか?」「ええ,1カ月前頃に多くて,下腹も痛むので婦人科に行こうと思っていましたが,よくなったので….」
著者
落合 恵美子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ
巻号頁・発行日
vol.55, pp.85-103, 2017-05-31

「アジア」のプレゼンスが急速に拡大している現代のグローバルな文脈の中で「日本」をいかに再定義するか、とりわけ「日本」と「アジア」との関係をいかに語り直すかが、日本研究がいま直面している最大の課題であろう。 韓国の歴史家イム・ジヒョンによれば、日本で定着している「西洋史」「東洋史」「日本史」という三分法は、「自分自身にとってのオリエントをアジアの隣人たちから創り出すこと」により創られた。この場合、「日本」は「西洋」に近いものと定義される。他方、同時代の「汎アジア主義」では、「日本」は「東洋」の盟主である。「東洋」においては「西洋」を代表し、「西洋」に対しては「東洋」を代表してみせる――「東洋」と「西洋」の狭間に立つ日本のこの独特の位置取りは、戦前と戦後を通じて連続してきた。 しかし、アジアの経済成長が現実世界を変えた今、世界認識も描き換えられつつある。その方向は流動的ではあるが、それでもいくつかの方向は見えている。戦前のような「日本によって代表される「アジア文明」」はありえず、中国が「アジア」の中心に座るであろうこと、その場合、中国は「東洋の中の西洋」を演じるのではなく「自己オリエンタリズム」とセットになった「反西洋的オクシデンタリズム」の立場をとるであろうこと、日本は「中国によって代表される「アジア文明」」の末席を汚すことを潔しとせず、さりとて「東洋の中の西洋」という立場はもはや有り得ず、位置取りに苦労するであろうことなどである。 「日本」と「アジア」の再定義は同時に行わねばならないとすると、日本研究とアジア研究の結合が必要である。そのような問題意識から京都大学で実施したプロジェクトからは、極めて対照的な二つの「アジア」の存在と、その狭間に立つ日本が見えてきた。 日本だけに視野を限っていては日本研究はできない。「開かれた多元的なアジア」研究と結合した日本研究を再構築しなくてはならない。
著者
Jun YASUDA Takahiro YOSHIZAKI Kaori YAMAMOTO Masae YOSHINO Masako OTA Takashi KAWAHARA Akiko KAMEI
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.177-183, 2019-04-30 (Released:2019-04-30)
参考文献数
28
被引用文献数
10

The purpose of the study was to examine the association of the frequencies of milk and dairy product consumption with subjective sleep quality during the training period in Japanese elite athletes. In this cross-sectional study, 682 Japanese elite athletes who were candidates for the 2016 Rio Olympic Games underwent medical evaluations at the medical center of The Japan Institute of Sports Sciences. Self-reported questionnaires were used to collect information on demographics and lifestyle (age, height, weight, sports, presence of milk allergy, smoking and drinking habits), subjective sleep quality (good, normal, or poor), bedtime, waking time, sleep duration, and frequencies of milk and dairy product consumption. Data from 679 athletes (379 men, 300 women) without milk allergy, were analyzed. Based on the frequencies of both milk and dairy product consumption, the athletes were divided into three groups: low (0-2 d/wk), middle (3-5 d/wk), and high (6-7 d/wk). Multiple logistic regression models showed that in comparison with the low milk consumption group, the middle [OR (95% CI): 0.48 (0.26-0.91)] and high groups [0.38 (0.21-0.71)] were significantly associated with a lower risk of decrease in subjective sleep quality (0: good, 1: normal or poor) only in women, after adjusting for possible confounders, such as smoking, drinking habits, and sleep duration. Accordingly, the present study elucidated that a greater frequency of milk consumption was significantly associated with a lower risk of decrease in subjective sleep quality, during training periods in women.
著者
江崎 治 佐藤 眞一 窄野 昌信 三宅 吉博 三戸 夏子 梅澤 光政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.123-158, 2006-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
209
被引用文献数
2 5

日本人のn-3系多価不飽和脂肪酸 (以下n-3系脂肪酸と略す) の摂取基準策定 (2005年版) に用いた論文をエビデンステーブル (表) として提示し, 策定の基本的な考え方を詳しく述べた。n-3系脂肪酸は一定量以下のある摂取量で皮膚炎, 成長障害が認められる必須脂肪酸であるので, 下限の設定 (最低必要量) が必要である。しかし, 報告症例が少なく, 一定量以下のある摂取量を求めることができないため, 摂取量の中央値で表される目安量を用いた。すなわち, 大部分の日本人では皮膚炎は認められていないので, 日本人の各年齢階層における男女別にみたn-3系脂肪酸摂取量の中央値を日本人の大多数で欠乏症状が認められない十分な量と考え, 目安量とした。このように安全幅が広めに設定されているため, 実際の摂取量が目安量より少なくても欠乏症状はあらわれないと思われる。n-3系脂肪酸を多く摂取すると, 虚血性心疾患罹患が少なくなることを示す欧米の報告は多い。しかし, 現在の日本人のn-3系脂肪酸摂取量の中央値は, 欧米人の検討成績の中で, 虚血性心疾患罹患率の最も低い, 最高分位のn-3系脂肪酸摂取量のグループの中央値よりも多い。このため, 日本人のn-3系脂肪酸摂取量の中央値程度を摂取していれば, 虚血性心疾患罹患率を十分低くできると考えられる。そこで, 18歳以上に対し, n-3系脂肪酸摂取量の中央値を, 目標量 (生活習慣病予防を目的とした食事摂取基準の一つ) の下限と設定した。設定された18歳以上の目標量は2.0-2.9g/day以上となる。この値は必須脂肪酸としての目安量と一致するため, 18歳以上については目標量のみの設定となっている。n-3系脂肪酸を多く摂取した場合の弊害についても検討した。出血時間の延長, LDL-コレステロール値の増加が多く報告されているが, 臨床的に問題となる出血例の増加は報告されていないし, 虚血性心疾患罹患率が増加したことを示す報告もない。このため, 今回の策定では, 目標量の上限値設定は行わなかった。しかしながら, 日本人のおもなn-3系脂肪酸摂取源である魚介類には, 水銀, カドニウムなどの重金属, ダイオキシン, PCBなどの環境汚染物質が微量ながら含まれる。食事摂取基準では, 有害物質の摂取量について取り扱っていないため, これらの影響については考慮されていない。この点を補完するために, 本稿では水銀摂取の影響についてエビデンスの収集を行い, 妊婦が魚を摂取する場合の注意点についても言及した。
著者
八角 真
出版者
明治大学人文科学研究所
雑誌
明治大学人文科学研究所紀要 (ISSN:05433894)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-54, 1962-12

"観潮楼"とは本郷駒込千駄木町21番地にあった鴎外森林太郎邸の称の一つであるが、その由来について鴎外の長男於菟氏は次のように述べている。「観潮楼は、明治二十四年十二月団子坂上(中略)の見晴らしのいい地所を求めて翌年一月末に千住から移転した父が、さらに二六年そこにもとからあった平家の後方の長屋二棟と梅林とを買入れてそこに新築した二階建なのである。「観潮楼の名は団子坂がもと潮見坂と称し、上野の森の向ふに品川沖の海面が見えた所から来たのである。(中略)父の在世時代、白山の吉田屋呉服店に染めさせて出入の者に配った半纏の襟には。観潮閣とあったと覚えてゐるが、父は観潮楼主人と称した。ほかに千朶山房の称もあるのは人の知る如くである。」
著者
市川為雄著
出版者
煥乎堂
巻号頁・発行日
1961
著者
次山 淳 松村 恵司 松村 恵司 次山 淳 池田 善文 梅崎 恵司 江草 宣友 小畑 弘己 神崎 勝 北野 隆亮 木村 理恵 小泉 武寛 小林 義孝 栄原 永遠男 芝田 悟 関口 かをり 高橋 照彦 田中 大介 永井 久美男 濱崎 真二 降幡 順子 古田 修久 松崎 俊郎 松村 恵司 宮崎 貴夫 森岡 秀人
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

3カ年にわたる研究により、銅銭を基軸に据えた貨幣制度の導入が、中国式都城の建設と一体的に企画され、富本銭が発行された歴史的経緯が明らかになった。和同開珎の発行時には、銭貨の規格性を維持しつつ発行量の増大を図るために、鋳銭体制の整備と鋳銭技術の改良が図られていること、地金貨幣である無文銀銭を駆逐するために和同銀銭が発行されるなど、7世紀末から8世紀初頭にかけての貨幣関係記事が、名目貨幣である国内通貨の定着に向けた一連の貨幣政策として整合的に理解できるようになった。
著者
大前 由紀雄
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.167-173, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
30
被引用文献数
3

高齢者のQOL向上が求められるなか,嚥下障害を抱えた高齢者の診療を実践する機会が増えている.高齢者の嚥下障害は,さまざまな原因疾患に関連した嚥下動態の異常に応じて発症するが,高齢者の抱える身体的・精神的・社会的要因が複雑に絡み合っている.さらに,加齢に伴うが生理的な嚥下機能の低下がその病態を修飾している.一般的に,高齢者の嚥下機能検査では,嚥下反射の惹起遅延や咽頭残留の増加に伴う喉頭流入・誤嚥,ならびに気道防御反射の低下に伴う喀出低下が高頻度に観察される.こうした異常所見には,加齢に伴う嚥下のメカニズムの変化として,(1)嚥下に関連する筋力低下や構造の変化,(2)嚥下に関連する感覚神経や運動神経の機能低下,(3)嚥下運動を制御する中枢機構の低下,(4)身体機能や精神機能ならびに呼吸機能の低下,が指摘されている.本稿では,嚥下機能検査で観察される異常所見を呈示し,加齢に伴う高齢者の嚥下機能とそのメカニズムを概説し,高齢者の嚥下障害の特徴と高齢化社会に向けての嚥下障害の取り扱いを解説する.