著者
中鉢 憲賢
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.527, pp.31-34, 1999-12-21
被引用文献数
1

1912年のタイタニック号の海難事故がきっかけとなり超音波計測の研究が本格的にスタートした。とくに、光や電磁波では計測が困難な分野への応用をめざした研究が進められ、材料の弾性的性質の計測や超音波非破壊検査から最近の医用超音波診断装置まで、超音波計測のの発展は目覚ましい。また、戦後の固体物理の研究の進展は超高周波超音波技術の開発を促進し、微小物質の計測のための高分解能化が進み、超音波顕微鏡が開発され、現在では超音波マイクロスペクトロスコピーの研究分野へと発展し、新しい物質材料の研究や、マイクロデバイスの非破壊評価に応用されている。本文では筆者が携わってきた超音波の計測への応用に関して、特に印象に残っているトピックスに関連してレビューしてみたい。
著者
土屋 清
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.457-465, 1969 (Released:2008-05-27)
参考文献数
14
被引用文献数
26

約4時間の時間間隔で撮影した気象衛星エッサ7号と8号の写真に現われた済州島風下のKarman鋤うず列状の雲を解析した結果,次のことがわかった.雲のうず列から得られた無次元パラメーターは,これまで2次元流の流体実験から得られたKarman鋤うず列発生の限界値を満足しており,Karmanうず列の理論で説明できる.島の抵抗とうず列のwakeによる抵抗を考慮して,うず列の間隔と個々のうずの間隔の比だけから,うず列の移動速度を求める計算式を導いた.結果実況とかなりよく合い,比が0.332のとき.一般流の約76%であった.済州島の風下に,このような雲のうず列のできるのは,晩秋から初春にかけて,比較的強い(10ノット以上)北風が持続し,1000m付近(島の中央部の山の高さの半分)に顕著な逆転のある時である.
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.39-44, 2015-01-05 (Released:2015-01-05)
著者
佐藤 亮子 標葉 隆馬
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.31-43, 2012-12

Currently, various challenges fusing science and art (known as "science art") have been encountered. In this paper, we investigate how mass media deal with science art through a text analysis of the articles about the transgenic art of Eduardo Kac. Kac's works were presented when the debates concerning genetically modified organisms (GMOs) got complicated. Particularly, GFP Bunny Alba, one of his works, came to be described as a symbol of transgenic technologies and genetically modified organisms in those news articles. It was found that there are several frames of reference in articles about Kac's works: discussions on GMOs, perspectives on religions and ethics, and the possibilities or wonderment derived from the fusion of different genres. Considering text analysis, we discuss the role of science arts (1) to give scientific knowledge to people, (2) to give speculative images of the future world or alarming derived from new scientific technologies, and (3) to call attention to advances in scientific knowledge.
著者
濱口 雄人 有末 宏明
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.27-34, 2008-07

Napier's constant is computed in ultra high precision. Using the Divide and Rationalize method and the Fast Fourier Transform, the CPU time to calculate the constant in digits N has been reduced drastically to be proportional to N(log N)^3. We obtained the constant in 500,000,000 digits.
著者
道鎭 浩平
出版者
北海道大学観光学高等研究センター
雑誌
CATS 叢書 (ISSN:21853150)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.89-104, 2012-03-31

観光資源としてのコンテンツを考える : 情報社会における旅行行動の諸相から = Current Issues in Contents Tourism : Aspects of Tourism in an Information-Based Society
著者
平 英彰 寺西 秀豊 劒田 幸子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.1466-1471, 1992
被引用文献数
7

季節はずれのスギ花粉飛散の現象を明らかにするため, スギ空中花粉の調査を3年間にわたって行うと共に, 10月及び11月におけるスギ雄花の開花条件を検討した. 7月上旬から9月下旬にかけて形成されたスギ雄花から飛散したと考えられる花粉は10月中旬以降認められた. 10月, 11月に採取した雄花を低温処理したあと6℃から20℃の温度条件下で栽培したところ, ごく限られた特定のスギの雄花は, 10℃以上の高温条件下で容易に開花し花粉を飛散させた. 10月から1月にかけての気温を検討すると, 10℃以上の気温の高い日が多かった. 雄花の開花状況は, すべての雄花がいっせいに開花し, 花粉を飛散するのではなく, 全雄花のおよそ1/3程度が開花するだけで, 同じ房の中でも全く開花しない雄花もあり, 枝によっても開花状況が異っていた. したがって, これらの時期に飛散するスギ花粉の濃度は低いが, 豊作年では局所的に高い濃度を示す地域もあると推定され, アレルギー症状を引き起こす場合もあると考える.
著者
津田 宏治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.460-466, 2000-06-25
参考文献数
13
被引用文献数
57

サポートベクターマシンとは, 近年注目を集めているパーセプトロン型のパターン認識手法の名前である.この手法は, PAC学習に基づく理論的背景を持ち, 同時に, 実験的に非常に優れた成績を挙げている.また, 学習は, 二次計画問題を解くことによって行うことができ, 局所解の問題も存在しない.サポートベクターマシンは, 本来線形識別器であるが, カーネル関数と組み合わせることによって, 学習の簡便さを失うことなく, 非線形に容易に拡張できる.本稿では, パターン認識研究における久しぶりの大型新人であるサポートベクターマシンについて, 応用の研究者を意識して, 計算機上での実現法を中心に述べる.また, 理論的背景についても, 簡潔に解説する.
著者
伴野 明 勝山 一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J98-D, no.1, pp.214-224, 2015-01-01

最近,映像に香りを付加する研究が進展している.香りの付加で重要となるのは,香りの知覚である.映像と一体的に香りを提示しても利用者が香りを知覚しなければ香り付き映像コンテンツの価値は高くない.そこで,香りの知覚率を高める研究が幾つか行われてきた.しかし,利用者へ吸気センサや香り提示装置を装着するなどの従来法では,香り知覚率が高くても装着感があるため自然さに問題がある.現実空間では香りは風に乗って運ばれる.香りは環境を知る重要な手掛かりを与えるため,人は風を知覚したとき,それまでの呼吸パターンを変化させ,効率的に香りを嗅ごうと吸気している可能性がある.そこで,本研究では,顔に空気触覚を提示し,これに連動して香りを提示すれば香りの知覚率は向上すると言う仮説を設定し,これを検証する実験,及び,そよ風が吹く映像コンテンツと空気触覚の連動による香り提示実験を行った.その結果,空気触覚を提示すると,条件反射的に吸気動作が生じる場合があること,このタイミングで香りを提示すると香りは高い頻度で知覚されることを明らかにした.
著者
神谷 拓 伊藤 嘉人 玉腰 和典
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.163-185, 2012

本研究の目的は、東日本大震災後に開催された運動会のフィールドワークを通して、学校の統廃合をめぐる教師、生徒、地域住民の「意志」について明らかにすることである。対象としたのは、同震災によって甚大な被害を受けた、M県の沿岸部に位置するH市のN2中学校で開催された「親子大運動会」である。調査の結果、この運動会において、教師、生徒、地域住民の「意志」は緩やかに繋がっていたものの、生徒たちの「統廃合を受け入れるまでには至っていない」という「意志」が、他の立場では共有されていないことが明らかになった。このことにより、本研究では「親子大運動会」が、教師、生徒、地域住民の「連帯と団結による意志表明」の場には「ならなかった」と結論づけた。とりわけ、27.3%の生徒が「私たちの意見も聞いて欲しかった」と述べていることから、日常生活における「意志表明の場」(子どもの意見表明権)を回復していくことが、今後の「親子大運動会」、及び、地域復興の課題になるだろう。
著者
師 茂樹
出版者
好文出版
雑誌
漢字文献情報処理研究
巻号頁・発行日
no.15, pp.97-99, 2014-10
著者
海老根 理絵
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.193-202, 2009-03-10

In this article, studies on the construction of the view of death and life, as well as studies on the education of death and life, were reviewed. Today we have a lot of problems on death, such as students commit suicide because of bullying, and children killing and wounding others. However, many previous studies on the view of death and life have focused on only particular groups (e.g., old people, patients in terminal care), and have not focused on general population, especially young population. This review suggested that we should pursue research on the construction of young people's view of death and life, and conduct empirical research on the effective death and life education program in order for us to live happily.
著者
五十嵐 沙千子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.176-155, 2005

Das ist bemerkenswert, dass M. J. Sandel, der Vertreter des Kommunitar-ianismus, den Liberalismus von John Rawls sehr hart kritisiert hat. Die Aufgabe der vorliegenden Untersuchung ist, die Moglichkeit der Freiheit im Liberalismus durch Sandels Kritik an Rawls nochmals zu uberprufen, und die Spannungen zwischen >Offentlichkeit< und >Gemeinschaft< klarzumachen. Dem Anschein nach sind >Offentlichkeit< und >Gemeinschaft< einander sehr ahnlich. Diese zwei Begriffe sind aber wirklich ganz widerspruchlich. Ich habe aus den Spannungen erklart, dass der Rahmen der Gerechtigkeit sowohl im Liberalismus als im Kommunitarianismus Grenze hat.
著者
廣野 俊輔
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 = The Joint Journal of the National Universities in Kyushu. Education and Humanities (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.No.10, 2014-10

本稿の目的は、東京都立府中療育センターで生起した身体障害者による抗議活動(府中療育センター闘争)の背景を、特に府中療育センターが置かれていた状況に焦点を当てつつ明らかにすることである。本稿では、これまでの研究が資料の中心としてきた当事者の手記や証言ではなく、府中療育センターが発行した資料をもとに、①府中療育センターには入所者の生活というよりは、家族を崩壊から救うという目的が重要視されていたこと、②府中療育センターに多様な障害者が無秩序に収容されていたこと、③労働条件の劣悪さを指摘し、闘争の背景をこれまでの研究とは異なる側面から明らかにした。