著者
水野 宏美
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.59-91, 2001-03

特集変容する社会と家族投稿論文1. はじめに (1) ルソーの夢 (2) 本稿の目的と構成2. ピアノ文化の外的要因 (1) 気候的要因 (2) 技術的要因3. ピアノ文化の内的要因 (1) 近代家族のイデオロギー (2) 経済的要因 (3) 教育的要因 (4) ジェンダー的要因 (5) 資本的要因4. ピアノ文化における親子関係の変容 (1) 19世紀近代家族のピアノ体験 (2) 20世紀近代家族のピアノ体験 (3) 四つの要因5. おわりに (1) 19世紀近代家族 (2) 20世紀近代家族 (3) 近代家族の揺らぎ (4) 近代家族の規定力The purpose of this thesis is to consider the relation between parent-child relations and culture in modern family. My concern here is mainly children's practice on the piano, so-called, piano culture and its parent-child relations. I would like to emphasize certain similarities of piano culture in the type of modern family. Piano culture existed from the very era when the modern family was formed, and was supported historically by the modern family both in the West and the East. Modern family has an ascetic Ethos to the education of children in the family. So, it is not unreasonable to think that piano culture is a symbol of modern family and a device to perform modern family. I attempted to adopt Kamakura city for my case study and interviewed 10 residents. It is generally considered that the socialization in modern family had a feature that the parent played a main role in socializing the child. With the advent of historical and economic developments, the parent-child relation have been diversified. The conclusion is that parents tend to desire the child-centered socialization or have the child take his or her own responsibility and control by himself or herself.
著者
石井 由紀夫
出版者
北海道教育大学
雑誌
語学文学 (ISSN:02868962)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1-10, 2014-12
著者
小林 盾 ホメリヒ カローラ
出版者
成蹊大学文学部学会
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
no.49, pp.229-237, 2014-03

この論文では、生活満足度が主観的幸福感と一致しているのかを検討する。ともすれば、生活に満足している人は、幸福であるとみなされがちである。しかし、このことは自明ではない。満足していても不幸とかんじるかもしれないし、不満があっても幸福かもしれない。そこで、2013年社会と暮らしに関する意識調査(SSP-W2013-2nd)をデータとしてもちいて、分析をおこなった。その結果、以下がわかった。(1)満足と幸福が一致しない人は、全体で23.4%いた。そのうち「生活に不満があるのに幸福」というポジティブな不一致の人は、不満な人のうち3割いた。とくに60代で45.9%と多かった。逆に「満足しながら不幸」というネガティブな不一致は、1.5 割いた。とくに未婚者で27.9%と多かった。(2)女性ほど、年配者ほど、既婚者ほど、世帯収入が多いほど、「不満だが幸福」というポジティブな不一致がふえ、「満足だが不幸」というネガティブな不一致がへった。ただし、学歴や従業上の地位による違いはほとんどなかった。以上から、生活満足度と主観的幸福感はたしかに似た概念であるが、同一視するには慎重であるべきだろう。
著者
香月 法子
出版者
人間文化研究機構地域研究推進事業「現代インド地域研究」
雑誌
現代インド研究 (ISSN:21859833)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.195-220, 2011-03

現在、古来より代々ゾロアスター教を信奉してきたインドのゾロアスター教徒、つまりパールシーが少子高齢化や女性の外婚増加等による、人口減少に悩まされている一方で、改宗によって、様々な背景を持ったゾロアスター教徒が世界中に200 万いるともいわれている。しかしパールシーにとって、このような教徒数の増加は、決して手放しで喜べる話ではない。それどころか改宗者やパールシー外婚女性に対する態度を巡って、「保守派」と「改革派」に分かれ、パールシー・コミュニティを二分する論争に発展している。これは18 世紀における度重なるコミュニティの分裂によって宗教的権威が衰退してしまったことで、彼らのゾロアスター教はヨーロッパの研究成果の影響を大きく受け、彼ら独自のゾロアスター教の確立が中断されたため、彼らのアイデンティティ形成に混乱が生じ、それが今になって「保守派」対「改革派」という対立構造となって表れているのである。
著者
平塚 志保
出版者
看護総合科学研究会
雑誌
看護総合科学研究会誌 (ISSN:1344381X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.37-51, 2007-12-31

助産の法的概念と助産師の法的責任について,医師法,保健師助産師看護師法,医療法等の法規定,および分娩経過中に助産師が関与した判例をもとに検討し,以下を結論した。1.法的に助産(分娩介助)は(絶対的)医行為であり,助産師には裁量がある。2.助産師の分娩経過中の過失は,異常の予見可能性と不適切な判断の2点を中心に認定されている。3. 助産師は,分娩時の異常の状態の判断について単独で責任を間われる。4. 異常発生の予見可能性について,助産師は医師と同等の注意義務を負っており,助産師一般,あるいは平均的助産師を基準に判断される。5. 助産師は,異常の予見義務について医師との共同責任が問われることもあるが,医師の監督指導責任下にはない。6. 助産師の医師への連絡・報告義務は,助産師の責任下にある。助産師は,正常分娩を自ら介助するのみならず,保健師助産師看護師法第38条のもと,医師への連絡の要否を判断し得る専門的教育訓練を受けており,助産師が分娩経過を観察している場合,医師の分娩監視義務(診療義務)は,問われない。7. 分娩経過中の観察(含内診)は,必然的に観察と判断(助産診断)が連続して行われる。このため,助産(分娩介助)という行為の性質は医行為とされる。
著者
古我 正和
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.93-102, 2004-03-01

イギリスのヴィクトリア朝は、対外的に大いに発展して経済的にも国内の産業がフル稼働していた時期であった。そのため人間個人の幸福や安寧はそれに追い付かず、 国家的な方面からの法整備もかなわぬままに、イギリス国民はその好景気に飲み込まれ、弱肉強食体制の中で、模索しながら生きていかなければならなかった。Charles Dickensはそのような世相の中で堅実に生きていこうとする庶民に日を向け、暖かく見守った。とりわけクリスマスには人々の心を癒してくれる物語を数多く書いた。本論では、そのクリスマスの物語の一つThe Cricket on the Hearthをとりあげ、そこに出てくる生きものと人聞が、ヴィクトリア朝というこの試練の時期にいかに懸命に生きているかを眺めながら、同時にディケンズの描くヴイクトリア朝の影も 探ってみた。

3 0 0 0 OA 青森県漁具誌

著者
青森県農商課 編
出版者
青森県水産試験場
巻号頁・発行日
1915

3 0 0 0 OA 天壌無窮史観

著者
板沢武雄 著
出版者
日光書院
巻号頁・発行日
1943
著者
植野 健治 井上 典子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.10-4, pp.188-192, 2012 (Released:2012-03-10)

平戸市は長崎県の北西端に所在し、16世紀に本地域で布教されたキリスト教の影響により、かくれキリシタンの習俗をとどめる地域である。本稿は、本地域を対象として、文化的景観を構成する有形の諸要素を対象に無形の調査に基づきその意味を読解し、図化作業を通じて、有形・無形の諸要素が示す相互関係を明らかにすることを目的としたものである。文化的景観の構造分析を行うにあたっては有形・無形の関連を示すレイヤー構造に注視し、集落の機能的な範囲を示す有形の要素と信仰空間等の無形要素の関係を読み解くアプローチは、土地の個性を明らかにする上で非常に重要であることがわかった。
著者
山澤 一誠 八木 康史 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.698-707, 1996-05-25
被引用文献数
200

ロボットをナビゲーションするには, ロボットの周囲の環境がどのような状況にあるかをセンサ情報から知る必要がある. 本論文では, 双曲面ミラーを用いた全方位視覚系(HyperOmni Vision)を提案し, その特徴と, HyperOmni Visionを用いた視覚誘導方法について述べる. 従来の全方位視覚系では, 光学系の特性が中心射影でなかったため独自の視覚情報の獲得方法が必要だった. しかし双曲面ミラーを用いた全方位視覚系は, 全方位の視野をもち, かつ中心射影の光学的特性ももつため, 一般のカメラで直接とった画像などに変換できる. そのため処理に応じた画像に変換でき, 独自の手法だけでなく従来の画像処理技術も利用できる利点がある. ここではHyperOmni Visionの構成, 特徴と光学系の特性, またHyperOmni Visionを用いた移動ロボットシステムとそのロボットのテンプレートマッチングによる移動量推定, 障害物検出について報告する.
著者
苅谷 剛彦 濱名 陽子
出版者
関西国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究は、1970年代末から1980年代初頭にかけて、政府関係の審議会等の公式文書や政策文書において、日本が西欧諸国へのキャッチアップが完了したという認識を持つに至った経緯、さらにはその認識を持つことで、その後の教育政策やその基盤となる社会認識・教育問題の社会的構築にどのような影響がおよんだのかを明らかにした。研究の結果、ジャパン・アズ・ナンバーワンなどの海外の日本認識が提供した知識の影響と、キャッチアップ型近代化の限界と問題点が日本の教育政策を打ち立てる上でのトラウマとしてつきまとっていたことが示された。中央集権制や詰め込み受験教育の弊害などの「開発国家型」の教育としての問題である。