著者
中田 翔治 高嶋 隆太 長野 浩司 木村 浩 班目 春樹
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 = Transactions of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.252-270, 2010-09-01
被引用文献数
3

Replacement of nuclear power plants has the possibility of affecting the management of electric power suppliers. Therefore, in the nuclear policy, a depreciation method as an equalization method, which means that part of the investment cost is accumulated as an allowance, and after the start of operation, the depreciation cost in the replacement project is equalized, has been introduced in Japan. In this paper, we evaluate the replacement of nuclear power plants by taking into account the uncertainty of operating costs and the depreciation cost in order to examine the effect of the depreciation method on the decision criteria of the replacement. We found that the equalization method is effective for inducing the acceleration of the replacement. Furthermore, we show the relationship between the uncertainty and the depreciation method. It turns out that as uncertainty increases, the difference in investment threshold between the equalization method and the existing depreciation method decreases, and that in option value increases.<br>
著者
田中 正人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.665, pp.1251-1257, 2011-07-30 (Released:2011-11-17)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

This article is a study to consider the way of reconstruction by the Collective Relocation Project after a disaster. We conducted a questionnaire for residents who experienced the project. The results were as follows: 1) There are multiple types of collective relocation. The problem of relocation of the whole village is that there are residents who chose to move based on a negative motive. But public housing was supplied by the project and this supported the relocation of low income residents. 2) The problem of spotty partial collective relocation is that some residents must remain because of economic reasons. Remaining residents generally showed a lower intention of settlement. 3) It is important for adopting the Collective Relocation Project to make clear whether relocation of the whole village is unavoidable and to support the relocation of low income residents who want to move.
著者
荒川 昭
出版者
愛知学泉大学
雑誌
経営研究 (ISSN:09149392)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.57-66, 1999-09

さきごろから,新社会資本という言葉が使われ始めた。ケインズ理論は新しい形で生きている。新公共投資による新社会資本という形で生きている。ところで,チャーチルとヒトラーの経済政策を比較すると,チャーチルはボールドウィン内閣のとき大蔵大臣で,金本位制に英国を復帰させて,石炭労働者のストを招き,失敗した。ヒトラーは,総統になるや否や,アウトバーン(高速度道路)をドイツに縦横に張りめぐらし,ドイツ国民に安い値段で自動車を提供しようとフェルディナンド・ポルシェに依頼してフォルクスワーゲン(国民大衆車)を開発させ,ケインズ理論を先取りして大成功した。消費は,所得だけでなく,その個人と社会の置かれている文化-精神生活-によって決定される。慶応義塾大学の村田昭治教授によれば,マーケティングは「生活の質」で決定される。新公共投資における新社会資本とは,光ファイバーによる通信網,インターネット,移動体通信/モバイル・コンピューティング,新形パソコンその他といわれている。われわれは,マーク・ポラートのいう第2次情報産業(特にますます高度化し,広域化し,多機能化するLANとWANの設計・運用・保守)を含めて,後期のインフラストラクチュアを主体にした,新社会資本のありかたを模索し,そして新社会資本が国民に与える「生活の質」を究明し検討して,現在,悪の代表といわれるヒトラーにまけないように,鋭敏な感覚によって新社会資本の設備投資により,日本経済・世界経済を再生しなくてはならない。
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.940, pp.28-33, 2010-12-13

鉄道利用者の利便性や鉄道事業者の収益性を高めた「駅ナカ」。だが、同施設には安全性や駅周辺の街づくりという面での課題も浮かび上ってきた。地域の中核施設となる上で、これらの解決は不可欠だ。 列車の乗り換え時に寄り道してお買い物。いわゆる「駅ナカ」が実現した日常風景だ。
著者
宮入 照子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.259-264, 1987-11-20

アイスクリームに洋酒、スパイスを使用したときの嗜好について官能検査を行い検討した。1. 洋酒を加えたアイスクリームで嗜好が高かった洋酒は、モカ、キリシュワッサー、コアントローであり、嗜好が低かったものはペパーミント、赤ワインであった。2. 洋酒アイスクリームにスパイスを添加したとき、一般に嗜好が高かったスパイスは、バニラで、メースは洋酒の種類によって嗜好が分かれ、洋酒がコアントローの場合は嗜好を高めたが、マラスキノ、白ワインでは逆に嗜好が低下した。シナモンは、モカ、グランマニエ、マラスキノの各アイスクリームに使用した場合には嗜好が向上した。全般に嗜好を低めたのは、クローブ、オールスパイスであった。3. スパイスの添加効果については、洋酒のみを加えたアイスクリームで嗜好が低かったペパーミントや赤ワインの各アイスクリームはその評価を向上させたが、逆に洋酒のみを加えたアイスクリームで嗜好が高かったモカ、キリシュワッサー、コアントローの各アイスクリームでは、その評価を低下させる傾向が認められた。
著者
生井 裕子
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.51-60, 2014-03-31

日本人にとって,「ふつう」という言葉は,文脈により多義的な意味を内包している。また「ふつう」の捉え方は,適応と深く関わりを持つことが指摘されている。しかしながら,個々の「ふつう」の捉え方の違いのあり方や要因については,これまでの研究において十分明らかにされてこなかった。そこで本研究では事例検討を通じて,適応的な「ふつう」概念について,いくつかの視点を提示することを目的とした。面接過程の検討より,適応的な「ふつう」概念について,以下の視点を提示した。1)自己を客観視する視点を持てている。それは,「ふつう」を適応的な「仮面」として用いることを可能にする。2)自己の内的感覚を明瞭に捉え,健全な自尊心を持っている。また自己の否定的感情を抱えられるため,仮面としての「ふつう」を防衛的に使用する必要がない。3)「周囲と調和している」といった,安定した主観的感情と共に「ふつう」が体験されている。
著者
中川 紗江 鈴木 直人
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.181-191, 2013-12-31 (Released:2014-10-29)
参考文献数
32

本研究の目的は,不快感情が喚起されている時に意図的に笑顔を表出することによって生じる主観的な感情と表情の違いが,心臓血管系反応に及ぼす影響を検討することである。42名の実験参加者が2本の短い映像を視聴した。それぞれの群ごとに嫌悪映像(不快刺激群),楽しい映像(快刺激群),中性映像(中性刺激群)を2本ずつ使用した。実験参加者は,一方の映像は意図的に笑顔を表出しながら視聴するよう求められ(笑顔条件),もう一方の映像は自然な表出で視聴するよう求められた(自然条件)。実験参加者が映像を視聴している間,心臓血管系反応測定した。さらに,実験参加者が視聴し終わった後も心臓血管系反応を継続して測定した。その結果,笑顔条件において全ての群の収縮期血圧および拡張期血圧の値が上昇した。しかしながら,心拍数は快群において上昇した一方,不快群では減少した。不快群の心臓血管系反応パターンは,α-アドレナリン作動性収縮によって引き起こされるパターンII反応に類似している。心臓血管系の活動に関する研究において,このパターンはしばしば不適応な反応の指標としてみなされる。したがって,これらの結果は,感情価のズレが不適応的な生理反応を引き起こす可能性を示唆している。
著者
石黒 格 辻 竜平
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.295-312, 2006-09-30 (Released:2007-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
2

携帯電話のアドレス帳に登録されている知人の数(アドレス帳登録数)の、ネットワーク・サイズ測定指標としての有用性について検討した。全国から25~74歳の男女2200名(回収数1445)を抽出した調査データを分析に用いた。第一の目的は、アドレス帳の利用率と利用を規定する属性要因を検討することであり、全体として利用率は60%程度であること、若年、高学歴、高収入、都市部在住者で利用が多いことが明らかになった。特に重要な要因は年齢で、利用率を80ポイント以上変動させていた。第二の目的は、電話帳法による知人数推定値をネットワーク・サイズの指標とし、それとアドレス帳登録数との相関を検討することだった。分析の結果、アドレス帳登録数と電話帳法による知人数の推定値は年齢によらず一貫して正相関していた。都市規模別に見たときには、人口5000~9999人の郡部を除いた地域では有意に正相関していた。人口10000未満の郡部では相関は弱めでかつ利用者が少ないため、人口1万人以上の都市で、特に若年層を中心として調査する場合に、アドレス帳登録数がネットワーク・サイズの指標として利用可能であることが示唆された。
著者
新保 史生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.818-827, 2005 (Released:2005-03-01)

図書館における個人情報の取り扱いをめぐる問題については,利用者の「プライバシー保護」の問題や「個人情報の漏えい」などへの懸念が問題視されることが多い。しかし,2005年4月1日に全面施行される個人情報保護関連五法は,プライバシーの権利の保障を目的として制定された法律ではなく,また,個人情報の漏えいや不正利用などの行為を直接処罰する法律でもない。 本稿は,個人情報保護法の制定が図書館および図書館サービスに与える影響を検討するにあたり,「プライバシー保護」と「個人情報保護」をめぐる問題の峻別の必要性を提示した上で,各図書館への個人情報保護関係法令の適用関係の明確化,法令の義務規定の適用除外の内容,および個人情報の取扱義務規定の内容について考察する。
著者
Monroe Christopher R. Wineland David J.
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.13, pp.42-50, 2008-11

超弩級の能力を持つと期待される量子コンピューター。原子や光子,人工の微細構造にデータを保存して処理する設計が考えられている。最も進んでいるのが捕捉イオンを操る研究だ。
著者
桑原 佑典 Tore Eriksson 釣谷 克樹
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.144, no.6, pp.260-264, 2014

精神疾患領域には大きなアンメットメディカルニーズが残されており,治療薬開発や創薬標的探索に向けた研究が企業やアカデミアで行われているが,その基礎となる疾患の発症分子メカニズムさえも未だに不明な部分が多い.近年のゲノム解析機器のハイスループット化に伴い,一塩基多型(SNP)を用いたGWAS(ゲノムワイド関連解析)が開発され,精神疾患分野においても数千人以上の大規模患者集団を用いた疾患関連遺伝子探索に関する研究成果が数多く報告されている.統合失調症においては,TRIM26 やTCF4 等の遺伝子やmiRNA の関与が見出され,これらを含めた新たなメカニズムが検討されつつある.また,次世代シーケンサーの急速な発展によって,一塩基変異(SNV)やコピー数多型(CNV)といった個人毎の稀な変異を対象とするエクソーム解析や全ゲノム配列解析といった技術も開発され,これらからも統合失調症患者でARC の複合体やNMDA 受容体複合体に変異が多い等の一定の成果が得られつつある.動物モデルなどを用いる精神疾患に対する従来の研究手法には限界もあり,今後の新機軸の一つとして,患者のゲノム情報を中心とし,遺伝子発現等の既存情報をバイオインフォマティクス技術を用いて統合解析し,発症メカニズムの解明や創薬標的の探索に取り組む流れが現在注目されている.また,バイオインフォマティクス技術は,既存薬や開発中の化合物について新たな適応疾患を探索するドラッグリポジショニングにも応用されている.新たな適応疾患は臨床開発時や市販後の臨床研究で明らかになる場合が多いが,早期にその可能性を見いだすことが製薬企業には重要であり,この解析にバイオインフォマティクスは欠かせないツールとなりつつある.本稿では精神疾患創薬研究におけるバイ オインフォマティクスの活用として,新規創薬標的の探索とドラッグリポジショニングの2 つの観点から最新の知見を紹介する.
著者
滝沢馬琴 著
出版者
早矢仕民治
巻号頁・発行日
1887