著者
伊藤 浩明 森下 雅史 山田 緑 大島 美穂子 坂本 龍雄 田中 昭
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.65-68, 2005-03-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

ヤマイモは, 仮性アレルゲンを含む食品として知られているが, 一般臨床でIgE抗体測定ができなかったために, ヤマイモアレルギーに関する報告は少ない. 本稿では, ヤマイモ摂取により即時型アレルギー反応を認め, ユニキャップによりIgE抗体が陽性であった乳幼児7例を報告した. ヤマイモアレルギーの症例は, 顔全体から全身に及ぶ紅斑・蕁麻疹又は浮腫を認め, 2例で呼吸器症状 (咳嗽・喘鳴), 1例で消化器症状 (嘔吐・下痢) を認めた. 患児は, ヤマイモを含むかりんとうや焼いたヤマイモなど, 加熱された加工品にも反応した. 一方, IgE抗体陰性者7例で認められた誘発症状は口周囲の紅斑に限定されており, 仮性アレルゲンによるものと思われた. 以上より, ヤマイモ特異IgE抗体測定は, 真のアレルギーと仮性アレルゲンによる反応との鑑別に有用であると考えられた.
著者
近藤 弘幸
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.25-55, 2019-09-30

条野伝平は、今ではほぼ忘れられた作家であるが、幕末には山々亭有人の号で人情本の作者として人気を博していた。明治維新後の条野は、一旦創作活動から手を引き、新興の新聞界に身を転じる。彼が『東京日日新聞』を経て一八八六年に創刊した『やまと新聞』は、連載小説を売りにする典型的な小新聞として大成功をおさめた。同紙では条野自身も採菊散人の号で創作活動を再開し、ふたつのシェイクスピア物を残している。本論は、そのうちのひとつである『三人令嬢』(一八九〇)と題された『リア王』を読み解く試みである。幕末・維新の動乱期を経て新聞界へ転身する条野の生涯を素描したうえで、『三人令嬢』の概要を紹介し、同作が、探偵小説という当時の最先端の流行を取り入れて新しい読者への訴求を図りつつ、戊辰戦争期の諷刺錦絵的手法を援用して旧幕以来の古い読者のノスタルジーにも応える、したたかで豊かなテクストであることを明らかにする。
著者
矢守 克也
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.137-149, 2009 (Released:2009-03-26)
参考文献数
42
被引用文献数
3 6

本論文は,災害心理学の領域における重要概念の一つとされてきた「正常化の偏見」(normalcy bias)について,社会構成主義の視点にたって再検討し,その上で,同概念が防災実践に対してもたらす意義と問題点について理論的に検討したものである。「正常化の偏見」については,実際には,事後(災害後)のsense-makingが大きく関与して生じる事象であるにもかかわらず,事前(災害前)のdecision-makingのメカニズムを説明する概念として転用する混乱が生じていたと考えられる。そこで,まず,このような転用が生じるのは,「こころの前提」,「危険評価の前提」,「役割分担の前提」という3つの前提の上に立ってわれわれが事態を認識するからであることを指摘する。その上で,転用によって,現実に展開されている防災実践にどのような影響が出ているかについて,功罪両面にわたって分析する。最後に,「正常化の偏見」に代わるsense-makingのあり方として,「リアリティの共同構築」を提起し,それが防災実践をどのように変革しうるのかについて具体的な事例をあげながら考察する。
著者
大木 毅
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.91, pp.101-119,L11, 1989-05-20 (Released:2010-09-01)
参考文献数
83

In 1941, England was determined to continue the war against Germany, and the collapse of German blitzkrieg-strategy against Soviet Russia was evident to any one. Despite the situation, Germany declared war on the third great power, the United States. Why? The purpose of this paper is to answer the question and to analyze its political process.Adolf Hitler who had failed to defeat England in 1940, decided to overthrow Soviet Russia with the intentions of taking over the hegemony of the Continent and of compelling England into peace negotiations. But in the meantime the United States was applying strong measures against Germany. Germany would have to fight the United States sooner or later, but American rearmament was not yet complete. So judged Hitler the state of affairs from the reports of military attache in Washington, D. C. and other Capitals. And he expected Japan to enter the war on England, or England and the United States with the hope of diverting Anglo-American military efforts into the Pacific.But Joachim von Ribbentrop, German foreign minister, had another conception: the conception of a continental bloc of four powers, Germany, Japan, Italy and Soviet-Russia. He had the same perception of America as Hitler, its incomplete militarization, and he intended to bring England to its knees, to detain the United States in neutrality and to turn over the warlike policy against Soviet Russia indirectly, by enticing Japan into the war against England. Yet the “traditional group” in foreign ministry (Ernst Frh. v. Weizsäcker and others) was anxious about war in Russia, and dissented from the underestimation of America and anti-American measures. It was important above all for them that Germany put all her energies into the Anglo-German war, so they attempted to urge Japan into the war with England.German navy insisted that they had to carry out the war on merchant shipping to defeat England, even if it caused war with America. But Hitler who was afraid of accidental war against England and America while fighting in Russia, prohibited the navy from the use of arms against American ships. The Navy also expected Japan to take action against England for the sake of tying down Anglo-American forces in Far East. From so various reasons, “actors” in the German decision-making process consented in appearance to drive Japan into the war against England before the beginning of Japan-United States negotiations and the German invasion into Russia.However the outbreak of Russo-German war in June, 1941 deprived Ribbentrop and diplomatic “traditional group” of the precondition of their one-front war policy-only against England. So they made overthrowing of Soviet-Russia their primary object, and switched from “against England” to “against Soviet Russia” in cooperation with Japan. But Hitler was so optimistic in the conflict with Soviet Russia that he expected victory before Japan entered the war against England. Here was displayed the duality of German policy towards Japan, the Hitler-Navy vs. Ribbentrop-“traditional group” in foreign ministry. And the escalation of American hostile actions in the Atlantic made the German Navy demand the removal of the restrictions upon attack on American ships more acutely. Hitler also came to consider the war against America more seriously. Yet Ribbentrop's policy was to keep the United States out of the war, and the diplomatic “traditional group” approved of this. Thus in the policy towards America, confrontation between the Hitler-Navy and Foreign ministry appeared.But this opposition in the political process did not become serious during the German advance into Russia. However the obscure attitude of Japan concerning Japan-United States negotiations and American hostile actions stalemated German foreign policy. And once the lack of ability to conquer Soviet Russia within 1941 became clear from

19 0 0 0 OA 猿楽の説話と鬼

著者
岩崎 雅彦
雑誌
能楽研究 : 能楽研究所紀要 (ISSN:03899616)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.37-82, 2002-03-30
著者
平井 圭介 加藤 浩紀 西川 久夫 行弘 信仁 西山 啓次 宮本 政臣
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.1, pp.51-60, 2010 (Released:2010-07-09)
参考文献数
30
被引用文献数
3 3

既存の睡眠薬は,GABAA受容体に作用して睡眠を誘発する.GABAA受容体は,脳幹毛様体,辺縁系,海馬,小脳,脊髄,大脳皮質辺縁系など広範囲に存在し,種々の神経伝達物質を含有する神経に対して, Cl−イオンの細胞内流入を介して抑制的に作用する.そのため,睡眠誘発作用は示すものの,その睡眠は自然睡眠とは異なり,筋弛緩作用,前向性健忘,反跳性不眠,依存性などの種々の有害作用を惹起する.これに対してラメルテオン(Ramelteon,TAK-375,商品名Rozerem®)は,主に視床下部視交叉上核に存在するメラトニン受容体(MT1/MT2受容体)にアゴニストとして作用してcAMP産生系を抑制し,サルおよびネコで強力な睡眠誘発作用を示した.その睡眠パターンは自然睡眠に極めて近いものであった.また,既存薬で見られる学習記憶障害,運動障害,依存性などは見られなかった.ラメルテオンは入眠障害を特徴とする睡眠障害患者における臨床試験において,入眠までの時間を短縮するとともに総睡眠時間を増やした.ヒトにおいても記憶障害や運動障害などの有害作用は極めて少なく,依存性も見られず,反復投与においても耐性や反跳性不眠も認められなかった.ラメルテオンは,ヒトの睡眠覚醒サイクルを司る視交叉上核に作用する新規作用機序を有し,副作用が少なく生理的な睡眠をもたらす不眠症治療薬として期待される.
著者
樂木 章子
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.146-165, 2003-03-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

本研究では, 乳児院や児童養護施設で生活する乳幼児が, 血がつながらない育て親 (養親) に養子として引き取られるに至る過程において, その重要な前提である, 育て親となる夫婦が養子を迎える決断をなす過程に着目した。具体的には, ある養子斡旋団体が養子を迎えようとする夫婦を対象に実施している養親講座の現場でのフィールドワークに基づき, そこで用いられている言説戦略を分析した。この養親講座においては, 養子の子育ての困難さ, とりわけ, 施設で生活する子どもとの縁組によって直面する問題が生々しく語られ, 夫婦がこれまで築いてきた生活を根底から揺るがされるものであることが強調された上で, 夫婦に養子を迎える決断を迫る。このようなプロセスを通して, 夫婦がそれまで無自覚に依拠していた諸前提が明確化され, 無意識のうちに抱いていた親子関係のイメージが否定されていく。養親講座の言説戦略は, いわば, 養子を迎えるという決断が, その後の人生における「公理」として機能しうるような状況を構成していることが示唆された。言い換えれば, 養親講座の言説戦略は, 血縁という先験性を持たない養親子において, 血縁に代替しうるような先験性を構築する試みであることが考察された。

19 0 0 0 OA 日本歴史文庫

著者
黒川真道 編
出版者
集文館
巻号頁・発行日
vol.〔6〕, 1912

19 0 0 0 OA 情報

出版者
日本ベントス学会
雑誌
日本ベントス学会誌 (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.106-108, 2004-07-28 (Released:2009-08-07)
著者
大類 真嗣 黒田 佑次郎 安村 誠司
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.407-416, 2019-08-15 (Released:2019-09-21)
参考文献数
23
被引用文献数
1

目的 2011年の福島第一原子力発電所事故による住民の精神的健康度の指標として,避難区域の自殺死亡率の動向を継続的に把握しており,2015年時点で避難指示が解除された市町村で上昇していることを確認した。そのため,1. 2017年4月までに避難指示が解除された区域の自殺死亡率のモニタリングを行い,2. 避難指示解除後に自殺死亡率の上昇の懸念のある福島県飯舘村を対象に,住民の自殺予防,精神的健康の向上を目的とした対策を展開した。方法 1. 自殺死亡率のモニタリング:人口動態調査を基に,2017年4月までに大部分の地域で避難指示が解除された8市町村を対象に,自殺死亡率の推移を検討した。2. 福島県飯舘村を対象とした避難指示解除後の自殺・メンタルヘルス対策:以下の3つの内容で対策を展開した。1)精神的健康度や自殺念慮に関するスクリーニングおよび個別支援,2)住民リーダーや支援者へのゲートキーパー養成講座を通じた地域づくり,3)被災自治体の職員への技術的支援(スクリーニングおよびハイリスク者支援,地域自殺対策計画策定に向けた住民の健康課題の抽出や事業整理および一般職員向け研修)。活動内容 1. 避難指示解除区域の男性の自殺死亡率は低い状況から一転し,解除開始後の2015年から3年間全国よりも高い状況が続いた。女性では2013年以降全国水準よりも高く,とくに避難指示解除が進んだ2017年は全国よりも有意に高い状況であった。2. およそ4,800人の住民を対象に行ったスクリーニングでは,精神的健康度,ソーシャルサポート,1年以内の自殺念慮などを総合的に判断してハイリスク者を選別し,個別支援を行った。地域自殺対策計画策定に向けた住民の健康課題の抽出では「子ども家族との再同居で気を遣う」,「かつての仲間が村にはおらず孤独」など,仮設住宅からの転居の影響による,避難指示解除後に特徴的な課題が浮き彫りになった。その状況を踏まえ,様々な理由で精神的健康が損なわれている住民と接する機会の多い自治体一般職員向け自殺研修を開催した。結論 避難指示解除区域の自殺死亡率のモニタリングや,コミュニティーの再分離といった避難指示解除後に特徴的な背景を踏まえ,地域づくりを意識したゲートキーパー養成,被災自治体の一般職員に対する研修を行った。解除後の自殺死亡率の上昇を踏まえ,当該地域での対策をより一層強化していく必要がある。
著者
店田 廣文
出版者
早稲田大学人間科学学術院
雑誌
人間科学研究 (ISSN:18800270)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.253-262, 2019-09-27
著者
小坂 至 光定 誠 若山 達郎 松浦 篤志 新井 浩士 横山 春子 田中 道雄
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.202-207, 2007-05-15 (Released:2009-02-27)
参考文献数
5

界面活性剤の大量内服後に多発小腸潰瘍・穿孔を来した1症例を経験したので報告する。症例は45歳の男性。自殺企図にて界面活性剤を大量に内服し, 急性薬物中毒にて当院入院となった。経過中に下血及び持続する右下腹部痛が出現した。上下部消化管内視鏡検査・腹部血管造影などにより, 小腸潰瘍からの出血と考えられ, バゾプレシンの持続動注を行い, 一時的な止血が得られた。その後腹膜炎症状及び再下血を認め, 小腸潰瘍による穿孔性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した。約1.6mの空腸を残し回盲部切除術を行った。術後も残存小腸の潰瘍からと思われる下血を繰り返したが, 諸検査にて明らかな出血源は指摘できず, 保存的加療にて改善し, 術後55日目に軽快退院した。界面活性剤による中毒では, 腸管からの排泄と共に, 中毒症状が改善することが多い。しかし, 閉塞機転による腸管内の停滞などを契機に本症例のような重篤な経過をたどることもあり, 慎重な経過観察が必要である。
著者
岩上 貴幸 山田 創 小笠原 禎文 孫 宰賢
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.184-189, 2022 (Released:2022-03-29)
参考文献数
18

症例は生来健康な全く既往のない31歳男性.コロナウィルス修飾ウリジンRNAワクチン(トジナメラン)接種翌日より頭痛および繰り返す嘔吐を認めた.接種4日後には左半身の痺れも自覚し,当院救急外来受診.MRIで脳静脈洞血栓症と診断し,抗凝固療法を開始した.治療開始後症状は徐々に改善を認め,フォローアップのMRIでは閉塞静脈洞の大部分で再開通を認めた.採血上明らかな血栓性素因はなく,コロナウィルスの感染も否定的であった.ワクチン接種24時間以内に発症した脳静脈洞血栓症の1例を経験したが,両者の因果関係については今後より大規模な症例の蓄積から判断を行う必要がある.
著者
張 小鋼 玉田 敦子 坂本 貴志 伊東 貴之 川島 慶子 長尾 伸一 橋本 周子 逸見 竜生 隠岐 さや香 小関 武史 染谷 智幸
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度は18世紀の東アジアの様相を多面的な視点から検討し、その相互比較を行うことを中心とした。そのため韓国18世紀学会に所属する研究者および中国人民大学清史研究所と密接に連絡しつつ国内での研究を進めた。2019年度は二つの学会が下記の通り開催された。前期は国際18世紀学会がイギリスのエジンバラ大学で開催された。そこで、日・韓・中共同セッションの企画・実施によって、18世紀の東アジア諸国の文化、政治、科学、風俗の展開を具体的に検討し、相互比較するとともに、三か国の研究者間の交流を深めつつ、国際的な観点から研究を進めた。その結果。朝鮮王朝、清朝、江戸時代の文化、風俗、政治、学問、文芸の多様な様態と、それらの諸国の18世紀における「社交性」の展開が、それぞれの歴史的文脈の中で明らかとなった。これに参加した研究者によって三国を結ぶ研究ネットワークを構築する方向性を確立した。後期は日本18世紀学会が中部大学で開催された。国際18世紀学会での討議を踏まえて、「ユーラシア近世史」の構想を発展させるべく、西洋、イスラム圏などの思想史的研究を行って、一定の見通しをたてるとともに、今後の研究ネットワークを構築していく作業を行った。秋以後は国際学会で得た成果をもとに、代表者、分担者がそれぞれの担当分野での研究を進め、次年度の国際会議(中国あるいは日本)に向けた準備を行った。またこの過程で、主に中国での18世紀研究とのネットワーク構築が進み、北京と上海という二つの拠点を中心に、韓国、日本との交流を進めることとなった。
著者
佐藤 弘夫
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.323-346, 2012

自然に関する科学的な知識を欠いていた前近代社会では、世界の他の地域と同様、列島の人々は不可避の災禍を超越的存在(カミ)の仕業と結びつけ、その出現の必然性を了解しようとした。古代社会では、自然災害はカミが人間に与えるメッセージ(崇り)と解釈された。仏教が受容され世界についての体系的な解釈が定着する中世社会になると、災害についても、その発生を治罰と救済の因果律のなかで説明しようとする傾向が強くなった。根源的存在のリアリティが衰退し、死者を彼岸の仏による救済システムに委ねることができなくなった近世では、災禍を天災として忍受する一方、不遇な死者を祖霊に上昇させるための長期にわたる儀礼や習俗が創出された。「近代化」のプロセスは、生者とカミ・死者が共存する伝統世界から後者を閉め出すとともに、特権的存在である人間を主人公とした社会の再構築にほかならなかった。東日本大震災は、そうした近代の異貌性を浮かび上がらせ、私たちの立ち位置と進路を再考させる契機となるものだった。
著者
松田 洋和
出版者
医用画像情報学会
雑誌
医用画像情報学会雑誌 (ISSN:09101543)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.44-48, 2013 (Released:2013-08-28)
参考文献数
5

A forensic examination is a top-to-toe examination looking for injuries and taking samples that may be used as evidence in a police investigation and any subsequent prosecution. The type of forensic examination most people know about revolves around violent crimes. Forensics used in these investigations can uncover scientific evidence that may provide enough proof or evidence to convict a violent criminal. A forensic examination can be very time-consuming but is vitally important. Histories from caregivers should be obtained separately and as soon as possible; careful documentation is essential. In this paper, important points of the causal relationship between the cause of death and characteristic autopsy findings are discussed in the three cases.

19 0 0 0 OA 鉄道統計資料

著者
鉄道省 編
出版者
鉄道省
巻号頁・発行日
vol.昭和4年 第3編 監督, 1932