著者
藤高 和輝 フジタカ カズキ Fujitaka Kazuki
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.163-180, 2013-03-31

ジュディス・バトラーがスピノザの熱心な読者であるということはあまり知られていない。しかし、スピノザは彼女にとってきわめて重要な思想家である。実際、彼女は『ジェンダーをほどく』(2004)で「スピノザのコナトゥス概念は私の作品の核心でありつづけている(198 頁)」と述べている。本論はこの言葉の意味を明らかにしようとするものである。バトラーがスピノザの『エチカ』に最初に出会ったのは思春期に遡る。その後、彼女はイェール大学の博士課程でヘーゲルを通して間接的にスピノザと再会する。この二番目の出会いは、彼女の学位論文『欲望の主体』(1987)を生み出すことになる。最後に、このスピノザからヘーゲルへの移行によって、彼女は「社会存在論」を確立することができた。バトラーの著作におけるスピノザのコナトゥス概念に着目することで、私はこれらの運動を明らかにするだろう。そして、このような考察を通して、バトラーの思想においてコナトゥス概念が持つ意味も明らかになるだろう。
著者
馬場 英朗 BABA Hideaki
出版者
日本NPO学会
巻号頁・発行日
2005-12

(C)日本NPO学会:このデータは、日本NPO学会から許諾を得て、J-stageから引用しています。Original text is available at : https://www.jstage.jst.go.jp/article/janpora/5/2/5_2_81/_article/-char/ja/
著者
松田 春香
出版者
東京大学大学院総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センター
雑誌
アメリカ太平洋研究 (ISSN:13462989)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.135-152, 2005-03

Outpost Countries'in East Asia, such as South Korea and Taiwan, proposed to make 'anticommunist'security pacts in order to get U.S. military support and strengthen their security since the international environment surrounding them had changed. They suggested making a 'Pacific Pact'in 1949, to be followed with 'The Asian People Anti-communist League (APACL)'after the Korean War. But South Korea and Taiwan could not reach a consensus on Japanese participation. That is why APACL, establisehd in 1954, could not get any support from the U.S., so became far from a collective security pact. On the other hand, the U.S. changed its policy and entered into bilateral security pacts with East Asian countries because it felt threatened by China. Furthermore, because it had become impossible for France to win in the First Indochina War in 1954, the U.S. asked other countries, including Japan, South Korea, and Taiwan, to cooperate in Indochina and tried to integrate this military cooperation into the collective security pacts. Eventually, the U.S. failed to develop a security pact among Japan, South Korea, and Taiwan due to worsening Japan-Korea relations. Consequently, the bilateral security pacts have been maintained and not been changed into a collective security pact in Northeast Asia. The proposals to make the collective security pacts by both 'Outpost Countries'in East Asia and U.S. had failed, but when the U.S. promoted close military relations among non-communist countries, the 'outpost countries'cooperated with them. APACL played a part in their cooperation.
著者
岡本 健
巻号頁・発行日
2009-12-12

情報通信技術の社会への普及が進んだことで,旅行者が自由に情報を得て旅行ができるようになったと言われている.実際,旅行の情報源としてインターネットを用いる人口が増加していることが報告されている.また,量的な増加だけではなく,インターネットの検索サイトを用いて,情報を取捨選択している旅行者が若者層に多くなっていることも報告されている.こうした状況で,旅行行動の研究では,旅行に出かける前の情報探索段階でのインターネットの利用関する研究は蓄積があるものの,旅行の前後を含めて,旅行者がインターネットをどのように用いており,その利用にどのような特徴があるのかに関しては,体系的にまとめられていない.本稿では,アニメを動機とした旅行行動で、インターネットの影響が大きいとされる「アニメ聖地巡礼」と,ドラマを動機とした旅行行動である「大河ドラマ観光」を比較・検討することで,情報通信機器が一連の旅行行動の中でどのように用いられているかを整理し,それはどういった特徴をもつのかを明らかにする.そうすることで,情報社会における旅行行動研究の枠組みを示し,今後の研究課題を明らかにする.
著者
樋口 直宏
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (教育学) 学位論文・平成24年7月25日授与 (乙第2610号)
著者
沖田 知子 オキタ トモコ
出版者
大阪大学大学院言語文化研究科
雑誌
言語文化研究 (ISSN:03874480)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.45-64, 2010-03

【言語文化専攻編】
著者
乾 順子 イヌイ ジュンコ Inui Junko
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.39-54, 2013-03-31

本稿の目的は、既婚女性の人生満足度に着目し、過去における性別分業意識と働き方が、既婚女性の中高年期の人生満足度にどのような影響を与えるかを明らかにすることである。一時点における生活満足度と従業上の地位・性別役割分業意識との関連については、意識と働き方が一致しているもの、つまり分業賛成と無職、分業反対とフルタイムであるものの生活満足度が高いという分析結果がある。しかし、パートという分業意識と一致しているかどうかが不明確な就業形態については、その関連が明らかにされてはいなかった。また、人生後期の人生を振り返っての満足感と、変更不可能な過去の意識と働き方の関連についての分析もこれまでなされてこなかった。これらは、日本における既婚女性のパート就業率の高さやその多様さを鑑みても、今後の女性就業や雇用政策、家族政策などを考える上でも重要な課題であると考えられる。そこで本稿では、1982 年と 2006 年の2 時点で実施されたパネル調査データを使用し、過去の分業意識と働き方がその後の中高年期の人生満足度に対して影響を与えるかについての分析を行った。その結果、過去の分業意識をコントロールしても、「パート型」のものの人生満足度が最も低かった。さらに、分業意識と職業経歴の交互作用を検討したところ、平等志向の強い「パート型」のものにおいてさらに人生満足度が低くなることが明らかとなった。