著者
林 里奈 加藤 昇平
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.832-839, 2018-12-15 (Released:2018-12-15)
参考文献数
22

近年,ロボットとのふれあいを通して精神的な癒しを与えるロボット・セラピーが注目を集めている.ロボット・セラピーに使用されるセラピーロボットは,簡易な音声反応をするものが多い.本稿では,そのようなロボットに対し同調傾向の考え方を導入し,コミュニケーション活性時に最も強く同調する基本周波数を直前のユーザの発話音声の基本周波数と同調させることによる心理的・生理的ストレス緩和作用への影響を,評価実験を通して検証した.その結果,応答音声の基本周波数をユーザの発話音声の基本周波数に同調させた方が,得られる疲労の緩和と活気の向上作用,α波の含有率増進作用が有意に高いことを確認した.逆に,応答音声の基本周波数をユーザの発話音声の基本周波数とは無関係にランダムに調整させた方が,混乱の緩和作用が有意に低いことを確認した.したがって,応答音声の基本周波数は,ランダムに調整するのではなく,発話音声の基本周波数に同調するよう調整した方が,心理的・生理的ストレス緩和作用を引き出すことができると言える.
著者
林 里奈 加藤 昇平
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.75-81, 2017 (Released:2017-02-24)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

Interest in pet robots and virtual pets is currently increasing along with the pet boom. Pet robots and virtual pets have been found to be therapeutic. However, what characteristics of pet robots and virtual pets are therapeutically effective have yet to be clarified. In this study, we carried out experiments to compare the therapeutic effects between pet robots and virtual pets in terms of physical embodiment from psychological and physiological aspects. Psychological evaluation results showed that the reduction in the tension score and increase in the vigor score with pet robots were significantly higher than those with virtual pets. Physiological evaluation results showed that the increase in the percentage of alpha waves with pet robots was significantly higher than that with virtual pets. These results suggest that physical interaction is an element for reducing mental strain and improving vitality.
著者
中村 俊夫 齋藤 努 山田 哲也 南 雅代
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

石英管内で金属鉄を加熱、酸化して鉄中の炭素を回収する方法を検討した。石英管内に1gの鉄試料と4gの助燃剤(CuO)を封入して、1000℃で15時間加熱した場合、炭素収率は90%程度であり、外来炭素の汚染無しに14C年代測定に必要な炭素量が回収できる。この方法を用いて、日本刀から分取した金属鉄中の炭素を抽出し、年代測定を行い、日本刀の公式な鑑定年代と比較した。公式鑑定は、測定結果とほぼ一致した。出所が不明な日本刀では古すぎる14C年代が得られ、14C年代を基に出所来歴の詳細を検討する必要がある。サビ鉄でも、予想される14C年代が得られたことから、サビ鉄の14C年代測定の実用化が可能になる。

17 0 0 0 OA 維新日乗纂輯

著者
岩崎英重 編
出版者
日本史籍協会
巻号頁・発行日
vol.第1 白石正一郎日記.黒沢覚蔵覚書.遣, 1926
著者
石黒 直隆 猪島 康雄 松井 章 本郷 一美 佐々木 基樹
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

絶滅した日本のオオカミ(エゾオオカミとニホンオオカミ)の分類学上の位置をミトコンドリア(mt)DNAのゲノム解析により明らかにし、両オオカミの起源と系譜を海外の考古資料から調査した。エゾオオカミは、大陸のオオカミと遺伝的に近く、ニホンオオカミとは大きく異なっていた。ロシアおよび中国の古代サンプル143検体を解析したが、ニホンオオカミのmtDNA配列に近い検体は検出できなかった。また、モンゴルのオオカミ8検体および国内の現生犬426検体を解析し、ニホンオオカミのmtDNAの残存を調査したが見つからなかった。これらの結果は、ニホンオオカミはオオカミ集団の中でもユニークな系統でることを示している。
著者
仁科 国之 三船 恒裕
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
pp.2013, (Released:2021-06-15)
参考文献数
18

The current study explored whether the social exchange heuristic (SEH) hypothesis would hold for trust behavior. In previous studies, using prisoner’s dilemma games (PDG), the cooperation rate in the partner-specified condition, in which the interaction partner was determined before decision-making, was higher than in the partner-unspecified condition, in which the partner was not determined, supporting the SEH hypothesis. However, the SEH hypothesis has rarely been tested in other economic games, and it remained unclear whether this would also explain other behaviors. Thus, we tested the SEH hypothesis using a trust game (TG) and a faith game (FG). We manipulated the partner-specificity in an online experiment and found that trust behavior was not influenced by the manipulation either in the TG or the FG. In contrast, a similar experiment with a PDG revealed that cooperation was higher in the partner-specified condition than in the partner-unspecified condition, replicating previous findings. These results suggest that the SEH may not be activated in the TG and FG.
著者
西山 暁
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.162-165, 2017-12-20 (Released:2018-02-05)
参考文献数
3

われわれは,EBM(evidence based medicine)を患者に提供するために,良質なエビデンス(臨床研究の結果)を集めることが必要である。特にシステマティックレビュー(SR)やRCT(randomized controlled trial)が重要である。SRではすでに各研究のアウトカムについて評価されているが,RCTについては改めて効果推定値の確実性を評価する必要がある。“risk of bias”はその際に必要なポイントの一つである。
著者
齋藤 衛郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.219-231, 2008 (Released:2009-01-27)
参考文献数
90

ドコサヘキサエン酸(DHA)に代表されるn-3系高度不飽和脂肪酸は,特有な生理効果が明らかとなっているが,化学構造上きわめて酸化しやすく,多量摂取した際の生体内での過酸化が懸念される。われわれは,「健常な生体内では,高度不飽和脂肪酸に対する巧妙な過酸化脂質の生成抑制と解毒・排泄機序が存在するために過酸化脂質の蓄積が抑制される」との仮説を立て,最も不飽和度の高いDHAに着目し,ラットをモデル動物として研究を開始した。その結果,組織過酸化脂質(LPO)はDHA投与量依存的に増加するが一定レベル以上の投与ではプラトーになる,過酸化されやすさの指標Peroxidizability Indexから計算されるほどには増加しない,多量投与でもリポフシン(lipofuscin)のような脂質過酸化終末産物の生成がみられない,かつ,組織細胞傷害も認められない,こと等を観察した。ここに本仮説の妥当性を確信し,その解明を進めるに至った。まず,抗酸化機序としては,1)抗酸化剤としてのビタミンE(VE),アスコルビン酸(AsA),グルタチオン(GSH)の必須性,2)DHA投与によるAsAとGSHの生成亢進,これに伴うVEの抗酸化性増加,3)組織ごとに異なるDHAの取り込みと,それに伴う細胞膜脂質不飽和度の変化の重要性,4)組織ごとに異なるリン脂質種への取り込みの変化とフォスファチジルエタノールアミンへの優先的取り込みに伴う酸化抵抗性増加の可能性,5)DHA多量摂取では,一過性に組織中性脂肪への取り込み増加とそれによる酸化抵抗性の上昇,等を明らかにした。一方で,脂質過酸化終末産物の生成や細胞傷害等の有害作用の惹起には至らないことから,LPOの蓄積抑制と解毒・排泄機序の解明を試みた結果,1)脂質過酸化分解生成物である反応性アルデヒド類と高分子化合物とのシッフ塩基形成抑制と終末産物リポフシンの生成抑制,2)有害なアルデヒド類のグルタチオンとの抱合体化と,その代謝物としてのメルカプツール酸の尿中への排泄亢進を見出した。抱合体の排泄に至る過程では,肝臓では膜輸送タンパク質としてのABCトランスポーターファミリーの一つ,MRP3(ABCC3)の介在を初めて見出した。また,アルデヒド類のヒスチジン付加体の尿中排泄亢進,3)アルデヒドの代謝に関わるアルデヒドデヒドロゲナーゼやアルドースレダクターゼの活性亢進,等が明らかになった。
出版者
BOC出版部

なぜ私は「憂慮する朝鮮人・アピール」への賛同を呼びかけるのか 徐京植「自由主義史観研究会」「新しい歴史教科書をつくる会」等の動きを憂慮する在日朝鮮人のアピール日本の国会議員、学者達および極右勢力の「慰安婦」内容削除活動に対する韓国市民からの抗議右派勢力の教科書攻撃に関する略年表<緊急アピール>中学教科書から「従軍慰安婦」記述の削除を要求する 自由主義史観研究会「新しい歴史教科書をつくる会」創設にあたっての声明月刊「SAPIO」に対する福岡県市民団体の申し入れと「SAPIO」の回答インターネットで流された「教科書是正デモ」お知らせ日本教育委員会熊本支部 藤岡信勝氏講演会に対する市民の抗議運動女性団体による「新しい歴史教科書をつくる会」への抗議書沖縄から <基地・軍隊を許さない行動する女たちの会>総会/沖縄県、米国へ女性要請団派遣 ほか阪神から いま、神戸は、いま、私は/「被災者に公的援助を」市民=議員立法修正案発表集会から 「自画自賛史観」を批判する/三重大学公開シンポジウム「女性政策と草の根の女性活動」
著者
石上 文正
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-26, 2009-03-31

「ある程度閉鎖性をもった、人に安らぎを与えてくれる物理的・意味論的空間」を「窪地」と定義し、宮崎駿が製作した8本のアニメ映画にみられる「窪地」の意味を考察し、その結果、つぎの10の意味を析出した。1<子宮>、2<生命(死と再生、治癒・治療)>、3<聖域>、4<シェルター>、5<休息>、6<暖かさ>、7<ふるさと・基地>、8<一体化>、9<自己回帰>、10<秘密>。さらにこれらの意味を考察して、宮崎アニメの「窪地」は、水と樹木と深く関わっていることを明らかにした。「窪地」と水と樹木は、ユング心理学では、母親元型の形態であるとされている。宮崎は、それらのアニメ映画で、直接的には「母」を描いていないが、象徴的に描いていると考えられる。この"矛盾"にこそ、宮崎アニメの本質があるのかもしれない。そして、その「母なる」風景とそこに点在する「窪地」は、私たちの存在とも深く関わっている。
著者
田中 聡子
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大学社会学部紀要 (ISSN:0919116X)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.15-27, 2007

ホームレスや母子世帯,単身高齢者の貧困に加え,近年の雇用形態の変化,ワーキング・プアーの増加などは現代社会の構造的な中からの貧困である。本稿では日本社会の中で起こっている現代的な貧困を考察するために,イギリスの貧困概念の動向を絶対的貧困概念と相対的貧困概念の視点から整理する。また,近年の貧困アプローチの基準は所得だけではないことからより広い概念としての社会的排除概念の整理を行う。現代の深刻な問題は就労しても十分な生活費を得られない働く貧困層や高齢者の年金水準の低さである。こうした現代日本の貧困の再発見について,貧困概念を用いて考察する。
出版者
内務省地理局
巻号頁・発行日
vol.巻之6 山川,巻之7 山川,巻之8 芸文,巻之9 豊島郡之1,巻之10 豊島郡之2, 1884