著者
薬師寺 浩之
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.197-213, 2017

本稿では、カンボジア・シェムリアップ市における孤児院で行われている日本人が参加するボランティアツアーを事例として、孤児院ボランティアツアーにおける演出とパフォーマンスについて考察を試みる。孤児院ボランティアツアーとは、ツアー参加者がボランティアという行為を通して孤児の貧困や不幸という「ダークネス」にまなざしを向け、さらに自身のリアリティを充足する、という一連の行為である。本来なら福祉施設の一形態である孤児院は観光資源の対極に位置付けられるべきものであるが、市場化・観光資源化されて観光者に開放されている孤児院も見られる。ボランティアツアーを受け入れている孤児院では、ツアー参加者がリアリティを充足したり自分の存在意義を再確認したりできるように、様々な演出がツアー催行業者や孤児院運営者によって行われ、さらにツアー催行業者や孤児院運営者の指示のもと孤児はパフォーマンスをしている。さらにツアー参加者自身も孤児院でのボランティア活動中、利他的・博愛的なボランティア活動実践者として相応しい振る舞いをするように自らを演出している。
著者
鈴木 里奈
出版者
京都
雑誌
同志社女子大学大学院文学研究科紀要 (ISSN:18849296)
巻号頁・発行日
no.11, pp.27-46, 2011-03

Valperga : or, The Life and Adventures of Castruccio, Prince of Lucca (1823) は Mary Shelly (1797-1851) が歴史を題材にした最初の小説である。この物語の中で Mary は傑出した2人のヒロインを創りだした。フィレンツェの女性指導者 Euthanasia とフェラーラの予言者 Beatrice である。タイトルにある Castruccio とは14世紀イタリアの実在の君主 Castruccio Castracani (1281-1328) であり、英国ではルネサンス期の政治思想家 Niccolo Machiavelli (1469-1527) による伝記を通してよく知られた人物であった。それに対し、Eythanasia と Beatrice は架空の存在であり、Valperga とはこの2人を象徴する架空の城である。タイトルに見られる虚構と史実の並置はこの物語の特徴であり、それは同時にヒロインたちの重要性を示すものでもある。Mary の父 William Godwin (1756-1836) と夫 Percy Bysshe Shelly (1792-1822) はヒロインたちの存在をもって Valperga が彼女の前作 (Frankenstein (1818) よりも優れた小説であると認めている。Godwin や Shelley に加え、後年の多くの批評者の感心を特に呼び起こしたのは Beatrice である。本稿ではヒロイン Beatrice に焦点を当て、このヒロインが歴史小説の新しい局面を切り開くための Mary の試みの産物であることを確認し、Valperga の歴史小説としての特異性とその価値について考察する。
著者
堀口 恵子 神戸 美恵子 永井 由美子 阿部 雅子 高橋 雅子 渡邊 静 綾部 園子
出版者
日本調理科学会
雑誌
大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017-08-31

【目的】日本調理科学会平成24~26年度特別研究で、群馬県各地域の家庭料理について、次世代へ伝え継ぐ資料として聞き書き調査を行い報告した。その後の追加調査や刊行資料調査も含め、群馬県の家庭料理のおやつの特徴について報告する。<br /><br />【方法】平成 25 年 10 月~27 年 2 月に群馬県内の8地域において,各地域 2 名以上(60 歳~80 歳代,居住年数 40 年以上)の調査対象者に対して面接調査を行った。面接は特別研究の方法に従い,調査の同意を得た上で,調査票に沿って対話したものを記録した。その後、嬬恋村において追加調査を行った。<br />【結果】群馬県は,冬期の日照時間が長く、乾燥した気候で、水はけのよい土地であるため、小麦の生産に適し、平坦地では米と麦の二毛作が行われている。小麦粉はおっきりこみやうどんなど主食として食するほか、いろいろなおやつが作られている。中でもまんじゅう類は種類が多く、炭酸まんじゅう(ふかしまんじゅう)、ゆでまんじゅう、すまんじゅう、そばまんじゅう、焼きまんじゅうなどがある。焼きまんじゅうは、すまんじゅうを竹串に刺し、たれ(赤みそ、砂糖、水)をつけて香ばしく焼いたもので、祭りや縁日の屋台で売られ、群馬のソウルフードともいえるおやつである。また小麦粉に野菜などを入れた焼いた焼きもち(ふちたたかっしゃい、もろこしおべった)や、たらし焼、じり焼き、甘ねじなどもある。米粉を使ったものでは、あんぴんもち、草だんご、きびもち、すすり団子などのもちや団子も喜ばれた。また、いも類のおやつでは、さつまいもを蒸して干した乾燥いもや油焼き、里芋をゆでて串にさしたれをつけたいも串、じゃがいもでは、いも餅やいも串などがある。様々なおやつの工夫がみられる。
著者
衆議院調査局
出版者
衆議院
巻号頁・発行日
no.(5), 2008-12

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1922年05月15日, 1922-05-15
著者
萩原 悟一 川原 伊織里 木原 沙織
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.3_239-3_246, 2020 (Released:2020-07-24)
参考文献数
30
被引用文献数
1

The purpose of this study was to clarify the relationship between cognitive skill and concentration, based on brain waves measured before and after eSports activity. Participants were twenty male collegiate students belonging to an eSports club (Mean Age ± 21.40, SD = 1.65). At first, participants were put on a simple electroencephalograph (EEG) and their psychological state at rest was measured for 2 minutes. After that, Stroop Color Word Test (SCWT) was conducted to measure their cognitive skill (execution function) before the eSports activity. In addition, after the eSports activity, SCWT was conducted again. In this study, the HAKARO series Stroop test (Digital Standard Co., Ltd.) was used to measure cognitive skill (execution function). To examine the degree of concentration during eSports activity, this study adopted a simple band-type EEG that only measures the Fp1 point as defined by the international 10-20 systems. In addition, for analyzing concentration, Sports KANSEI, which is a software for estimating the degree of concentration from the combination of raw EEG data, was used. As a result, this study indicated that cognitive skill (executive function) might be improved before and after eSports activity, and concentration might appear during eSports play. However, research on eSports is still in its accumulation stage in Japan, so further investigation might be necessary.
著者
名越 健郎
出版者
公立大学法人 国際教養大学 アジア地域研究連携機構
雑誌
国際教養大学 アジア地域研究連携機構研究紀要 (ISSN:21895554)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.13-23, 2020

筆者はアジア地域研究連携機構紀要の第1 号、第3 号、第6 号、第8 号で、秋田犬の世界的人気や秋田犬を観光戦略に活用する県内の取り組み、今後の課題等について論考を執筆した。秋田県と大館市は秋田犬を「県観光のキラー・コンテンツ」(佐竹敬久知事)と位置づけて重視しており、2019 年5 月、JR大館駅前に観光交流施設「秋田犬の里」がオープンし、県北の新しい観光名所となった。初年度の評価は上々だが、リピーターを確保し、秋田犬の聖地とするにはなお課題がありそうだ。秋田犬の国際的人気とは裏腹に、大館市の秋田犬保存会本部に登録する犬籍登録が海外で減少していることも気になる。本稿では、「秋田犬の里」プロジェクトを中心に、近年の秋田犬人気や経済効果、県・市の取り組みを分析する。