著者
寺田 英子
出版者
日本交通学会
雑誌
交通学研究 (ISSN:03873137)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.109-118, 2007 (Released:2019-05-27)
参考文献数
11

本研究では、高齢者と障害者を対象とした乗合バスサービスの福祉割引制度について、中国地方の6つの公営バス等で行なったインタビュー調査をもとに、一般会計から特別会計への資金の繰り入れ、および福祉政策としてのバスサービスの位置付けについて考察する。運賃割引によるミニマムの交通サービス供給という点から、自治体内の福祉関係部署と交通局の役割分担に関する情報を整理し、地方都市における高齢者と障害者に対する運賃助成額、および公営バスの経営メリットとされてきた一般行政部門との連携した政策が実施できていないことを明らかにした。
著者
伊藤 亜紗
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-12, 2011-06-30 (Released:2017-05-22)

The aim of this paper is to investigate Paul Valery's criticism of description in literature and to clarify his ideal of poetry. Description is a technique to represent an object visually. Though an author chooses arbitrarily what he/she describes, he/she expects his/her reader to abstain the self and to obey him/her. Valery criticized this passiveness of reader and dominance of author. For Valery both reader and author have productive roles and they are completely separated two systems just like a producer and a consumer in a market economy. Through an act of reading, a reader finds abilities of his/her body which were unknown to himself/herself. This focusing on a reader's body is an ideal effect of poetry for Valery. While description involves a false reality, a pure poetry explores a reality of body. A work is not a messenger of feelings or thoughts of an author but a machine to make a reader's body act. A comparison with Breton's solution will make points of Valery's discussion more clear.
著者
佐々木 明
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.139-152, 1997-02

This paper, by reading 160 Japanese articles appeared in journals published in the 1950-1965 period, rediscovers that the Third World War strategy shift from the total war (Log Pull) to the nuclear warfare (New Look) in 1953 byproduced the third world postwar depression and theconcentratedi ndependences of colonies.T heU nitedS tates- Kingdom's massive import of materials for the strategic reserves and for public and privates tockse xpectingt heW arp rolonged,o re venf ortitiedt heS econd World War economy prosperity in the developing countries and areas. But tinancial and economic disturbances caused by the total war preparation forced the United States-Kingdom govermentst oa bandont hee xpensive strategy.C ontroledp ublicr eserve venditiona nd destructive private stock dumping in midst of the third world production expansion immediately generated the third world postwar depression which in unemployment colonies nourished uprisings which often developed into the independence movements.
著者
問芝 志保
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-15, 2016-06-11 (Released:2018-07-20)
参考文献数
36

本稿は近代化や都市化という大きな文脈のなかで墓制の変容を捉える試みである。明治初年における神葬祭奨励策は早々に終息し、明治10年代以降、政府の主眼は都市における近代的な墓地整備へと切り替わった。この近代墓制は都市社会の現場でいかに具体化したのか。本研究は近代化の先進地域といえる明治期札幌を事例に、行政資料や新聞記事等に基づき墓制の成立と展開を明らかにする。開拓初期札幌は住民の流動性が高く、墓地は荒れ多くの無縁墓が生み出されていた。政府はこれを問題視し、定住促進のため共葬墓地を建設した。明治中期になり移住民の生活が向上すると、中流以上の人々が衛生的で西洋的な墓地を積極的に受容し、無縁墓の撤去など墓地管理への意識を高め、自らの成功を顕示するために高さ数mにもなる巨大な墓を建てた。こうして、近代化をあるべき姿として受け取った人々が、先祖祭祀の中核としての近代墓制の定着・普及に寄与したと考えられる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.403, pp.50-51, 2006-07-14

大日コンサルタント(本社,岐阜市)で環境・水工部の係長を務める山口政徳さん(33歳)は,2001年に環境計量士(騒音・振動関係)の資格を取得した。 山口さんは2002年,それまで所属していた調査部から現在の環境・水工部に異動。
著者
原 武雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.292, pp.94-99, 2009-01

仮面ライダー、ウルトラマン、月光仮面、タイガーマスク……。ブラウン管の中で悪と戦う"昭和のヒーロー"には、多くの人があこがれたはず。子供だけでなく、大人もその名前を挙げることができた。しかし、核家族化が進み、一家団らんでお茶の間を囲む機会が減った今、老若男女誰もが知る昔ながらのヒーローは絶滅の危機にある。
著者
吉田 忠生
雑誌
藻類 (ISSN:00381578)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.38-39, 2001-03-10
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
岩崎 正吾
出版者
Japanese Educational Research Association
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.215-226,317_2, 2002

ペレストロイカ以降、教育分野へのグラースノスチの進展とともに、従来閉鎖されてきた多くの情報が開示されるようになった。マカーレンコについても、これまで知られなかった情報が明らかにされつつあり、活発な議論が展開されている。当論文は、これまで日本において、マカーレンコの教育実践を映画化したものとして紹介されてきた『人生案内』と『教育詩』及びマカーレンコとの関係について、最近明らかになってきた諸資料に基づき解明することを課題としている。これまで映画『人生案内』は、ア・エス・マカーレンコの教育実践、とりわけ、彼の著『教育詩』をモデルとして撮影されたものと見なされてきた。映画『人生案内』は、1931年にソビエト最初のトーキー映画として制作され、第1回ベネチア国際映画祭の監督賞を受賞した。この映画は、興行的にも成功し、1932年には日本でも上映された。この映画は、1920年代の法律違反児童や浮浪児の再教育をテーマとしていたこと、また、エフ・ジェルジンスキーを記念して制作されたことから、ア・エス・マカーレンコの教育実践と同一視された。映画では、法律違反児童や浮浪児がコムーナでの労働教育を通して再生されていく過程が生き生きと描かれており、この点でも、ア・エス・マカーレンコの『教育詩』における教育実践と二重写しとなった。この映画が、ア・エス・マカーレンコの教育実践と同一視された別の理由は、『教育詩』が英語やドイツ語で『人生案内』と翻訳されて出版されたことにあった。とりわけ、イギリスでは、『教育詩』の販売部数を増やすために、興行的に成功した映画『人生案内』の表題をつけて『教育詩』が出版された。また、ヘルマン・ノールをはじめとするドイツのマカーレンコ研究者達も、『人生案内』を『教育詩』と同一視していた。ソビエトだけでなく、ドイツを経由してマカーレンコ情報を入手していた日本では、これらの理由が重なり、『人生案内』と『教育詩』とが同一視された。『人生案内』と『教育詩』とが同一視されたもう一つの重要な理由は、映画のモデルとされたこのコムーナの創設者達が、スターリン体制下で粛清され、このコムーナについての情報が隠蔽されたことにあった。このコムーナの創設には、ゲ・ゲ・ヤゴーダとエム・ア・ポグレビンスキーが重要な役割を果たした。このコムーナはゲ・ゲ・ヤゴーダを記念してつくられたものであり、彼の下でエム・ア・ポグレビンスキーが総括責任者となり、エフ・ゲ・メリホフが所長となって、このコムーナが設置され、運営された。コムーナの正式名称は、「内務人民委員部付設ゲ・ゲ・ヤゴーダ記念ボルシェフ労働コムーナ」である。ボルシェフ・コムーナは、ポグレビンスキーの書いた2つの本、即ち『合同国家政治安部労働コムーナ』(1928年)と『人々の工場』(1929年)により、世間に知られるようになる。また、このコムーナをいっそう有名にしたは、エム・ゴーリキー編集のルポタージュ集『ボルシェフ人』(1936年)であった。彼はこのルポタージュ集の中で、このコムーナの活動と指導者としてのポグレビンスキーを高く評価した。しかしながら、スターリン体制の下で、1937年4月3日、ヤゴーダはゴーリキー等の毒殺嫌疑で逮捕され、1938年3月に銃殺さた。かっての上司が逮捕されたことを聞いたポグレビンスキーは、1937年4月4日に自殺する。このような一連の事件の後、雑誌『赤い処女地』(1937年7月、第7号)に、編集部による『ボルシェフ人』の書評が掲載された。この書評は、ボルシェフ・コムーナに関わるヤゴーダの事業とその活動を厳しく弾劾するものであった。これ以後、『ボルシェフ人』だけでなく、ポグレビンスキーの本も書店や図書館から撤収された。マカーレンコも、それらについて言及することを用心した。また、マカーレンコがかつてそれらについて発言した書評や記事は、彼の死後、編集者達によって削除され、出版された。こうして、マカーレンコとボルシェフ・コムーナの関わりは、後生のマカーレンコ研究家達の眼から隠された。隠された書評や記事から判ることは、マカーレンコがボルシェフ・コムーナについて、大きな関心を抱いていたことである。彼は、書物からだけでなく、実際にこのコムーナを訪問して、その活動の意義や長所について学ぶとともに、その短所や自分の教育方法との相違についても研究していた。マカーレンコのゴーリキー・コローニヤやジェルジンスキー・コムーナの教育実践には、子どもへの信頼、労働教育を通した人格形成、集団の組織方法など、少なからずその影響を認めることができる。1932年に上映された映画『人生案内』は、1970年代にもリバイバル上映された。当時の浮浪児の状況や彼らの労働を通しての再教育の過程が見事に形象化されており、多くの聴衆に大きな感動を与えた。
著者
丸井 博
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.700-712, 1969

石炭不況はますます深刻の度合いを深め,大手炭鉱会社といえども軒並み赤字経営で,巨額の国家資金の援助の支えでようやく息をついている状況である.現状では石炭の採掘・販売のみでは,経営の黒字は期待できないeこのことは常磐炭田でも例外ではない.低品位の一般炭を主体にしているだけに,むしろ事態は一層深刻化しているといえる.<br> 常磐炭田において独占的な生産比重をもつ常磐炭鉱(株)も,繁栄期の7割にあたる約7000人の従業員で,繁栄期を上廻る年間約260万の出炭量をあげているものの,経営は久しく赤字で無配を続けている.そこで他の大手炭鉱会社にみられるように,常磐炭鉱においても経営の多角化,すなわち他部門を兼営することによって石炭部門の赤字を埋め,総合的には経営を黒字にもっていこうとする傾向を強く押し出さざるをえなくなっている.本研究はこの実態を明らかにし,常磐炭田の地域性とどのように関連しそいるかを解明しようとするものである.<br> 常磐炭鉱は以前からかなりの系列会社をもっていたが,近年はとくにこの拡充に力を入れているmこれらの系列会社は,残炭鉱区の処理,石炭の輸送・販売,倉庫,機械製作,火力発電,石炭製品,食品,観光などの分野に分れているが,炭鉱経営上から派生してきたものが多い.そして,これらの系列会社の性格を分析していくと,石炭生産にともなう独特な系列会社発生のメカニズムが明らかにされるe同時にエネルギー革命に直面した炭鉱会社が,系列会社をクッションにして,これをどのように受け止めようとしているかがわかる.
著者
齋藤 岳人 樋口 大樹 井上 和哉 小林 哲生
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
2022

<p>Perimetric complexity, which is a simple metric of character (letter) complexity defined by an image's area and peripheral length, has been widely used, especially in alphabetic orthographies. We examined whether perimetric complexity is also a valid index for Japanese <i>kana</i> characters (<i>hiragana and katakana</i>) by comparing it with subjective complexity. We obtained evaluations of subjective complexities from Japanese and English speakers and calculated the mean of each character for each type of speaker for character-based analyses. The analyses revealed three main findings: (a) Perimetric complexity was highly correlated with subjective complexity (<i>r</i>s > .85), and its correlation was higher than that between the subjective complexity and other measures for character complexity (i.e., stroke count). (b) The perimetric complexities were highly correlated across different typefaces, except for significantly different typefaces. (c) Subjective complexity was highly correlated between Japanese and English speakers. These findings suggest that perimetric complexity can also be used as an index for Japanese <i>kana</i> character complexity.</p>
著者
鮫島 弘光 坂田 宏志
出版者
兵庫県森林動物研究センター
巻号頁・発行日
no.1, pp.66-77, 2009 (Released:2017-11-16)

・アライグマの原産地はメキシコ、アメリカ合衆国、カナダである。・原産地では、アライグマは重要な狩猟獣であり、アメリカだけで毎年数百万頭が捕獲されている。・生活被害や農業被害をもたらす有害獣や人畜共通感染症のホストとしても、捕獲されている。・アライグマは、鳥類やウミガメの集団営巣地で強い食害を与えているために、捕獲されている事例もある。・外来哺乳類による農業被害、生態系被害は、全世界で発生しており、根絶や個体数密度の抑制の対策が数多く行われている。・成功した根絶プロジェクトとして、大規模なものはイギリスにおけるマスクラット、ヌートリアの根絶があるが、多くは島嶼や小面積の保護区で行われたものである。・アライグマは、ヨーロッパ、中米にも移入されている。狩猟対象となっている一方、一部は農業被害や感染症の予防のために捕獲されている。・根絶が理想的な管理方法であるが、実際は実現可能性、費用対効果の観点から個体数密度の抑制を目標としている管理プログラムもある。・日本への移入は1960年代に始まり、近年急激に分布を拡大している。・分布の拡大とともに甚大な農業被害や生活被害を及ぼしている。また捕食・競争による生態系への影響も懸念されている。・このため、各都道府県、市町村で対策が進められはじめている。
著者
菱沼 典子 石川 道子 高橋 恵子 松本 直子 鈴木 久美 内田 千佳子 金澤 淳子 吉川 菜穂子 川越 博美
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.76-82, 2007-06
被引用文献数
1 1

目的:大学内に市民が立ち寄り活用できる健康情報サービススポットが開設されて3年目になる。この健康情報サービススポットの広報活動が,利用者の増加に有用であったかどうかを検討し,今後の広報活動への示唆を得ることを目的に本研究を行った。方法:調査対象期間は2004年4月〜2006年12月であり,健康情報サービススポットの記録と,研究者間での振り返りからデータを収集した。広報活動を時間軸に沿って整理し,来訪者数,リピーター,健康相談者数,ならびに当該地域住民,当該自治体,看護職・司書等からの協力や連携等の問い合わせ件数の推移を調べた。結果:3年間の広報活動の内容は<知ってもらう宣伝>と<来てもらう催事>に大別され,<近所付き合い>から始め<町のキーパーソンとの連携>によって推進されていた。<知ってもらう宣伝>は,ポスターやチラシ,案内板や看板,地域の行事への参加,ホームページの活用で,イメージキャラクターを用い,サービス内容を選択して宣伝内容としていた。<来てもらう催事>はハーブティや抹茶のサービス,ランチタイムミニ健康講座・ミニコンサートの定期的催しであった。健康情報サービススポットの最も重要な活動である健康相談の月平均利用者は,2004年31.7名から2006年88.4名と増加し,2005年の相談者の12%がリピーターであった。宣伝媒体を受け入れている店舗数は2006年現在,ポスター掲示が31件,カードの設置が10件で,自治体や自治体内の諸機関からの連携依頼や専門職の見学もあった。考察:これらの結果から,健康情報サービススポットの利用者が増え,その存在が広く知られてきていることが確認でき,広報活動は有用であったと考える。大学と地域との連携や,広報活動の中での健康情報サービスの実施について考察した。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1026, pp.44-46, 2000-01-31

1999年11月10日に全米公開された映画「Poke´mon The First Movie(邦題:ポケットモンスター ミュウツーの逆襲)」は、米国で公開された日本映画はもちろん、米国アニメ映画の中でも史上最高となる初日興行収入1010万ドル(約10.6億円)を稼ぎ、ポケットモンスター(ポケモン)の米国での人気の凄まじさを改めて思い知らせた。そのあまりの人気ぶりに、米「タイム」誌アジア版…