著者
松尾 美好
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.3-11, 1999-05-01 (Released:2017-07-05)
参考文献数
31
著者
種村 剛
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.39-50, 2020-04

新型コロナウイルス感染症の拡大をうけ,各国は感染症を抑制する手段として,ICT技術を用いて個人の行動を追跡する活動を行なっている.その方法の一つに,スマートフォンの近距離無線通信技術を用いて濃厚接触者を特定する,コンタクト・トレーシングがある.日本政府は2020年5月の段階で,コンタクト・トレーシングアプリの実用化を検討している.本稿は,コンタクト・トレーシングの概要を紹介するとともに,当該技術の社会実装に関する対話の場を創る際の論点を整理することを目的とする.一般に監視についてはプライバシーの侵害が課題になる一方で,コンタクト・トレーシングは「個人のプライバシーに配慮された監視手法」であることを確認する.しかし,それでもなお当該技術の社会実装の際にプライバシー侵害の可能性について検討する必要があることを指摘する.社会実装におけるプライバシー以外の論点として,コンタクト・トレーシングアプリを使いたくないが使わざるを得なくなることや,一度導入された技術の恒常化を挙げる.そして,当該技術の社会実装の対話の場において,科学技術コミュニケーターは,技術を用いて管理される側にある生活者の立場を代弁することが求められることを述べる.
著者
石井 芳樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.2728-2734, 2014-11-10 (Released:2015-11-10)
参考文献数
9

重症感染症の病態では敗血症から多臓器障害を来たして予後不良であるため,原疾患である感染症に対する適切な抗菌薬の投与以外に,循環・呼吸管理をはじめ血液浄化療法,DIC対策,栄養療法など集学的な治療により全身的管理を行うことが救命するうえで重要となる.
著者
西浦 郁絵 松浦 由紀子 田嶋 憲子 平田 雅子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
no.22, pp.49-54, 2003-03
被引用文献数
1

消毒は感染防止に不可欠であり,日常の臨床場面においても様々な場面で消毒薬が使用されている。消毒薬にはそれぞれ特性があり消毒用エタノールでは,そのほとんどがアルコールであるため揮発によるアルコール濃度の低下が起こる。保管による濃度低下を明らかにする実験は最近よく見られている。しかし実際の使用場面においてアルコール濃度の変化を調べたものは見あたらなかった。そこで使用場面に焦点をあて,消毒用エタノール綿の濃度低下が経時的にどのように起こるかを実験であきらかにした。実験の結果アルコールの揮発は精製水の2〜3倍の速度で起こっており,実験条件下において容器に保管せず露出しておいた消毒用エタノール綿では,有効濃度である65.8v/v%を35分で下回ることが明らかになり,何らかの行為に伴い気流を受けることで,さらにその濃度の低下が加速されることが確認された。消毒用エタノールの有効濃度を適正に保ち使用するためにその保管のみでなく,使用時においても露出による揮発と濃度低下を認識し,適正な消毒用エタノール綿の取り扱いが必要である。
著者
小倉 嘉夫 倉恒 康一 中司 健一 長村 祥知 西田 友広 目次 謙一
出版者
大阪青山大学『大阪青山大学紀要』編集委員会
雑誌
大阪青山大学紀要 = Journal of Osaka Aoyama University (ISSN:18833543)
巻号頁・発行日
no.11, pp.19-40, 2019-03-31

In this paper, we introduce the Documents of the Yoshimi Family in the Collection of Osaka Aoyama Museum of History and Literature. The Yoshimi Family ruled Tsuwano, Iwami Province, on the Japan Sea coast, in medieval Japan. We reproduced 49 documents of the Yoshimi Family and one related document.
著者
佐野 雅己 玉井 敬一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.463-468, 2018-07-05 (Released:2019-03-12)
参考文献数
16

層流がいつ,どのようにして乱流に遷移するのかは,多くの物理学者を悩ませてきた難問である.この難問に対して最近,統計物理学から新たなメスが入れられている.パイプ流やクエット流などのシア流では,層流状態が線形安定でありながら,有限の擾乱により理論よりも遥かに低いレイノルズ数で乱流化し,時空間欠的な乱れが出現する.この層流乱流転移が有向パーコレーションと呼ばれる臨界現象である可能性が指摘され,実験やシミュレーションが盛んに行われている.本稿ではその概要について解説する.
著者
玉井 敬一 佐野 雅己
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.10-17, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
29

In this article, we review recent progress in the understanding of the transition from laminar to turbulent flow in shear flows. We describe why and how the idea of directed percolation can be applied to these transitions in different flows, and how the idea was tested by experiments and simulations.
著者
名取 琢自
出版者
京都文教大学
雑誌
人間学研究 : 京都文教大学人間学研究所紀要 = Human studies : bulletin of Institute for Cultural and Human Research, Kyoto Bunkyo University (ISSN:18843735)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.103-114, 2006

人形浄瑠璃とセルアニメに関する深層心理学的考察の端緒として、ユング心理学における「リビドーの投影」を手がかりに、人形やアニメのロボットがどのような投影を引き受けたのか考察を試みた。リビドー表現の例としてマンガの超能力表現が非定型のエネルギーから人間型に展開した作品を紹介した。人形への投影はインドネシアのワヤン・クリも参照して検討し、人形浄瑠璃とロボットアニメの特性を比較した。
著者
林 成多
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.25-35, 2016-04-01 (Released:2017-05-12)
参考文献数
47
被引用文献数
1

日本列島の昆虫相の変遷を解明するため,鮮新世以降の昆虫化石の調査を各地で行った.その結果,鮮新世〜前期更新世には絶滅種と現生種の昆虫が共存していたことが判明した.絶滅種のほとんどは,前期更新世末〜中期更新世初頭には絶滅したと考えられる.特に化石記録の豊富なネクイハムシ亜科(コウチュウ目ハムシ科)について研究を行った結果,現生種の化石記録には,鮮新世〜前期更新世まで遡る「古い現生種」と中期更新世に出現する「新しい現生種」の存在が明らかになった.絶滅種の記録も含め,ネクイハムシ相の変遷を時代ごとに区分した.現在のネクイハムシ相がほぼ完成した時期は中期更新世以降である.また,現生種の化石記録を基に,分子系統樹の時間軸を設定し,分化年代を推定した.
著者
伊藤 嘉余子 石垣 文
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.3-13, 2013-05-31 (Released:2018-07-20)
被引用文献数
1

本研究では,小規模ケアユニットの独立性と職員間の連携や情報共有に対する満足度との関連性に焦点をあてて,児童養護施設小規模ケア下における職員間の連携の実態と課題について明らかにすることを目的として,児童養護施設職員を対象に質問紙調査を実施した.分析の結果,以下の3つの必要性が示唆された.(1)職員間の情報共有内容や意識の標準化を図るための記録様式の統一,(2)職員間の良好な人間関係構築,(3)スーパービジョンを含めたユニットケア担当職員への具体的な支援体制の確立.
著者
田中 薫 大沢 貫寿 本田 博 山本 出
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.75-82, 1981-02-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
20
被引用文献数
38 53

エレクチンはアズキゾウムシの雄の交尾器を突出させて交尾を誘導するフェロモンであり, 単独では活性のない二つの区分の共力作用によるものである. 一つの区分は数種の炭化水素, 具体的には3-メチルペンタコサン, 11-メチルヘプタコサン, 3-メチルヘプタコサン, 11-メチルノナコサン, 13-メチルノナコサン, 11,15-ジメチルノナコサン, 9,13-ジメチルヘントリアコンタンおよび11,15-ジメチルトリトリアコンタンからなり, いま一つの区分は一種のジカルボン酸, (E)-3,7-ジメチル-2-オクテン-1,8-二酸からなる. この交尾フェロモンは雌からも雄からも得られるが, 雄にしか活性を呈しない.
著者
佐々木 掌子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.313-326, 2018-12-30 (Released:2018-12-27)
参考文献数
38
被引用文献数
4

本研究では,性的指向(sexual orientation)や性同一性(gender identity)をはじめとする性の諸要素の多様性を中学校の授業で教育することで,生徒の同性愛やトランスジェンダーに対する嫌悪(以下,嫌悪)が低下するのか否か対照群を設けたデザインで検討した。協力者は,授業実施群が公立中学の生徒397名,対照群が同地域同規模の公立中学の生徒328名である。その結果,交互作用(F(2, 1336)=4.77, p<.01)が有意であったため多重比較を行うと,授業実施群のみ,教科授業後及び道徳授業後に有意に嫌悪の減少が認められた。対照群には得点変化はなく,授業実施群は対照群よりも有意に嫌悪得点が低かった。なお,自尊感情と嫌悪とは無相関であり,どれだけ自尊心が高くなろうとも嫌悪は変わらないことが示唆された。また,男子においては,多様な他者の理解や対等な意識の向上が嫌悪の低減と関連していた。