著者
渡邊 隆弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.371-377, 2010
参考文献数
19
被引用文献数
2

典拠コントロールは,図書館目録の集中機能を実現するための重要な機構である。本稿ではまず,現行の目録法における典拠コントロールの仕組みを整理し,いくつかの問題点を指摘する。続いて,目録の変革を目指す近年の動向における典拠コントロールの方向性を,書誌コントロール政策,次世代OPAC,新しい目録法(FRBR/FRAD,国際目録原則,RDA)の各観点から整理する。さらに,図書館外のコミュニティにおける「識別子」の動向,典拠データを図書館外のコミュニティに開放する取り組みについても述べる。情報環境の変化を背景とした諸動向のなかで,典拠コントロールは以前より明確に位置づけられ,その重要性は増している。
著者
中島 三千男
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.6, pp.p127-140, 1977-12

『大日本帝国憲法』(以下帝国憲法と略す)第28条「日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務二背カサル限二於テ信教ノ自由ヲ有ス」(「信仰自由」規定)は戦前の国家と宗教の関係(政教関係)を規定したものであり,明治国家のイデオロギー政策の重要な構成要素である宗教政策の基本的枠組を表現したものである.この38文字によって表現された「信仰自由」規定は極めて漠然としたものであるが,戦前日本がファシズム化していく過程にあって,とりわけ1935年の大本教第二次大弾圧を契機に多くの宗教団体・宗教者がこの規定を具体化した諸法規によって激しい弾圧を受けたのであり,そういった意味では私たちにとって忘れることのできない規定であった.しかしながら,このような重い意味を持った規定でありながら,この規定に関する研究は皆無といってよい程少い.筆者はかつて,この規定の成立過程をあきらかにする前提作業として1885(明治18)年以前に・すなわち,帝国憲法の起草が本格的に始まる以前の段階で作成された政府官僚層の手になる憲法草案(「私擬憲法」)の「信仰自由」規定を分析し,以下の三点にわたる結論を導き出しておいた.
著者
清水 茂雄
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-121, 2021-05-27

本論文(「その2」)において,『古事記の言象学的構造』と題される論文の第2章の全体が展開される.「第2章」では,『古事記』の「火の神(ヒノヤギハヤヲノ神)」誕生から三貴子と言われる「アマテラス大御神」・「ツクヨミノ命」・「スサノオノ命(タケハヤスサノヲノ命)」誕生までの言象学的文法論的解明を行う.これらの神々の系譜の底辺には,述語が「主語の述語」に「成る」ことを開始してから,動詞に至るまでの言象学的文法論的プロセスが横たわっている.述語は自身の生まれ故郷の村(「始原の言葉」の領域)から出て行き,そこからの呼びかけの声(イザナミ)を振り切って(イザナキのイザナミからの離別)都会へと去る.述語が至った都会が,言象学的文法論的には,「論理的領域(「有るものが有る」の世界)」と言われるところ,いわゆる「この世」である.ここに,述語の生まれ故郷の村は,秘密に閉ざされて「無」となってしまい,有と無の論理的対立と「生と死」からなる生命の世界が生起する.
著者
真貝 富夫
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.33-40, 1999-04
被引用文献数
6

「のど越し」という言葉はしばしば使われるがその実体はかなり複雑な感覚である。のど越しスッキリとかキレがいいと言う時とそうではない時とでは咽頭・喉頭からの神経情報にどのような違いがあるのであろうか。咽喉頭の味覚情報を担う上喉頭神経と舌咽神経咽頭枝は水の刺激に対して高い応答性を示すという特徴がある。この両神経が顕著なのど越しの感覚を誘起するビール、炭酸水、吟醸酒などに対して特徴的な応答パターンを示すという最近の知見を紹介し、「のど越し」との対応について述べた。
著者
細江 光
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 文学・文化編 (ISSN:1347121X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.11A-54A, 2003-03-18

Sojin Kamiyama, one of the key figures in the creation of the modern Japanese theatre, was a friend of Junichiro Tanizaki throughout his lifetime. He is also known as one of the few Japanese actors who performed in Hollywood silent films in the 1920s. However, his life has not been sufficiently studied ; his fellowship with Junichiro Tanizaki has not been fully investigated either. This paper presents his personal history based on various data, information and interviews with members of his family.Sojin Kamiyama, one of the key figures in the creation of the modern Japanese theatre, was a friend of Junichiro Tanizaki throughout his lifetime. He is also known as one of the few Japanese actors who performed in Hollywood silent films in the 1920s. However, his life has not been sufficiently studied ; his fellowship with Junichiro Tanizaki has not been fully investigated either. This paper presents his personal history based on various data, information and interviews with members of his family.
著者
シュターデルバウアー イエルク
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.151-167, 2009-07-28

黒い森地域は,ドイツにおいて最も重要な観光地の一つである。その組織化された範囲にはUpper Rhine Valley(上流のライン川渓谷)を含み,Land Baden-Wurttemberg(バーデン・ヴュルテンブルク州)(南西ドイツ)に観光で宿泊する人のほぼ半分を受け入れ,自然の範囲の中では約4分の1(1,050万人の宿泊者)を受け入れる。潜在する魅力は,新鮮な空気,開かれた土地と森がおりなすモザイク,アクセスのよさ,古くからの伝統と豊かな農村部の構造を持つ低い山地の風景にある。ミネラルを含む温泉は,Baden-Baden(バーデンバーデン)またはBadenweiler(バーデンヴァイラー)のように国際的にもよく知られた温泉の基盤となっている。黒い森は,国内外からの客にとって定着した観光地だと考えられているが,次の3つの分野において対外的な問題に対応しなければならない。(a)グローバル化の過程では,『黒い森』というブランドに基づいたマーケティング戦略が必要であるが,それぞれの特徴を生かしたい自治体あるいはコミュニティ協同組合の要望と対立する。(b)黒い森における観光は,酪農や林業を基本とする山間部農業の経済的な補完産業として発展してきたが,その重要性はだんだんと失われてきている。観光市場は地域に埋もれているものや生産品を求めている。(c)グローバルな物差しで考える場合,グローバルな変化への対応が必要であると考えられる。工業化社会の後にくる人口構成の変化,ライフスタイルの多様化,地球温暖化の深刻さに対しては,地域的な規模での回答が求められている。黒い森における観光の歴史について簡単な調査を提示し,将来の発展に関していくつかの規制があることを指摘するために,最近の構造に関するいくつかの重要なデータを発表した。(a)1世紀前には,冬の観光は,夏の娯楽的観光に次ぐ2番目の季節として発展していた。しかし,近年は,雪があるという保証が減少し,人工雪を作ることが必要となり,ウインタースポーツはその意義を失っていく可能性が高い。(b)観光に関するインフラは,主に子どものいる家族及び中高年世代のニーズには適合しているが,おもしろさやイベントを求める若い世代の要望に対してはあまり応えていない。したがって,伸び率は下がっており,新しい戦略が必要である。(c)地域発展プログラムは,農業,林業及び観光産業における持続性を求めている。それらは農村社会全体における収入の重要な資源である。重要な対策は,Schwarzwald Tourismus GmbH(黒い森観光株式会社)によるコミュニティ協同組合の再組織化,既によく知られたイメージと新しいアイデアに基づいた観光商品の組み合わせ,世界的な気候変化に対応するマーケティング戦略にみられる。農村経済は,主に観光客の要望に焦点をあてながら,農業と観光を組み合わせたすきま経済に向かって発展している。これらの一般的な考察は,High Black Forest(黒い森の中心部)における主な観光自治体の一つであるHinterzarten(ヒンターツァーテン)の例を取り上げて掘り下げていく。結論として,将来の発展に向けた影響について議論する。
著者
小川 圭一
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.157-163, 2021

<p>「飛び出し坊や」とは、子供の飛び出しに対する注意喚起をドライバーに促すために設置された、子供などの絵が描かれた看板である。滋賀県内では多数の飛び出し坊やが設置されている。これらは自治会やPTAなどの地域住民が自主的に設置したり、地域住民からの依頼によって地域の交通安全協会が設置したりしているものであるため、地域住民がどのような箇所を危険と感じているかを把握することができる。本稿では、滋賀県草津市、大津市の4小学校区を対象に「飛び出し坊や」の設置状況の実態調査を行い、その特徴を分析する。</p>