著者
榊原 哲也
出版者
医学書院
雑誌
看護教育 (ISSN:00471895)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.398-403, 2018-05-25

近くて遠いベナー パトリシア・ベナー(Patricia Benner, 1943─)。おそらく読者のみなさん誰もがご存知の看護理論,看護教育理論の世界的権威です。多くの著作が日本語に翻訳され,読者の関心も高く,みなさんの多くは,おそらく書棚に『ベナー看護論』をはじめ何冊かの著作を備え,多少なりともその理論にふれておられることと思います。また,たびたび来日して講演会や講習会が開かれていますので,みなさんのなかには,書物を通じてだけでなく,講演会や講習会に参加してベナーの話に直接耳を傾けた方もおられるかもしれません。さらに,ベナーによる5段階の技能習得モデルがご自身の臨床現場で教育プログラムやキャリアラダーに採用されていて,とても身近だという方もいらっしゃるのではないかと察します。 このように,おそらくは,多くのみなさんがベナーに関心を持ったり,身近に感じたりしているにもかかわらず,他方では,実際にベナーの著作を読んでみると,難しい,そもそも理論はよくわからないという方も,決して少なくないと聞き及びます。
著者
山田 杏菜 菊池 司
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.16, pp.225-226, 2017

仮面ライダーとは 1971 年から 2017 年現在も続く特撮ヒーロー番組に登場する仮面をつけたヒーロー の総称である.45 年もの間続く番組はあまり存在しない.その魅力の 1 つとして変身シーンが挙げられるのではな いだろうか.そのため,本研究では変身シーンのカメラワークに着目し分析,考察を行う.昭和 12 人,平成 18 人, 計 30 人,約 120 シーンの抽出をし,8 つの項目(カット数,アングル,画角サイズ,カメラワーク,被写体から見 たカメラの位置,被写体の画面内位置,映像内容,時間)に分けて分析する.その結果を元に,ライダー毎の特徴や 類似点,相違点,昭和ライダーと平成ライダーの違いなどを抽出していく.
著者
西田 裕紀子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.433-443, 2000-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
24
被引用文献数
22 34

本研究の目的は, 幅広い年代 (25~65歳) の成人女性の多様なライフスタイルについて, 複数の構成要素からなる心理的well-beingとの関連から検討することであった。まず研究1では, 成人期全般に適用でき, 理論的背景が確認されているRyffの概念に基づき, 人格的成長, 人生における目的, 自律性, 自己受容, 環境制御力, 積極的な他者関係の6次元を有する心理的well-being尺度が作成され, 6次元の信頼性・妥当性が確認された。また, 年代によって心理的well-beingの様相が異なり, 次元によっては発達的に変化することが示された。次に研究2では, ライフスタイル要因と心理的well-being各次元との関連について検討した。その主な結果は以下の通りである。(1) 年代と就労の有無, 社会活動参加度を独立変数, 心理的well-being各次元を従属変数とする分散分析を行った結果, 就労, 社会活動という家庭外での役割は, 成人女性の心理的well-beingとそれぞれ異なった形で関連していることが示された。特にこれまで家庭外役割としてほとんど焦点が当てられてこなかった社会活動が, 就労とは異なった形で心理的well-beingと強く関連していたことから, 成人女性の発達的特徴を考える際に, 就労以外の様々な活動にも目を向けることの必要性が示唆された。(2) 年代別に, 妻, 母親, 就労者, 活動者の各役割達成感と心理的well-being各次元との偏相関係数を検討した結果, 長期にわたる成人期においては, 各年代に応じた役割を獲得し, それによる達成感を得ることが心理的well-beingと強く関連することが明らかになった。この結果から, それぞれの役割の質的側面が成人女性のライフサイクルの中で異なった重要性を持つことが示唆された。
著者
山口 莉奈 正田 悠 鈴木 紀子 阪田 真己子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.40117, (Released:2017-05-01)
参考文献数
21

本研究では,体育科教員がダンス授業に対して抱く「ダンス指導不安」にいかなる特徴があり,そうした不安が教員歴やダンス指導経験によっていかに異なるのかを調べた.調査1では,体育科教員を対象にダンス指導に対する不安を自由記述により調査した.その結果,ダンス指導不安が5つのカテゴリーから構成されることが示され,理想の授業を実現するダンス技術がない不安や生徒との関係に対する不安が抽出された.調査2では調査1のカテゴリーを基に評定尺度を作成し,調査1とは別の教員に回答してもらった.その結果,ダンス指導不安が調査1と対応する4因子により構成されることが確認された.調査1と同様に,生徒がダンス教育に求めているレベルやニーズを理解しながらも,それに対応するだけのダンス技術がないと感じている教員の葛藤が認められた.さらに,そうした教員の葛藤は,ダンス指導経験の有無に関わらず同程度に認められることが示唆された.
著者
吉田 学誉
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
日本磁気共鳴医学会雑誌 (ISSN:09149457)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.48-54, 2020-05-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
12

Contrast-enhanced magnetic resonance imaging (CE-MRI) has overcome the drawback of non-CE-MRI of incomplete image information. However, the use of contrast agents requires consideration of the side effects and accident risks during injection, and the ability to respond promptly requires knowledge of treatment and management for the same. Side effects of contrast agents and accidents during contrast injections occur with a fixed probability. Attached documents and manuals describing side effects of contrast agents are provided by pharmaceutical companies, and many hospitals prepare manuals based on such information. However, little is known about puncture accidents during contrast agent injection, and the knowledge of treatment in case of accidents is often obtained from experience. Preventive measures for accidents during contrast media injections are necessary. Here, we elaborate our ideas on these safety measures.
著者
牧野 茂義 福田 隆浩 上田 章
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.323-325, 2001-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

症例は28歳,男性.発熱と全身倦怠感にて発症し,重度の貧血を認め,ヒトパルボウイルスB19 (B19)による赤芽球癆と診断した. B19-IgG抗体の産生により貧血は改善したが, 4カ月後にB19-lgG抗体が消失し貧血が再燃した.輸血とγグロブリン製剤投与にて貧血は改善したが, 2年経過した現在もB19-IgM, IgG抗体とも陽性で軽度の貧血を認めている.健康成人が何らかの理由でB19を排除できず持続感染を起こした稀な症例と考えられた.
著者
Masayoshi Kumai Shungo Imai Shintaro Kato Ryo Koyanagi Kenkichi Tsuruga Takehiro Yamada Yoh Takekuma Mitsuru Sugawara
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.593-598, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
21
被引用文献数
4

Nausea is a typical adverse event associated with opioids. In this study, we performed logistic regression analysis with the aim of clarifying the risk factors for nausea induced by extended-release oxycodone (ER-OXY). Furthermore, we constructed a decision tree (DT) model, a typical data mining method, to estimate the risk of oxycodone-induced nausea by combining multiple factors. A retrospective study was conducted on patients who newly received ER-OXY for cancer pain during hospitalization at Hokkaido University Hospital in Japan from April 2015 to March 2018. In logistic regression and DT analyses, the dependent variable was the presence or absence of nausea. Independent variables were the potential risk factors. First, univariate analyses were performed to screen potential factors associated with oxycodone-induced nausea. Then, multivariate and DT analyses were performed using factors with p-values <0.1 in the univariate analysis. Of 267 cases included in this study, nausea was observed in 30.3% (81/267). In multivariate logistic regression analysis, only female sex was extracted as an independent factor affecting nausea (odds ratio, 1.98). In the DT analysis, we additionally revealed that an age <50 years was a risk factor for nausea in female patients. Thus, our DT model indicated that the risk of ER-OXY-induced nausea was highest in the subgroup comprising females <50 years of age (66.7%) and lowest in male patients (25.1%). The DT model suggested that the factor of young women may be an increased risk of ER-OXY-induced nausea.
著者
野瀬 遵 小林 秀司
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.269, 2013 (Released:2014-02-14)

ヌートリア Myocastor coypusは南米原産の適応力に優れた特定外来生物である.我が国において,輸入した繁殖個体が戦中・戦後の 2度にわたる毛皮需要低下により放逐され,各地で生息域を拡大している.岡山県では,生息条件が良好であった児島湾干拓地帯に放たれたものが定着するとともに,1970年代以降に県下一円に分布を拡げたと考えられている(三浦,1976). 岡山県においてはヌートリア駆除が促進されているが,この数十年ヌートリアによる農業被害額に大きな変動はみられず,従って個体群構造が比較的安定している可能性が示唆されている(小林ら,2012) 野生動物の駆除や保護を目的とする場合,その対象生物の生態の把握は必須.である.しかし,我が国におけるヌートリアの生態そのものに関する報告は三浦(1970,1976,1977,1994)に留まり,行動圏を長期的に調査した研究はない.そのため,岡山県笹ヶ瀬川にて,ラジオテレメトリー法を用いて,長期的なヌートリアの行動圏とコアエリアの推移を明らかにするべく個体追跡調査を開始した.調査個体は目視調査により,使用している巣穴が特定されていることと,縄張りをすでに確立していると考えられる比較的大型の個体を対象とした.捕獲した個体にヌートリア用インプラント発信器(CIRCUIT DESIGN,INC.社製 LT-04)を埋め込み放逐した.電波の受信には指向性のある 3素子八木アンテナ(有山工業社製 YA-23L),オールモード受信機(アルインコ社製 DJ-X11)を使用し,ラジオテレメトリー法による個体追跡調査を行った. 研究個体の現段階における日周期リズム・行動圏とコアエリアの算出・行動圏利用に関して報告する.また,今後は長期的にデータを積み重ね,ヌートリアの生態解明を目指す.
著者
熊田 一雄
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.3-18, 2002-06-29 (Released:2017-07-18)

この論文の目的は、日本では開拓の遅れている「宗教と男性性」というテーマについて、現代日本で静かに流行している一般大衆の内観サークル系宗教運動の実証データを提供するとともに、形成途上にある日本の男性学理論に対して問題提起をすることにある。この論文の事例研究の対象である内観サークル系宗教運動「エルランティの光」では、女性参加者と異なり男性参加者に対しては、「オトコを崩せ」という指導が時々行われる。この論文では、「オトコを崩せ」という指導の実際を紹介する。次に、そうした指導法を指導者の中年期における回心体験と関係付けて説明する。最後に、内観サークル系宗教運動を日本のメンズリブ運動と比較検討し、1.今後、新宗教の一部のメンズリブ化と一部のメンズリブの宗教化が同時に進行することが予想される、2.伊藤公雄の「鎧理論」には、主として中年男性を対象とした「母の息子の男性学」の性格〈がある、ことを示唆する。
著者
新谷 一大 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.245-252, 1990-09-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
20
被引用文献数
1

1988年7月から1989年6月までの1年間に, 茨城県牛久沼において採集したオオクチバス523尾の食性を調査した。同沼においては, テナガエビ, アメリカザリガニが本種の主要な餌生物であり, モツゴ, ヨシノボリがこれらに次いでいた。本種の体長が増すにつれて, アメリカザリガニの出現率が増加し, ヨシノボリの出現率が低下した。体長が増すにつれて, 餌の大きさの最大値が上昇する傾向がみられたが, 大型の個体は, 小型の餌もよく利用していた。本種は甲殻類を年間を通して (特に夏と冬) , 魚類を夏から秋にかけて, 水生昆虫を春にそれぞれ良く捕食していた。小, 中型個体は年間を通して魚類および甲殻類を主要な餌として利用していたのに対し, 大型個体では甲殻類を主要な餌生物としていた。
著者
井之口 有一 中井 和子 堀井 令以知 Y. Inokuti K. Nakai R. Horii
雑誌
京都府立大學學術報告. 人文 = The scientific report of Kyoto Prefectural University. Humanistic science (ISSN:00757381)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.52_a-22_a, 1963-11-25

This paper is the sequel of the researches on the vocabulary of Court lady speech in the imperial palace and in Kyoto Amamonzeki nunnery. The vocabulary of Part II contains the words of Clothing, Instrument, Body, Health and Illness, the names of the maid of honour, of the annual observances in the Court and the adjectives, the verbs of Court lady speech, the words and phrases used in the letters of Court lady.