著者
田爪 正氣 糠信 憲明 築地 真実 佐々木 和歌子 芝川 敬美 塚本 祥子 尾添 聡美 潮田 恵子 田口 友美
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.69-72, 1999

院内感染の発生を防ぐためには感染経路の遮断が重要である。そこで感染経路の1つとして洋式トイレを取り上げ、病院外来待合い室にある洋式トイレの便座上における細菌学的汚染調査を行ってメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出を試みた。1)洋式トイレの便座上における付着総菌数の多少は、使用者の清潔意識や業者による掃除が関与していると推察できる。2)トイレを使用する前に便座上をトイレットペーパーで拭くことは付着総菌数を減少させ、清潔にする効果が認められた。3)外来待合い室の洋式トイレにおける便座上から分離された黄色ブドウ球菌136集落から、MRSAが14集落(10.3%)検出された。不特定多数の人が間接的に皮膚を接触させる外来トイレの便座は院内感染源の1要因としてあげることができる。易感染状態にある患者が院内にある洋式トイレの便座から感染する危険性もあり、清掃業者へ院内感染防止に関わる教育を施す必要性が認められた。
著者
野村 伸一
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 言語・文化・コミュニケ-ション (ISSN:09117229)
巻号頁・発行日
no.26, pp.1-31, 2001

今日,東アジアにおいて民俗の世界は急速度の近代化とともに,衰退していくかにみえる。けれども,ほんとうに衰退していくばかりなのか,これは可能性を秘めた世界なのかどうか,そこから何か新しい視点が開けるのか。こうしたことを考えるとき,わたしには女性の祭祀と女神信仰ということがかなり可能性を秘めているのではないかという予測がある。そこで,福建省や台湾,日本の南島,韓国南部および済州島などの研究者とともに,それぞれの地域ごとに積み重ねられた資料,知見を持ち寄り,これをひとつにまとめあげようとして研究会を発足させた。 とはいえ,現在,東アジア全体を一目でみる準備は整っていないので,とりあえずは東シナ海周辺の民俗文化を取り上げることにした。そしてあらかじめいうと,この地域ではとりわけ女性の祭祀活動と女神信仰が顕著なのだが,にもかかわらず,それがこの地域の民俗世界の性格を考える際に主要な課題となるという視点や取り組みがほとんどない1)。まずは,このことの意味から考えなければなるまい。
著者
安藤 佳珠子 Kazuko ANDO
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学教育基盤センター紀要 = The Journal of Nagasaki International University Center for Fundamental Education (ISSN:24338109)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-12, 2019-03

本稿の目的は、クリティカル・ソーシャルワークに基づくソーシャルワーク教育を実践するにあたり、講義形式の授業において、どのように展開することができるのかを提示することにある。このことにより、スクールソーシャルワークにおいて必要である環境に対する変革のアプローチを、講義形式の授業で実施する方法を提案し、その実施における成果と課題について整理する。第1章では、スクールソーシャルワーク教育におけるクリティカル・ソーシャルワークの導入の必要性について検討する。第2章では、講義形式の授業内で、クリティカル・ソーシャルワークに基づくソーシャルワーク教育の展開を、提示する。具体的には、スクール(学校)ソーシャルワーク論での実施したクリティカル・ソーシャルワークに基づくソーシャルワーク教育実践である。それに基づき、第3章では、その実施における成果と課題について整理する。
著者
牧 勝弘 赤木 正人 廣田 薫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.304-313, 2004-06-01
参考文献数
17
被引用文献数
1

中脳に位置する下丘中心核(Icc)において観察される複雑かつ多様な時間応答パターンの模擬が可能な計算モデルを提案する。Iccに関する生理学的,解剖学的実験報告に基づき,下位の神経核細胞(蝸牛神経核腹側核,又は外側毛帯核腹側核)からIcc細胞への興奮性入力とそれよりも時間的に遅れた抑制性入力という単純な神経回路により,計算モデルを構成する。モデルを用いたシミュレーションの結果,本計算モデルは,生理学的応答特性に基づいて詳細に分類されたIcc細胞の時間応答パターン,すなわち,chopper,pauser, sustained,onset,on-sustained型,及びそのサブタイプ全10種類を再現できることが分かった。この結果は,Iccにおいて観察される時間応答パターンは複雑かつ多様であっても,それを生じさせる神経回路は単純であるという可能性を示している。
著者
伊藤 隆太
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.100, pp.155-185, 2014

一 はじめに二 情動とリアリズム三 情動学習モデル四 情動リアリズム五 日本の対米開戦六 おわりに
著者
中沢 志保
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.51-63, 2007-01

原爆投下をめぐる問題は,戦後60年余りが経過した現在においてもなお,歴史家や国際政治学者などの重要な研究対象となっている。また,アメリカ国内の状況に注目すると,この問題の理解において,アメリカ政府および一般世論と研究者との間に大きな隔たりが存在することが分かる。アメリカの政府や国民の多くは「原爆投下は戦争を早期に終結させるために導入された正当な手段だった」と主張する。これがいわゆる公式解釈と称される立場である。これに対して,それぞれの研究視点からこの公式解釈を批判し再検討するのが研究者の立場である。本稿は,公式解釈の形成に多大な貢献を果たしたと言われるヘンリー・スティムソン(原爆投下時の陸軍長官)の論文と回顧録の内容を考察するものである。公式解釈に対する批判から出発したはずの原爆投下決定に関するこれまでの研究を吟味すると,これらの先行研究がスティムソンの論文ないし回顧録を十分に考察しきれていないことに気づくからである。この論文と回顧録を再検討することにより,公式解釈の前提,およびその後の諸研究の基盤を検証しなおすことができると考える。
著者
鈴木 増雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.880-883, 1995-11-05

学部学生時代から30数年ご指導を受けてきた久保亮五先生が去る3月31日に他界されて,もう3ヵ月が過ぎたが,今もって先生が身近に居られていつでもお逢いできるような気がしてならない.学部3年のときに受講した久保先生の熱力学・統計力学の講義は必ずしもわかり易くはなかったが,今でも思い出せるほど印象深い講義であった.それは,第一線で独創的な研究を行い,すでに世界的な業績をあげた物理学者の真摯な姿勢の窺える講義であった.
著者
舟木 紳介
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.55-65, 2007-11-30
被引用文献数
2 2

近年国際的に注目されるようになったオーストラリアのソーシャルワーク研究者たちは,普遍的原理としての社会正義概念を基盤としながら,ポストモダニズム思想を導入し,クリティカル・ソーシャルワークとして発展させてきた・しかし,普遍的な概念を基盤とする社会正義概念とそのようなメタ概念を相対化しようとするポストモダニズムといった2つの相反する価値をひとつのソーシャルワーク理論の価値基盤として統合することが可能なのかという困難な理論的課題があった.本稿は,オーストラリアのソーシャルワーク研究者がクリティカル・ソーシャルワーク理論をどのような経緯をもって導入し,発展させてきたか,その理論的変遷を描くことを試みた.社会正義を基盤とするクリティカル・ソーシャルワーク理論がポストモダニズムの影響を受けて,その相反する価値の統合・共存の一方法として,ソーシャルワークの主体に対して反本質主義の視座を採用したことを論じた.
著者
田中 秀臣
出版者
上武大学
雑誌
上武大学商学部紀要 (ISSN:09156267)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.73-92, 2000-10
著者
石井 正彦
出版者
筑摩書房
雑誌
言語生活 (ISSN:04352955)
巻号頁・発行日
no.421, pp.p62-65, 1986-12
著者
志賀 文哉
出版者
富山大学人間発達科学部発達教育学科発達福祉コース
雑誌
とやま発達福祉学年報 (ISSN:21850801)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.13-20, 2019-05

こども食堂は全国に広がり、様々な背景や実施方法が用いられ約3500にもなっている。こども食堂は「食」を提供するものであるが、対象は多様であり、そのための営みや学習支援等の付加的な活動を通じて交流を創り、居場所を形成している。人間浴と呼ばれる人の交流や関係の構築は「安全でありかつ安心できる」場所を創出しているのである。子ども食堂の課題は資金面や人材面の不十分さのほか、期待通りの参加を得ることのむずかしさ、また給食の実施を含め、食自体の質を向上するためのアクションが不足していることなどがある。これらの活動にソーシャルワークが貢献する可能性があり、従来の地域福祉と家庭福祉のアプローチをつなぐ「まちの子どもソーシャルワーク」の提唱がなされている。人口減少の社会において、こども食堂の活動が地域の拠点となる可能性がある。
著者
原口 耕一郎
出版者
名古屋市立大学大学院人間文化研究科
雑誌
名古屋市立大学大学院人間文化研究科人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.15, pp.232-204, 2011-06

『古事記』『日本書紀』においては、かなり古い時代の記事から隼人は登場する。この隼人関係記事の信憑性をめぐって、大きく二つの議論がある。一つは天武朝以降の記事からならば、それなりに信を置くことができるとする理解であり、これは現在の通説になっているといえよう。もう一つは、天武朝より前の時期の記事にも史実性を認めようとする理解である。小論は、これまでの隼人研究史を回顧し、隼人概念の明確化をはかり、『記・紀』に史料批判を加え、天武朝より前の隼人関係記事については、ストレートには信を置きがたいことを論じようとするものである。つまり、可能な限り通説の擁護を目指すことが小論の目的である。まず、文献上にあらわれる隼人像を整理し、隼人概念の明確化を行う。次に考古資料と隼人概念との対比を、最近の考古学研究者の見解を踏まえながら行う。さらに畿内隼人の成立について触れる。その結果、『記・紀』編纂時における政治的状況、すなわち日本型中華思想の高まりの中で、政治的に創出された存在としての隼人の姿が明らかにされるであろう。このような、現在の隼人理解において中核的なテーゼをなす、「隼人とは政治的概念である」という主張を確認したうえで、天武朝より前の隼人関係記事は漢籍や中国思想により潤色/造作を受けていることを明らかにする。