著者
福田 直人
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.123-134, 2012-06-10

本稿では失業者に対する生活保障制度に関して,所得保障の観点から日独比較を行う。ドイツを対象とするのは,失業保障制度の構造において日本との共通点が多いためである。失業保障の国際比較研究は既に多く存在するが,その大部分が失業手当の給付金額と期間の比較に限定されていた。だが,失業時所得保障において重要な点は,失業保険の給付金額や期間だけではなく,就業時に支払ってきた税金や,社会保険料の免除,減免措置の有無である。本稿ではOECDの離職前賃金代替率の問題点を検討し,失業保険適用内,適用外それぞれの失業者に対する所得保障を分析した。その結果,日本の場合,失業保険が適用されたとしても40歳の失業者は税,社会保険料の負担によって受給額がマイナス,つまり貯蓄の取り崩しを迫られる可能性があることを示した。国際的には低水準と評価されるドイツの失業保障と比較しても,日本は更に低い水準であることが明らかになった。
著者
瀬戸 邦弘
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.330_3-330_3, 2016

<p> 本研究ではいわゆるジャパノロジー(日本研究)のひとつとして大学應援團に注目している。應援團活動では独自の「応援団文化」を継承・護るために、時に「時代錯誤」ととも揶揄される行動様式や人間関係を頑なに堅持する傾向にある。そのため、時代の流れにあわず多くの応援団が休部(もしくは廃部)の憂き目にあって来ている。その一方で、そこには現在すでに失われている「学生体育会黎明期の文化」が残存しているとも捉えられ、近年では逆に海外から「日本的」な要素(クールジャパンコンテンツ)として評価・注目されることにもなってきている。本研究では海外という新たな視座から「応援団の現在」を検証することになる。</p>
著者
金田 泰男
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.377-418, 1937

生體内新陳代謝過程ニ於テ諸種燐酸化合物ガ重要ナル役割ヲ演ズル事ハ己ニ余ガ前報告ニ於テ詳述セシトコロナリ.新陳代謝老廢物ノ排泄機關トシテ,生體ノ生活過程ニ於ケル重要ナル臟器ノ一ナル腎臟ノ燐酸排泄機轉ニ關シテハ,或ハ腎臟燐酸分解酵素ノ研究,或ハ腎臟灌流試驗等各方面ヨリノ研究ニヨリ種々論議セラルルモ,尚一定ノ所説ヲ見ズ.余ハ今諸臟器組織ノ新陳代謝ノ研究ヲ企ツルニアタリ,先ヅ腎臟ニ就テ,ソノ動,靜脈血中ニ於ケル諸種燐酸化合物ノ分布ニ就テ比較檢索シ,更ニ之ニ及ボス諸種腎臟毒ノ影響ヲ研究シ,以ツテ腎臟ノ燐酸排泄機轉ヲ説明セント欲シ,本實驗ヲ試ミ,次ノ結果ヲ得タルヲ以ツテ此處ニ報告セントス.1)犬ノ頸動脈血及,腎靜脈血中諸種溶酸性燐酸化合物ノ分布ヲLohmann及,Jendrassik並ニBomskowノ方法ニ依リ測定セリ.[table]2)得タル成績ニヨレバ腎臟ニ於テ諸種ノ有機燐酸化合物ガ分解セラルルノミナラズ,其ノ際成生スル無機燐酸並ニ血液中ニ己ニ存在セル無機燐酸ハ腎臟濾過機能ニヨリテ尿中ニ排泄セラルルモノノ如シ.3)犬縄縛ガ頸動脈血及,腎靜脈血中ノ諸種溶酸性燐酸化合物ノ分布ニ及ボス影響ヲ時間的經過ニ從ヒテ檢索セリ.4)無機燐酸ハ著明ニ,くれあちん燐酸ハ僅ニ逐時的ニ 加スルモ,他ノ有機燐酸化合物ハ一般ニ漸次減少ノ傾向ヲ示ス.5)頸動脈血並ニ腎靜脈血中ニ於ケル諸種燐酸化合物ノ量的關係ヲ夫々比較考察スルニ,縄縛3時間後ニ於テ焦性燐酸並ニ六炭糖燐酸ハ腎臟ニ於テ分解セラレ,くれあちん燐酸,及,ぐりせろ燐酸ハ腎臟ニ於テ合成セラル.而シテ無機燐酸ノ尿中排泄ハ著シク障礙セラルルモノノ如シ.6)縄縛セル犬ノ頸動脈血及,腎靜脈血中ノ諸種溶酸性燐酸化合物ノ消長ニ及ボス諸種ノ有機並ニ無機腎臟毒ノ影響ヲ檢索セリ.今其ノ個々ノ腎臟毒ニ就テ得タル結果ヲ述ブレバ次ノ如シ.イ)うらん注射ノ場合ニ於テハ注射3時間後ニ於テくれあちん燐酸並ニぐりせろ燐酸ハ腎臟ニ於テ分解セラレ,焦性燐酸並ニ六炭糖燐酸ハ僅ニ合成セラル.而シテ無機燐酸ハ腎靜脈血中ニ於テ著明ナル 加ヲ示ス.ロ)昇汞注射ノ場合ニ於テハ注射3時間後,腎靜脈血ニ於テ六炭糖燐酸並ニぐりせろ燐酸ハ減少シ,無機燐酸,くれあちん燐酸,及,焦性燐酸ハ 加ヲ示ス.ハ)重くろーむ酸加里注射ノ場合ニ於テハ腎靜脈ニ於テ焦性燐酸,ぐりせろ燐酸及,六炭糖燐酸ハ稍々張度ニ減少ス.然レドモ他ノ有機及,無機燐酸化合物ハ 加ス.ニ)かんたりちん注射ノ場合,腎靜脈血ニ於テ焦性燐酸以外ノ有機燐酸化合物ハ著明ニ減少シ,無機燐酸ハ著シク 加ス.而シテ諸種ノ腎臟燐酸分解酵素ハかんたりちん注射ニ依ツテ影響ヲ被ラザルモノノ如シ.ホ)はぶ毒ヲ注射セル場合ニ於テハかんたりちん注射ノ場合ト同様ナル影響ヲ示ス.7)無機ノ腎臟毒ニ依リテ腎臟燐酸分解酵素ハ多少障礙セラルルモ,有機ノ腎臟毒ハ腎臟燐酸分解酵素ニ封シ何等影響ヲ及ボサザルモノノ如シ.8)動脈血ノ諸種燐酸化合物ノ消長ガ示スガ如ク,各腎臟毒ハ腎臟ノミナラズ,他ノ臟器組織ニモ亦,作用スルモノト考ヘザルベカラズ.依ツテ余ハ他ノ臟器組織ニ及ボス諸種腎臟毒ノ作用ヲ研究スル事ナクシテ結論ニ到達スルハ尚早ナリト思考ス.之等ニ關スル研究ハ當教室同僚諸兄ニヨリ既ニ着手セラレ,叉一部重要ナル成績ヲ得タルヲ以ツテ,余ノ本成績ハ之等ノ發表ト相俟ツテ完全スルナラント思考ス.
著者
岡 伸也 Ooi Chia Yee 市原 英行 井上 智生 藤原 秀雄
出版者
社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.2207-2216, 2009-12-01
参考文献数
14
被引用文献数
2

無閉路可検査順序回路は実用的にテスト容易な順序回路であり,その一つのクラスとして完全スルー可検査順序回路がある.完全スルー可検査性に基づくテスト容易化設計では,完全スキャン設計に比べて小さい面積オーバヘッドでテスト実行時間の小さいテスト系列を生成できる.本論文では,無閉路可検査性を満たす新たな順序回路のクラスとして,部分スルー可検査順序回路を提案し,部分スルー可検査順序回路に対するテスト生成法,並びに,部分スルー可検査性に基づくテスト容易化設計法を示す.部分スルー可検査性は,完全スルー可検査性のスルー機能に関する十分条件を緩和することで定義され,よって,部分スルー可検査順序回路のクラスは完全スルー可検査順序回路のクラスを真に包含する.実験により,部分スルー可検査性に基づくテスト容易化設計は,完全スルー可検査性に基づくそれに比べて実用的に更なる面積オーバヘッドの削減が可能なだけでなく,テスト実行時間も削減可能であることを示す.
著者
金川 晃士 山口 亨
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.157-157, 2006

現在住宅対象侵入強・窃盗の侵入犯罪や街頭において敢行される性犯罪などが著しく増加し、安全・安心に暮らせる街づくりが社会に求められている。そこで、人間中心型都市における防犯ロボットを用いた屋外の不審者を検出するシステムを提案する。防犯ロボットには一人乗り用の電気自動車である知的移動体i-mobilityを用いた。システムはファジィ連想メモリシステムに実装され連想推論によって、動作認識を用いた意図認識を行う。意図認識実験において、事例ノードを配置することで帰納的な学習ができ、学習事例を増加することで認識率が向上する。そして、事例の自動追加実験を行いシステムの利便性を向上させる。認識実験についての認識率を示しシステムの利便性を向上させることで、その有効性を示す。
著者
永田 耕司 太田 美代 西川 智子
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集. 健康生活学部編 (ISSN:18807720)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.83-100, 2009-03-31

A questionnaire survey concerning lifestyle and mind/body symptoms was administered to 7000 5th grade elementary students, and 7000 2nd grade Jr. High school students of Nagasaki prefecture in July, 2007. 10% of elementary and Jr. High school students were not eating breakfast every day. One in three children who were eating breakfast only ate rice, bread and a drink. Rice was about 50% of breakfast, and bread 40%. The most reported reason for not eating breakfast was "no appetite." Next highest was "no time for eating." 8% of elementary students and 12% of Jr. High school students said the reason was because breakfast wasn't prepared for them. More than half of all students ate between meals 4 - 5 times a week. Many, in the following order of choice: chocolate, candy, and chewing gum. Less than half ate fish once or twice a week. Nearly half ate midnight snacks. Many, in the following order of choice: ice cream, snack food (e.g. potato chips), fruits, jellies, puddings and yogurts. 60% of elementary students and 80% of Jr. High school students reported that their body sometimes felt "heavy." 75% of elementary students and about 90% of Jr. High school students sometimes felt tired. 50% of elementary students sometimes felt headaches. 50% of elementary students, and 68% of the Jr. High school students sometimes felt insufficient energy to complete tasks. 50% of elementary children and 60% of Jr. High school students sometimes felt "irritated" and unable to think or concentrate. 40% or more of all students sometimes felt easily angered or frustrated. Reports of "lack of sleep," "less than 30 minutes to get to school after waking up," "don't eat breakfast," "only eat staple food for breakfast," "eating bettween meals every day,""don't eat vegetables every day," "don't eat fish," and "eat midnight snacks" all influenced symptoms such as "feel tired," and "not enough energy to complete tasks," and "easily angered or frustrated."
著者
内藤 篤
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.159-165, 1960
被引用文献数
5

シロイチモジマダラメイガは広く世界の熱帯,亜熱帯,温帯地方に分布し,本邦では九州,四国および本州の中国,東海近畿,北陸,関東に分布し,一部は東北南部太平洋沿岸地帯にも及んでいる。しかし九州および西南暖地の平坦部を除いては発生が少ない。本種の分布北限帯は,仙台平野の南部太平洋岸に始まって海岸沿いを南下し,関東地方の北部山ろく地帯を通り,本州の中部山岳地帯をう回して北陸に達し,反転して富山平野の山沿いを東北に進み,越後平野の北部あたりから日本海に抜ける。<br>本邦におけるシロイチモジマダラメイガの分布北限界の指標として,年平均気温11.5∼12.5°C等温帯および夏期平均気温(5∼10月)18.5∼19.5°C等温帯をあげることができる。しかし分布限界を大陸にまで延長して考えるならば,後者のほうがより適合性が高いようである。<br>マメシンイガは極東地域の寒帯,亜寒帯および温帯に分布する。本邦では北海道,本州,四国の全域および九州の一部に分布し,北海道および本州の東北,北陸,関東東山,山陰地方では発生が多いが,それ以南の暖地の平坦部や九州では少ない。また種子島以南の諸島では本種の存在が確認されておらず,おそらく九州本島が南限のように思われる。<br>以上のような両種の発生分布の状態から,明らかにマメシンクイガを北方系,シロイチモジマダラメイガを南方系の害虫とみることができる。両種は東北の南部から九州に至る広範囲にわたって混在し,関東,東海近畿,山陽および四国地方では両種の勢力はほぼ等しい。しかし総体的にみた場合は,本邦においてはマメシンクイガのほうが優勢である。
著者
野尻 亘
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.136-154, 1993
被引用文献数
1

本稿の目的は, 1980年の運輸省の地域貨物流動調査のデータを因子分析等を用いて分析し, 全国陸上輸送体系である鉄道コンテナと路線トラックの貨物流動の空間的構造を明らかにし, それらについて各々の輸送手段の特性との関連から考察を加えることにある. クロス集計によれば, 双方の輸送手段ともに東京・大阪・愛知・福岡・北海道に発着が集中している. しかし路線トラックの方がコンテナよりも発着地ともに分散傾向にある. 最大流直接連結法によって, コンテナでは東京・大阪・北海道・福岡を中心とする広域的な流動が, 路線トラックでは東京が東日本全体の, 大阪が西日本全体の発着の中心となっている2大構造が明らかとなった. さらにRモード因子分析の結果を総合すれば一層興味深い流動パターンが現れた. コンテナの場合, 東京と全国間, 大阪と東北・関東・四国・九州間, 北海道から関東・東海・近畿間, 福岡と東京・大阪間という流動パターンが認められた. 路線トラックの場合には, 東京と南東北・関東甲信越および近畿間, 大阪と関東・近畿・中国・四国・九州間, 愛知と近畿・東海・北陸・関東間, 福岡と九州各県間, 宮城と東京および東北各県間, 広島と大阪および中国各県間, 北海道内といった流動パターンが認められた. Rモードの因子得点をクラスター分析した結果,コンテナでは東京・大阪・愛知・北海道が, 路線トラックでは東京・大阪・愛知が各々重要な発送の中心地であると認められた. 路線トラックは各広域拠点都市を中心としたブロック域内の輸送が中心であるのに対して鉄道コンテナはトラックよりも長距離の広域拠点都市間の輸送を補完するものとして機能している. しかし本研究では貨物流動に因子分析を適用することについての問題点も浮かび上がった. そのため物流に関する研究とも関連させながら内外の方法論について展望し検討を加えた.
著者
山田 清美 我妻 堯 瀧 直彦 鈴置 洋三 長町 典夫 高橋 克幸
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.346-349, 1987

反復性流産における遺伝的要因を明らかにするために, 自然流産歴を2回以上もち流産の原因が全く不明の夫婦組を対象として染色体検査を行つた. 染色体分析はすべてGバンド法による分染法を用いて精査した. その結果, 検査した夫婦100組中の10組(10%)に均衡型の相互転座による染色体異常を認めた. 妻が転座保因者と判明したものが8人で, 夫は2人であつた. この転座保因者の頻度は新生児集団では約700人に1人と推定されるので, それと比較してみると流産夫婦集団では妻が54.8倍で夫が13.7倍高いことが明らかになつた. 流産夫婦群に多い転座保因者の存在は, 自然流産や奇形児出産の危険性の上から日常の診療の際に十分に考慮すべき遺伝要因である. そのため, 分染法を用いての精査による染色体検査の必要性を強調したい.
著者
塚野 弘明 TSUKANO Hiroaki
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.14, pp.451-459, 2015

認知行動療法(CBT)とは、患者自身が自分の心(認知、行動、身体、気分)の状態や関連性を知り、それを変えられるという実感を通して自らを制御する力をつけていく自己コントロール法である。こうした方法の発想自体はそれほど珍しいわけではなく、古くから指摘されてきた。たとえば、ギリシャのストア哲学者エピクテトスは、「人間は、生じる物事によってではなく、その物事に対する考え方によって煩わされるのである」と述べている(Epictetus 1991)。また、ダライ・ラマは、「私たちがじぶんの思考や情動を新たな方向に向かわせ、自らの行動を整理し直すことができれば、苦悩をうまく処理する術をもっと簡単に習得できるだけでなく、そうした苦悩の発生を最初からかなり防ぐことができる」と述べている(Dalai Lama 1999)。このように、人間の気分や行動は、認知のあり方(ものの考え方や受け取り方)の影響をうけることから、しばしば認知の偏りを生じることがある。CBITでは、その偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって精神疾患を治療することを目的とした心理療法である.これがCBTとして確立したのは、1970年代にベックがうつ病に対する心理療法として構造化してからである(Beck,Ruth,Shaw et.al 1979)。その後、うつ病はもちろん、不安障害やストレス関連障害、パーソナリティー障害、摂食障害(神経性大食症)、統合失調症などの精神疾患に対する治療効果と再発予防効果を裏付ける優秀なエビデンス(科学的証拠)が多く報告されてきたことから、欧米を中心に世界的に広く使用されるようになった。また精神疾患以外でも、日常のストレス対処、夫婦問題、司法や教育場面の問題など、その適応範囲は広がりを見せている。日本では、特に1980年代後半から注目されるようになった。それとともに治療効果の検証も進み、2010年度からうつ病のCBTが保険診療報酬の対象になった。その背景には、薬物治療中心の精神医学に限界が生じ、心理社会的治療を併用することの重要性が認識されるようになったことが大きく影響している。また、従来の心理療法の問題点(話は共感的に聞いてもらえるが有効なアドバイスをもらえない)の指摘などもCBTが注目される理由となっている。マスコミで取り上げられたこともあり、最近では受診の際に「CBTを受けたい」と希望する患者が多くなっている。しかし、定型的なCBTを実施できる専門家の数に限りがあるなど課題も多い。
著者
張 星源 優 克剛
出版者
岡山大学大学院文化科学研究科
雑誌
北東アジア経済研究 (ISSN:18808476)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.69-89, 2004

本論文はNBERがまとまったアメリカUSPTOの特許間引用データベースを用いて、韓国、台湾、シンガポール、中国、マレーシアそしてタイという東アジア六ヶ国・地域における特許間引用と特許出願についての現状を分析したものである。主に、次のような結果を得た。(1)特許の出願と特許間引用について、この六ヶ国・地域ともに量的に急速に上昇しており、韓国と台湾の方ははるかに他の4ヶ国を上回っている。(2)質的には、特許の出願と特許間引用において、韓国と台湾そしてシンガポールはともにIT情報技術及びコンピューター産業に集中している。(3)特許間引用の結果から同産業内での技術普及が見られている。(4)この6ヶ国・地域の特許出願に関するハーフィンダール指数は日本及び欧米よりはるかに大きくなっている。
著者
上間晋吾 田村仁 堀越大輔 高塚崇文
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.69-70, 2012-03-06

高齢者の電動車椅子による交通事故の主な原因として、道路横断中の事故が最も多く発生しており、電動カートや電動車いすの事故に関わる死者の内8割近くが道路横断中の事故で亡くなっている。周辺状況の把握が足りず、接近する物体に気付かず回避が遅れることが理由として考えられる。上記の事から、高齢者を対象とした電動車椅子の乗車時における事故を防ぐインターフェースの製作を目的とする。本研究では、レーザー式側域センサを使用する。赤外線レーザーを発振してそれを目標物に照射する。その反射の度合いで接近物との距離と角度を検出しディスプレイに表示することで、搭乗者への危険をあらかじめ察知し警告することで事故防止を行う。
著者
村井 俊雄
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.817(61)-837(81), 1953-10

論説