著者
内田 勝也
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2015年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.197-200, 2015 (Released:2015-07-31)

自治体が持つ住民の基本4情報の「氏名」、「住所」、「性別」、「生年月日」の一部の漏えいは、多くの自治体にとって、深刻な問題との認識は必ずしも大きな問題ではなかった。しかしながら、今回発生したストーカー殺人事件では、被害者の夫になりすました調査会社の経営者の電話での依頼を自治体職員が回答したため、被害者の住所がストーカーに渡り、殺人事件に発展した。個人情報の一部が漏れ、それが殺人に発展した事例は世界的にも稀有な事例と思われ、事件の分析とその対策を考えてみた。
著者
飯野 久和 青木 萌 重野 千奈美 西牟田 みち代 寺原 正樹 粂 晃智 水本 憲司 溝口 智奈弥 小泉 明子 竹田 麻理子 尾﨑 悟 佐々木 一 内田 勝幸 伊藤 裕之
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.171-184, 2013 (Released:2013-09-11)
参考文献数
44
被引用文献数
2 3

【目的】プロバイオティクスを添加していないブルガリアヨーグルトの整腸作用を調べるため,ブルガリアヨーグルトの摂取による糞便中ビフィズス菌増加作用をランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験で評価する。【方法】女子学生62名をヨーグルト摂取群(ブルガリアヨーグルトを摂取する群)と酸乳摂取群(ヨーグルトと同じ乳成分からなる乳飲料に乳酸を加えてヨーグルトと同じpHとした酸性乳飲料を摂取する群)に分けた。両群ともに摂取前観察期(2週間),ブルガリアヨーグルトまたは酸乳を1日 100 ml摂取する摂取期(4週間:前半2週間,後半2週間),摂取後観察期(2週間)を設け,糞便中の腸内細菌叢の解析を2週間毎に行い,糞便中ビフィズス菌数を調べた。【結果】試験の除外対象者(過敏性腸症候群様の者,抗生剤の使用者等)および脱落者を除いた女子学生(ヨーグルト摂取群が20名,酸乳摂取群が25名)を評価対象として統計解析した。試験食品を4週間摂取した際の糞便中ビフィズス菌の生菌数は,酸乳摂取群に比較してヨーグルト摂取群が有意に高値となった。【結論】以上の結果より,ブルガリアヨーグルトの摂取によって糞便中ビフィズス菌数が増加し,腸内細菌叢が改善されることが示された。
著者
内田 勝幸 野口 裕司 荒川 礼二郎 橋本 佳子 五十嵐 康子 本多 秀雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.293-300, 1992 (Released:2007-02-13)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

塩酸アンブロキソール(アンブロキソール)の気道粘液分泌および肺表面活性リン脂質分泌に対する効果をそれぞれラットおよびモルモットを用いて検討した.気道粘液分泌に対しては組織学的および生化学的に検討した.アンブロキソールは用量依存的に気道のムコ多糖を増加させ,肥厚した杯細胞数も用量依存的に増加した.また,中性ムコ多糖も有意に増加し,組織学的には気管腺の肥厚およびPAS陽性物質の増加が認められた.このことは,アンブロキソールが気管腺においては漿液性の粘液分泌を亢進させることを示唆する成績と考えられた.一方,肺洗浄液中のホスファチジルコリンはアンブロキソール投与により有意な増加を示さなかったが,飽和のホスファチジルコリンが占める割合は有意に増加し,アンブロキソールの肺表面活性リン脂質の分泌亢進作用を示唆する成績であった.以上の結果からアンブロキソールの去痰作用の機序として気道粘液分泌および肺表面活性リン脂質分泌の亢進作用が考えられた.
著者
光山 慶一 増田 淳也 山崎 博 桑木 光太郎 北崎 滋彦 古賀 浩徳 内田 勝幸 佐田 通夫
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.143-147, 2007 (Released:2007-05-31)
参考文献数
15

プロピオン酸菌による乳清発酵物は,乳清をエメンタールチーズ由来のプロピオン酸菌で発酵させて製造したプレバイオティクスである.その主要成分である1,4-dihydroxy-2-naphthoic acidはビフィズス菌を特異的に増殖させ,腸内環境を宿主に有益な方向へ導くことが可能である.我々は,本食材が実験大腸炎モデルや潰瘍性大腸炎患者に有用であることを明らかにした.本稿では,これまでに報告されたプロピオン酸菌による乳清発酵物の特性について概説するとともに,潰瘍性大腸炎への治療応用について述べる.
著者
神田 博史 徳本 和佳子 坂本 季代恵 藤井 美智子 平井 裕子 山崎 和男 菰田 泰夫 中村 英雄 石原 茂正 内田 勝
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.1367-1374, 1985-04-25
被引用文献数
12

The MeOH extract of Ganoderma lucidum has an inhibitory action on histamine release from rat mast cells. From the physiologically active fraction of the extract, along with the known triterpenes ganoderic acids A and B, two new triterpenes were isolated and named ganoderic acids C and D. The structures of ganoderic acids C and D were determined to be 3β, 7β, 15α-trihydroxy-11,23-dioxo-5α-lanost-8-en-26-oic acid and 7β-hydroxy-3,11,15,23-tetraoxo-5α-lanost-8-en-26-oic acid respectively. Ganoderic acids C and D were shown to inhibit histamine release from rat mast cells. Quantitative analysis of these triterpenes was performed for the purpose of crude drug quality control.
著者
内田 勝也
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.810-818, 2013-02-01 (Released:2013-02-01)
参考文献数
15

情報システムの重要性は益々増大しているが,東日本大震災後の調査でも万一に備えた対応を考える事業継続計画の策定が必ずしも十分ではない。経営トップの無関心や最初から100%完璧な計画の策定を想定しているためとも思われる。本稿では,守るべき情報資産と事業継続を脅かすリスクについて考察した。主なリスクである大規模地震や台風・集中豪雨,テロ,その他(突発的大規模停電)について,事業継続を考える上で必要な事柄を過去の知見から得られた内容について考察した。事業継続計画の文書化に役立ち,机上や実践的訓練に役立てるものと考えている。文書化と訓練の相乗効果が,事業継続計画策定のキーポイントになる。
著者
森山 俊介 高橋 明義 天野 勝文 内田 勝久
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、成長ホルモン遺伝子が無脊椎動物に起源する仮説およびサケ成長ホルモンがエゾアワビ稚貝の成長を促進する発見に基づいて、軟骨魚類と無顎類の成長促進に関与するホルモン受容体を同定した。また、アワビの脳神経節にサケの成長ホルモン抗体に対する免疫反応陽性細胞群を検出し、その組織から成長促進因子および遺伝子を単離するとともに成長促進因子受容体を探索した
著者
白井 千香 内田 勝彦 清古 愛弓 藤田 利枝 上谷 かおり 木村 雅芳 武智 浩之 豊田 誠 中里 栄介 永井 仁美 矢野 亮佑 山本 長史
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.292-304, 2022-10-31 (Released:2022-11-18)
参考文献数
7

保健所は2022年 4 月時点で全国に468か所設置されており,「地域保健法(1994年)」に基づき,健康危機管理の拠点となる役割をもち,災害時や感染症対応には主体的に関わることになっている.新型コロナウイス感染症対応が始まってから,自治体はこの 2 年半,第 1 波から第 7 波の現在に至るまで,流行状況およびウイルス変異及び重症度等に応じて,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づき様々な感染症対応に模索を繰り返してきた.基本的には全国的に共通する感染症対応業務(相談,検査,発生届受理,入院調整,患者の移送,健康観察,積極的疫学調査,入院勧告や就業制限通知等)を行うが,都道府県単位で,感染症の発生状況や医療資源の違いもあり,具体的な業務内容や方法は全国一律ではなく,現実的には地域の実情により,それぞれの自治体で工夫されてきた.流行状況を振り返ると,第 1 波,第 2 波,第 3 波は全国的に行動制限を要請され,PCR検査の需要と医療体制の供給がミスマッチであった.新型コロナウイルスは変異以前の特徴として呼吸器機能を低下させる病原性を持ち,有効な薬剤やワクチンがまだ普及せず,診療可能な医療機関も不足していた.第 4 はα株で高齢者の施設内感染で医療提供が困難となり,第 5 波は東京オリンピックの後でδ株の変異ウイルスが主となり,首都圏での流行が目立った.第 6 波および第 7 波はο株が中心で感染性が高く,病原性は低いが感染者数の急増かつ膨大なため,保健所の能力を大きく上回る対応が求められた.全国的にどこの自治体でも保健所の負担軽減策について外部委託も含めて対応するようになった. 2 年半の間に厚生労働省からの通知も多く,全国保健所長会は要望や提言などの意見活動も行った.日本は自然災害の多い国であるが故に,健康危機管理として災害や感染症においては,保健所が平時から備えとしての仕組みづくりや危機発生時の対応,被害からの回復という過程において,主体となることが期待されている.新型コロナウイルス感染症対策で得た教訓を生かしパンデミックとなりうる感染症対策を地域単位で行っていくため,住民の命と健康を維持する「保健所」を,医療機関や福祉施設等と有機的に連携し,持続可能な社会の枠組みとして活かしていくことを提言する.
著者
早田 宰 寺尾 仁 久塚 純一 内田 勝一 麦倉 哲 平山 洋介 佐藤 滋 卯月 盛夫
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

2000年代世界で主要な潮流となっている都市再生政策の国際比較をおこなった。調査対象国は、イギリス:ロンドン(早田宰・内田勝一)、フランス:パリ(寺尾仁・久塚純一)、ドイツ:ベルリン・ハンブルク(卯月盛夫・秋山靖浩・平山洋介)、スウェーデン:ストックホルム(麦倉哲)、アメリカ:ニューヨーク他(平山洋介・佐藤滋・内田勝一)を分担した。全体として、(1)縮小都市化・低需要にともなう郊外減退地区問題(特にパリ大都市圏における郊外住宅地等)、(2)都市問題の質的変化、(3)社会、経済、住宅、教育、交通、都市デザイン等の包括化・統合化による地域開発の導入(ロンドン大都市圏、パリ大都市圏、ベルリン、ハンブルク等)、(4)空間戦略の変化と既存政策の文脈との関係(特にロンドンにおけるEUの空間戦略の消化)、(5)補完性原理導入とガバナンスの重層(EU-国-地方-都市-地区)の影響(特にロンドンのGLA等)、(6)とくに行政庁内さらに民間・NPO等の広域的・横断的プロジェクト推進組織の登場(ロンドンのGLA、ハンブルクの庁内改革等)、(7)新しい専門化像(特にハンブルクにおける街区マネージャー等)、(8)ステイクホルダー民主主義と政治力学の影響(特にニューヨークにおけるグラウンド・ゼロ再建等)、(9)次世代型グローバル投資の空間的連携、(10)資源マッチングの戦略化、(11)「新しい貧困」(特にストックホルムにおけるセグリゲーション等)の出現、など11の特徴が世界的傾向となっていること、およびその国ごとのコンテクストが明らかになった。研究成果を雑誌『都市問題』(東京市政調査会)に連続投稿した。
著者
内田 勝一 若松 武史 長田 重慶 嶋田 隆司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference
巻号頁・発行日
vol.2009, pp._114-1_-_114-5_, 2009

A positive displacement (PD) flowmeters has been used for long years as it can measure volumetric flow directly. Since features of PD's are most exerted in oil related flow measurements, in present society which environmental issues are emphasized, they are required for high accuracy fuel consumption measurements in transport equipment industry such as automotive industry, as well as assuming an important role in cross-border transactions. Also, in recent years, development of secondary standards for JCSS registration is an urgent need; verification of our Screw PD Flowmeter is made, corresponding to such necessity.
著者
最上 おりえ 内田 勝幸
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.81-87, 2012 (Released:2014-03-15)
参考文献数
15

Alamin 996 is a mixture of mineral contained in the milk whey and has been reported to be effective against dysmenorrhea This study aimed to investigate the effect of Alamin 996 on the prostaglandin F2α (PGF2α)-induced contraction in the isolated rat uterus. PGF2α induced the rhythmic contraction. The frequency of this contraction was concentration-dependently inhibited by Alamin 996, but the contractile force was not significantly affected. To clarify this inhibitory mechanism by Alamin996, the effects of BAY K 8644, Ca2+ channel agonist, and dantrolene, inhibitor of the calcium-induced calcium release from the endoplasmic reticulum, were tested. The inhibitory effect on the rhythmic contractile frequency by Alamin 996 was significantly and concentration-dependently attenuated by the addition of BAY K 8644, suggesting Alamin 996 did not affect on the smooth muscle contractile function. Even under the pretreatment with dantrolene, Alamin 996 concentration-dependently inhibited the rhythmic contractile frequency, suggesting no involvement of ryanodine receptor on the effect of Alamin 996. Alamin 996 was found to inhibit phospholipase C activity by in vitro study. The effect of Mg2+ containing Alamin 996 was tested. Mg2+ significantly and concentration-dependently inhibited the frequency of PGF2α-induced rhythmic contraction. Moreover, contractile force was also markedly inhibited, suggesting the difference of the inhibitory mechanism between Alamin 996 and Mg2+ sulfate. These results show that Alamin 996 inhibits the PGF2α-induced rhythmic contractile frequency without affecting the contractile force and that this inhibitory action mediated by inhibiting calcium release from the endoplasmic reticulum through phospholipase C may explain the utility of Alamin 996 against dysmenorrhea.
著者
赤塚 清矢 神先 秀人 内田 勝雄 永瀬 外希子 高橋 俊章 佐藤 寿晃 千葉 登 後藤 順子 藤井 浩美 熊谷 純 八木 忍 日下部 明
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
山形保健医療研究 : 山形県立保健医療大学紀要 (ISSN:1343876X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.29-34, 2013-03

生涯を通した健康づくりと総合的な介護予防の推進は,やまがた長寿安心プランの重点課題の一つとして掲げられており,急速な高齢化に向けた対策が急務である.本研究の目的は,我々が開発した介護予防体操の負荷の大きさと安全性を検討することである.日常生活が自立した地域在住者12 名を対象に,花の山形!しゃんしゃん体操(Ver.Ⅰ),新たに開発した介護予防体操(Ver.Ⅱ),対照としてNHKラジオ体操第一(ラジオ体操)を実施し,体操中の酸素摂取量を計測して比較した.その結果,Ver.Ⅰと比較しVer.Ⅱが、酸素摂取量,二酸化炭素排出量,代謝当量が大きく,Ver.ⅡはVer.Ⅰより負荷量が大きかった.呼吸商,呼吸数,心拍数,自覚的疲労度は3 つの体操において同程度であった.Ver.Ⅱは,心拍数や疲労感を上げずに負荷量を増加させることができ,高齢者や運動習慣のない者にとって安全で効果的な介護予防活動の手段であることが考えられた. キーワード:介護予防体操,酸素摂取量
著者
今村 宏 平谷 民雄 内田 勝久 山口 英世
出版者
日本医真菌学会
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.275-291, 1988

ピリミジン基を含む新しい3-ヨードプロパルギル誘導体である rimoprogin の <i>in vitro</i> 抗菌活性を同じ3-ヨードプロパルギル誘導体に属する既存の抗真菌剤 haloprogin およびイミダゾール系抗真菌剤として知られている isoconazole nitrate を対照薬剤として比較検討した結果, 以下の知見が得られた.<br>1) 本剤は広い抗菌スペクトルを有し, 酵母状真菌, 皮膚糸状菌, <i>Aspergillus</i> および類縁菌, 接合菌, 二形性真菌および黒色真菌を含むほとんどすべての病原性真菌に対してのみならず, グラム陽性細菌に対しても低濃度で発育阻止効果を示した. これらの菌群間で本剤に対する感受性を比較すると, 二形性真菌が最も高く, 次いで皮膚糸状菌, <i>Aspergillus</i> および類縁菌, 黒色真菌, 酵母状真菌, 接合菌の順であった.<br>2) 各種真菌に対する本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) は接種菌量および培養時間により, 軽度しか影響を受けなかったが, 培地pHによる影響は顕著にみられ, 酸性側で高い抗菌活性を示した. また血清の添加により抗菌活性は低下したが, その程度は対照薬剤に比べて軽度であった.<br>3) <i>Candida albicans</i> および <i>Trichophyton mentagrophytes</i> を rimoprogin 存在下で培養した場合, 2.5μg/ml以上の薬剤濃度では6時間以内に明らかな生菌数の低下が認められ, 本剤が感受性菌に対して殺菌的に働くことが示唆された.
著者
内田 勝也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.2219-2229, 2015-12-15

2012年11月に発生したストーカー殺人事件では,加害男性は被害女性の結婚後の名字や転居先市名を脅迫罪執行時に警察の逮捕状読み上げで知ったが,詳細な住所を知ることはできなかった.しかし,加害男性は詳細な住所調査を依頼し,それを受けた調査会社の経営者は被害女性の住所を聞き出すため,被害女性の夫を装い,当該自治体に電話をかけ,対応職員から正確な住所を聞き出した.この経営者は2014年1月に,逮捕された.たった1件の自治体からの個人情報漏えいが,殺人事件に至った.個人情報漏えいから殺人事件に発展した事例は,コンピュータ犯罪史上初めてではないかと思われる. 自治体への電話照会で大量の個人情報が漏れることは少なく,大きな事件・事故につながることはなかった. 自治体職員は個人情報を電話照会で教えた記憶がないと述べており,真相は不明だが,この経営者が大量の個人情報を保持し,自治体へ頻繁に電話をかけていたことを考えると高度な誘導質問術を駆使した可能性は高い. 本稿では,ソーシャルエンジニアの主要手法である誘導質問術等の観点から情報漏えいやその対応策としての教育・訓練について考察した.In November 2012, the stalker murder occurred in a local city of Japan. Because the victim married, and changed her address, the perpetrators man was not able to know the detailed address. The perpetrator man asked to get her detailed address to the executive of research firm. The executive was pretending to be victim's husband and made a phone call to the local government and got her exact address. The executive was arrested in January 2014. Only one personal information leakage from a local government led to the murder. Personal information leakage was developed into a murder case, probably, this is the first computer crime in its history. Staff of the local government have stated that there is no memory that he taught personal information over the telephone inquiry, the truth is unknown. Staff of local government said that there is no memory to divulging information. Because the executive has retained a large amount of personal information and has made the frequent telephone calls, he has likely made full use of the advanced elicitation. The executive has retained a large amount of personal information, so probably, he has used elicitation techniques. This paper introduces elicitation and examines an education and training for the countermeasure of elicitation.