著者
横田 雅子 家根 旦有 宮原 裕 松永 喬
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.653-658, 1991-12-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13

我々は1985年1月より1989年12月までに当科で診療した味覚障害患者, 男性55例, 女性56例, 計111例について統計的観察を試みた。重症度や治療は原因と関係が深く, その原因は口腔内病変, 頭部外傷, 感冒罹患後, 伝導路障害, 全身性, 嗅覚性, 薬剤性, 心因性, 脳血管障害, 原因不明である。この中で, 伝導路障害が最も多く (27%), 口腔内病変, 原因不明と続く。原因別の電気味覚閾値は, 頭部外傷と薬剤性で高く, 全身疾患や心因性では低い。電気味覚閾値と濾紙味覚閾値は比較的良好な正の相関を示し, 特に鼓索神経支配領域で相関性が高い。また亜鉛欠乏が検査し得た症例の60%以上で見られた。ZnSO4で治療した9例中8例で改善した。
出版者
日本オーストリア文学会
雑誌
オーストリア文学 (ISSN:09123539)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.11-19, 2017 (Released:2018-03-30)

第二次世界大戦終結から70年が過ぎ、同時代文学の担い手の中心は、戦争とホロコーストの体験者から、彼らの子・孫の世代に移りつつある。C・カドゥフとU・ フェダーらが「戦後文学の終わり?」(2)と掲げるように、戦争との関わり方が大きく異なる複数の世代を前にして、「戦後」文学というくくりはもはや必ずしも有効ではない。「『自身では経験していない(ohne eigene Erfahrung)』若い世代の文学がナチズムとホロコーストに取り組む際の固有な諸条件」(3)を明ら かにすること、またそれらの条件に方向づけられる語りの新たな枠組みや方法を探ることは、現代のドイツ語圏文学・文化研究における中心的な課題の一つとなっている。 「自身では経験していない」災厄についてどのように語りうるか、という問いの射程は、過去の記憶の保持・継承といった観点だけでなく、同時代の、場合によってはほぼリアルタイムで「経験」しうる災厄にも及ぶ。メディア技術の発達した今日、戦争やテロ、自然災害など、地理的には隔たった地の出来事であっても、情報を得たりリアクションを発信したりすることはますます容易になっており、その際の言葉の多くは「自身では経験していない」立場からのものとなる。 二〇一一年三月に発生した東日本大震災の際にも、国の内外から多くの反応が寄せられたが、エルフリーデ・イェリネクの演劇『光のない』Kein Licht(二〇一一)もまた、震災と原発事故に対する遠隔地からの応答の一つである。本論ではこのテクストを例に、「自身では経験していない」災厄について語る方途の諸相について考察する。
著者
苅山 靖 渡来 真人 図子 浩二
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.755-770, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1 4

This study aimed to clarify the importance of strength and jump ability of both the kicking and supporting legs for increasing the speed of a soccer ball during instep kicks at various approach speeds. Twelve male university soccer players performed instep kicks using different approach lengths (1 m, 3 m, 7 m, and free length). Maximal isokinetic and concentric muscular strength was measured in terms of knee extension/flexion, hip extension/flexion, and hip abduction/adduction using an isokinetic dynamometer. Jump ability was measured using countermovement jump, double-leg rebound jump, and single-leg rebound jump with the kicking leg and supporting leg. For the instep kick, kinematic and kinetic data were recorded using the Vicon T20 system (250 Hz) and force platforms (1000 Hz). The results of the analyses were as follows:   1.  The approach speed increased as the approach length increased. Moreover, the time between the moment when the foot touched the ground and the moment of ball impact became shortened, and the ground reaction force at all axes increased as the approach speed increased.   2.  Foot speed under all the approach conditions was correlated with hip extension and the abduction strength of the supporting leg.   3.  Foot speed for the 3 m, 7 m, and free-length conditions was correlated with the rebound jump ability of the supporting leg. Moreover, foot speeds for the 3 m, 7 m, and free-length conditions was correlated with hip adduction strength of the supporting leg.   4.  Similar results were obtained for relative foot speed (calculated by dividing foot speed by the speed of the body's center of gravity at the moment of ball impact).   5.  The rate of change in the relative foot velocity (for an approach of 1 m to 7 m) was correlated with the rebound jump ability of the supporting leg.   These results suggest that it is important to improve hip extension and the abduction strength of the supporting leg in order to increase the ball speed, regardless of the approach speed. In addition, it is important to improve the hip adduction strength, especially the rebound jump ability of the supporting leg in order to increase the ball speed when a high approach speed is employed.
著者
王 凱軍 鈴木 常良
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷法学 (ISSN:02864258)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.92-106, 2005-06

中国の主な河川、水域の水質汚濁が深刻化し、そのことが水資源不足を加速させている。都市汚水による環境汚染の拡大にともない、処理コストの高さ、余剰汚泥の大量発生および深刻な二次汚染などの問題が表面化してきた。中小都市の発展と都市化の進展によって汚水量が急増したが、現行の汚水処理方法では水汚染の抑制に限界があり、水質の悪化がさらに進むものと予想される。さらに、汚染が広がる中国各地の湖では、面源からの汚染負荷が負荷全体の五〇%以上に達している。化学肥料や農薬、畜産および都市生活などを中心とする面源汚染がますます深刻さを増し、点源問題の解決後の重要な環境課題となっている。本論では、中国が直面している水汚染と水資源不足の問題、面積が広く量が膨大な都市汚水問題とその処理技術、ならびに面源汚染に対する認識不足などの問題について検討を加え、それぞれの問題に対する解決策を提示した。
著者
小川 雄一
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業食料工学会誌 (ISSN:2188224X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.112-116, 2014-03-01 (Released:2017-03-27)
参考文献数
21
被引用文献数
1
著者
小野 将史 北野 隆
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.69, no.576, pp.157-162, 2004-02-28 (Released:2017-02-09)
参考文献数
15

This is a study on the repair of Kumamoto Castle by Kato Tadahiro (Kumamoto Castle Lord) for twenty years from 1612 to 1632 by studying the darwing "Higo-kumamotojoTyakuzu" in the Monjokan of Yamagutiken and "Kumamoto-yasikiwari-sitaezu" in the Library of Kumamotoken, the writing "Higo-uto-gunki" in the Li- brary of Utosi and the drawing "Utojo-zu" in "Higo-uto-gunki". The results are as follows; 1. Kato Tadahiro repaired the composition of Kumamoto Castle from for easts to west for three years from June, 1612 to June, 1615. 2. Kato Tadahiro moved Utojo-Tenshu from Uto Castle and made it Kumemotojo-Kotenshu in Kumamoto Castle for three years from June, 1612 to June, 1615. 3. The cause which Kato Tadahiro was confiscated Higo-koku was because he repaired Kumamoto Castle.
著者
岡田 信弘 新井 誠 徳永 貴志 木下 和朗 只野 雅人 赤坂 幸一
出版者
北海学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

(1)本共同研究の目的・課題:本共同研究は、密接な関わりを有する「議会と時間」をめぐる諸問題を国際的な視野で検討することにより、日本の国会が直面している議会審議と運営に関わる問題点を明らかにするとともに、それを解消するための方策を探究しようとするものである。平成30年度は、主に、外国(特にフランス)の研究者と日本の実務家との意見交換を通じて問題点とそれを解決するための処方箋の明確化に努めた。また、フランスでのワークショップの合同開催により、国際的な学術交流も試みた。(2)研究会の開催:平成30年7月に、フランス・サンテチエンヌ大学のDisant教授を本科研費で招聘し、北海道大学、慶應大学、同志社大学で「議会・時間・憲法院」の三者関係に関わる問題点についての報告をしてもらった。また12月には東京で、国会図書館と議院法制局の職員を招いて研究会を開催し、「議会運営における時間」をめぐる諸問題についての意見交換を行った。会期不継続の原則を廃止した場合の問題点など、研究者がなかなか気がつかない論点を知ることができ有益であった。(3)国際ワークショップの合同開催:平成31年3月に研究代表者と分担者が渡仏し、リール大学(テーマ:「議会と時間」ーフランスと日本の視点の交錯)とINALCO(テーマ:日本における民主主義、憲法及び議会)で研究成果の一部を公表するためのワークショップを合同で開催し、フランスの研究者や学生と意見交換を行った。フランスに限定されるが、日本の憲法や議会に関する国際的な情報発信を行うことができたように思う。
著者
片山 翔太
巻号頁・発行日
2018-03-22

Hokkaido University(北海道大学). 博士(医学)

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1898年11月09日, 1898-11-09
著者
橋井 一雄
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.538-550, 1985-06-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

This article relates to some technical aspects of oxygen application and handling safety based on the fundamental chemical and phisical properties, phsiolosical effect, analytical procedures, production processes, and shipment to a customer.
著者
薩本 弥生 丸田 直美 斉藤 秀子 諸岡 晴美
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.80-89, 2017-01-25 (Released:2017-01-27)
参考文献数
9

ブラジャー着装時のズレ防止や防振性の観点から,動作時の胸部動態や着装感に年齢・身体特性・ブラの種類が及ぼす効果を明らかにするために以下の実験を行った.被験者は若年群9 名(19-22 歳),中年群6 名(40-62 歳)を対象とした.胸部の身体特性を明らかにするため三次元画像解析による身体形状,胸部圧縮変形量,超音波画像診断による脂肪厚,衣服圧を計測した.振動やズレを計測するためにハイスピードカメラによる三次元動作解析を行った.ブラの着装条件は,補整ブラのワイヤ有とワイヤ無,スポーツブラ,ノーブラの4 種,運動は前方挙上(180˚)である.ハイスピードカメラによる三次元動作解析により動作時の乳頭点では,補整ブラよりスポーツブラの振動抑制効果が高く,中年群は若年群より振動が大きくブラによる差が小さいこと,中年群では脂肪厚が厚くカップサイズが大きい人ほど振動もズレも大きいこと,若年群では胸部の圧縮変形量が小さい人ほど振動が小さいことが明らかとなった.動作時の衣服圧は乳頭位とサイドパネルではスポーツブラが補整ブラよりも有意に小さいが,下部胸囲では逆だった.動作後の着装感評価でズレ感は振動感および快適感に相関があった.動作時には適度に下部胸囲位を圧迫したブラは振動やズレを抑えるため快適と感じると考えられる.
著者
正岡 徹
出版者
一般社団法人 日本造血細胞移植学会
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌 (ISSN:21865612)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.24-30, 2018 (Released:2018-01-15)
参考文献数
9

1960年代の白血病の死亡率は100%であった。我々は白血病が治るとは夢にも思わず,苦痛を少なく,見送ることが治療目標であった。大阪成人病センターで1963年成人急性白血病の治癒例を経験し,白血病治療の希望が生まれた。化学療法での効果が不十分で骨髄移植に進んだ。無菌室,成分採血,抗ウイルス剤,抗真菌剤,免疫抑制剤,コロニー刺激因子など多くの新薬の開発導入とともに適合同胞間骨髄移植は1984年から急速に成績が改善した。設立請願署名運動をうけて骨髄バンクが設立され,次いで臍帯血バンクも設立され,これの基盤強化を図る 「移植に用いる造血幹細胞の適切な供給の推進に関する法律」 も制定された。これには多くの方々の善意と支援がささえになっている。
著者
岩崎 賢
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.131-156, 2013-06-30

アステカ文明などの舞台となった古代メキシコ(メソアメリカ)では、「花」は地上のあらゆる生命に関する神話的起源の地「タモアンチャン」を表現する重要なシンボルであった。古代メキシコにおけるこの「花」の文化的宗教的意味について触れた研究は、既にいくつか存在する。しかし十六世紀前後に作成されたスペイン語・ナワトル語(アステカ人が使用していた言語)の文献資料を検討する中で、しばしばこの「花」の主題が「笑い」という主題と強く結びついていることに、筆者は気付いた。このことは従来の議論では、あまり注意されることのなかったことである。そこで本論では古代メキシコの宗教詩や神話における、「花」と「笑い」に関係する事例をいくつかとりあげ、さらに「笑い」の宗教的意味を探るために植民地期以降のメキシコ先住民の神話的伝承を検討することで、「笑い」が「花」と同様に、優れて宇宙創成的な意味を帯びた主題であったことを論じる。