著者
中山 剛
出版者
日本微生物資源学会
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.69-76, 2015 (Released:2016-04-13)
著者
松元 哲
出版者
農業技術研究機構野菜茶業研究所
巻号頁・発行日
no.5, pp.63-111, 2006 (Released:2011-03-05)

チャの遺伝資源の分類,評価技術の向上を目指して,phenylalanine ammonia-lyase (PAL) cDNAを単離し,PALをプローブに用いたRFLP解析の多型情報に基づいて,種間雑種であるチャツバキ,アッサム変種(Camellia sinensis var. assamica)と中国変種(Camellia sinensis var. sinensis)を解析した。チャと他の植物間でPALの塩基配列を比較したところ,セリ科,マメ科,バラ科植物などと相同性が高く,植物分類学上遠縁の単子葉植物のラン科やイネ科植物とは相同性が低く,さらに類縁関係が離れている裸子植物のマツとは最も低い相同性であった。植物種間のPALの配列の違いは,植物種の進化上の類縁関係を反映していた。PALは,多くの植物において多重遺伝子族を形成していることが知られているが,チャのPALは単一遺伝子としての存在が考えられ,日本の緑茶用品種では3種類の複対立遺伝子(A,B,D)が見出され,品種を5種類(AA,AB,AD,BD,DD)に分類することができた。BB型に該当する品種はなかった。DNA解析を目的とした,海外や国内でも遠方の採集ではDNA抽出操作までに試料の保存が必要である。実験試料の室温での保存法を検討したところ,エタノール中に葉を1週間程度保存することにより,RFLP解析に使用可能なレベルのDNAが抽出可能であった。さらに本保存法はDNA抽出がより難易なツバキ,チャツバキでも応用可能であった。PAL cDNAを用いたRFLP解析によりチャとツバキの種間雑種であるチャツバキ1~9号は,種子親である緑茶用品種‘さやまかおり’由来の断片とツバキ由来と推定される多型を有した。PALは種間雑種の確認においても有用なDNAマーカーであった。
著者
矢野 昌充 生駒 吉識 杉浦 実
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
no.4, pp.13-28, 2005 (Released:2016-05-13)

ヒトの血液中に存在する6種類の主要カロテノイドのひとつであるβ-クリプトキサンチン(β-cry)の主要供給源はウンシュウミカンである。ウンシュウミカンは我が国で最も多く消費される果実であるためβ-cryの血中高濃度者が多い。ウンシュウミカン生理機能研究の強化は国民の健康増進,カンキツ産業の発展の観点からも重要であり,果樹研究所を中心として取り組まれ多くの成果をあげてきた。β-cryの生理機能については諸外国の疫学研究からも多くの知見が集積し始めている。本稿では我が国で成果が上がっている試験管・動物実験レベルにおける発がん抑制,骨代謝改善,β-cryの血液中濃度を指標としたみかん産地における栄養疫学研究,β-cry供給源としての果実の重要性,カンキツにおけるβ-cry蓄積メカニズム解明,食品産業での利用また諸外国での疫学研究におけるβ-cryの疾病罹病リスク低減作用を中心に,β-cry研究最近の進歩の全貌を概説した。また,今後の研究についての課題を論じた。
著者
井村 隆介
出版者
日本生態学会暫定事務局
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.707-714, 2016 (Released:2017-04-06)

日本は狭い国土に110もの活火山が分布している世界でもまれな国である。とりわけ南九州には、多くの活火山があるだけでなく、姶良カルデラや鬼界カルデラなど多くのカルデラ火山が存在する。カルデラは過去の巨大噴火によって生じた凹地形である。カルデラを作る噴火は、日本全体では1万年に1回程度の割合で起こってきた。日本で最後に起こったこの規模の噴火は7300年前の鬼界カルデラの噴火である。カルデラ噴火はめったに起こらないが、もし起これば世界中が深刻な事態に陥る自然現象である。日本列島、特に南九州の自然は、カルデラ噴火による環境攪乱と言うよりも、深刻な破壊とそこからの再生の繰り返しによって作られたものと言える。
著者
中川 重年
出版者
神奈川県林業試験場
巻号頁・発行日
no.11, pp.39-43, 1985 (Released:2011-03-05)
著者
二宮 泰造 島田 武彦 遠藤 朋子 野中 圭介 大村 三男 藤井 浩
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.127-133, 2015 (Released:2015-09-10)

生産者や育成者権の保護に向けてカンキツの品種識別技術の確立が求められている。信頼度の高い科学的手法であるDNAマーカーによる品種識別技術の開発は,正確なカンキツの品種識別のために必須である。そこで,簡易な方法での品種識別が可能なCAPSマーカーによるカンキツの品種識別技術の確立をめざした。その結果,9種類のCAPSマーカーを33品種・系統に適用した遺伝子型を整理したCAPS遺伝子型データが得られた。このデータは,国内のカンキツの品種識別のための基盤的な情報となる。また,CAPS遺伝子型データから,最少マーカーセットを検出した結果,8種類のCAPSマーカーで33品種・系統のすべてを識別できることが判明した。さらに,遺伝子型データを利用して7種類の育成品種について,親子鑑定を行った。その結果,‘甘平’の花粉親は‘不知火’ではないことが明らかとなった。さらに解析を進めたところ,‘甘平’の花粉親はポンカンであることが強く推察された。
著者
深沢八郎
出版者
農林省農業綜合研究所
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.141-176, 1959 (Released:2011-09-30)
著者
池田 宏樹 豊岡 哲二 山田 宣良
出版者
香川大学農学部
巻号頁・発行日
vol.56, pp.9-14, 2004 (Released:2011-03-05)

農学、工学、環境科学の現場において土壌水分を簡易かつ迅速に測定する方法として、電子レンジ法,赤外線乾燥法、グリセリン抽出法の3種の方法の適合性を検討した。8種類の供試試料に対する乾燥過程の時間-水分曲線から判断した結果、総合的に見ると電子レンジ法が最適であり、電源が得られない条件ではグリセリン抽出法が、また高精度が要求される場合には赤外線乾燥法が適していることが判明した。
著者
新倉 聡
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.153-160, 2007 (Released:2011-01-21)

アブラナ科野菜における生殖形質の遺伝学的研究とその育種への展開。イネやコムギは世界的に見て、主食となる穀物であることに疑いはない。しかしヒトは主食を摂るだけでは、健康的でかつ文化的な食生活を送ることができない。現在世界中には数百種の野菜が存在し、副食として欠かせないものとなっている。その農業生産的側面としては、国内をとってみても、野菜作付け面積ではダイコン、キャベツ、ホウレンソウ等を筆頭に、多くの作付けが為されている。その中でアブラナ科は300属3000種から成る重要な作物種であり、Brassica napusに属する油糧用ナタネ、世界中で栽培されB.oleraceaに属するキャベツ、ブロッコリー、主に東アジアを中心に利用が為され多くの在来品種が発達している、B.rapaに属するハクサイ、カブ、ツケナ類ならびにRaphanus sativusに属するダイコン等約40種が特に重要品目として挙げられる。
著者
松山 淳子 畑 邦彦 曽根 晃一
出版者
鹿児島大学農学部演習林
巻号頁・発行日
no.34, pp.75-80, 2006 (Released:2011-03-05)

2001年5月から12月にかけて、鹿児島大学農学部附属高隈演習林(鹿児島県垂水市)の3林分と鹿児島市城山において、ホンドタヌキの新しい糞を採取し、その内容物を調査した。タヌキの糞には、植物の種子、果肉、組織、昆虫類、その他の節足動物、軟体動物、ほ乳類や鳥類の骨などが含まれていた。このうち、夏は昆虫を中心とした動物が多く含まれ、秋から初冬にかけて植物の種子や果肉の割合が増加した。糞に含まれる昆虫や種子の種類は林分間で異なり、市街地と接している城山では、人間の生活に関連していると考えられるプラムやウメの種子の他に、ビニールやアルミホイル、布なども回収された。これらの結果から、タヌキはその生息環境に応じて、その食性を変化させる能力を持っていると考えられた。人間との接触機会が増加しているタヌキの個体群の保全について考察した。
著者
木原 高治
出版者
東京農業大学
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.68-92, 2011 (Released:2012-12-06)

本稿では,地域社会における地方企業の役割や存立意義を明らかにするために,清酒製造業4社による地域活性化のための具体的な取り組みについて分析を行った。同族企業が多い地方企業の場合,その特徴として,有機的組織の積極面を生かした従業員志向の経営,顧客満足を目指した技術,販売,組織面でのイノベイティブな取り組みに見られる消費者志向の経営,株主への配慮を必要としない長期的な経営志向と地域社会への積極的な貢献意欲などをあげることができる。地方企業は地域社会との共生を基盤として共存共栄をしているが,そのガバナンスの基礎は地域社会を基礎とした多様な信頼関係に求めることができる。また,地方企業の諸活動は,地域社会の人々の生活実体を財やサービスの供給,雇用の受け入れ,地域貢献活動等の多様な側面から支えており,逆に地方企業は地域社会に存在している様々な資源や人間関係により支えられている。その相互のコミュニケーションを支える信頼関係の構築こそが,地域社会における地方企業の役割や存立意義につながるものである。
著者
安部 哲人
出版者
森林総合研究所
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.151-156, 2007 (Released:2011-07-26)

既存の文献から、キブシの性表現には曖昧な点があることが示唆されているが、野外でキブシの性表現を含む繁殖状況について研究された例はみられない。そこで、キブシの花の性表現、性差、訪花昆虫、結果率を筑波山の林縁個体群で2年間調査した。花の形態や性器官(花粉と胚珠)の有無、結実状況よりキブシは雌性両全性異株であることが示唆された。性差は花序当りの花数が雌で有意に少なく、結果率が雌で有意に高かったが、それ以外には有意差がなかった。両性花には胚珠があるものの、結実は非常に稀(ほぼ0.0%)であり、強制受粉を施しても結実しなかった。このため、キブシの両性花はほとんど雄として機能しており、本種は機能的にほぼ雌雄異株であると考えられた。また、一つの花序内に両性花と雌花が混在する花序が調査個体群外で1個体発見されたことから、キブシの性表現は安定していないものと思われる。一方、雌花は両年とも35%前後の結果率であり、強制受粉でも結果率が増えなかったことから花粉制限は起こっていないと考えられた。訪花昆虫はハエ類や単独性ハナバチが中心であり、春先の林縁環境でこれらの送粉昆虫が有効に機能していた。
著者
中善寺 涼 林 宇一
出版者
宇都宮大学農学部
巻号頁・発行日
pp.43-53, 2017 (Released:2019-06-21)

厚生労働省によると、死亡数は今後増加し、2039年に推計で約166万人とピークを迎える。今後死亡数増加に伴って葬儀件数の増加が見込まれ、葬儀では棺などで木材が利用されており、葬儀を通じた木材需要の拡大が期待される。一方で、葬儀における過去や現在の木材利用状況について扱った研究は、山田(2007)などで部分的に記述されているに限られる。そこで本研究では、葬儀における木材利用の中で、ほぼ必須とされる棺と、葬儀だけでなく追善供養にも用いられる卒塔婆について原料の変遷を明らかにすることを目的とする。棺の原料は当初、国産のモミを使用していたが、やがて南洋材などの外材利用が進み、また棺自体も1990年前半以降は中国で主に生産されるようになった。卒塔婆は、全国生産量の60~70%が東京都の多摩地域西部にあるa町周辺で作られており、原料はモミを使用し、当初は地元産を使用していたが、資源の枯渇に伴い周辺県から調達を開始し、現在は国産の他、欧州、中国などから輸入している。
著者
秋永 孝義 山城 嵩陛 田中 宗浩
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.199-206, 2013 (Released:2014-03-06)

近赤外およびFTIR分光分析法を用いて,沖縄県産泡盛の基本成分の非破壊品質評価モデルの開発を検討した。また,中赤外分光法を用いて泡盛の産地分級の可能性を調べた。泡盛の物性と化学成分測定の結果から,密度と粘度の供試材料間の差は確認されなかった。フーゼル油量,アルデヒド量,メチルアルコール量は微量しか検出されなかった。しかし,酸度は八重山地区の請福,宮之鶴,泡波が他の地区の試料より高かった。請福,宮之鶴,泡波を除いた試料では,酸度とpHの間にr=-0.82の相関が得られた。酸度とアルデヒド量の間にはr=0.52の相関が得られた。フーゼル油量,メチルアルコール量は北部から南部,離島の順に高い値を検出した。近赤外吸光度スペクトルを用いた各成分のPLS回帰分析の結果,すべての項目においてR=0.95以上の測定精度となった。FTIRの結果,フーゼル油量,アルデヒド量,メチルアルコール量,酸度,pHは,それぞれR=0.91,0.74,0.78,0.98,0.80の精度で予測可能であった。また,近赤外吸光度スペクトルを用いたクラスター分析により,泡盛の生産地域が分類可能であることが確認された。
著者
稲津 忠雄 佐々原 浩幸 大西 茂彦 松岡 博美 香川 典子
出版者
香川県産業技術センター
巻号頁・発行日
no.13, pp.76-80, 2013 (Released:2014-03-06)

オリーブ搾油残差,胡麻搾油残差を用い,糸状菌6株により製麹,乳酸菌7株により発酵させ,これら発酵物の機能性を評価した。胡麻搾油残差は麹消化により抗酸化性の付与を行うことができたが,オリーブ搾油残差については新たな機能性を付与することはできなかった。
著者
荒井 克祐
出版者
農林水産技術会議事務局
巻号頁・発行日
no.20, pp.22-26, 1971 (Released:2011-03-04)