著者
前岡 浩 松尾 篤 冷水 誠 岡田 洋平 大住 倫弘 信迫 悟志 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】痛みは不快を伴う情動体験であり,感覚的,認知的,情動的側面から構成される。したがって,知覚される痛みは刺激強度だけでなく,不快感などの心理的状態にも大きく影響を受ける。特に,慢性痛では認知的および情動的側面が大きく影響することが報告され(Apkarian, 2011),運動イメージ,ミラーセラピー,バーチャルリアリティなどの治療法が提案されている(Simons 2014, Kortekass 2013)。しかしながら,これらの治療は主に痛みの認知的側面の改善に焦点を当てており,情動的側面からのアプローチは検討が遅れている。そこで今回,痛みの情動的側面からのアプローチを目的に,情動喚起画像を利用した対象者へのアプローチの違いが痛み知覚に与える影響について検証した。【方法】健常大学生30名を対象とし,無作為に10名ずつ3群に割り付けた。痛み刺激部位は左前腕内側部とし,痛み閾値と耐性を熱刺激による痛覚計にて測定し,同部位への痛み刺激強度を痛み閾値に1℃加えた温度とした。情動喚起画像は,痛み刺激部位に近い左前腕で傷口を縫合した画像10枚を使用し,痛み刺激と同時に情動喚起画像を1枚に付き10秒間提示した。その際のアプローチは,加工のない画像観察群(コントロール群),縫合部などの痛み部位が自動的に消去される画像観察群(自動消去群),対象者の右示指で画像内の痛み部位を擦り消去する群(自己消去群)の3条件とした。画像提示中はコントロール群および自動消去群ともに自己消去群と類似の右示指の運動を実施させた。評価項目は,課題実施前後の刺激部位の痛み閾値と耐性を測定し,Visual Analogue Scaleにより情動喚起画像および痛み刺激の強度と不快感,画像提示中の痛み刺激部位の強度と不快感について評価した。統計学的分析は,全ての評価項目について課題前後および課題中の変化率を算出した。そして,課題間での各変化率を一元配置分散分析にて比較し,有意差が認められた場合,Tukey法による多重比較を実施した。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】痛み閾値は,自己消去群が他の2群と比較し有意な増加を示し(p<0.01),痛み耐性は,自己消去群がコントロール群と比較し有意な増加を示した(p<0.05)。また,課題実施前後の痛み刺激に対する不快感では,自己消去群がコントロール群と比較し有意な減少を示した(p<0.05)。【結論】痛み治療の大半は投薬や物理療法など受動的治療である。最近になり,認知行動療法など対象者が能動的に痛み治療に参加する方法が提案されている。本アプローチにおいても,自身の手で「痛み場面」を消去するという積極的行為を実施しており,痛みの情動的側面を操作する治療としての可能性が示唆された。
著者
豊田 正隆 勅使河原 可海
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.16, pp.405-410, 2007-03-02

同人誌即売会に参加するサークルは、即売会の直前に発刊情報をサークルのサイトで公開する場合がある。しかし、一般のサーチエンジンでは個人サイトで公開されて間もない情報を検索できない。我々は、個人の所有する計算機資源を利用して、簡易に構築・運用が可能な分散 Web 検索システムの研究を行っている。試作システムを用いて実験を行い、既存の商用サーチエンジンと比較しても、最新情報の検索に有利であることを確かめた。Some circles which participate a comic convention sometimes publish what they will distribute just the day before the convention. However, a general search engine which crawls the whole web cannot retrieve instantly such newly published information because of a trade-off relation between crawling range and frequency. In this background, we designed and developed a distributed web retrieval system focused on personal web sites. This system has features of utilization of individual computing resources and easiness to construct and to operate on the peer-to-peer network infrastructure. We evaluated by an experimental use and found that this system achieve better performance for retrieving fresh information than a conventional general search engine.
著者
春日 由美
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.157-171, 2000-03-10

本論文では,これまでの発達心理学・臨床心理学における研究や指摘などを振り返り,日本における父娘関係を考察するものである。主な内容は次のとおりである。(1)父娘関係は娘にとって2つの側面から重要であると考えられる。その1つは娘の人格形成の種々の側面への影響である。そしてもう1つは父親から娘への愛情面であり,それは娘にとって重要な心理的支えになると考えられる。(2)日本では父親も娘も,父親は娘にとって「やさしい」存在であると捉えている。またそのような日本における父親の「やさしさ」を,子ども達は「母親的やさしさ」であると感じている。けれども父親から娘への愛情は,母親から娘への愛情よりも距離を保った,「見守る眼」のようなものである。(3)娘の持つ父親イメージは,彼女達の両親の夫婦関係に影響を受ける部分がある。また家庭における父親が「大黒柱」としてイメージされることが,娘にとっての父親の魅力を高めていた。
著者
松井 剛
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.87-99, 2013

本論文は,「癒し」という流行語が社会に波及する中で生じた意味創造プロセスを,20年分の雑誌記事タイトル8033件のテキスト分析を通じて明らかにする.特に注目をするのは,マーケティングを通じて新しい言葉が普及する一方で,こうした言葉の流行に乗る形でマーケティング努力の模倣が生じるという相互作用である.またブームが生じた理由を説くメディアの「理屈づけ」が,こうした相互作用を強化する可能性も指摘される.
著者
筒井 敏彦 村尾 育子 河上 栄一 小笠 晃 Stabenfeldt George H.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.801-806, 1990-08-15
被引用文献数
1

繁殖季節における雄猫の androgen分泌状況を明らかにするため, 末梢血中 testosterone (T)の日内変動, 精巣静脈血と末梢血中における androgen量 [androstenedione (A), 5α-dihydrotestosterone (DHT), T]の関係について観察した. また精巣の組織学的観察によって造精機能についても検討した. 実験には自然採光下の猫舎内で飼育されている年齢2-3才, 体重3.5-4.0kgの雄猫9頭を用いた. その結果, 雄猫の日内における末梢血中T量は, 個体によって大きく変動していたが, 一定の傾向は認められず, episodicな分泌であった. 精巣静脈血中における androgenは個体によってかなりの差が認められたが, 左右の間ではほ等しかった. また3種 androgen量は, それぞれ精巣静脈血と末梢血の間で相関関係が認められた(A:P<0.01, DHT:P<0.05, T:P<0.01). 精巣の組織所見は, いずれの猫においても活発な精子形成が認められ, 各個体間において精細管径および各種精細胞数にも有意差は認められなかった.
著者
岸本 三香子 海野 知紀 田中 敬子
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.45-50, 2006

健常な女子学生38名(年齢19.8±0.9歳)を対象に, 難消化性デキストリンを含有したデザート飲料による排便状況に及ぼす影響を検討した.飲料摂取試験:は全6週間で, 非摂取(I期:1週間), 飲料摂取(II期:2週間), 非摂取(III期:1週間), 飲料摂取(IV期:2週間)とし, 難消化性デキストリンを5g配合した飲料を摂取させるシングルブラインド・クロスオーバー試験を実施した.対照飲料は試験飲料に配合した難消化性デキストリンを含まない飲料を用いた.試験期間中, 排便状況に関するアンケートを毎日, また排便意識に関するアンケートを1週間ごとに記入させた.その結果, 便秘傾向者(非摂取期間の1週間の排便日数が1週間に3日以下)において試験飲料の摂取により非摂取期間と比較して排便日数, 排便回数, 排便量いずれにおいても有意に増加し, 排便日数は対照飲料摂取期間と比較して有意な増加が認められた.排便意識調査からも飲料摂取により便秘の改善は明らかであった.
著者
小川 剛生 川﨑 美穏 出村 奈那恵
出版者
慶應義塾大学国文学研究室
雑誌
三田國文 (ISSN:02879204)
巻号頁・発行日
no.60, pp.120-160, 2015-12

図削除挿表はじめに一, 底本書誌二, 翻刻本文三, 興行時期・連衆四, 注釈五, まとめ
著者
高橋 哲也 中須賀 巧 赤松 喜久
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第3部門 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.43-51, 2010-09

本研究の目的は,恒常性のある「見る」運動(一点注視)と多様性のある「見る」運動(分散注視)が,それぞれクローズドスキルの運動学習に及ぼす影響を明らかにすることであった。本研究ではクローズドスキルの運動課題としてダーツを用いて行われた。Day1からDay3までの練習期間において,分散注視型の注視課題を与えた群の得点は低い値を示し向上もみられなかった。しかし,注視課題を与えずに行ったPost Test及び保持テストの得点がPre Testの得点を上回った。また,一点注視群の得点との間には逆転現象が見られた。本研究で得られた結果は,多様性注視課題をもって練習を行うことで,多様性筋運動による練習と同等もしくはそれに近い効果が得られる可能性があることを示唆している。The purpose of this study was to show clearly the effects of "closed observation" and "dispersed observation" give the motor learning of the closed skills. In this study we used darts as the motor task. During practice period, Day1 to Day3, "dispersed observation" group showed low scores and their scores didn't improve. However, in post test and keeping of skills test, their scores exceeded pre test and reversed "closed observation" group's. The results of this study showed possibility of to practice with "variability vision control" is equal or nearly to practice with "variability movement".
著者
于 澎
出版者
九州産業大学
雑誌
九州産業大学芸術学部研究報告 (ISSN:02867818)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.279-288, 2007

本文以中日両国的近現代絵画的比較研究為研究焦点,通過中国画和日本画的比較研究,考察両国絵画的題材、顔絵具、素材、構図、技法及色彩等各方面的相同点和差異点、〓試着将日本画的独特的造型思考、材料及技法与中国水墨画相融和,尋求拡展新的具象表現的可能性。為了更具体地進行比較,本論文将中日両国的花鳥画中的梅和菊的表現作為研究的中心。自古以来,具有清雅、高潔秉性和節操的梅和菊就是深受中日両国的文人和画家喜愛的表現題材,同時梅和菊也是中日文化交流的一大媒介。因此,通過対〓些作品的〓賞及比較,可以更深刻地理解中国画和日本画的特征。本論文的構成如下: 第一章,从歴史、文化、宗教等角度来分析中日両国人民対梅和菊的芸術表現意又和表現理由。第二章,則進一歩研究中日両国絵画史上以梅和菊為題材的代表作品和代表画家,通過比較中日絵画史的発展和変化,闡明近現代日本画形成的基礎。第三章,是本研究的重点,考察並論述了近現代日本画和中国画中梅和菊的表現,並从画材、技法、構図、色彩等方面対両国絵画的表現方法進行比較。第四章,通過比較近現代日本画和中国画関与梅和菊的表現,我〓試創作了以梅和菊為題材的作品,在本章,詳細介紹了各作品的創作意図、創作過程和方法、作品的構図及色彩的特征、表現技法及創作后的感想。通冠該比較研究,我衷心希望能為在中国美術理論和日本美術理論研究之間架起一座橋梁,而且希望能〓為現代東方絵画提示出一個新的発展方向,同吋也為中国画今后的発展提供一個良好的参考。