著者
寺田 伸枝 溝口 勲 河野 俊彦 林 豊
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.512-520, 1986

18ヶ月間にわたって, O<SUB>3</SUB> (0.1ppm) とNO<SUB>2</SUB> (0.3ppm) に単独, 複合暴露したラットの肺の病理学的変化について検討した。<BR>O<SUB>3</SUB>の単独暴露では, 1ヶ月後に, II型細胞の腫大と増加, I型とII型の中間型の細胞, 血管内皮細胞のpinocytotic vesiclesの増加, 肺胞壁間質の軽度の水腫が認められた。水腫液の貯留によって開大した組織間隙には, 離開した膠原線維と遊走細胞がみられ, air-bloodbarrierの肥厚を生じていた。3ヶ月後では, より進行した間 質の水腫が広汎に認められたが, 6, 18ヶ月後では消失する傾向にあり, また肺胞上皮の変化はほとんどみられなかった。<BR>0<SUB>3</SUB>とNO<SUB>2</SUB>の複合暴露では, O<SUB>3</SUB>単独暴露に比べ, 全暴露期間にわたって間質の水腫がより顕著に, かつ広汎に認められた。また中間型細胞が少数認められ, 肺胞上皮にも, 持続的な影響を及ぼしていると考えられた。
著者
馬場 美佳
出版者
北九州市立大学文学部比較文化学科
雑誌
北九州市立大学文学部紀要 (ISSN:13470728)
巻号頁・発行日
no.83, pp.1-20, 2014

日本近代文学における心理学の受容について、明治後期に移入された「情調」という概念に注目して考察した。主たる関心は、当時、翻訳・紹介されたドイツの心理学書における詳細な記述に依りつつ、「情調」を描く文学作品の解釈を試みることにある。「情調」の心理学の、創作方法への影響と同時に、批評への展開にも言及した。
著者
白木 与志也 武田 甲 岡本 保 北 宜裕
出版者
日本茶業技術協会
雑誌
茶業研究報告 = Tea research journal (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
no.115, pp.21-25, 2013-06

神奈川県の「足柄茶」は,2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う福島第1原子力発電所事故により放出された放射性セシウム(Cs)に汚染され,2011年5月に摘採された一番茶の生葉から当時の暫定規制値(500Bq/kg)を超える放射性Csが検出された。この規制値は荒茶などにも適用されたため,本県産の一番茶の大部分が出荷停止となり,生産者には大きな損害を与えることとなった。このような中で,筆者らはこれまでに,放射性Csは,茶の古葉及び枝に多く含まれていることや茶樹の放射性Csの低減については,古葉及び校を除去するせん枝が効果的であることを明らかにした。これらの知見をもとに,県内では生産者によるせん枝が実施された結果,2012年5月に摘採された一番茶では,放射性Cs濃度が飲用茶の基準値(10Bq/kg)以下となり,市場出荷が可能となった。ところで,日本における放射性物質に汚染された茶に関する研究は,1950~60年代に数例,今回の福島第1原発事故に関連した研究が数例ある他はほとんどなく,放射性Csの低減については,せん枝以外の報告はない。このような中で,放射性Cs濃度の高い部分を洗浄することにより,樹体の放射性Cs濃度を低減できる可能性が考えられ,モモでは樹皮洗浄による放射性物質の低減効果が確認されている。また,過去に日本で行われた研究では,茶葉の溶液浸漬による放射性物質の洗浄効果が確認されている。こうしたことから,本研究では,茶樹の高圧洗浄及び枝の酸・アルカリ溶液処理による放射性Cs濃度の低減を試みたので報告する。
著者
宗岡 寿美 田頭 秀和 辻 修 土谷 富士夫 矢沢 正士
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.73, no.9, pp.805-809,a2, 2005
被引用文献数
1

平成15年 (2003年) 9月26日午前4時50分ごろに発生した「平成15年 (2003年) 十勝沖地震」はマグニチュードM8.0かつ最大震度6弱の大地震であり, 農地・農用施設にも多くの被害が発生した。ここでは, 十勝管内で調査された十勝沖地震の農地被害状況を報告する。<BR>この地震に伴い液状化による噴砂現象が各地の圃場で認められ, 収穫直前の作物などに被害がもたらされた。これら噴砂土の物理的性質 (とくに粒度分布) は発生地域の違いにより異なっていた。また, 農地災害地区内の圃場を試掘調査することにより, 地震に伴う地すべりや地割れに起因して暗渠管の断裂や沈下といった被害が多く発生していたことなども確認された。
著者
西田 祐也 園田 隆 石井 和男
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp."2A1-B03(1)"-"2A1-B03(3)", 2010

Locusts and grasshoppers have powerful hind-legs which are adapted to produce jumps and kicks. It is reported that the desert locust (Schistocerca gregaria) which is about 50mm long can jump to the height of about 250mm at the peak. Hind-legs of locusts have special cuticle called "semi-lunar process" same as the spring. Locusts charge jumping force in semi-lunar process using own muscle before jumping. And, they can jump by instantaneously releasing the force. So, locusts obtain high jumping performance which is impossible by only own muscle, using semi-lunar process. The aim in this research is to develop high power joint mechanism by mimic jumping system of locusts. This paper reports how to produce high power in the mechanism.
著者
高浜 信行 Takahama Nobuyuki
出版者
新潟大学積雪地域災害研究センター
雑誌
新潟大学積雪地域災害研究センター研究年報 (ISSN:03877892)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.25-36, 1991-03

The author outlined several huge modern landslides in the northern part of the Central Japan. They are the 1947 Maseguchi, 1962-1964 Matsunoyama and Mizunasi, 1964 Kurumi・Kunimi and 1983 Uchiyama landslides and the presently active Takisaka, Tochiyama, and Kurumi・Kunimi landslides. The areas of the landslides are of the order of 10 m. The maximum depth of the slip surface is 135m of the Takisaka landslide. The triggers of these landslides are heavy rain fall, rapid and a great amount of snow melting, earthquake and artificial causes, but there are some landslides with unknown triggered. Fortunately, these landslides had no damage of human life, because of its slow movement. But, they had brought the severe and big damages of houses, roads, agricultural land, etc.. It is an important fact that they are reactivation of the huge ancient primary landslides. The present landslides have been strongly controlled by the primary landslides. Therefore, the investigation of the slip surfaces and cracks originated by primary landslides is a basic theme for the prediction and countermeasure of the secondary landslides.
著者
佐藤 時幸 樋口 武志 石井 崇暁 湯口 志穂 天野 和孝 亀尾 浩司
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.280-292, 2003-05-15
被引用文献数
7 10

秋田県北部に分布する天徳寺層,笹岡層の石灰質ナンノ化石層序調査結果は,峰浜地域の笹岡層最上部が更新世最初期に対比されるのを除けば,いずれの地域においても両層の年代は3.85-1.73Ma間の後期鮮新世に対比されることを示す.また,北極地域の急激な氷床拡大と関連する基準面Aは峰浜地域と柾山沢地域で天徳寺層・笹岡層境界に追跡されること,これら対比から,秋田地域の大部分が鮮新世末に陸化したことを明らかにした.この調査結果と,新潟,北陸地域の大桑・万願寺動物群産出層準との対比結果から,秋田県内の大桑・万願寺動物群産出層準が,更新世に対比される新潟・北陸地域とは明らかに異なることを指摘した.一方,日本海側地域石灰質ナンノ化石群集は北太平洋-北極海域で認めた群集と極めて類似し,暖海性種を伴う太平洋側地域と対立すること,その生物地理形態が大桑-万願寺動物群と共通することなどもあわせて明らかにした.
著者
佐藤 展之 本間 義之 川瀬 範毅
出版者
静岡県農業試験場
雑誌
静岡県農業試験場研究報告 (ISSN:0583094X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.49-57, 2002-12

2005年に全廃される臭化メチル代替技術の一つとして、従来からの土壌消毒技術である蒸気消毒に散水を同時に行うことで、省力かつ効果的に土壌深部の温度を上昇させる散水蒸気消毒方法について検討した。散水蒸気消毒は、蒸気管と散水チューブを地表に設置した後ビニルフィルムで全面を覆い蒸気送出後に散水を行う方法で、散水を行わない場合と比較して地下20cm以下の高温維持期間が長くなる。蒸気管としては従来の埋設式蒸気消毒法で使用していたホジソンパイプの他に、軽量で取り扱いが容易な布製のキャンバスホースやナイロンポリエチレン耐熱フィルム製のホースもより効果的に使用できる。また、うねを立て後の散水蒸気消毒は、地表面積を増加させ蒸気の熱を効率的に土壌に伝達でき、その後の散水による地下深部の温度上昇効果も高かった。
著者
伊藤 節子
出版者
日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.61-68, 2014-09-30

Kyoto is an international tourist city visited by 50 million people every year of tourists. Festival of the Middle Ages, which began in 1895 is up to date. While associated with the era Festival 1100 commemoration of the transmission in the middle of the period of the Heian era, I take into account to see the intention fundamental and (take the function of tourism that was used to "view" the word "sightseeing"). In addition, I tried to analyze changes in tourism that caused the change and the emergence of the Lord while comparing the citizens and organizations related to the management of age festival. Then, for the people in the face of the occurrence of these large design, the author revealed it.
著者
柴田 義貞
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.221-224, 2012-09-25

セシウムはカリウムと同族のアルカリ金属であり,両者の化学的・物理的性質はよく似ており,人体には約4,000Bqの放射性カリウムが常在している.2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震と随伴巨大津波によって,東京電力福島第一原子力発電所では全電源喪失の事態が発生し,運転中の原発3基では炉心溶融が起こり,運転休止中の1基でも冷却保管されていた大量の使用済燃料棒が破損し,1986年4月26日に旧ソ連で発生したチェルノブイリ原発事故による放出量の約10%の放射性物質が放出され,福島県をはじめとする広範囲の地域が放射性物質によって汚染されることとなった. チェルノブイリ原発事故で多数の小児甲状腺がん発生の原因となった放射性ヨウ素への被ばくは,政府が速やかに行った汚染原乳の出荷制限措置によって最小限に抑えられ,数か月後には被ばくの虞もなくなった.一方,セシウム137への被ばくについては,その半減期が30年と長期であるため,多数の人が将来の健康影響を懸念している. チェルノブイリ原発事故によるセシウム137の健康影響はこれまでのところ認められていないというのが大多数の研究者の考えであるが,福島原発事故後の日本ではスウェーデンのマーチン・トンデル(Martin Tondel)博士やベラルーシのユーリ・バンダジェフスキー(Yuri Bandazhesky)博士などごく一部の研究者の研究が過大に評価されており,インターネットや講演会などを通じての広報活動によって,一般住民に無視しえない影響を与えている. 本報告では,彼らの研究を統計的因果推論と現代疫学の視点から検討する.
著者
LogergistC
出版者
中央公論社
雑誌
自然 (ISSN:03870014)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.p95-99, 1983-06
著者
佐野 明人 林 祐史 サッチャポン クリッタナイ 松田 論 池俣 吉人 藤本 英雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp."1A2-A13(1)"-"1A2-A13(2)", 2010

In this study, the development of multi-role bipedal walker based on human-assisted passive walking is discussed. In this paper, the effect of upper body with non-linear spring characteristic is demonstrated. And, the bipedal walker with human-like appearance is developed. There is a close resemblance between human being and the developed bipedal walker.