著者
岡部 光伸
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.185-196, 1994-03-31 (Released:2017-08-31)

室町時代に日光山寂光寺の僧、覚源によって「釘抜念仏」が始められ寂光寺が念仏道場として発展すると共に日光修驗者によって「釘念仏」が諸国に伝えられた。釘念仏とは死者は生前の業により地獄に落ちると、体に四十九本の釘を打ちこまれ、その打たれる時の苦るしみからのがれる為に釘を抜くのであるが、釘一本抜くのに念仏一万遍を唱え、合計四十九万遍念仏を唱えるのである。この様な釘念仏は日光より全国各地に相承され上総の国にも今現在釘念仏として二つの地域で葬儀終了後、初七日の行事として行なわれており、日光寂光寺と上総の二地域の三地点に伝えられておる念仏について比較してみようとするものである。
著者
岡崎 千聖 逢沢 峰昭 森嶋 佳織 福沢 朋子 大久保 達弘
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.116-123, 2018-08-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
56

群馬県では県北部のみなかみ町において2010年に初めてナラ枯れが発生した。このような飛び地的被害を起こしたカシノナガキクイムシ個体群の由来について,隣接県から近年自然または人為的に移入した,遠方から人為的に移入した,在来由来の三つの仮説が考えられた。もし,移入個体群であれば遺伝的多様性の低下や遺伝的に遠い系統がみられると予想される。本研究ではこれらの仮説を遺伝解析に基づいて検証した。みなかみ町およびナラ枯れの起きている近隣6県において,カシノナガキクイムシ試料を採集し,核リボソームDNA,ミトコンドリアDNAおよび核マイクロサテライト(SSR)を用いて遺伝解析を行った。核リボソームDNAおよび核SSRの遺伝構造解析の結果,群馬個体群は福島や新潟と同じ日本海型の北東日本タイプに属したことから,南西日本から人為的に移入したものではないと考えられた。また,ミトコンドリアDNAと核SSRを用いて各個体群の遺伝的多様性を調べた結果,群馬個体群の遺伝的多様性は低くはなく,他個体群と違いはなかった。よって,群馬個体群は近年の移入由来ではなく,在来由来と考えられた。

2 0 0 0 OA Raynaud症候群

著者
竹宮 敏子 杉下 裕子 伊藤 綾子 立石 紀美子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.989-998, 1990-12-25
著者
浅野 直生 正井 克俊 杉浦 裕太 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.197-206, 2018 (Released:2018-09-30)
参考文献数
29

Facial performance capture is used for animation production that projects a performer's facial expression to a computer graphics model. Retro-reflective markers and cameras are widely used for the performance capture. To capture expressions, we need to place the markers on the performer's face and calibrate the intrinsic and extrinsic parameters of the cameras in advance. However, the tracmeasurable space is limited to the calibrated area. In this paper, we propose a system to capture facial performance using a smart eyewear with photo reflective sensors and machine learning technique.
著者
嘉田 由紀子
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1642, pp.56-59, 2012-05-21

5月5日に北海道電力泊原子力発電所3号機が定期検査のために停止したことで、国内で稼働する原発はなくなった。「原発ゼロ」を回避するため、政府は全国に先駆けて福井県の関西電力大飯原発3、4号機の安全性を妥当と判断、再稼働に向けて福井県や同県おおい町など原発を抱える自治体の同意を得るために動いていた。

2 0 0 0 OA 千虫譜 5巻

著者
栗本丹洲
出版者
巻号頁・発行日
vol.[3],
著者
中丸 智貴 合原 一幸 奥 牧人
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.261-264, 2016-05-01 (Released:2016-05-30)
参考文献数
10

近年ディープニューラルネットワークが多くの成果とともに再注目され, ディープラーニングに関する研究が改めて活発になっている. 特に多層ニューラルネットワークでは 学習に誤差逆伝播法が用いられるが, この手法は初期パラメータに非常に影響を受けやすいことも知られている. 本研究ではまずReLU (Rectified Linear Unit) を用いた 多層ニューラルネットワークにおいてXavier Initialization の改善を行った. さらに高次元数のニューラルネットワークについてもXavier Initialization の修正を行った.
著者
横須賀 誠
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

キンカチョウの鼻腔と嗅上皮の形態学的特性を解析した。また、行動観察でこのトリの餌好選性の有無、ニオイによる嫌悪学習試験の可能性を解析した。その結果、(a)他のスズメ目と同様に左右独立した1対の嗅神経束が存在し嗅球は左右区別のない単一嗅球であることが確認された。さらに (b)鼻腔の構造は単純である、(c)鼻腔の最後部に嗅上皮が存在する、(d)嗅上皮は嗅細胞、支持細胞、基底細胞で構成されている、(e)線毛と微絨毛を共存する嗅細胞が存在する、などを確認した。(f) ニオイ情報による嫌悪学習試験の成立は確認出来なかった。本研究によって、キンカチョウの嗅覚系の形態学的基盤を明らかにすることが出来た。
著者
友永 雅己
出版者
日本霊長類学会
雑誌
日本霊長類学会大会プログラム抄録集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.72-73, 2014

ヒトでは、同一の顔写真が上下に並べられた場合、下の方が太って知覚される(あるいは上の方がやせて知覚される)。この現象は北岡(2007)やSunら(2012)が独立に見いだされている。この現象を北岡(2007)は「顔ジャストロー効果」とも呼んでいる。これは、現象的にはジャストロー図形と同じ方向の錯視が生じているためである。最近、顔の内部の要素よりも輪郭線が重要であるという報告もなされているが(Sunら, 2013)、この顔ジャストロー効果がなぜ生じるのかについては、まだまだ不明な部分が多い。一つの可能性は、顔刺激の処理様式によるものであろう。また、比較認知科学的な観点からの研究も全く行われていない。そこで、本研究では、ヒトとチンパンジーを対象に、ジャストロー錯視と顔ジャストロー錯視について検討し、2種類の錯視の関係と種間差について検討した。タッチスクリーン上に2つの図形(長方形、ジャストロー図形、またはチンパンジーとヒトの顔写真)を上下に並べて提示し、より横幅の短い(やせた)方の図形を選択することが、チンパンジーおよびヒトの参加者には要求された。その結果、ヒトではジャストロー図形、ヒトの顔、チンパンジーの顔、いずれにおいても、従来報告されていた錯視(上の方がより短く/やせて知覚される)が見られたのに対し、チンパンジーでは、ジャストロー錯視のみが見られ、顔ジャストロー錯視は生じなかった。この結果は、ヒトとチンパンジーにおける顔処理のある側面における種差を反映しているのかもしれない。
著者
宇津 徳治
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.435-448, 1975-12-10 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

About 400 shallow earthquakes in central Japan occurring during 1967-1974 have been relocated using data supplied by the Japan Meteorological Agency and several university seismic stations. About 4200 P-residuals are obtained in the relocation. The residual is approximately normally distributed with a mean of 0.0sec and a standard deviation of 0.59sec. Therefore, the probability that a residual exceeds 0.4sec is 0.25. If the actual travel-time for paths crossing the focal region of an impending earthquake is increased by 0.4sec, the probability that an observed residual for one of these paths exceeds 0.4sec will be 0.50. Let R denotes the ratio of the number of paths with residuals larger than 0.4sec to the total number of the paths crossing a certain region. The R-values for the focal regions of the central Gifu earthquake of 1969 (M=6.6), the Izu-hanto-oki earthquake of 1974 (M=6.9), and other 24 earthquakes of smaller magnitudes during some time-intervals before the occurrence of them have been determined to be about 0.5 or more. These values suggest the decrease in P-velocity before the earthquakes. A map has been made showing the distribution of R-values in 204 areas of 0.2°×0.2° in central Japan. Significantly high R-values are found in the areas containing the focal regions of the above-mentioned two earthquakes in the maps covering certain periods before the earthquakes. However, there are many other areas of high R-values, which are not connected with the occurrence of large earthquakes until now. Most of these areas may correspond to inherent low-velocity regions in the crust.
著者
今野 洋子 尾形 良子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-10, 2009

本研究は,大学生が関わる動物介在教育(Animal Assisted Education,以下AAEと表記する)実践として,大学祭において実施した「猫カフェ」における体験が,来場者の気分に及ぼす影響を分析することを目的とした。大学祭における猫カフェに訪れた計114名(男性30名・女性84名,平均年齢21.0±6.83歳)を対象に質問紙調査を実施し,以下の諸点を把握した。1.来場者の86.0%に動物の飼育経験(26.5%に猫の飼育経験)があり,動物に興味関心のある者が猫カフェに訪れた。2.猫カフェでの体験は,「触った」(72,8%),「見た」(65.8%)が多く,「一緒に遊んだ」(19.3%)や「抱っこした」(7.0%)は少なく,「抱っこした」者には,猫の飼育経験を持つ者が多かった。3.来場者の感想の「かわいかった」(71.1%)から猫の愛らしさ,「癒された」(63.2%),「和んだ」(60.5%)等からリラクセーション効果,「ふわふわしていた」(50.9%)「やわらかかった」(44.7%)等からのリラクセーションに結びつく触感,「楽しかった」(34.2%)「うれしかった」(30.7%)から喜びが得られた。4.猫を「触った」「抱っこした」「一緒に遊んだ」者は,直接的な触感の心地よさやリラクセーション効果が得られたが,猫を「見た」だけでも,リラクセーション効果が得られた。5.「猫カフェ」という場で初めて出会った猫に対して,来場者はリラクセーション効果を得,喜びを感じていた。6.猫カフェで過ごしたことによって,動物を飼いたいと思う者が増加した。これらの結果から,「猫カフェ」滞在型AAEは,初めて会う猫であっても,来場者の気分に影響を及ぼし,リラクセーション効果につながること,および動物飼育に対する興味関心が高まることが示された。How people feel when they visit a cat caf? Students held a cat cafdesigned for AAE (animal assistededucation) at a university festival. Participants were 114 guests (84 women and 30 men: mean age 21 years)who visited the cat cafand responded to a questionnaire. The results indicated the following. From thesample, 98 guests (86.0%) had kept a pet and 26 (26.5%) among them had kept cats. In the caf, 83 guests(72.8%) touched the cats, 75 guests (65.8%) watched the cats and 22 guests played with the cats, whereasonly 8 guests held the cats in their arms. The guests had feelings such as "cats are lovely," " felt healed bycats," " felt harmonious with cats," "cats were light," " cats were soft," "were happy with cats," and "werejoyful with cats". These feelings were indicative of relaxation. Even those who interacted with cats for thefirst time in the cat caffelt relaxed. The guests tended to want to keep pets as a result of the experienceof visiting the cat caf
著者
佐野 雅己
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.793-797, 1995-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
11

地震現象などに見られるように,破壊は,通常不規則で一旦起こるとその挙動は予測できない現象と思われている.しかし,適当な実験系を作ることにより亀裂の進展がほぼ完全に制御できるだけでなく,条件を変化させると自発的に,直線亀裂,振動亀裂,カオス的亀裂,分岐亀裂へと順次転移していく現象が明らかになった.ここでは,その現象の普遍性と非線形動力学の関係について説明し,多数の亀裂が相互作用する時に現われる周期亀裂パターンと岩石破壊の関係,さらに複雑な破壊パターンに対する今後の課題などについて述べる.
著者
千田 有紀
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.91-104, 1999-06-30
被引用文献数
2

本論文では, 日本の家族社会学の問題構制をあきらかにする。家族社会学そのものをふり返ることは, アメリカにおいては, ロナルド・ハワードのような歴史家の試みが存在しないわけでもない。しかし日本の家族社会学自体が, どのような視座にもとづいて, 何が語られてきたのかという視点から, その知のあり方自体がかえりみられたことは, あまりなかったのではないかと思われる。<BR>日本の社会科学において, 家族社会学は特異な位置をしめている。なぜなら, 家族研究は, 戦前・戦後を通じて, 特に戦前において, 日本社会を知るためのてがかりを提供すると考えられ, 生産的に日本独自の理論形成が行われてきた領域だからである。したがって, 日本の家族社会学の知識社会学的検討は, 家族社会学自体をふり返るといった意味を持つだけではなく, ひろく学問知のありかた, 日本の社会科学を再検討することになる。さらに, 家族社会学は, その業績の蓄積にもかかわらず, 通史的な学説史が描かれることが, ほとんど皆無にちかかった領域である。そのことの持つ意味を考えながら, ある視角からではあるが, 家族社会学の理論・学説の布置連関を検討する。