著者
玉蟲 敏子 相澤 正彦 大久保 純一 田島 達也 並木 誠士 黒田 泰三 五十嵐 公一 井田 太郎 成澤 勝嗣 野口 剛 畑 靖紀 吉田 恵理
出版者
武蔵野美術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

朝岡興禎編『古画備考』原本(1850-51年成立、東京藝術大学附属図書館)に集成された書画に関する視覚・文字情報の分析によって初めて、自身の見聞や親しい人脈から提供された第一次情報に基づく出身の江戸狩野家、同時代の関東や江戸の諸派は詳細である一方、上方については一部の出版物に頼り、浮世絵も最新の成果が盛り込まれていないなどの偏向性が確認され、朝岡の鷹揚なアカデミズムの視点から、近代における美術史学成立直前の都市・江戸で開花した書画趣味の実態、価値観、情報の伝達経路を浮上させることに成功した。
著者
島村 麻子
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.67-73, 2011-07-20 (Released:2013-01-04)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Anicom, the leading pet insurer in Japan started its operation 12 years ago, and currently holds almost 400,000 pet insurance policies in force. Insurance claim data could provide epidemiological information. We tried to investigate the prevalence of disease with analysis of the above data. All insurance claim data of 217,150 dogs (male 115,192 and female101,958) contracted with Anicom pet insurance from April 1 2008 to March 31 2009 were used for the research. The high incidence of insured dogs in Japan is 20.9% in Ear Diseases, 19.7% in Dermatologic Diseases, and 15.6%in Gastrointestinal Diseases. The incidence of foreign body ingestion was significantly different; 3.7% in puppies under one year of age, 2.2% in 1 year old, and under 1.4% in 3-10 years old. It is considered that the pet insurance data would provide the tendency of disease in dogs. Further, it will be required to develop effective sampling methods for more valuable data to research on the better treatments and prevention of animal diseases.
著者
古市 崇雄 池内 隆夫 大矢 啓三
出版者
香川県農業試験場
巻号頁・発行日
no.56, pp.43-49, 2003 (Released:2011-03-05)

1.「さぬきのめざめ」は香川県農業試験場で選抜した雌株「No.17」と雄株「No.16」との単交配による交雑品種であり、萌芽が極めて早く、若茎の開頭が遅く、収量性の高い品種である。2002年7月に種苗法に基づき、品種登録の出願をおこなった。2.「昭和58年度種苗特性分類調査報告書:アスパラガス」による特性分類では、植物体の草丈、茎の第1側枝高の高さはやや高い。収穫若茎は茎色がやや淡緑、茎のアントシアニンの発現がやや多く、茎数が多い。若茎頭部の色は緑、頭部のしまりは緊、開頭の早晩は晩である。低温要求性は低く、萌芽の早晩は極早生、越冬性と低温伸長性は高い。3.「さぬきのめざめ」における春芽の萌芽は「ウェルカム」や「メリーワシントン500W」に比べて施設栽培で1週間、露地栽培で2か月早い。品薄・高単価な12月下旬から収穫が可能で、収穫期間を通じて収穫物の外観品質が優れることから、春芽どりの増収や夏芽の秀品率向上が期待できる。
著者
土岐 文乃
巻号頁・発行日
2012 (Released:2013-12-25)

筑波大学博士 (デザイン学) 学位論文・平成24年1月31日授与 (甲第5960号)
著者
林 衛
出版者
黒部川扇状地研究所
雑誌
黒部川扇状地研究所研究紀要
巻号頁・発行日
vol.38, pp.36-45, 2013-03-31

東京電力福島第1原子力発電所で、複数の原子炉の核燃料が冷却不能になり、飛散した放射性物質が、東北地方から関東地方を中心に広範な環境汚染をもたらした。過酷事故は、広範な放射能汚染をもたらすとともに、何万人から何十万人あるいはそれ以上の人びとの生活基盤を破壊する。世の中をよりよいものにしようとする人びとのさまざまな日常の営み農業も漁業も、将来世代のための子育てや教育活動も努力の成果をだいなしにしてしまいかねないのだ。専門家として尊重されているはずの科学者たちが、道をふみはずし、世の中を混乱させ、地域社会に分断をもたらす。これが原発過酷事故の本質だろう。富山県は、北陸電力志賀原子力発電所の風下に位置する。偏西風、季節風、局地風が影響して風下に放射性物質が流れる現実からみて、北西の季節風がまだ強かった冬の終わりに、太平洋岸で日本初の過酷事故が生じたのは不幸中の幸いであったといえる。二度と悲劇を繰り返さない道を検討する。
著者
長田 典子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.348-353, 2010
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
神田 愛子 カンダ アイコ Kanda Aiko
出版者
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
雑誌
一神教世界 = The world of monotheistic religions (ISSN:21850380)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-32, 2014-03-31

12世紀のユダヤ思想家マイモニデス(1138-1204)は、スペインのコルドバでラビの家系に生まれ育った。当時この地域はムワッヒド朝(1130-1269)下にあり、迫害を逃れるため一家はアンダルス南部と北アフリカを流転、モロッコのフェズ、イスラエルの港町アッコを経てカイロ旧市街フスタートに定住、自身はアイユーブ朝(1171-1250)の宮廷医となる。彼の著作には、アンダルス時代の『論理学』(Maqāla fī ṣināʿat al-manṭiq)や、ユダヤ暦に関する『置閏法』(Maʾamar ha-ʿibbur, 1157/1158)、転居後に執筆した『ミシュナー註解』(Pirush ha-mishnayot, 1161-1168)、『イエメン書簡』(Iggeret Teman, 1172)、『ミシュネー・トーラー』(Mishneh Torah, 1168-1177)、また哲学的著作『迷える者の手引き』(Dalālat al-ḥāʾirīn, 1185-1191)、『復活論』(Maʾamar tehiyyat ha-metim, 1191)の他、地中海沿岸のユダヤ共同体に書き送ったレスポンサや書簡が残存している。イスラーム王朝興亡の只中にあって、ユダヤ人のラビとして、またイスラーム王朝の宮廷医として、彼の遍歴が彼の著作にどう反映したのかを、『イエメン書簡』を中心に考察する。Moses Maimonides was born and grew up in Cordoba, Spain. At that time, Al-Andalus was under the control of the Almohad (1130-1269). Maimonides' family moved around Southern Spain and North Africa, through Fez and Acre, and finally settled in Fustat. He became a physician of the Ayyubid (1171-1250). His works include Treatise on the Art of Logic (Maqāla fī ṣināʿat al-manṭiq) and On the Jewish Calendar (Maʾamar ha-ʿibbur, 1157/1158), written during his stay in Al-Andalus; Commentary on the Mishnar (Pirush ha-mishnayot, 1161-1168), Epistle to Yemen (Iggeret Teman, 1172), and MishnehTorah (Mishneh Torah, 1168-1177) written after he settled in Fustat. His philosophical works include The Guide of the Perplexed (Dalālat al-ḥāʾirīn, 1185-1191) and The Treatise on Resurrection (Maʾamar tehiyyat ha-metim, 1191). Other works of Maimonides are responsa and epistles sent to the Jewish communities in the Mediterranean region. This essay will examine how his biography and the socio-political environment affected his works, in particular, Epistle to Yemen.
著者
一小路 武安
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.72-89, 2016-03-20 (Released:2016-08-29)
参考文献数
34

本研究は日本のアニメーション産業の確立した既存企業を事例に,3DCG(新技術)と手描き(既存技術)を組み合わせるハイブリッド製品の開発マネジメントに関して,ハイブリッド技術構造構築,技術者間融和という二つの課題をいかに克服するかという観点から分析を行った.結果として,新技術部門マネジャーが主に前者に対して貢献し,既存技術に熟達しながら新技術への積極性ももつ“適応的技術者” が主に後者に対して貢献していることが明らかになった.
著者
相澤 亮太郎
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2003年 人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
pp.20, 2003 (Released:2003-12-24)

かつて人文主義地理学が扱ってきた主体の内面性や情緒性は_丸1_場所本質主義的である_丸2_場所のダイナミズムを捉えられない_丸3_主体の知覚を超えた範囲からの影響を扱いきれない、などの批判を受けてきた。だが、たとえば地域対立やナショナリズム、またはまちづくりにおける住民参加の問題などを考えれば、主体と場所の情緒的な関係であっても無視することはできない。それらの問題を乗り越えるために、本研究では地蔵を事例としながら、記憶を媒介として場所が再生産される過程を描き出すことを目的とする。 1995年の阪神大震災以後は、地蔵が震災復興における象徴的な存在としてメディアにしばしば取り上げられてきた。都市インフラや住環境などの物的環境の復興ではなく、文化的・精神的なものの復興を象徴する存在として、地蔵は震災後に「再発見」された。地域住民にとって地蔵の意味は極めて多様であるが、地蔵の由緒が不明なものが多いにも関わらず祭祀が継続されているのは、特筆すべき点である。震災犠牲者の慰霊や現代的な御利益など、新たな意味や記憶が付与されながら、地蔵祭祀は継続されている。地蔵祭祀は廃れゆく伝統習俗であるとは一概に言えない。ただし当初の祭祀者を失った地蔵は、像そのものが残存しても、固有の記憶は残らない。地蔵をめぐる祭祀組織や所有形態、設置場所等が柔軟に変化しながらも、地蔵祭祀は継続されている。 地蔵は、場所と記憶の再生産装置として機能する側面を有しているが、地蔵そのものだけを取り上げて、安易に場所や記憶の再生産装置であると位置づけることはできない。地蔵祭祀は、場所の変化や社会状況に合わせて変化していく。場所が社会的構築物であるならば、地蔵も社会的に構築/再構築される存在であると考えられる。
著者
小林 和弘
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1249, pp.137-140, 2004-07-05

江角マキコさんの事件をきっかけに大きくクローズアップされた年金未納、未加入の問題。そして年金保険料を使った福祉施設や情報管理の問題、直近では元長官が逮捕されるなど、この半年ぐらい、社会保険庁は多くの方から批判を受けてきました。いずれも社会保険庁に対する信頼を損なうことばかりです。
著者
塚本 潔 池田 正孝 野田 雅史 山野 智基 小林 政義 濱中 美千子 馬場谷 彰仁 木村 慶 宋 智亨 今田 絢子 内野 基 池内 浩基 冨田 尚裕
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.450-456, 2018-04-20

【ポイント】◆根治性と機能温存の観点から,家族性大腸腺腫症に対して大腸全摘・J型回腸囊肛門吻合術が標準術式とされている.◆肛門側操作で確実な粘膜切除と括約筋温存を心がけることで根治性と機能温存が両立される.◆1期的手術や腹腔鏡手術の有用性が期待されるが,いまだ十分なコンセンサスを得たものではなく,専門性の高い術式であるという認識をもつことも必要である.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画(Flash形式)を見ることができます(公開期間:2021年4月末まで)。
著者
岡 良和
雑誌
人間と環境 電子版 = Journal of Human Environmental Studies. Electronic Edition (ISSN:21858373)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-10, 2017-03-31

英語句動詞come across には「(偶然)出くわす」という意味がある。この意味においてはcomeが本来有している「移動」という意味特性が希薄になっている。本論文では、場所や時に関する直示語であるhere とnow が有する特性をもとに、come との意味的関係を明らかにすることで、come across の意味拡張プロセスをたどることを目的とする。
著者
鶴田 拓真 冨田 悠登 石川 智也 Gusman Aditya 鴨川 仁
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

M7以上クラスの地震に伴う津波発生後約9分以降に津波源の赤道方向にTEC上昇が見られたのち、津波電離圏ホールと呼ばれるTEC減少がおきる。2011年M9東北地方退避栄養沖の場合、23分後に津波電離圏ホールが最大規模となった。津波電離圏ホールにおけるTEC最大減少率のは最大初期津波高と相関があることが知られている [Kamogawa et al., Scientific Reports, 2016]。津波電離圏ホールは津波発生領域をおおまかに示していることから、TECのリアルタイム空間観測で早期津波予測が期待できる。一方、TIHの前には、津波発生領域の赤道方向に、TEC上昇がみられる。本研究では、この初期TEC上昇率と最大初期津波高には相関がみられることを示した。この初期TEC上昇はマグニチュードに関わらず約10分で最大に達することから電離圏ホール検知前の情報でも簡易的な早期津波予測が可能とみられる。
著者
中島 啓光
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

金属を高濃度で蓄積する地衣類ヤマトキゴケまたはオオキゴケを国内11府県で採集、金属分析を行い、黄砂の影響を調べるための基礎データが得られた。二次代謝物を分析したところ、ヤマトキゴケはCu濃度が高いほど二次代謝物濃度が低く、Cu汚染の影響を受けていることが示唆されたが、オオキゴケにはそのような相関が見られず、二次代謝物へのCu汚染の影響に違いが見られた。また、金属を高濃度で蓄積するコケ植物イワマセンボンゴケの金属分析の結果、Ca濃度とK濃度の間に負の相関関係が見出され、過剰なCaによるK取り込みの抑制が示された。以上から、これらのコケに対する金属汚染の影響についての理解が深まった。