著者
田中 潔 五十嵐 透 三橋 啓了
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.11, pp.2120-2125, 1985-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

2,2,2-トリクロロ-5-トリフルオロメチル-2,2,2,3-テトラヒドロ-1,3,4,2-オキサジアザホスホールと種々の求核試薬との反応から,2-位に対応する置換基をもつ新規テトラヒドロオキサジアザホスホール誘導体を合成した。たとえば,TMS-p-クレゾールなどの酸素求核試薬との反応では2,2,2-三置換テトラヒドロオキサジアザホスホール誘導体が得られるのに対し,N-メチルアニリンとでは塩素原子を一つ残した2,2-二置換2-クロロテトラヒドロオキサジアザホスホールが,またp-アニシジンとではテトラヒドロオキサジアザホスホール環をもつホスファゼンが得られた。また,トリクロロテトラヒドロオキサジアザホスホールをNt-フェニルトリフルオロアセトヒドラジドと反応させ,二つのテトラヒドロオキサジアザホスホール環で構成された,リンをスピロ原子にもつ新規スピロ環化合物を合成した。以上得られたテトラヒドロオキサジアザホスホール誘導体の構造についてリンの化学シフト値を基に考察した。また他のスペクトルの結果についても考察した。
著者
三橋 秀基 梶山 浩 野島 美久
出版者
日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症 (ISSN:03894290)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.137-142, 1999-05-31 (Released:2010-04-12)
参考文献数
16

Sulfite is a major air pollutant which can cause inflammatory reactions in the respiratory tract characterized by an influx of neutrophils. In addition, sulfating agents are widely used in the food and beverages industries as antimicrobials or antioxidants. Sulfite is also an important intermediatory compound in the metabolic pathway from sulfur containing amino acids to sulfate in mammalians. Human serum contains some amounts of sulfite. But the production and physiological role of sulfite in mammalians are still unclear. We have recently shown that human neutro-phils produced significant amounts of sulfite in vitro in response to lipopolysaccharide (LPS) stimulation. In a rat model of sepsis induced by in vivo injection of LPS, sulfite concentration in serum was significantly increased. These results suggest that sulfite can be actively generated by mammalian cells in vivo and in vitro. In this brief review article, we discuss a potential role of sulfite as an endogenous mediator of inflammation.
著者
村田 裕 浅見 和弘 三橋 さゆり 大本 家正
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.63-79, 2008 (Released:2008-09-10)
参考文献数
28
被引用文献数
9 8

78年間,維持流量が設定されていなかった高梁川水系帝釈川ダム下流に,2001年7月から2003年3月にかけて順次0.1m3/s,0.2m3/s,0.348m3/sの維持流量が放流され,2003年3月14日からは再開発事業に伴う工事によりダム流入量=放流量(自然流況:2∼4m3/sが多い)となった.維持流量0.1m3/s放流により瀬切れはなくなり,流況改善に伴い流水が回復した.流況改善に伴う生物群集の対応を把握するため,糸状藻類,魚類,底生動物の変化を追跡した.糸状藻類は,維持流量放流後は,流量が一定のため繁茂したが,自然流況となり流況変動が大きくなると,剥離が進み減少した.魚類は,維持流量放流時(調査時の流量0.1m3/s,0.2m3/s)と自然流況時(調査時の流量4.0m3/s)を対比したが,自然流況後,平瀬を好むオイカワが減少し,魚類によっては生息環境の減少につながると考えられる.魚類全体としても,帝釈川ダム下流は,種数,総個体数が増加することはなかった.底生動物は,2002年2月の第1回調査では,ダム下流でカワニナなどが優占し,種数,総個体数,多様度指数も低かったが,流況改善1年程度でそれ以前と大きく種構成が変わった.時間経過に伴いカゲロウ目,トビケラ目が増加し,全体の種数,総個体数,多様度指数のいずれも増加し,ダムの影響を受けていない他の地点との差が少なくなった.
著者
澤田 暁彦 三橋 渉
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.31-36, 1999
参考文献数
9

顔や表情の認識、顔画像の合成などを行うには、顔の特徴点の位置の正確な抽出が必要である。本研究では顔を含む自然画像から顔の特徴点検出を行う。注目画素から同方向、等距離離れた画素2点のそれぞれの勾配の向きが反対方向に向いている場合に大きな応答を返す変換として対称変換が知られている。この変換の応答の和が大きい画素を選択し、目のような対称的な構造を持つ特徴の候補点を絞り込む。その候補点を特徴点探索に用いれば計算量を軽減することができる。しかしこの結果だけではどの特徴(口、目など)点なのか、誤識別結果なのか判断が困難である。そこで主成分分析(PCA)を用いる。PCAを用いて特徴の学習パターンをクラスタリングし、特徴を表わすクラスの中心と特徴候補画像との距離が小さいものが目的の特徴点であると判別する。PCAにおいては対数極座標変換した画像から得られる自己相関画像を用い、顔の回転とスケールの変化にも対応できることを目的とした。
著者
奥村 直彦 小林 栄治 鈴木 秀昭 両角 岳哉 濱島 紀之 三橋 忠由
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.222-234, 2000

ブタの品種特異的な塩基配列を明らかにする目的で,2種類の毛色関連遺伝子の多型を調べた.ランドレース,大ヨークシャー,デュロック,バークシャー,ハンプシャー,メイシャン,モンカイ,ニホンイノシシについて,メラニン細胞刺激ホルモンレセプター(MClR)遺伝子の第2膜貫通領域を含む612bpの塩基配列を調べた.また,KIT遺伝子のエクソン16から19にわたる約4Kbpについて,上記の8品種に加えヨーロッパイノシシとユカタンマイクロブタの塩基配列を調べた.MClR遺伝子については測定した品種全体で多型部分が8箇所あり,6種類のハプロタイプが得られた.ハプロタイプの1つはデュロック特異的であった.ランドレース,大ヨークシャー,バークシャー,ハンプシャーは互いに共通の配列を有しており,MClR遺伝子の情報のみではこれらを識別することは不可能であった.メイシャンの配列はモンカイと同じであり他の全ての品種と異なるハプロタイプを持っていた.KIT遺伝子ついては,全品種で62箇所の多型が認められ,11種類の異なったハプロタイプが得られた.KIT遺伝子の17番目のイントロンの最初の塩基は優性白色ブタと有色ブタとで明確に異なっていた.イントロン部分の配列比較の結果,塩基置換の類似性が観察された.すなわち,ニホンイノシシ,メイシャン,モンカイ,バークシャーの配列は類似しており,これらは東洋起源と推察される.ヨーロッパイノシシ,大ヨークシャー,ランドレース,デュロックの一部で配列は類似しており,これらは西洋起源と推察される.また,鹿児島県産の一部のバークシャーの配列はユカタンマイクロブタと類似していた.本研究で対象とした2つの遺伝子には,毛色の異なる品種それぞれに特異的な多型が存在していた.
著者
三橋 学 金丸 みつ子 田中 謙二 吉川 輝 稲垣 克記 久光 正 砂川 正隆 泉﨑 雅彦
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.483-491, 2019 (Released:2019-12-18)
参考文献数
14

延髄大縫線核のセロトニン(5-hydroxytryptamine, 5-HT)神経は,下行性疼痛抑制系として鎮痛作用を発揮する.一方で,痛みを増強させるという報告もあり,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の鎮痛薬としての使用が広まるなか,5-HTの疼痛制御に関する検討が必要である.近年,光遺伝学的手法によって大縫線核の5-HT神経を選択的に刺激することが可能になった.本研究では,5-HT系下行性疼痛抑制系の障害が示唆されている間欠的寒冷ストレス(intermittent cold stress, ICS)モデルのマウスを用い,光遺伝学的手法による大縫線核の5-HT神経の選択的刺激が鎮痛作用を発揮するか検討した.青色光照射で大縫線核の5-HT神経を刺激するため,光感受性チャネルを5-HT神経細胞に発現させた遺伝子改変マウス(Tph2-tTA::tetO-ChR2(C128S))に対し,大縫線核直上に光ファイバーを刺入,留置した.このマウスにICSを与えてICS群とし,青色光照射による大縫線核5-HT神経への刺激が疼痛閾値へ与える効果を行動学的手法で評価した.機械刺激性疼痛試験としてvon Frey test,熱刺激性疼痛試験としてHot plate testを用いた.対照群にはSham ICS処置を行った.ICS群とSham ICS処置によるマウス群を比較検討したところ,ICS処置はvon Frey testによる疼痛閾値を低下させた.しかし,遺伝子改変マウスに青色光照射で刺激をしても,von Frey testによる疼痛閾値の変化は認めなかった.一方, Hot plate testで疼痛閾値を評価すると,Sham ICS処置による疼痛閾値の変化とICS処置による疼痛閾値の変化に有意な差はなかった.しかし,曝露処置(ICS処置か,Sham ICS処置か)と時期(処置前か,処置後か)に関わらず,青色光照射で疼痛閾値が上昇した.つまり,ICS処置は,von Frey testによる疼痛閾値を低下させたが,Hot plate testによる疼痛閾値を変化させなかった.一方,青色光照射による大縫線核5-HT神経への刺激は,Hot plate testによる疼痛閾値を上昇させたが,von Frey testによる疼痛閾値を変化させなかった.以上より,大縫線核の5-HT神経への刺激は,熱刺激性疼痛に対する鎮痛作用を発揮した.一方,ICS処置で機械刺激性疼痛に対する疼痛閾値は低下したが,その機序に大縫線核の5-HT神経の積極的な関与は示唆されなかった.
著者
長谷川 利拡 高野 順也 崎原 健 三橋 民和 大嶋 和則 片野 学 仲里 長浩
出版者
日本作物学会九州支部
雑誌
日本作物学会九州支部会報
巻号頁・発行日
no.60, pp.9-12, 1994

九州の主要良食味品種のミネアサヒ,ヒノヒカリ,ユメヒカリおよび沖縄の主要品種のチヨニシキの出芽期~二次枝便分化期までの発育特性を,堀江・中川の発育動態モデルを用いて解析した。データベースは,阿蘇と西表における作期移動試験である(n=13)。本モデルは,37~114日にわたる発育日数の変動を3,7~5,2日の精度で推定した。ミネアサヒとヒノヒカリの発育速度は気温に対してほぼ直線的な増加を示し,日長の影響は14時間以上においてのみ認められた。一方,チヨニシキおよびユメヒカリの発育速度は,気温に対して23℃あたりから頭打ちを示し,広い範囲の日長に反応することがわかった。
著者
三橋 哲雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.1195-1198, 1999-09-20 (Released:2011-08-17)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2
著者
三橋 陽介
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究
巻号頁・発行日
vol.61, pp.83-114,en6, 2012

<p>本稿は、党国体制下の司法制度の底流になる「司法の党化」に着目し、その現れの一つである党系統の情報機関が関与した反省院―政治犯を矯正する特殊な教育施設―の設置の経緯と人事を検討することで、中国国民政府初期における中国国民党と司法機関の連繋を明らかにするものである。<br>党国体制下の司法当局は、国家の富強が個人の自由に優先するという考えの下、敵対する勢力(中国共産党)を取締まる特別法を設けて中国国民党政権の維持に資する司法制度の構築をはかりつつ、憲政に備えた「近代化」を模索していた。前者に比重を置いた「司法の党化」を推進する勢力は、立憲主義の確立を目指す勢力と鬩ぎ合いながら、「司法は党の決定する政治の下にあるべきである」とする方策を引継いで司法機関を運営していった。<br>一九三二年に司法院から行政院に司法行政部の所管が変更されると、司法院は全国に赴任する司法官の人事権と司法経費などの権限を失った。そして、司法行政部部長の羅文幹によって人権と自由権が重視されると、これまでの「司法の党化」の路線は抑えられた。司法院の要職をほぼ独占し、党と政府の要職を一定数占めた旧西山会議派と、党系統の情報機関を任された陳立夫を中心としたCC系は、それを不満として司法行政部を司法院に回帰させ、部次長人事に介入して、司法官の党員化を積極的に進めた。<br>一九二七年四月の清党後、旧西山会議派の沈玄蘆を院長に、浙江省に浙江反省院が設置された。司法行政部は、浙江反省院の修正草案を参考に「反省院条例」(一九二九年一一月二五日)を制定し、反革命犯を感化するための反省院を設置した。院内は総務、管理、訓育の三科に分かれていたが、一般の監獄とは異なり、訓育科が中心となる特殊な教育施設であった。反省院には数多くの中国共産党員が収容された。<br>当初、反省院院長には、高等法院院長が兼任し、司法機関側が実権を掌握していた。一九三三年に「各反省院を中央の直轄に改める案」が出されると、党系統の情報機関が反省院の実権を掌握し、徐々に勢力を伸ばしていった。<br>党国体制下の司法機関と党系統の情報機関の連繋の裏には、中国国民党中央執行委員会における、旧西山会議派とCC系による有形無形の支持があったことを提示する。</p>
著者
早坂 信哉 三橋 浩之 亀田 佐知子 早坂 健杜 石田 心
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
pp.202142G07, (Released:2021-02-09)
参考文献数
13

背景・目的 一般公衆浴場である銭湯を定期的に利用する者は幸福度が高いなどの心身への関連をこれまで筆者らは横断研究で報告してきた。銭湯は浴槽が複数あり温水単体による通常入浴の他、冷水浴を用いた温冷交代浴をしやすい環境にあるが、銭湯におけるこれらの入浴の効果を測定した研究は少ない。本研究では銭湯における通常入浴及び温冷交代浴の心身への影響を介入研究によって明らかにすることを目的とした。方法 同一被験者内前後比較試験として、成人男女10名を対象に、銭湯で通常入浴 (40℃10分全身浴)、温冷交代浴(40℃3分全身浴→25℃1分四肢末端シャワー浴(2度繰り返し)→40℃4分全身浴で終了)をそれぞれ単回行い、入浴前後で16項目の心身の主観的評価項目、体温、唾液コルチゾール、オキシトシンを測定した。結果 前後比較では、心身の主観的評価項目では通常入浴は幸福感など11項目、温冷交代浴では13項目が入浴後に好評価となった。通常入浴では唾液コルチゾールが入浴後に有意に低下し(p=0.005)、前後の変化量は群間比較で温冷交代浴と比べて通常入浴が大きかった(p=0.049)。考察 通常入浴、温冷交代浴とも心身への主観的評価は入浴後に好評価となりいずれの入浴法でも心身へ良い影響を与えることが推測された。温冷交代浴の優位性が報告されることがあるが、本研究では通常入浴でも好影響が確認できた。
著者
高橋 康介 三橋 秀男 村田 一仁 則枝 真 渡邊 克巳
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.261-268, 2011 (Released:2011-12-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Nonverbal communications involving physical contact convey “Kansei” information that is difficult to express in verbal communications. In this study, we proposed a method to investigate “Kansei” information in nonverbal communications, and surveyed how people perceive nonverbal communication involving physical contact. In the psychological experiment using questionnaire, we presented various words describing tapping and patting actions with Japanese onomatopoeias and sound symbolic words expressing a concept or nuance that is difficult to verbalize explicitly. Participants first imaged the situation wherein they made communication with another person through the physical contact, and then evaluated the “Kansei” information of communications and rated them by adjectives. We found that onomatopoeias added a variety of impressions to communications with physical contact. We then applied factor analysis using adjective rating to extract a factor space of the communicative actions. For both tapping and patting motion, the first factor represented atmosphere of the behavior, and the second dimension represented activeness of the physical motions themselves. We then mapped the rating scores of desirability of the communication onto the factor spaces. The scores of the first and the second factors well predict in an additive way the desirability of communication for both actions, and the influence of the first factor was stronger than that of the second factor. These results suggest that the structure of factor space represents desirability of the communication regardless of actions. The proposed method may be useful and efficient to investigate the Kansei information, factor space, and their inter-relation, of nonverbal communications.
著者
妻鹿 絢子 三橋 富子 藤木 澄子 荒川 信彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.79-82, 1983-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9

市川らの報告をもとに, ショウガ根茎からショウガプロテアーゼを抽出, 精製し, そのプロテアーゼ活性の比較を行った.その結果, ショウガ搾汁, 酵素抽出液, 粗酵素液, 精製酵素B, 精製酵素Aの順にカゼイン分解物が増加し, 酵素の精製が進んだことが確認された.これら各精製段階のショウガプロテアーゼをpH5.037℃において, 筋原繊維蛋白質に対して3%になるように添加して作用させた.ショウガ搾汁を作用させた場合には, 反応時間60分におけるミオシン分解率は35.8%であったが, 最も蛋白分解力の強い精製酵素Aを作用させた場合には, 反応時間60分で62.3%におよぶミオシン分解率を示した.