著者
三浦 智 鈴木 智裕 小林 洋 藤江 正克
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00414, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

Hemiplegic patients often have reduced typing speed due to finger paralysis. Our motivation is to develop a keyboard that enables their typing speed to increase. For this purpose, we have developed a three-dimensional keyboard that reduces the distance that fingers move while typing. In this paper, our objective was to construct the finger model that combines the motion speed and muscle fatigue for design of keyboard that can be typed with fast motion speed and low muscle fatigue. In experiment, we measured the finger position using a magnetic 3D motion device and EMG when the participant pressed the proposed key. The experiment was carried out in a variety of the finger postures. We qualified the motion speed and muscle fatigue at each joint angle. Then, we weighted and combined two of the objective functions. We found out the Pareto solution and get an effective keyboard design straight. In the future, we verify the typing speed and finger muscle fatigue during typing the three-dimensional keyboard that is designed based on our finger model.
著者
神庭 重信 鬼塚 俊明 加藤 隆弘 本村 啓介 三浦 智史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

うつ病の神経炎症仮説に基づき、動物実験としては、グラム陰性菌内毒素をマウスに投与して、行動および脳内の組織化学的変化について研究した。広範囲に及ぶミクログリアの一過性の活性化は見られたが、それを通じたアストログリア、オリゴデンドログリアへの影響は検出できなかった。ミクログリア活性化阻害物質であるミノサイクリンの投与は、内毒素投与の有無にかかわらず、抑うつ様行動を惹起した。培養細胞系では、ヒト末梢血中の単球から、ミクログリア様細胞を誘導することに成功し、気分障害罹患者を対象とする画像研究でも、拡散テンソル画像を集積した。これらの研究を通じ、うつ病と神経炎症の関連についてさらに知見を深めた。
著者
小畑 直之 長尾 秀行 三浦 智和
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Journal of High Performance Sport (ISSN:24347299)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.74-84, 2022 (Released:2022-12-18)
参考文献数
23

This study aimed to identify the characteristics of snatch lift in top-class Japanese female weightlifters. The hypothesis was that lifters who are good at the snatch had lower barbell velocity in the 1st pull and longer heel contact time based on their weightlifting coaching points. Female lifters who competed in the 2021 All Japan Women's Weightlifting Championships were included in the study. Lifters who had a small difference in scores between the best attempts in snatch and clean & jerk lifts comprised Group A (good at snatch), while those who had a greater difference in scores comprised Group B (NOT good at snatch). The two-dimensional position coordinates of the barbell of each athlete's best snatch attempt during competition were calculated from video analysis to determine the kinematic variables of the barbell. Heel contact time was also determined from video images and compared between groups. The results supported the hypothesis: athletes in Group A had a significantly smaller mean vertical velocity of the barbell in the 1st pull phase than the athletes in Group B (0.45±0.05[m/s], 0.52±0.05[m/s], p<0.001, d=1.179). However, there were no significant differences in mean vertical velocity of the barbell in the 2nd pull phase or in vertical maximum velocity between groups. Heel contact time was also significantly larger in Group A (0.61±0.04[s], 0.53±0.06[s], p<0.001, d=1.347). Finally, there was a negative relationship between the mean vertical velocity of the barbell during the 1st pull phase of the snatch and the best snatch attempt that standardized body weight (r=-0.287, p<0.05). These results suggest that slow and careful execution of the 1st pull and keeping the feet flat in the snatch positively affect the performance.
著者
岡井 恒 岡﨑 良平 吉田 広幸 難波 宏好 田口 一貴 山本 任 三浦 智士 河村 稔
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.179-188, 2010-08-10 (Released:2013-06-22)
参考文献数
22
被引用文献数
1

Neurotropin® (NTP), a non protein extract from inflamed rabbit skin inoculated with vaccinia virus, is well known as an analgesic for chronic pain such as low back pain and postherpetic pain. In previous study, we revealed that NTP activated monoaminergic descending pain inhibitory system in SART (specific alternation of rhythm in temperature) stressed animals. To clarify the details of antinociceptive mechanisms of NTP, we investigated the influence of chemical denervation of monoaminergic neurons on the antinociceptive effect of NTP in SART-stressed rats. First, serotonergic neurons of nucleus raphe magnus (NRM) were chemically denervated by injection of 5,7-dihydroxytryptamine (50 nmol / 1 µL / site). Chemical denervation of NRM serotonergic neurons decreased the contents of spinal serotonin but not noradrenaline and dopamine, and decreased nociceptive threshold in rats. SART stress decreased nociceptive threshold in non-denervated rats but not in denervated rats whose threshold was already decreased. NTP (200 NU/kg, p.o.) showed an antinociceptive effect in non-denervated rats exposed to SART stress but had no effect in NRM-denervated rats exposed to SART stress. Next, we denervated spinal noradrenergic terminals by intrathecal injection of 6-hydroxydopamine (1 µmol / 10 µL / site) because some noradrenergic neurons are descending from some supraspinal noradrenergic nucleus to spinal cord. Chemical denervation of spinal noradrenergic neurons decreased the contents of spinal nor adrenaline but not serotonin and dopamine in rats. Similar to denervation of NRM serotonergic neurons, nociceptive threshold was decreased by chemical denervation of spinal noradrenergic neurons. SART stress decreased the nociceptive threshold in non-denervated rats, and that was improved by NTP (200 NU/kg, p.o.). SART stress did not affect the decreased threshold in denervated rats and NTP (200 NU/kg, p.o.) had no effect in denervated rats exposed to SART stress. These results suggest that antinociceptive effects of NTP in SART-stressed rats involve the activation of monoaminergic descending inhibitory neurons.
著者
小松 怜史 松尾 豊史 三浦 智久 石川 哲哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.22-00212, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
23

洋上風力発電設備コンクリート浮体の疲労特性を解明するため,本研究では縮小部分模型供試体を製作し,供用環境を想定した各種条件(水の有無,応力強度比など)にて常時圧縮応力下での疲労載荷実験を行った.結果,コンクリート内に湿潤する水の影響により水中では気中と比べ疲労寿命が2オーダー低下することなどが示された.また最大振幅の応力強度比が大きい場合,接合部近傍では部材中央部と比べて疲労寿命が低下する傾向にあった.具体的には最大振幅が応力強度比70%の場合,接合部近傍が中央部と比べ疲労寿命が1オーダー短くなった.接合面の面着状態が大きく影響していると考えられる.なお本実験の範囲内では,現行のコンクリート標準示方書の疲労強度式を適用して,PRC部材(設計基準強度60N/mm2相当)の疲労寿命を概ね評価可能であった.
著者
西 智弘 森 雅紀 松本 禎久 佐藤 恭子 上元 洵子 宮本 信吾 三浦 智史 厨 芽衣子 中野 貴美子 佐藤 一樹 下井 辰徳 田上 恵太 江角 悠太 坂井 大介 古川 孝広 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.184-191, 2013 (Released:2013-07-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

【背景】わが国における緩和ケアの需要は年々高まり, 緩和ケア医の養成は重要な課題である. しかし, 緩和ケア医を目指す若手医師が, 教育研修体制やキャリア構築などに対して, どのような満たされないニーズを抱えているかは明らかになっていない. 【目的】緩和ケア医を目指す若手医師が抱えるニーズを明らかにする. 【方法】卒後15年目までの医師を対象にグループディスカッションを中心としたフォーラムを行い「必要としているけれども十分に満たされていないことは?」などに対する意見をテーマ分析を用いて分析した. 【結果】40名の医師が参加した. 若手の抱えるニーズは, 「人手の確保」「研修プログラム・教育の質の担保」「ネットワークの充実」「緩和ケア医を続けていくことへの障害の除去」「専門医として成長する道筋の確立」であることが示された. 【結論】緩和ケア医を育成していくため, これら満たされないニーズの解決を議論していくべきである.
著者
野路 悟 原 義典 三浦 智也 山中 浩 塩﨑 真
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.68-74, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
12

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う紅斑に象徴される皮膚疾患であり、国内で45万人以上がこの病に苦しむといわれる。治療の第一段階は既存抗炎症薬による炎症鎮静化であるが、皮膚菲薄化等の副作用が報告され、このような副作用のない薬剤の登場が望まれている。Janus kinase(JAK)はサイトカイン産生シグナル上流に存在するリン酸化酵素であり、その阻害薬は自己免疫疾患の新たな治療オプションとして注目を集めていた。筆者らは新規JAK3阻害薬探索の過程で、高活性、高選択的化合物の創出を目指し、分子の三次元性の高さに着目した合成展開を実施した。こうして見出されたdelgocitinibは、臨床試験において期待した効果を示し、JAK阻害薬としては世界初となるアトピー性皮膚炎外用薬(コレクチム®軟膏)として承認されるに至った。
著者
近藤 史崇 岩井 俊治 三浦 智恵美 坂田 潤弥 太田 史 井戸 篤史 入江 奨 岡松 一樹 角正 浩一 三浦 猛
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.16-00030, (Released:2016-11-01)
参考文献数
41
被引用文献数
5 7

養殖クロマグロに最適な飼料の開発を目指して,EP給餌と生餌給餌の体成長と消化関連因子の比較を行った。EP給餌のクロマグロの体成長は胃のペプシン活性が減少した後に一旦停滞したが,その後,幽門垂の肥大化に伴うプロテアーゼ活性の増加により生餌給餌と同程度に回復した。EPは生餌に比べて難消化であるため胃での滞留時間が長く,消化関連因子(cck, pyy)は生餌より遅れて発現した。成長関連因子(ghrelin)は餌の消化管内での移動に伴って発現が変動し,EP飼料では有意に増加する事が明らかとなった。
著者
阿部 健太郎 三浦 智史 藤城 法子 沖崎 歩 吉野 名穂子 青木 茂 内藤 明美 真野 泰成 齊藤 真一郎 山口 正和 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.85-91, 2021 (Released:2021-03-22)
参考文献数
15

【目的】進行がん患者の遺族からみた多剤併用の状況と内服負担に関する体験や認識を明らかにする.【方法】がん患者の遺族303名に自記式質問票を郵送し,回答を得た.1回6錠以上の内服を多剤併用群,1回6錠未満の内服を非多剤併用群とし,内服負担や体験,認識について単変量解析を行った.102名の結果を解析した(有効回答率33.7%).【結果】多剤併用群(65名)は,非多剤併用群(37名)よりも遺族が患者の内服負担を感じた割合が高値であった(43.1% vs 10.8%,p<0.01).内服負担が少ない服用方法としては,現状よりも1回の服用錠剤数を減らしたいと希望していた.多剤併用群の遺族は,内服薬が多いことの懸念が強く,医療者からの内服薬に関する説明や相談できる医療者を希望していた.【結論】医療者は,服薬状況の確認とともに薬に関する家族の懸念についても十分に配慮する必要があることが示唆された.
著者
水野 かおり 三浦 智恵美 三浦 猛
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.23-30, 2014-03-20 (Released:2015-04-02)
参考文献数
20

カワハギおよびウマヅラハギの適水温を明らかにするため,異なった水温(15°C,20°C,25°C,30°C)で63日間,飽食給餌下にて飼育し,両種の飼育成績を比較した。カワハギの成長は20°C~25°Cが最もよく,日間摂餌率および飼料効率は,15°Cと25°Cでは高水温ほど増加したが,30°Cでは減少した。ウマヅラハギは30°Cでは全ての個体が死亡した。日間増重率および日間摂餌率は,15°Cと20°Cでは高水温の20°Cの方がより増加したが,25°Cでは減少した。一方,飼料効率は15°Cが最も高く,高水温ほど減少した。これらの結果から,両種の飼育適水温はカワハギ20°C~25°C,ウマヅラハギ15°C~20°Cの範囲内であると推察された。また,海面小割生簀で15ヶ月間の飼育試験を実施した結果,カワハギは60 g から371 g,ウマヅラハギは24 g から267 g に成長し,累積死亡率は,カワハギでは29%と高く,ウマヅラハギでは 3%と低かった。
著者
三浦 猛 三浦 智恵美 太田 史
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-07-18

(1)前年度行ったメダカDNAマイクロアレイ解析の結果、昆虫由来免疫賦活化物質のメダカへの経口投与により腸管で発現が上昇する遺伝子群のうち、獲得免疫に関係するMHCクラスI関連因子のorla-UBA、免疫グロブリン重鎖IgVH、自然免疫に関係する補体Ca8、および細胞間結合に関係するClaudin 28bのエドワジェラ菌感染後の腸での発現をリアルタイムPCRにより調べた。その結果、いずれの免疫関連遺伝子も感染前および感染直後は、シルクロース投与群では発現量が多いものの、感染後12あるいは72時間では、シルクロースを給餌しない対照群ではこれらの遺伝子が著しく増加したのに対し、シルクロース投与群では、感染開始前の発現レベルにまで低下していた。これらの結果は、シルクロースの給餌により、これらの免疫関連因子の遺伝子発現の反応性が向上し、病原体感染後直ちにこれらの因子の遺伝子発現が誘導され、その結果として、感染を防御できたものと考えられた。(2)昨年度開発した、成長抑制および免疫活性抑制に作用すると考えられるカテコールをはじめとする炭化水素類を除去する方法により最適化したイエバエミールを魚粉に置き換えて作製した飼料により、マダイの飼育試験を行ったところ、全ての魚粉をイエバエミールに置き換えても、魚粉のみの飼料と同様の成長を再現することに成功した。(3)実際の養殖ブリおよびマダイに昆虫由来免疫賦活化物質を添加した飼料を1ヶ月間給餌して、養殖魚の状態を観察したところ、昨年示した飼育試験による結果と同様、昆虫由来免疫賦活化物質には飼育魚のストレスを低減する効果があるとともに、肉質および味にも付加価値を高める効果があることが明らかとなった。
著者
近藤 史崇 岩井 俊治 三浦 智恵美 坂田 潤弥 太田 史 井戸 篤史 入江 奨 岡松 一樹 角正 浩一 三浦 猛
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.923-933, 2016
被引用文献数
7

<p> 養殖クロマグロに最適な飼料の開発を目指して,EP給餌と生餌給餌の体成長と消化関連因子の比較を行った。EP給餌のクロマグロの体成長は胃のペプシン活性が減少した後に一旦停滞したが,その後,幽門垂の肥大化に伴うプロテアーゼ活性の増加により生餌給餌と同程度に回復した。EPは生餌に比べて難消化であるため胃での滞留時間が長く,消化関連因子(<i>cck</i>, <i>pyy</i>)は生餌より遅れて発現した。成長関連因子(<i>ghrelin</i>)は餌の消化管内での移動に伴って発現が変動し,EP飼料では有意に増加する事が明らかとなった。</p>
著者
三浦 智和
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1221-1227, 2014-10-15

オリンピックでのメダル獲得を目指すトップレベルでの競技現場では,近年,日々のトレーニングにおいて,技術や演技の改善,対戦相手の研究などで映像システムを活用することが多くなってきた.本稿では,夏季,冬季オリンピックへ向け,筆者が深くかかわっている競技現場で日々活用されているトレーニング映像即時フィードバックシステムや,スポーツ映像データベースシステム(SMART-system)について紹介する.
著者
三浦 智史 松本 禎久 沖崎 歩 大石 麻里絵 鈴木 時子 元永 伸也 坂本 はと恵 關本 翌子 阿部 恵子 木下 寛也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.107-115, 2013 (Released:2013-02-28)
参考文献数
17
被引用文献数
1 4

【背景・目的】国立がん研究センター東病院 緩和ケア病棟(PCU)では, 在宅支援診療所と連携しPCUの急性期運用に努めている. 今回, PCUから自宅への退院の予測因子を探索した. 【方法】当院PCUに入院した患者を対象とし, 入院診療録を後ろ向きに調査した. 2回目以降の入院またはperformance status (PS) 4の症例は解析から除外した. 転帰を退院群と死亡・転院群に分け, ロジスティック回帰分析を実施した. 【結果】2010年10月から2011年9月の1年間に解析対象患者は223名. 退院63名(28.3%), 死亡・転院160名(71.7%)であった. 多変量解析の結果, 自宅からの入院, PS 2以下, Spo2 97%以上, 入院24時間の摂取カロリー450 kcal以上, 呼吸困難なし, 腹部膨満感なしが独立した因子であった. 【結論】今回の結果を念頭に入院時スクリーニングを行うことで, 退院可能な患者を選択しうると考える. 本研究は後ろ向き研究で限界があるため, 今後, 前向き研究で妥当性を検証する必要がある.
著者
園田 俊郎 VERONESI Ric GOMEZ Luis H HARRINGTON W ZANINOVIC Vl HANCHARD Bar 屋敷 伸治 藤吉 利信 嶽崎 俊郎 三浦 智行 速水 正憲
出版者
鹿児島大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

ジャマイカ、コロンビアおよび近隣諸国にはHTLV-IとHTLV-IIのフォーカスが局在し、ATLとHAM/TSPを多発させている。平成6年度調査研究では、キングストン(ジャマイカ)、カリ、ブエナベンツラ(コロンビア)、ラパス(ボリビア)をたずね、HTLV-I/II関連疾患の患者およびウイルスキャリアの有無の調査した。総計8名の患者があらたに発掘され、ATL患者2名、HAM/TSP患者5名、感染性皮膚炎(In fective dermatitis,ID)患者1名が今回の分析対象となった。これらの検体からリンパ球と血清を分離し、リンパ球は生細胞のまま凍結保存され用時解凍してHLA検査に供せられた。血清はHTLV-I/II抗体の保有状況検査に供せられた。HLAの民族特性を比較する対照として、既知HLAの日本人ATL患者、HAM/TSP患者ならびにアンデス高地先住民のHTLV-IキャリアのHLAハプロタイプが用いられた。ジャマイカでは黒人の感染性皮膚炎(ID)患者の検体が収集された。コロンビアでは黒人のATL、HAM/TSP患者の検体が収集された。ボリビアではアンデス先住民と白人の混血メスチソのHAM/TSP患者の検体が収集された。平成2年度に収集保存中のアンデス高地先住民インガ族のHTLV-Iキャリアの検体も対象とした。HLAハプロタイプは患者とその家族のHLAタイプから割り出された。ここでは、常法による血清型と近年開発のDNA型で分析した。このHLAハプロタイプによって、黒人、アンデスインデイオ、メスチソの患者と日本人患者の民族背景の異同を比較した。ここでは、HLAクラスIIのDNA型が有用であった。ジャマイカとコロンビアの黒人患者(ID、ATL、HAM/TSP)のHLAハプロタイプには、日本人のATL、HAM/TSPと共通なDRB1*DQB1*1302-0604,1101-0301,1502-0601,0403-0302,0802-0402と黒人患者に特異なDRB1*DQB1*07-0201,0407-0302が検出された。ボリビアの混血患者のHLAハプロタイプには日本人ATL/HTLV-IキャリアにみられるDRB1*DQB1*0901-0303と白人由来とおもわれるDRB1*DQB1*0301-0201が検出された。以上の結果からHTLV-I関連疾患の遺伝背景にpan-ethnicなものと黒人/モンゴロイドに特異な遺伝背景があり、それぞれの疾患単位をつくっていると思われる。一方、HTLV-IIキャリアの検体はコロンビア・オリノコ川流域の先住民グアヒボ族から採取された。そのHLAハプロタイプはDRB1*DQB1*1402-0302,1602-0301,0404-0302であり、上記のHTLV-Iキャリアと患者のHLAとは全くことなる遺伝背景をしめした。すなわち、HTLV-IとHTLV-IIお感染には民族の相互排他性がみとめられ、ウスルスと宿主の自然選択がおこっているが明らかになった。他方、ATLとHAM/TSPは同一種のHTLV-Iでおこるとされてきたが、両者の遺伝背景は異なりる。今回の研究でも、黒人ATLとHAM/TSPとモンゴロイドのそれらとはHLAハブロタイプに差異が認められた。すなわち、黒人の遺伝系統とモンゴロイド(日本人をふくむ)の遺伝系統があり、それぞれの疾病要因となっていることが明らかにされた。したがって、民族に特異的なHLAと共通なHLAの遺伝的多型を追求すれば、ATLとHAM/TSPの発症にかかわる宿主遺伝子の実体が明らかなるとおもわれる。
著者
速水 正憲 井戸 栄治 三浦 智行 ZEKENG Leopo MUBARAK Osei ALLAN Dixon ROBERT Chegg
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

1.エイズ関連ウイルスについては、これまでにHIV-1及びHIV-2がヒトから、SIVがアフリカの数種のサルから分離され、また、遺伝子解析からそれらの相互関係が明らかにされてきた。現在では、エイズウイルスがアフリカに由来することは、ほぼ定説となっている。従って、エイズウイルスの起源と進化を理解する上で、アフリカにおける調査は不可欠である。特に、この3年間は、中央アフリカのカメルーンにおける調査を開始、展開することができた。特にこの地域では、非常に変異したHIV-1のO型を初めとして、種々のHIVが混在していることから、重感染とリコンビネーションの存在を確認することをも目的とした。2.カメルーンの首都にある、ヤウンデ大学附属病院を中心に、西部のドゥアラなど都市部にある血液センターでスクリーニングによりHIV陽性となった検体や、東南部や北東部の地方都市において症状からHIV感染が疑われる患者から、また、南東部のピグミー人から、約300検体の血液を採取した。約300検体の血清についてPA法によるスクリーニングの後、WB法、IFA法による確認試験およびHIV1型・2型の鑑別を行った。血清学的にHIV感染が疑われた血液中のリンパ球を用いて、ウイルスのpol遺伝子インテグラーゼ領域とenv遺伝子V3領域をnested PCRで増幅し、それらの塩基配列の分子系統解析を行った。3.pol遺伝子とenv遺伝子による分子系統解析の結果、カメルーンには、HIV-1groupMのcladeA(70%)を初めとして、B、C、D、E、Fの各cladeとO型も少なからず存在(7%)した。またHIV-2も1例であるが検出した。特に、同一患者から2種類のsubtypeのウイルスゲノムが見つかる重感染は、47例中4例(それぞれHIV-2aとHIV-1cladeA、HIV-1groupOとcladeA、HIV-1clodeAとcladeC、HIV-1cladeCとHIV-1cladeF)でみられた。また、pol遺伝子とenv遺伝子の解析結果から、属するsubtypeが互いに異なる、リコンビネーションと考えられる症例が2例みられた。4.カルメーンのように種々のHIV分子種の存在する地域において、HIVにおける重感染が、HIV-2とHIV-1間、HIV-1groupOとHIV-1groupM間、HIV-1groupMの各subtype間を問わず起こりうることが示された。おそらく、同一のclade内での重感染も容易に起こりうるものと考えられる。このことは、ほぼ単一のcladeBを中心とする、我が国における重感染を考えて行く上での新しい知見となりうる。また、重感染あるいはその結果としてのリコンビネーションは、調査した全検体中10%前後(6/47例)という少なからぬ頻度で起こっていることが示された。HIVの分子進化については、従来容易に起こりうる変異の積み重ねによるものと考えられていたが、加えて、リコンビネーションがウイルスの生き残り戦略の一つとして果たしてきた役割も考える必要がある。以上の結果は、HIVの起源と進化を解析するうえでの、新しいアプローチになりうる。また、このことは、HIV感染と免疫に関して、従来の理解を改める必要性を提起するものであり、今後、ワクチン開発を始めとしてHIV対策を考えて行く上で、重要な基礎情報となるものである。