著者
松浦 弘幸 神谷 直樹 石川 耕介 近藤 理恵 松崎 照美 行正 徹 中野 正博 玉川 雅章
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.97-106, 2013-10-12

生活支援機器では,機械中心の安全概念と供に人間中心的安全が重要である.これは,人間の解剖生理学的特性に基づいて機械に各種の機構・機能的クライテリアを要請するものである.リスクは相対的で他者との比較で議論される生存率や死亡率として出力される.リスク選択は、便益と不利益を考慮して死亡リスクを10^<-5>〜10^<-6>に制御するが,最終的判断(許容レベル)は,社会の成員に委ねられる.TRISSから,ISS3の受傷者の死亡リスクは0.0035となり,これは,機器を毎日4時間程度使用し,人の寿命90年を想定すると,生涯死亡率5.8%,平均余命損失2.7年,年間死亡率0.0007と計算される.この数値は,産業別死亡率や自動車事故や不慮の事故死亡率よりも遥かに小さく,自然災害による死亡と同比率である.TRISSは,同一部位に存在する多発性外傷と高齢者の年齢の影響を考慮していない.しかし,単一外傷による軽傷や重症のリスクアジャスターとしては,ACSOTと類似の結果を与える.
著者
藤井 聡 長谷川 大貴 中野 剛志 羽鳥 剛史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F5(土木技術者実践) (ISSN:21856613)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.32-45, 2011 (Released:2011-03-18)
参考文献数
58
被引用文献数
2 18

人文社会科学では,「物語」(narrative)は,人間,あるいは人間が織りなす社会の動態を理解するにあたって重要な役割を担うものと見なされてきている.それ故,人間や社会を対象として,その動態に,公共的な観点からより望ましい方向に向けた影響を及ぼさんと志す“公共政策”全般においても,“物語”は重大な役割を担い得る.ついては,本研究では物語に関する基礎的な人文社会科学研究である,西洋哲学,解釈学,歴史学,歴史哲学,文芸批評,心理学,臨床心理学・社会学,民俗学などの主たる学術系譜のそれぞれをレビューすることを通して,プラグマティックな観点から“物語”がどのように公共政策に援用可能であるのかを論ずる.
著者
馬渡 耕史 大野 朗 徳田 潔 春田 弘昭 中野 治
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.172-181, 2012

肺血栓塞栓症は, 診断手順の確立により日本においても広く認識されるようになり, 向精神薬服用者で静脈血栓や肺塞栓症の合併が多いことも報告されている. そのほとんどは急性肺血栓塞栓症といわれているが, 慢性の場合は長い経過と非特異的な症状のせいもあって多くは見逃されている可能性がある. 今回, われわれは, 向精神薬の長期にわたる服用歴を持ち, 肺血栓塞栓症を合併した症例5例を経験したので報告する. 男性2例, 女性3例, 年齢は39~67歳で, 向精神薬の内服期間は4~25年であった. 1例は急性発症で起立時に急にショック状態となり心肺停止にいたっている. 残り4例は数カ月から数年にわたる息切れや呼吸困難で慢性の反復性の病型であったが, 長期の臥床や悪性腫瘍などの誘因となるものはなかった. 胸部X線写真では, 全例肺動脈の拡大を認め, 心電図は4例で右室負荷所見を認めた. 心エコードプラ, または右心カテーテル検査による肺動脈圧は急性発症の1例を除いて収縮期圧が72~128mmHgで著しく高値であった. 下肢から下大静脈にかけての静脈エコーでは5例とも血栓を認めなかった. 全例下大静脈フィルターは使用せず, 抗凝固療法のみを行い, 肺動脈圧の低下をみた. 心肺停止後の蘇生例は歩いての退院となったが, 入院中の急変で1例を失った. 向精神薬内服中の患者が, 呼吸困難や息切れを訴えた場合は, 肺血栓塞栓症の鑑別が必要である.
著者
田中 皓介 中野 剛志 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_353-I_361, 2013
被引用文献数
4 4

人文社会科学において,"物語"は,人間,あるいは人間の織り成す社会の動態を理解するにあたって重要な役割を役割を担うものと見なされてきている.それ故,人間や社会を対象として,公共的な観点からより望ましい方向に向けた影響を及ぼさんと志す"公共政策"においても,物語は重大な役割を担い得る.また公共政策の方針や実施においては,マスメディアが少なからぬ影響を及ぼしていることが十二分に考えられる.ついては本研究では,現在の日本において,政策が決定,採用されてきた背景を把握するにあたり,新聞の社説を対象とし,新聞各社に共有されている物語を定量的に分析することとする.
著者
中野 治房
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.911, pp.159-167, 1964
被引用文献数
8 1

1. 本論交は1913年ドイツ国の植物雑誌(Bot.Jahrb.<b>50</b>(4)440)に公表された研究の追加補足を目的とするものであるが, また訂正を志すものでもある. 研究方法は前著におけるように培養試験により, 諸器官の発生を調べ, また特に果実の遺伝性を観察したが, さらに諸外国の博物館や膳葉館における該当種の標本との比較研究にもよった.<br>2. 前論文においてはヒメビシ (<i>Trapa incisa</i> S.et Z.) にふたつの形(Formen)(小形と大形)を含むとしたが, その後の研究によると小形が実はヒメビシで, 大形はオニビシの変種 <i>Trapa natans</i> var. <i>pumila</i> auct. (コオニビシ) であることがわかった. この二形の間には推移はなく葉も異なり, また果実の大きさも違うほか, ヒメビシの果実の竪角にはほとんど逆刺が認められない. 培養の結果ではこれが全く認められなかったが, 自然の場合では2~3% くらい,しかも不完全の逆刺 (前後の竪角のうち1本だけにあったり,また1本の逆刺で代表されるという不完全さ) が認められるにすぎない.<br>3. 2本角のヒシの場合2本の横角 (lateral) の存在がその特徴であるが,まれに前後の面 (transversal sides) に角状の突起が成立することが特にvar. <i>Jinumai</i> に見られ奇異の感にうたれるが, これはよく見ると決して逆刺を具えず, また4本角のもののようにとがってもいないのでこれを擬角と命名した. 実にこの擬角はがく片から発生する四角ヒシの竪角とは発生が異なり, がく片脱落後そのこんせきから生ずる特殊の突起にすぎない. 著者の経験によれば二角ビシの5形が見られるが, この角の反曲性(recurving)のコウモリビシ(<i>T</i>. <i>bicornis</i> L.f.)が代表種と認められ, 他の4形はその変種と認めるのを妥当とするのである.<br>4. 4本角の外国種 <i>T. natans</i> L. の標本を種種しらべたが, これにもいろいろ変化があるとはいえ, 邦産のオニビシ' <i>T. quadrispinosa</i> Roxb. とシノニマスであることがわかった. また邦産のオニビシの三角のものが間々現われるが, これは子の代に皆四角に返えり安定性を持たないことを明らかにした. すべて四角性のヒシ, すなわち, オニビシ, コオニビシ, ヒメビシはがく全部が角を構成するが, ヒメビシの竪角には逆刺の発達が不完全で二角性のヒシに, ある連関性があるように見える.<br>5. がく片の全部が脱落して,無角のヒシが形成されることが中国上海附近嘉興南湖産のもので証明され, これを <i>T.acornis</i> Nakanoとした.<br>6. 不連続ながら長年の研究で本邦および隣接地域のヒシ属には少なくとも4種, 5変種が存在することが明らかにされた.
著者
永田 昌子 堤 明純 中野 和歌子 中村 純 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.29-29, 2012 (Released:2012-03-05)
参考文献数
17
被引用文献数
1

職域における広汎性発達障害者の頻度と対応:産業医経験を有する精神科医を対象とした調査:永田昌子ほか.産業医科大学産業医実務研修センター―目的:近年,産業保健スタッフが対応するメンタルヘルス不調者の中に広汎性発達障害を抱える,もしくは疑い例に遭遇する事例が報告されている.本研究は,産業医経験を有する精神科医を対象に,職域で広汎性発達障害の事例対応に遭遇する頻度や広汎性発達障害を抱えるメンタルヘルス不調者に対して行われている就業上の配慮について,職域での実態調査を行った.対象と方法:産業医科大学精神医学教室員および同門医師122名に対して,記名式の郵送法調査を実施した.回答者の産業医経験,臨床経験,臨床場面での広汎性発達障害の経験,産業医活動のなかで広汎性発達障害の診断を受けているメンタルヘルス不調者の事例対応をした経験の有無,また,事例対応開始時に主治医より受けている診断名は広汎性発達障害ではないが,回答者自身が広汎性発達障害を疑った事例の経験の有無,事例対応の経験があるものには,職場で行った具体的な配慮,困難だった事例,成功した事例等について自由記述形式で回答を求めた.結果:56名から回答が得られた.そのうちメンタルヘルス不調者の職域での事例対応経験のある医師35名の回答を分析した.広汎性発達障害の「診断」を受けているメンタルヘルス不調者の経験を有するものは7人(20.0%),広汎性発達障害の「診断」を受けてないものの,回答者自身が広汎性発達障害を疑ったメンタルヘルス不調者の経験を有するものは15人(42.9%),両方の経験を有するものが3人(8.6%)であり,どちらかの経験も有するものが19人(54.6%)であった.今回報告された40例のうち,事例対応開始時に診断名がついていたものが12例,回答者が疑った事例が28例,そのうち調査票回答時までに診断に至っていたものが7例であった.広汎性発達障害の「診断」を受けてないものの,回答者自身が広汎性発達障害を疑った理由として多かったのは,職場での対人関係のトラブルを起こすというエピソードであった.「診断」を受けている事例は,産業医が疑った事例より具体的な配慮が行われていた.また,就業上の配慮として上司に対しての障害特性についての説明や業務内容の変更などが実施されていた.地域の社会資源の活用状況として,広汎性発達障害の診断を受けている,または疑った事例対応経験のある回答者19人のうち,発達障害支援センターや地域障害者職業センターの利用した経験を有する回答者は2人(10.5%)であった.考察:調査対象となった産業医経験のある精神科医の半数に広汎性発達障害の診断がついた,もしくは疑った事例の対応の経験があり,職域で広汎性発達障害を持つ労働者の事例対応をすることは稀ではないことが示唆された.産業保健スタッフは,広汎性発達障害の知識,職場での適切な配慮の仕方,利用できる社会資源についての理解を深める必要があると考えられた.
著者
ラハマン モハマッド サイドゥル 中野 眞一 西関 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.98, no.380, pp.1-8, 1998-10-30

平面グラフGを整数格子上に次の(1)-(3)を満たすように描画したものをGの箱-矩形描画という.(1)各点は矩形として描画する.(この矩形を箱と呼ぶ.)(2)各辺は水平もしくは垂直線分として描画する.(3)各面の輪郭は矩形として描画する.平面グラフGの描画で, 各点を格子点として描画し, 各面の輪郭を矩形として描画したものを, Gの矩形描画という.箱-矩形描画は, 通常の矩形描画の自然な一般化である.本論文では, 平面グラフGが箱-矩形描画を持つための必要十分条件を与える.また, Gが箱-矩形描画を持つならば, その描画を求める線形時間アルゴリズムも与える.求められた描画の高さと幅の和は, m+2以下である.ここで, mはGの辺数である.
著者
中野 はるみ Harumi NAKANO
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.45-57, 2008

グローバル社会が到来し外国語教育の重要性が増していくにつれ、学習する外国語の背後にある外国の思想や地域文化、習慣もともに学習する必要性があることが認識され、非言語【ノンバーバル】コミュニケーションの重要性が指摘されている。本稿では非言語【ノンバーバル】コミュニケーションと周辺言語【パラランゲージ】について、研究成果を追いその構成要素を調べた。加えて、発話を文字化したばあいに周辺言語【パラランゲージ】がどのような表現になるのかを探るために、周辺言語【パラランゲージ】を表現する語彙を抽出した。In the wake of the coming of the globalizing world and the increasing importance on foreign language education, it is generally recognized that there is a great necessity for learners to learn and to understand the thinking, the regional local culture and social daily customs which are embedded in any foreign language. In this regard, furthermore, it is also pointed out that one should not neglect the importance of the non-verbal communication. This article aims to achieve two purposes : firstly, it attempts to investigate the components of nonverbal communication ; secondly, it endeavors to trace the research results of paralanguage and its relationship with nonverbal communication. In addition, the article is also attempted to examine the case that when spoken dialogue (hatsuwa) is expressed or demonstrated by words (mojika), what kind of paralanguage expressions would be used and what can be observed? To achieve this, I extracted the vocabulary (glossary) which are used to express paralanguage in the realm of nonverbal communication.
著者
松尾 芳樹 中野 道雄
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.896-903, 1989-08-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
4

A feedback control scheme for PWM systems is considered, on the basis of a conventional triangular carrier wave scheme.When disturbances such as power supply fluctuation or switching delay exist, the conventional PWM scheme produces output error because of its open loop structure. To cope with this, the present scheme adopts a feedback switching control structure that measures mean output error during each period of the triangular carrier wave and determines the subsequent switching timing to eliminate the error. The scheme is realized by adding a simple circuit to the conventional one. The resulting PWM system has an integral compensation property, thereby the mean output error should vanish in the steady-state. Moreover, when its input and disturbances are of step-type, the response settles down perfectly in 2 periods. Furthermore, a feed forward path can be easily implimented, which makes the input response similar to that of the conventional open loop scheme.The authors have applied the scheme to a PWM controlled voltage source in a DC electric motor velocity control system. Results of experiments on the system verify the abovementioned merits of the present scheme.
著者
工藤 徹也 中野 康弘 南 毅生
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.13-18, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
8

6歳、去勢雄、体重2.0 kgのヨークシャーテリアが進行性に悪化する吸気性喘鳴を主訴に紹介来院した。頸部レントゲン検査では咽頭および喉頭に軟部組織デンシティの腫瘤陰影が認められた。口腔および喉頭検査では腫瘤性病変により喉頭を確認することはできず、気管切開チューブを使用して麻酔維持を行った。CT検査では咽頭および喉頭にそれぞれ独立した軟部組織性腫瘤を認め、咽頭部腫瘤は病理組織検査で横紋筋肉腫と診断された。気道の確保のために永久気管開口術を行い、腫瘍に対しては緩和的放射線治療を実施した。放射線治療後に腫瘍は縮小し、臨床症状は改善したが、術後26ヶ月で再度呼吸困難が認められた。CT検査では咽頭の腫瘍は消失していたが、喉頭の腫瘍が拡大していたため、2クール目の放射線治療を実施した。2クール目の放射線治療後に再度腫瘍は縮小し、臨床症状も改善した。術後35ヶ月で実施したCT検査では咽頭および喉頭の腫瘍は共に消失していた。術後40ヶ月に至る現在も、臨床症状はなく、良好に経過している。犬の咽頭および喉頭に発生する横紋筋肉腫は、遠隔転移しづらく、放射線治療に感受性がある可能性があり、今後も症例を重ねて情報を蓄積する必要がある。
著者
小林 真 寺内 方克 中野 寛 江川 宜伸
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.157-169, 1998-03-31 (Released:2010-06-08)
参考文献数
10

土壌保全を目的としたパイナップル畦間被覆に適した芝草類として, 短期利用 (定植後約6カ月間) 向きではイタリアンライグラス晩生品種「フタハル」, 中期利用 (定植後6~12ヵ月間) 向きではセンチピードグラスを選定した。これらの草種・品種を定植直後のパイナップル圃場全面に播種したところ, 定植後1年間にわたって畦間を被覆し続けたが, 株際のイタリアンライグラスによってパイナップルの生育が阻害された。そこで, 黒色ビニルマルチを張ってからパイナップルを定植し, あらかじめ芝草種子を接着しておいた綿屑シートを畦間中央部に固定することによって播種したところ, パイナップル株際に芝草が繁茂することなく, 定植後1年間にわたって畦間を被覆することに成功した。雑草防除法と種子・資材コストの2点が問題として残されたが, 今後, 本研究で得られた知見は集約的な管理が不可能な亜熱帯地域で芝草を播種・造成する際に有用な情報として活用されるものと思われる。
著者
中野操著
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
1942
著者
中野操 著
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
1942