著者
小原 格 中野 由章
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.865-869, 2020-07-15

今までの大会や研究会においても初等中等教育機関の教員が発表することはあったが,平日に休むことや,公立学校教員の身分上の制約などが障害になっていた.そこで,情報処理学会第82回全国大会において,土曜日,および,午後に行われる「中高生情報学研究コンテスト」に先立つ形で「初等中等教員研究発表セッション」を企画し,8名の研究発表が予定されていた.しかしながらコロナ禍により中止となり,このままこれらの研究成果が埋もれてしまうことは,本会や初等中等教育にとって大きな損失になってしまうという危機感の下,本稿では,発表予定者の発表内容を簡単にまとめて記録に残すとともに,知識や実践の共有を図ることとした.
著者
中野 佑一 川口 遼
出版者
国際基督教大学
雑誌
社会科学ジャーナル = The Journal of Social Science (ISSN:04542134)
巻号頁・発行日
no.78, pp.65-84, 2014-09-30

This paper argues for the possibility of "research-education separated model" in order to achieve better social research education.In particular, firstly, we look at the current state of social research education under the Social Research Qualification System and confirm that "research-education integrated model" is now dominant in social research training classes. Secondly, we argue that "research-education integrated model" tends to focus mainly on knowledge and skills in social training, not on the sociological imagination, which is essential to sociology and social research. Thirdly, we examine the common ground between the sociological imagination and reflexive thinking about self and society, one of the goals of liberal arts. Fourthly, we deliberate possible ways of class management to enable a course model which separates education from research on the basis of our educational experiments in "Qualitative Analysis in Sociology" at International Christian University. Finally, we analyze the educational effect of this class on the students participating in the class. As a result, we reveal that there are three educational effects which are mutually related: the understanding of research process, the cultivation of social and communicational skills and the realization of sociological imagination.
著者
中野 泰治 Yasuharu Nakano
出版者
基督教研究会
雑誌
基督教研究 (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.21-39, 2017-06

本稿では、王政復古期のクエーカー信仰を体系化したバークレーの神学を中心に、クエーカーの教会論の神学的妥当性について考察し、神学的・思想的・政治学的観点から分析する。当初急進的であったクエーカー運動は、穏健派のフォックスが中心となって、1660年代に運動を組織化されていった。その組織化の神学的基礎付けを行ったのがバークレーである。本稿で明らかにされることは、バークレーは、教会の一致と教化のために規律と統制の必要性(内部性の確立)を認めると同時に、キリストの身体の特性を反映させ、教会を「敵への愛」の実践(聖化)に基礎付けており、その点で、そこには異質な者へ開かれた態度を可能にさせるシステムが組み込まれていることである。ゆえに、教会は神の普遍的な愛と平和を証する場となっており、通常の社会組織とは異なる性質を持つのである。論文(Article)
著者
中野 裕考
出版者
日本倫理学会 ; 1952-
雑誌
倫理学年報 (ISSN:04830830)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.117-131, 2013
著者
羽渕 琢哉 橋本 隆志 中野 聡 古屋 繁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

本研究は,1960年から2013年までに発売された国産乗用車(軽自動車・商用車を除く)の車体形状の変化を時系列で追うことで,変化の主要な傾向をマクロ的な視点で把握するとともに,その要因について考察した。 327台の車種(3BOXのみ)の諸元や基本寸法をもとに,それらを22の比で表したものをデータとして,主成分分析を行い,変化の主たる因子を7つ抽出した。 因子は大きく ①キャビンの大きさ、形、位置などつまり室内空間を空力などとどう折り合いをつけていくかを考えるもの ②前後のオーバーハング、つまりFFとFRという駆動方式の関係を示すもの ③空力特性の向上 の3つに分類できた。 またクラスター分析を行い得られた樹形図からは,一時は車体形状の多様化が見られたが,近年は車体形状の収束が見られる。現状の車体形状は,①大きなキャビンをもつFFのスモールカー,②中サイズのFF,③スモールキャビンのFRの大型車の大きく3つのグループがある。
著者
濵島 美穂 中野 広美 若杉 明里 潟永 大輔 萱島 涼子 松島 文子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.250-254, 2019 (Released:2019-11-20)
参考文献数
2

高齢者施設ではどのように栄養管理を行なっているのだろう。地域包括ケアシステム1)の中で住み慣れた地域での生活を目指してリハビリテーション(以下、リハビリと略)を行う場は集中治療室(intensive care unit;ICU)や急性期病棟だけでなく、回復期病棟であったり、介護老人保健施設(以下、老健施設と略)であったり、自宅であったりと必ずしも医療機関だけではない。高齢者施設とひとくちにいっても介護医療院、老健施設といった医師が常駐して医療を提供できる施設もあれば、住居としての性質を持つ有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、シニア向け分譲マンションなどもあり、制度の異なるいくつもの施設を包含している。本稿では主に老健施設におけるNST活動について述べるが、周知の通り、老健施設は介護報酬で運営するため、提供する医療も栄養管理もすべて“まるめ”で行うことになっている。栄養サポートチーム(nutrition support team;以下、NSTと略)加算のような診療報酬上の裏付けは一切ない。在宅生活、在宅療養に向けた支援を行う上で必ずしも病院から老健施設、在宅生活へとシームレスに移行できない理由がここにある。医療機関とは全く異なる仕組みでNST活動を行うことには様々な制約がある中で、キーとなるのはやはり多職種によるアセスメントとマネジメントである。NSTと摂食機能訓練を合体させたような栄養会議(nutrition congress)を発足させた我々の歩みを紹介する。医療機関のNSTとは若干異なるため上記の英語タイトルとした。
著者
荒井 美紀 鈴木 優太 中野 恒明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.391-396, 2010-10-25
参考文献数
7

本研究においては映画の舞台ともなった柴又帝釈天参道について街並みの現状と形成の変遷を調査し、その特徴と価値を明らかすることを目的とする。同時に現状より今後の保全整備の可能性を考察した。得られた知見は以下の通りである。1)地域住民の生活の場、帝釈天への信仰の街から映画の舞台となったことを契機に商店主等を中心として地元発意的に映画の観光地として街並みが創造されている。2)映画公開後には街並み整備事業が導入され映画の舞台としてだけでなく街並みの観光地化が目指されている。3)街並みは歴史的木造建築物が多くを占めるため、その防災対策が課題としてあり、また防火地域であるため仮に街並みが消失した際に復元は困難であることも課題としてある。
著者
唐 方 中西 由香 中野 厚 阿部 博子
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.7-15, 1997-07-20
参考文献数
11

加齢に伴う小腸粘膜形態の変化に対する六君子湯, 補中益気湯, 人参養栄湯, 半夏瀉心湯の影響を検討した。その結果, 36週齢ラットの小腸粘膜の変化には六君子湯, 補中益気湯のような補気健脾剤が有効で, 特に絨毛と微絨毛の吸収面積の改善には濃度依存性が認められた。ところが, 50週齢. 70週齢のより高齢のマウスに対しては人参養栄湯のような気血双補剤が有効で, 小腸の形態及び吸収機能が著明に改善されることが明らかになった。
著者
中野 貴司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.289-296, 2019

<p>主に海外渡航者を対象として接種されるワクチンは,トラベラーズワクチンとも呼ばれる.渡航時の感染症予防は,接種者の健康を守ると同時に,病原体を遠隔地へ伝播しないという観点からも大切である.渡航の形態や渡航者の背景が多様化した昨今は,渡航先でのライフスタイルや宿主要件を考慮し,ワクチンの接種計画を検討することが必要である.本稿では,各種トラベラーズワクチンについて解説すると共に,解決すべき課題を考察した.基本的な考え方として,「海外渡航をするからワクチン接種が必要」というよりは,日頃から感染症予防を心掛けることを重視したい.麻疹・風疹や破傷風をはじめ,成人世代に接種が必要なワクチンについて具体的な推奨が明示されていないこと,海外標準製剤であっても,国内未承認のワクチンが多いこと等については,早急な解決が望まれる.</p>
著者
朝倉 俊成 中野 玲子 浅田 真一 和田 幹子
出版者
一般社団法人 日本くすりと糖尿病学会
雑誌
くすりと糖尿病 (ISSN:21876967)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.104-113, 2020-06-20 (Released:2020-08-24)
参考文献数
34

糖尿病療養指導では患者の簡便性や実践度にも配慮してインスリン製剤の保管に関する留意点として,「原則として使用前は2〜8℃(凍結を避けて冷蔵庫内)保管,使用開始後は(冷蔵庫には入れずに)室温保管」と説明している.しかし,近年,市街地でのヒートアイランド現象や気候変動などにより世界各地の環境温度の上昇が見られ,高温環境下での適正な保管に関した不安から,患者が保管温度に配慮するも品質を維持するために苦慮していることが伺える.基礎試験からは,高温状態でのインスリンの立体構造の変化とそれによる薬理活性を減弱させる恐れが排除できないため,インスリン製剤の保管は可能な限り4℃付近の冷蔵保存が推奨されるべきである.近年,日本各地において30℃以上(真夏日)の日数が増加しており,これからも増加傾向にある.そこで,高温対策のひとつとして,これまで指摘されてきた使用中の注入器を冷蔵庫内に保管した場合の問題点には十分配慮し,室温が30℃を超える場合は,使用中のプレフィルド(キット)型のインスリン製剤は,(注射針を取り外した上で)冷蔵庫に保管し,注射の前には常温(15〜25℃)程度に戻すことを推奨する.
著者
伊与 亨 朝倉 敬子 中野 真規子 山田 睦子 大前 和幸
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成27年度大会(大阪)学術講演論文集 第1巻 給排水・衛生 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.165-168, 2015 (Released:2017-11-15)

貯湯式温水洗浄便座の吐水中の従属栄養細菌数(HPC)と緑膿菌の挙動を調査したところ、貯湯タンク内の残留塩素が低下する夜間において、貯湯タンク内で生物膜が再増殖した。温水洗浄便座の吐水使用開始時に、再増殖した生物膜が剥離することでHPCが一時的に増加したが、吐水使用につれてHPCは低下した。吐水使用開始時には緑膿菌も微量ながら検出され、生物膜の再増殖時に緑膿菌も増加したと推察された。緑膿菌の由来や挙動についてはさらに検討を要する。
著者
中野 明
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.482, pp.151-154, 2005-05-23

ランダム値はRANDで/イカサマ対応表を仕込め/7の出現率を調整する/記号表示だってOK /これで気分はラスベガス
著者
羽田 清貴 加藤 浩 井原 拓哉 阿南 雅也 深井 健司 中野 達也 奥村 晃司 杉木 知武 川嶌 眞之 川嶌 眞人
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0120, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】我々は,第51回日本理学療法学術大会で,変形性膝関節症(以下,膝OA)患者の歩き始め動作時の外部膝関節内反モーメント(以下,KAM)は健常者よりも有意に高値であり,胸椎や骨盤の回旋運動の低下はKAMを増大させる一要因になる可能性を報告した。そこで,今回は膝OA患者の歩き始め動作時の下肢体節間におけるセグメントトルクパワーを算出し,トルクパワーの極性を明らかにすることで,力学的エネルギーの流れについて詳細に定量化することを目的とした。【方法】対象は膝OA患者14名(平均年齢70.1±7.9歳:以下,膝OA群)と健常成人15名(平均年齢35.0±11.7歳:以下,対照群)で全例女性であった。課題動作は5mの歩行路上の自由歩行とした。計測下肢から一歩目を踏み出し,床反力計を踏むように指示した。一歩目の歩幅の距離は被検者の身長の40%になるように設定した。計測方法は,赤外線カメラ8台を備えた三次元動作解析装置Vicon-MX13(Vicon Motion Systems社製)と床反力計(AMTI社製)1基を用いて実施した。反射マーカーを身体51箇所に貼付し,得られたマーカー座標から8剛体リンクモデルを作成した。1歩行周期が100%になるように正規化し,解析区間は荷重応答期とし,その区間における関節パワー,セグメントトルクパワーの積分値を算出した。統計学的解析にはR2.8.1を用い,正規性の有無に従って,2群間の比較には2標本の差の検定を行った。なお有意水準は5%未満とした。【結果】関節パワーは,股関節,膝関節,足関節はすべて負のパワーであり2群間で有意差は認められなかった。セグメントトルクパワーは,骨盤遠位では,膝OA群は0.24±0.01W・s/kg,対照群は-0.45±0.03W・s/kgで有意差が認められた(p<0.01)。また,下腿遠位では,膝OA群は0.75±0.03W・s/kg,対照群は1.82±0.05W・s/kgで有意差が認められた(p<0.05)。足部近位では,膝OA群は-1.03±0.04 W・s/kg,対照群は-1.95±0.06 W・s/kgで有意差が認められた(p<0.05)。【結論】股関節セグメントトルクパワーは,健常群では骨盤遠位は負のパワー,大腿近位は正のパワーを示したため,骨盤から大腿へ力学的エネルギーの流れが生じていた。一方,膝OA群ではその逆を呈した。すなわち,健常群は骨盤から大腿へと力学的エネルギーの流れが生じることで,股関節伸展モーメントを発生させているのに対して,膝OA群はそれが困難であることが示唆された。足関節セグメントトルクパワーでは,下腿遠位は正のパワー,足部近位は負のパワーを示したため,足部から下腿へと力学的エネルギーの流れが生じていた。しかし,膝OA群は力学的エネルギーの流れが有意に低値であったため,足関節背屈筋による足関節背屈モーメントの発生が不十分であることが示唆された。本研究より,各体節間での力学的エネルギーの流れを明らかにすることが可能であり,臨床にて有益な評価手段になり得ると考える。
著者
宇野 信吾 河上 祥一 川村 亮一 中野 宏俊
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.386-391, 2020 (Released:2020-12-10)
参考文献数
10

ワクチン接種前の乳幼児での百日咳罹患は重症化し易く,その感染予防対策に資するため妊婦及びその児の百日咳抗体保有状況を調査した.文書同意を得た妊婦を対象に,妊娠中,臍帯血及び出生児(1カ月齢)50組について,百日咳PT及びFHAに対する抗体価を測定した.PT及びFHAの抗体陽性率は,妊婦で40.0%及び62.0%,臍帯血で48.0%及び80.0%,児で16.3%及び34.7%.幾何平均抗体価は,妊婦で7.1及び11.2EU/mL,臍帯血で9.6及び16.9EU/mL,児で4.5及び7.0EU/mLであり,いずれも児では低値を示した.なお,各抗体価は妊婦と児の間で正の相関が認められた.本研究の対象児の抗体陽性率,幾何平均抗体価は低く,生後3カ月からの百日咳含有ワクチン接種による免疫獲得までの罹患リスクは高い.乳幼児の感染予防の観点から妊婦への百日咳含有ワクチン接種等の対策が必要である.