著者
米谷 民雄 鈴木 資子 岩崎 恭子 久保田 浩樹 山田 隆
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.241-247, 1996-06-30
参考文献数
29
被引用文献数
1

Maltol is a food additive used worldwide, while it enhances the brain toxicity of aluminum (Al). Al injected with maltol is primarily transferred to the liver and so it may also cause hepatic injury. Kojic acid is used as a food additive in Japan and is structurally related to maltol. Therefore, the hepatotoxicity of Al with maltol was compared to that of Al with kojic acid in mice. Al injected intravenously with maltol in a 1 : 4 molar ratio at a dose of 0.25 mmol Al/kg caused an increase in the plasma activities of aspartate aminotransferase (AST) and alanine aminotransferase (ALT) despite lower hepatic Al concentration than those found after administration in a 1 : 2 molar ratio and with Al only. At the same time, hepatic phosphorus and sulfur (S) levels decreased. The decrease in the S level was ascribed to that in the taurine content. The increase in urinary taurine was also observed. Al alone, maltol alone, or Al : kojic acid at a ratio of 1 : 4 did not alter the plasma activities of AST and ALT or the hepatic element levels. These findings may suggest that tris (maltolato) aluminum (III) (Al (maltol)_3) is a hepatotoxin.
著者
内田 亮輔 平田 達也 鈴木 克則 福島 宏司 西館 啓介 久保寺 俊和 巽 瑛理 石井 将人 安孫子 德章
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.125-138, 2016 (Released:2016-07-23)
参考文献数
5

Strange shaped fired bullets were found in a suicide case. While one fired casing was found in the cylinder of a Paltik revolver, one column-shaped fired bullet was found in the head of a dead man and one longer gourd-shaped fired bullet was found in the barrel of the Paltik revolver.  As a result of the gunfire test with revolvers and round-nose-cartridges, firing the revolver with a lodged (first) bullet and propellant powder in the barrel, the first bullet became column-shaped and the next bullet became a longer gourd-shaped. We had carried out X-raying the bullet's collision in the barrel, and we found out that the bullets had deformed in the barrel within a very short time. In the gunfire test, the amount of propellant powder in the barrel was larger than that in the next cartridge, so by regulating the amount of propellant powder, the velocity of the next bullet was reduced.
著者
大久保 将貴
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.147-167, 2017

<p>本稿の目的は,介護労働における早期離職率の規定要因を明らかにし,さらに,2009 年10 月より2 年半の時限措置として導入された「介護職員処遇改善交付金」が,早期離職率にいかなる影響を与えたのかを検証することである.</p><p>介護保険制度の創設以来,要介護高齢者が増加の一途をたどる一方で,介護労働者は慢性的に不足しているため,今日の介護労働をめぐる最も大きな問題は人材不足であるとも言われている.</p><p>こうした人材不足の背景には早期離職率の高さがある.今後のさらなる介護労働需要の高まりを考えると,早期離職率の規定要因を解明し,</p><p>「介護職員処遇改善交付金」という過去の政策介入がどれほどの効果をあげたのかを明らかにすることは,持続可能な介護保険制度を運営する上で喫緊の課題である.</p><p>本稿では上記の問題意識に基づき,全国の介護保険サービス事業所を対象とした大規模調査を用いた分析を行った結果,以下の3 点が明らかとなった.</p><p>第1 に,正規職と非正規職では早期離職率の規定要因が異なる.第2 に,早期離職率と離職率では正規・非正規ともに規定要因が異なる.</p><p>第3 に,介護労働者の離職を防ぎ定着を図る目的で2009 年に実施された「介護職員処遇改善交付金」が早期離職率に与えた効果は限定的である.</p>
著者
内田 智也 大久保 吏司 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 野田 優希 石田 美弥 佃 美智留 土定 寛幸 藤田 健司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.75-81, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2

【目的】投球中の肩関節ストレスの軽減には,良好な下肢関節動作が重要となる。そこで,本研究はFoot Contact(以下,FC)以降のステップ脚膝・股関節の力学的仕事量と肩関節トルクの関係について検討した。【方法】中学生の投手31 名の投球動作解析で求められた肩関節内旋トルクについて,その平均から1/2SD を超えて低い群(以下,LG)10 名と1/2 を超えて高い群(HG)10 名の2 群に分け,ステップ脚膝・股関節の力学的仕事量(正・負仕事)を群間比較した。【結果】FC から肩関節最大外旋位(MER)におけるLG の膝関節屈曲-伸展の負仕事量が有意に低値を示した。【結論】ステップ脚膝関節伸展筋力は良好な投球動作獲得に寄与し,FC 以降の膝関節の固定および下肢関節からの力学的エネルギーを向上させることは肩関節ストレスを軽減させると考えられた。
著者
大久保 昌和 築山 能大 小見山 道 和嶋 浩一 今村 佳樹 岩田 幸一
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-34, 2014

口腔顔面痛に関する国際的な学術団体には,国際学会もあれば国際学会の内部組織もある.これ等の学術団体は互いに機能的に協力し,重要な役割をなしており,日本口腔顔面痛学会はこれらの団体と密接に関連している.国際疼痛学会(IASP)は痛みを扱う団体の中で最も規模が大きく,歴史のある学会である.口腔顔面痛のスペシャルインタレストグループ(SIG)は,IASP の会員で口腔顔面痛に興味のある研究者で構成されたグループである.一方,国際歯科研究学会(IADR)神経科学グループは,歯学研究者でIADR の会員から成るグループで,口腔顔面痛SIGとともに顎関節症の研究的診断基準(RDC/TMD)コンソーシアムを作っている.RDC/TMDコンソーシアムは2014年にTMDの診断基準(DC/TMD)を発表しており,これは現在の顎関節症の標準的診断基準となっている.米国口腔顔面痛学会 (AAOP)は,アジア頭蓋下顎障害学会(AACMD)やその他の関連学会とともに口腔顔面痛と顎関節症に関する国際学会(ICOT)を組織している.2016年には IASP と AACMD の学術大会が横浜で同時開催されることになっており,日本口腔顔面痛学会の会員はこれらの学会に参加して口腔顔面痛の基礎と臨床の最新の話題について学ぶことが強く推奨される.
著者
山本 洋之 大久保 雄司 小川 一文 内海 邦広
出版者
一般社団法人 プラスチック成形加工学会
雑誌
成形加工 (ISSN:09154027)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.104-114, 2010
被引用文献数
3

In this study, the physical performance (adhesion resistance, heat resistance, abrasion resistance, chemical resistance) extremely thin, highly durable and chemically adsorbed fluorocarbon film with low surface energy on the metal surface (the thickness is about 1 nm order.) was evaluated, and the evaluation results (durability, demolding resistance) on the actual injection molding performance up to 100,000 shots using a test mold were reported. <BR>The demolding resistance could be drastically decreased without losing the mold shape and dimensional accuracy by using the chemically adsorbed and highly durable fluorocarbon film.<BR>From these results, this technique should be useful for molding various elastomers such as silicone and urethane resin which are difficult to release from a mold for making high precision products such as optical components and chemical chips.
著者
久保田 裕之
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.113-123, 2011-06-01 (Released:2018-02-01)

本稿では,「家族の個人化」と呼ばれる状況のもと,家族福祉論をその正当化根拠から批判的に検討することによって,家族か/個人かという政策単位に関する議論を一歩進めることを目的とする。具体的には,政策単位をめぐるこれまでの議論を概観することで,家族のニーズを個人の選択に還元する個人単位化論も,家族自体をある種のニーズとして扱い続ける家族福祉論も,「家族の個人化」と家族福祉の間の緊張関係を克服できないことを示す。次に,家族福祉とニーズ論との関係を整理することで,ニーズ概念の限定性と優先性から,ニーズに対する福祉の<過小>と<過剰>という二つの危険を抽出し,家族自体をニーズと捉えることのパターナリズムを批判する。その上で,フェミニスト法学・倫理学における<依存批判>の議論を援用することで,従来の家族に期待されてきたニーズの束を分節化し,家族を超えて福祉の対象とする新たなアプローチを提唱する。
著者
江玉 睦明 久保 雅義 大西 秀明 稲井 卓真 高林 知也 横山 絵里花 渡邉 博史 梨本 智史 影山 幾男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0563, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】アキレス腱(AT)障害の発生メカニズムとしては,これまで踵骨の過回内による「whipping action(ムチ打ち)」が要因であると考えられてきた。しかし,近年では,踵骨の回内時にAT内の歪みが不均一であることが要因として重要視されてきている。この原因としては,ATの捻れ構造が関与している可能性が示唆されていが,ATの捻れの程度の違いを考慮して検討した報告はない。従って,本研究は,踵骨を回内・回外方向に動かした際にATを構成する各腱線維束に加わる伸張度(%)を捻れのタイプ別に検討することを目的とした。【方法】対象は,我々が先行研究(Edama,2014)で分類したATの3つの捻れのタイプ(I:軽度,II:中等度,III:重度の捻れ)を1側ずつ(日本人遺体3側,全て男性,平均年齢:83±18歳)使用した。方法は,下腿部から踵骨の一部と共に下腿三頭筋を採取し,腓腹筋の筋腹が付着するAT線維束とヒラメ筋の筋腹が付着するAT線維束(以下,Sol)を分離し,腓腹筋内側頭が付着するAT線維束(以下,MG)と外側頭の筋腹が付着するAT線維束(以下,LG)とに分離した。そして,各腱線維束の踵骨付着部の配列を分析して3つの捻れのタイプに分類し,各線維束を3-4mm程度にまで細かく分離を行った(MG:4~9線維,LG:3~9線維,Sol:10~14線維)。次に,下腿三頭筋を台上に動かないように十分に固定し,Microscribe装置(G2X-SYS,Revware社)を使用して,各腱線維の筋腱移行部と踵骨隆起付着部の2点,踵骨隆起の外側の4点をデジタイズして3次元構築した。最後に,任意に規定した踵骨隆起の回転中心を基準に作成した絶対座標系上で踵骨を回内(20°)・回外(20°)方向に動かした際の各腱線維の伸張度(%)をシミュレーションして算出した。解析には,SCILAB-5.5.0を使用した。統計学的検討は,Microscribe装置測定の検者内信頼性については,級内相関係数(ICC;1,1)を用いて行った。【結果】級内相関係数(ICC;1,1)は,0.98であり高い信頼性・再現性が確認できた。タイプ毎の伸張度(%)は,タイプIでは,回内(MG:-1.6±0.9%,LG:-2.2±0.2%,Sol:1.7±3.4%),回外(MG:1.3±0.7%,LG:2.0±0.3%,Sol:-1.4±3.3%),タイプIIでは,回内(MG:-1.2±0.7%,LG:-0.4±0.6%,Sol:2.4±1.4%),回外(MG:0.8±0.7%,LG:0.4±0.5%,Sol:-3.2±1.5%),タイプIIIでは回内(MG:-1.7±0.4%,LG:-0.4±1.4%,Sol:3.7±6.0%),回外(MG:1.3±0.4%,LG:0.4±1.3%,Sol:-5.4±6.2%)であった。【考察】AT障害の発生メカニズムとして,踵骨の回内時にAT内の歪みが不均一であることが要因として報告されている。また,好発部位は,踵骨隆起から近位2-6cmであり,外側よりも内側に多いことが報告されている。今回,踵骨を回内すると3つの捻れのタイプ全てにおいて,MG・LGは短縮し,Solは伸張された。特にタイプIII(重度の捻れ)では,回内時のSolの伸張度が他のタイプに比べて最も大きく,更にSolを構成する各腱線維の伸張度のばらつきが多い結果であった。従って,タイプIII(重度の捻れ)では,踵骨回内時には,ATを構成するMG,LG,Solの伸張度が異なるだけでなく,他のタイプに比べてSolの伸張度が大きく,更にSolを構成する各腱線維の伸張度も異なるため,AT障害の発生リスクが高まる可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】AT障害は,重症化するケースは少ないが再発率が高く,管理の難しい疾患の一つとされている。近年,有効な治療法はいくつか報告されているが,予防法に関しては有効なものが存在していない。その原因として,発生メカニズムが十分に解明されていないことが懸念されている。本研究結果は,AT障害の発生メカニズムの解明に繋がり,有効な予防法や治療法の考案,更には捻れ構造の機能解明に繋がると考える。
著者
久保 満佐子 小林 隆人 北原 正彦 林 敦子
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.49-62, 2011
参考文献数
47
被引用文献数
1

1.草原性のチョウ類が多く生息する富士山麓の上ノ原草原において,人為的管理が出現植物の種組成,吸蜜植物の開花,チョウ類の種組成に与える影響を調べ,チョウ類の多様性を維持する草原の管理方法を提案した.<BR>2.上ノ原草原にある1)草刈り後に草を持ち出している防火帯(防火帯),2)草刈り後に草を放置している植栽地(草刈地),3)草刈り後に草を放置している未舗装作業道路(道),4)管理放棄後3年以上経過した草原(放棄草原),5)クロツバラが優占する低木疎林(低木林)の5つの環境を調査地として,各調査地で出現植物の種組成と吸密植物の開花数,チョウ類の種組成を調べた.<BR>3.出現した植物および開花した吸蜜植物の種組成について二元指標種分析を行った結果,両種組成は,第一に植生構造の違いにより低木林に対してその他の調査地に区分され,次に管理方法の違いにより防火帯に対して草刈地と道,放棄草原に区分された.開花した吸蜜植物の種組成における指標種は,防火帯が7月,草刈地と道,放棄草原が8月と9月を中心に開花する種であった.開花数は,管理が行われている調査地で放棄草原や低木林より多い傾向があった.<BR>4.チョウ類の種組成について二元指標種分析を行った結果,防火帯に対してその他の調査地で区分された.防火帯のチョウ類の指標種は7月に発生する種であり,吸蜜植物における指標種の開花季節と一致した.<BR>5.本草原では,季節を通して吸蜜植物の開花があり,発生時期の異なるチョウ類が生息していることが特徴であった.さらに,低木林は,草原とは異なる遷移段階に依存するチョウ類の食樹であり,これらの種の主要な発生源となっている可能性があった.このため,本草原のチョウ類群集を維持するためには,草原の中で管理方法や植生構造の違いを含む植物群落の多様性を維持する管理の工夫が必要であると考えられた.
著者
大久保 洋子
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.112, no.3, pp.161-166, 2017 (Released:2017-06-26)
著者
大久保 利道
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.52, pp.168-171, 2001-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

ジャガイモヒゲナガアブラムシは, 実験条件下で高温による繁殖抑制は認められるものの, 実際に夏期に北海道, 東北で増殖を抑えているのは, 高温ではなく, 天敵の働きであると推察された。特に平成12年の夏期は8月中旬から9月上旬にかけての少雨 (乾燥) がカビの働きを抑制したため大発生したと考えられた。