著者
久保 ゆき子 高島 康裕 中武 繁寿 梶谷 洋司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.881-888, 2000-04-15
参考文献数
10
被引用文献数
8

平面配線領域上に指定された複数の点を相互に結ぶスタイナ木を別のスタイナ木へ変換するアルゴリズムFlipを提案する.これは,現スタイナ木の1枝をそれを含む面上のパスで迂回させる操作である.Flipは高速で働き,また任意のスタイナ木から任意のスタイナ木へ多項式回の適用で到達できることが証明できるので,VLSI配線における複雑な評価に対する有効なアルゴリズムになる.Flipは,2層HV配線領域のスタイナ木にも適用できるよう拡張される.例として採用した総配線長,クロストーク,スキュー,VIA数などの複合評価関数に対応する実験では,従来の構成的手法では達成できない特徴を有する結果を得ることができた.また,類似の手法であるrip-up and reroute手法との差異を付録で論ずる.Given a Steiner tree thatconnects designated terminals on a plane routing area, the Flip isdefind as a procedure that makes a current Steiner tree change itsconfiguration.It is to replace one of the edges of the Steiner treewith a detour on an adjacent face.Since the procedure runs quickly, and the reachability is proved, theidea can be a useful routing algorithm if it is implemeted bysimulated annealng.The idea is enhanced to the 2-layer HV routing.The performance of the algorithm was experimented for multipleobjectives.Some unique and satisfiable results were observed.The difference from the rip-up and reroute strategy is discussed in Appendix.
著者
小林 誠 北川 隆夫 藤下 雅敏 吉本 静雄 久保西 一郎 新谷 憲治 田口 博国 三好 勇夫 園部 宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.1384-1390, 1983
被引用文献数
2

Pneumocystis carinii(Pc)肺炎は専ら免疫不全状態にある患者に発症する.最近CMV感染あるいは麻薬の常用が,同性愛の男性の免疫不全の原因となる可能性が指摘されている.我々は異常な性習慣や麻薬歴のない健康成人女性に発症したPc肺炎の1例を報告する.症例は37才の女性で,主訴は労作時呼吸困難.両側性びまん性胸部陰影の精査のため入院した.患者は10年間縫製業に従事しており,入院5ヵ月前の胸部X線像は正常であつた.入院第10病日に高熱が出没するようになり,次第に低酸素血症と胸部陰影が増強したため,経気管支肺生検を施行した.メテナミン銀染色で肺胞腔内に充満するPcの虫体を認めたので, TMP-SMZの内服を開始した.投与後5日目に下熱し,その後8週間で胸部陰影は全く消失し, Po<sub>2</sub>も正常化した.入院後間もなく患者は腋窩部と下腹部を中心に疥癬に罹患していることが判明し,皮膚病変は成人ではまれとされる皮下トンネルの形成が著明であつた.血清学的にCMVに対する抗体は陰性で,末梢血リンパ球数, T細胞数, B細胞数, PHAとPWMに対するリンパ球幼若化反応,末梢血単球と好中球の貧食能,免疫globulin値はすべて正常であつたが, PPD皮内反応は陰性であつた.細胞性ならびに液性免疫能が正常でかつ基礎疾患のない婦人にPc肺炎が発症した理由は明らかでないが,トンネル形成が著明な疥癬が合併したことを考えると,本例に何らかの免疫不全が存在したことは否定できない.
著者
久保田 陽子 伊田 昌功 伊藤 宏一 加藤 浩志 辻 芳之
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.257-264, 2014

日本では諸外国に比し硬膜外麻酔を用いた無痛分娩の普及率は著しく低いが,当院では分娩例の約半数に無痛分娩を施行している.今回,2010年7月から2011年12月の間での無痛分娩症例において,後方視的に自然分娩例と比較し分析することにより,無痛分娩が分娩や新生児に与える影響を明らかにすることを目的とした.無痛分娩群では自然分娩群と比較して,回旋異常発生率・陣痛促進剤使用率・吸引分娩施行率・分娩所要時間(分娩第1期・分娩第2期)が有意に上昇したのに対し,緊急帝王切開移行率・分娩時総出血量は両者で有意差を認めなかった.新生児への影響に関しては,Apgar score,臍帯血pHには有意差を認めなかった.臍帯血BEにおいては両群間で有意差を認めるも,ともに正常値の範囲内であり,以上より無痛分娩が新生児へ悪影響を及ぼすことはないという結果になった.無痛分娩による母体合併症として,当院では2例の硬膜穿刺後頭痛を経験したが,いずれも保存的治療のみで症状は軽快し,うち1例では次回分娩時にも無痛分娩を希望した.以上より,分娩帰結に差がないことを考えれば,痛みのない分娩を選択でき得ることは妊婦にとって大きな助けになると思われる.〔産婦の進歩66(3):257-264,2014(平成26年8月)〕
著者
久保田 晃弘
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.141, no.7, pp.391-394, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
12

1.はじめに─美術作品の自意識1990年代に,当時のニューメディア,すなわちコンピュータによる計算とアルゴリズムの文化が,広く映像音響の芸術文化と交錯することから生まれた「メディアアート」も,今では,さまざまなところで,日常的に見聞きするようになった。しかし,改めて考えてみれば,メディア
著者
中村 理恵子 大森 泰 須田 康一 和田 則仁 川久保 博文 竹内 裕也 山上 淳 天谷 雅行 北川 雄光
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1515-1526, 2018 (Released:2018-08-20)
参考文献数
24

自己免疫性水疱症は自己抗体により細胞間接着が障害され,皮膚や重層扁平上皮に水疱が形成される疾患の総称である.多くは皮膚に水疱やびらんを形成するが,目,鼻,口腔粘膜,口唇,咽喉頭,食道などの重層扁平上皮にも水疱やびらんを形成することがある.しかし,咽喉頭および食道粘膜における病変の発生頻度や特徴についてはよく知られていない.この研究においては,自己免疫性水疱症における上部消化管内視鏡検査の重要性を評価することを目的とし,内視鏡的な咽喉頭食道病変の発生頻度をprimary endpoint,内視鏡的・臨床的特徴を見出すことをsecondary endpointとして評価を行った.口腔または咽喉頭病変を50.4%,咽喉頭病変を30.8%に認めた.通常観察で食道粘膜面に異常を認めなかった症例の40.6%において機械的刺激による表皮剥離または血疱形成(Nikolsky現象)を呈した.全体の16.8%に通常観察で食道病変を認め,56.0%がNikolsky現象陽性を呈した.皮膚病変を認めない29.2%の症例において,77.7%に口腔または咽喉頭病変,36.1%に食道病変,58.3%にNikolsky現象を認めた.上部消化管内視鏡所見より自己免疫性水疱症を疑うことは可能であり,その内視鏡的特徴および所見を理解しておくことは重要である.
著者
古久保 さくら
出版者
大阪市立大学
雑誌
人権問題研究 = The journal of human rights (ISSN:1346454X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.91-113, 2007

はじめに : 2006年6月27日、大阪市立大学人権問題研究センターの研究員がキャンパス・セクシュアル・ハラスメントを事由にして停職3ヶ月という懲戒処分を受けたことは、人権問題を研究する研究組織として全国においてその独自性と先進性を誇ってきた大阪市立大学人権問題研究センターとして、断腸の思いで受け止めざるを得ないできごとであった。……
著者
オステン フィリップ 久保田 隆
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 = Journal of law, politics and sociology (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.37-49, 2017-04

[訳者まえがき]国際刑法典刑法典(抄訳)刑事訴訟法(抄訳)資料
著者
久保 理 小林 康弘
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.124, no.9, pp.1834-1840, 2004-09-01
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

Weather derivatives are getting to be powerful tools for weather risk hedging. A popular method which draws out valid prices of weather derivatives is a stochastic modeling approach. In the method, expected payoffs of weather derivatives based on stochastic weather models are regarded as their valid prices. Although useful stochastic models of temperature have been shown, stochastic models of daily rainfall are still being developed. Therefore, it is considered that pricing of daily rainfall derivatives is difficult. This paper shows a new stochastic daily rainfall model for pricing daily rainfall options. The new model in which a modified geometric distribution model is applied can express stochastic features of daily rainfall. Furthermore, this paper also shows that the combination model of the Markov chain rainy day model and the new model can express stochastic features and risks of daily rainfall option payoffs.
著者
橋爪 秀一 河野 貴美子 小久保 秀之 山本 幹男 桂川 秀嗣 鎌田 明彦 渡辺 恒夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.32-38, 2016

人類はこれまで健康に良い様々な機能、例えば、抗酸化作用、抗肥満作用、生活習慣病予防作用など、を有する食品を取捨選択してきた。その結果、全ての食品は、何らかの機能を有しており、現在、我々が食べている食品は人類の英知の結晶であると言える。しかし、食品にはこのように多くの機能があるが、では、何が最も重要で、有用であるのだろうか。また、食品を総合的に評価する方法があるのだろうか。我々の大敵は疾病であるが、殆どの疾病がストレスにより引き起こされることから、我々はストレス改善効果に注目した。また、考えてみると、食の一次、二次、三次機能に共通する概念、キーワードもストレスであると考えられる。そこで、食品のストレス改善作用を測定した結果、殆ど全ての食品は大なり小なりストレス改善作用を有していた。また、食品のストレス改善作用は、太極拳、凸凹マット足踏み、アロマセラピーなどより大きかった。これら食品のストレス改善効果は、咀嚼、ストレス改善効果を有する成分及びスパイスにより大きな効果が得られることが示唆された。更に、このストレス改善効果は、食品を含めた様々な分野のヒット製品開発及び個別用製品検索など、ビジネスへの応用が期待できる。
著者
赤沼 安夫 繁田 幸男 井村 裕夫 七里 元亮 垂井 清一郎 馬場 茂明 堀野 正治 兼子 俊男 三村 悟郎 清水 直容 内藤 周幸 中川 昌一 工藤 守 久保田 奉幸 阿部 祐五 王子 亘由 鍋谷 登 河原 啓 安東 千代 陣内 冨男 小坂 樹徳 後藤 由夫 葛谷 健 平田 幸正 伊藤 徳治 梶沼 宏 堀内 光 坂本 信夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.9-18, 1984

ブタインスリンの化学的修飾によつて酵素学的畔合成されたHuman Momcomponent Insuliれの安全性, 有効性および免疫学的推移を精製ブタインスリンを対照薬剤とした二重盲検法にて検討した. 用いた製剤はいずれもActrapidおよびMonotard製剤である. 治験は96週間の予定にて実施進行中であるが, 今回は24週間まで投与し得ている症例を対象とした中間成績である. 対象は, 精製ブタインスリン製剤のみで治療されているType IおよびType II糖尿病患者153例であった. 解析は除外症例8例を除いた145例にて実施された.<BR>患者の年齢, 糖尿病病型, 肥満度, 糖尿病発症年齢, 糖尿病罹病期間および糖尿病性合併症など背景因子に明らかな偏りはなかった.<BR>全般改善度, 有用度とも精製ブタインスリン群の方で改善および有用と判定する傾向があった (0.05<p<0.1).<BR>インスリン1日用量, 空腹時血糖値およびヘモグロビンAiでは両薬剤群間に有意な差は認められなかった. 体重, 抗インスリンIgG抗体およびインスリン特異性IgE抗体でも両薬剤群間に差を認めなかった. インスリンアレルギーが治験開始1ヵ月頃に, リポアトロフィーが12週間頃に各1例ずつ認められたが, いずれも治験はそのまま継続し得た. これら以外に副作用は認めなかった. 臨床検査成績に治験薬剤によると思われる直接的な影響は認められなかった.<BR>以上より, Human Monocomponent Insulinは, 精製ブタインスリンとほぼ同様の安全性, 有用性を有しており, 糖尿病治療上, 有用なインスリンであると判断された. しかしながら両者間には作用特性に多少の差異がみられる可能性は残る. この点に関しては今後さらに検討される必要があろう.
著者
福森 信隆 小縣 昭夫 安藤 弘 久保 喜一 湯澤 勝廣 長澤 明道 高橋 博 矢野 範男 不破 達 大橋 則雄
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.58-65, 2010

東京都によるいわゆる脱法ドラッグ条例の制定と国による追随の結果、未規制薬物市場においては化学系違法ドラッグが減少する代わりに、植物系ドラッグが増加している。今回、リゼルグ酸アルカロイドの含有が疑われる市販品のハワイアンウッドローズ種子からの抽出液をマウスに経口投与して、行動及び神経症状に対する影響について我々が開発したスクリーニング試験法を用いて調べた。高用量群で、首振り運動や鎮静作用、音に対する外界反応の亢進、痛反応及び払いのけ反射の増強等がみられた。これらの変化には、脳内セロトニンの消長が関与するものと示唆された。
著者
川合 伸幸 中田 龍三郎 久保 賢太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2J5OS19b04, 2019 (Released:2019-06-01)

ビデオデームで他者で対戦していると思い込むことで、実際にはコンピュータと対戦しているにもかかわらず異なる反応が心身に現れるかを検討した。その結果、脳波は主観反応から、誰かと対戦していると思い込むこと(プロジェクション)だけで、コンピュータと対戦していると信じているときとは異なる反応が得られた。
著者
石坂 勇人 水嶋 優太 阿久津 瑞季 秋山 純和 千田 雅之 久保 晃 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.461-467, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
17

〔目的〕肺癌切除術前後の6分間歩行試験(6MWT)の変化と歩行距離を規定する因子を明らかにすることを目的とした.〔対象〕肺癌切除術を施行した57名を対象とした.〔方法〕術前後で6MWT,呼吸機能検査,膝伸展筋力を測定した.6MWTを従属変数とした重回帰分析を用いた.〔結果〕歩行距離は術後で有意な低下が認められた.術前6MWTの重回帰分析では,最高PR,安静時PR,年齢,%VC,安静時呼吸困難感,膝伸展筋力を独立変数とする有意な変数が得られた.術後6MWTは,年齢,歩行後SBP,%VC,最高PR,安静時呼吸困難感を独立変数とする有意な変数が得られた.〔結語〕術前6MWTには心拍予備能力,術後6MWTには心拍出量が関与し,術前後ともに年齢,%VCの影響を受けた.
著者
田崎 博之 大久保 徹也
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

①資料の調査と分析土器生産技術の共有化と維持・伝達を考察するため、「限られた集団によって製作された」と考えられる土器群として、まず土器づくりの場に廃棄された焼成失敗品を取り上げた。具体的な資料は、愛媛県文京遺跡12次調査SK-21と23次調査SX-16(弥生中期後葉)、福岡県迫額遺跡土壙24(弥生後期初頭)出土の焼成失敗品を含む土器群であり、形状や調整痕跡、施文手法に着目して分析を行った。また、画一性の高さから特定の限られた遺跡もしくは遺跡群で生産されたと考えられる香東川下流域産土器群(弥生後期中葉~終末)について、製作技法・手順・胎土的特徴を観察し分析を進めた。分析に供した資料は、高松平野域の27遺跡約900点、徳島・岡山県域の41遺跡の約1500点である。一部については薄片プレパラートを作成し岩石学的観察を行った。加えて、土器焼成失敗品の出土を確認できた石川県八日市地方遺跡(弥生中期中葉と後葉)と、大阪府上の山遺跡(弥生中期前葉)の資料の予備的な調査を行い、次年度の本格的な資料調査と分析にそなえた。②研究集会での分析結果の検証と意見交換研究代表者・分担者・協力者が参画する研究集会を計3回開催した。岡山大学での第1回研究集会においては、研究目的・内容の共通認識を得るとともに、分析資料を絞り込むことができた。香川県埋蔵文化財調査センターで開催した第2回研究集会では、香東川下流域産土器群について、成形・整形・調整痕跡の観察、製作手順の復元、胎土類型について実物を観察しながら検討した。第3回研究集会は愛媛大学で開催し、文京遺跡出土の土器焼成失敗品を観察し、分析結果について論議した。加えて、筑前町文化財収蔵庫で実施した迫額遺跡出土土器群の資料調査では、分析成果の中間成果、分析方法についての意見交換を行い、問題点の整理、問題解決のための方策を検討することができた。