著者
佐竹 洋之 福田 浩二 近藤 正輝 中野 誠 瀬川 将人 伊藤 健太 下川 宏明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.1, pp.S1_147-S1_152, 2015 (Released:2016-12-14)
参考文献数
5

症例は30歳代男性, 市民ハーフマラソン大会に出場し, スタートから15km付近を走行中に心肺停止状態となった. 同マラソン大会に救命救急のプロジェクトとして参加していた医師・看護師により, 速やかにCPRが施行され, AED (VFドキュメント) にて心拍再開を得た. その後, 当院へ救急搬送・低体温療法にて神経学的後遺症を残さず回復した. 心エコーおよび画像検査からは器質的心疾患の存在は否定的であり, 後日施行した冠動脈造影では器質的狭窄は認めず, 冠攣縮誘発試験でSpasm陽性, 電気生理検査ではVFは誘発されず, サンリズム負荷試験も陰性であった. VFの発生に冠攣縮の関与も疑われたが, 過去, またCPA時に胸痛がないため, 特発性心室細動と診断し, ICD植込みを施行, Ca拮抗薬の内服も開始し退院となった. 若年者のスポーツ中の突然死は, 肥大型心筋症などの器質的心疾患に多いとされているが, 今回, 器質的心疾患を認めない若年者に発生した特発性心室細動を経験したので報告する.
著者
太田 康 仙波 哲雄 伊藤 健 田中 正 福田 正弘
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.355-365, 1993-03-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

Twenty-one patients with paranasal sinus disease were studied with magnetic resonance imaging (MRI) and CT: two with acute in Hammatory sinus disease, seven with chronic inflammatory sinus disease, four with squamous cell carcinomas, two with papillomas, one with malignant lymphoma, and five with mucoceles. In a few cases, no characteristic MRI abnormalities were detected. The distinction between paranasal tumor and in Hammatory mucosa was almost seen in MRI through clearness of periphery, homogeneity of structure, signal intensity, and enhancement by Gd-DTPA. However, there were some exceptions.CT was useful mainly for bone details, and MRI for soft tissue, so CT and MRI provide different information. The use of both CT and MRI is recommended for the correct diagnosis of paranasal sinus disease. CT should be used initially and MRI should be a secondary examination.
著者
伊藤 健一 宮原 英隆 氏家 亨 武島 俊達 横山 信吾 中田 弘太郎 永野 哲志 佐藤 努 八田 珠郎 山田 裕久
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.255-271, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
27
被引用文献数
8 11

In the radiation dosimetry of radiocesium in Iitate, Fukushima, the level of radiocesium around the environment did not exceed the criteria in liquid phases such as puddle water, but was distributed in solid phases such as some soil types and organic matter. On the other hand, retting of the cut bamboo grass and hemlock fir in water allowed the release of radiocesium, about 230 Bq/kg exceeding the criteria for a bathing area. The flow-thru test using zeolite showed the removal of radiocesium from the liquid phase. The wet classification test was performed for 3 types of radiocesium-contaminated soil. According to the results of wet classification, radiocesium was detected and its level exceeded the cropping restriction level in almost all classified particle fractions. The decontamination effect of wet classification on radiocesium contamination was smaller than that on heavy metal contamination. Specifically, the wet classification could not induce volume reduction. Accordingly, preprocessing and intermediate treatments such as dispersion or attrition by vibration or mixing in the wet classification process were devised and examined as improved processing techniques. As a result, the effectual volume reduction of the radiocesium-contaminated soil was confirmed by adding an intermediate process such as the surface attrition in the vibrator.
著者
伊藤 健
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.119, no.7, pp.929-936, 2016-07-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
11

音響生理学的プロセスを解説した上で, 聴覚検査において観察している現象について述べた. 対象としては専門医資格取得前後の耳鼻咽喉科医師を想定した. 中耳は空気中から外リンパに音波を伝えるためのインピーダンス整合器の働きを持つ. 内耳 (蝸牛) は音響受容器であるとともに内部に増幅機能 (amplifier) を持ち, さらに周波数分解をも行う. 検査としては基本となるもののみ (インピーダンス・オージオメトリ, 耳音響放射, 脳電図, 音叉による検査, 純音聴力検査, 聴性定常反応) に限った. 実際の検査結果を評価するに当たっては, どのような音響生理学的現象を観察しているのかを常に考えるようにすると学習効果が高まる.
著者
朝廣 雄一 伊藤 健洋 江藤 宏 宮野 英次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.113, no.198, pp.43-50, 2013-08-27

本稿では,グラフG=(V, E)と指定次数γが与えられたとき,頂点部分集合S によって誘導される部分グラフG[S]が指定した次数rの正則グラフであり,頂点数が最大となるようなSを見つけ出す最適化問題を考える.また,グラフG[S]がr-正則,かつ連結グラフである場合についても考える.両問題は,ある定数rについて,近似することさえNP困難であることが知られている.本稿では,入力を特別なグラフクラスに限定した問題について考える.rをある定数とし,入力グラフを二部グラフまたは平面グラフに限定したとしても,本稿で考える連結性を条件とする正則誘導連結部分グラフ探索問題と必要としない正則誘導部分グラフ探索問題が近似することさえNP困難のままであることを示す.一方,以下のような木構造を持つグラフを入力とした場合には,両問題が簡単になることを示す.まず,木幅限定グラフを入力としたとき,両問題に対する最適解を線形時間で求めるアルゴリズムを示す.ここで,計算時間に隠れている係数は木幅の単一指数である.更に,入力を弦グラフとしたときには,両問題の最適解を多項式時間で求めることができることを示す.
著者
伊藤 健 生田目 崇
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2015年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.216-219, 2015 (Released:2016-01-29)

本研究では,マルチエージェントモデルを用いてECサイトのシミュレーションを行う.近年,SNSの発達により,情報伝搬が促進され,個人の発言の影響力が大きくなってきている.また,EC市場の発達により,ネットで購買する人が増え,企業もアクセスログなどの大量のデータを蓄積している.こうした中で,消費者のウェブ上での,不透明な購買行動を予測することは,経営に重要であると考えられる.マルチエージェントモデルは,個人の行動の相互作用によって,マクロ現象を表現できる.またシナリオ分析することで,ECサイト上の消費者行動を予測することができ,意思決定者の支援に繋がることが期待される.
著者
田村 祐馬 伊藤 健洋 周 暁
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL)
巻号頁・発行日
vol.2014-AL-148, no.3, pp.1-6, 2014-06-06

無向グラフ G のフィードバック点集合 F とは,G から F を取り除くと,残されたグラフが林になるような G の点部分集合のことである.また,F が G の独立点集合をなすとき,F はフィードバック独立点集合という.本稿では,与えられたグラフに対し,点数が最小のフィードバック独立点集合を求める問題について研究する.この問題は,平面的二部グラフに対してさえ NP 困難であることが示せるため,我々はいくつかの特別なグラフクラスに着目する.まず我々は,この問題が木幅制限グラフと弦グラフに対して線形時間で解けることを示す.次に,平面グラフに対しては,解のサイズをパラメータとした FPT アルゴリズムを与える.
著者
小山 尚美 流石 ゆり子 河野 由乃 村松 照美 郷 洋子 林正 健二 小野 興子 横山 貴美子 伊藤 健次 城戸 裕子 波木井 昇
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学看護学部紀要 (ISSN:18806783)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-37, 2009-02-27
被引用文献数
1

過疎農山村地域の独居後期高齢者の現在・今後の生活への思いを明らかにすることを目的にA町の6名に半構成的面接を行った。【猿や猪が農作物を喰い荒らして困る】【欲を言えばもう少し交通の便を良くして欲しい】と山間部特有の問題【年々歳をとってこのまま元気でいられるかどうか先のことはわからず不安だ】【みんな歳をとり昔のようにいかなくなり悔しい】【災害や跡継ぎがないことが心配だ】等の加齢変化の実感と不安を抱えていた。これらに【みんなとの交流は楽しみだ】【みんなが支えてくれてるので安心して生活できる】と田舎ならではの良さが勝り【ここでの今の生活は幸せだ】【子供の所へ行くより住み慣れたここに最期までいたい】と自ら今の生活を選択し【今の生活を維持する為にいろんなことを心掛けている】と日々努力をしていた。鳥獣被害対策、交通サービスの充実、現存の住民支援ネットワークの活用、役割保持の支援の必要性が示唆された。
著者
笠原 義正 伊藤 健
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.167-172, 2009-08-25 (Released:2009-09-10)
参考文献数
7
被引用文献数
3 15

LC/MS/MSを用いてツキヨタケおよびその食中毒原因食品に含まれるilludin Sの定量法を開発した.試料をメタノールで抽出し,Oasis HLBを用いて精製し,LCのカラムにはInertsil ODS-3を使用し,移動相には0.1%ギ酸-メタノール(7 : 3)を用いた.MS/MSの条件はESIポジティブモード,測定はMRMモードで行った.本法では他のキノコに添加した場合のilludin Sの回収率は84~94%で,検出限界は0.08~0.10 μg/gであった.食中毒原因食品からilludin Sの測定は可能であり,食中毒食品を想定したキノコ汁についてはilludin Sの回収率は74.8%であった.本法はツキヨタケおよび食中毒原因食品中のilludin Sの分析に有用な方法である.
著者
佐藤 昇 柴田 昌弘 安戸 方邦 伊藤 健二朗 Sato Noboru Shibata Masahiro Yasudo Masakuni Ito Kenjiro
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.126, no.5, pp.233-237, 2012-05

外肺葉から分化した神経管において, 中心管近傍の神経上皮細胞から分化した運動ニューロンは前角へと移動しつつ, 標的に向かって軸索を伸長する. 標的と接触した後, 約半数の運動ニューロンは「プログラムされた細胞死」を起こして死ぬ. この過程は, ニューロンがその標的である筋線維からのシグナルによってコントロールされる標的由来因子依存性の生存あるいは死である. さらにアセチルコリン受容体の競合的阻害剤であるクラーレ (d-tubocurarine) の投与によってこの時期の神経筋活動を抑制すると, この細胞死は完全に抑制され, 筋肉の神経分枝が発達し, シナプス (神経筋接合部) が増加する. 従って, 脊髄運動ニューロンの形態形成を考える上で, その標的である筋の形態形成を無視することはできない. すなわち運動ニューロンとその標的である筋は一体として理解することが重要である.