著者
伊藤 剛 北川 祐介 松岡 篤
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6, pp.249-259, 2016
被引用文献数
6

Middle and Late Permian (Capitanian and Changhsingian) radiolarians were obtained from chert blocks located within conglomerates of the Kamiaso Unit of the Mino terrane along Tsubogawa River, Gifu Prefecture, Central Japan. Previously, the Capitanian and Changhsingian cherts have not been reported from the sequences of the Akiyoshi terrane. Therefore, the collected chert blocks were not derived from the Akiyoshi terrane. The Capitanian and Changhsingian cherts have been recovered from the Permian sequences of Jurassic accretionary complexes in Southwest Japan; however, the characteristics of the Permian radiolarian fauna of the chert blocks are inconsistent with those from previously recovered Permian cherts. This indicates that the chert blocks were not derived from previously known units including Permian sequences. A previous study suggested that Triassic-Jurassic chert clasts within the chert breccias of the Kamiaso Unit were derived from the accreted Kamiaso Unit on the landward trench slope. As the Permian chert has not been identified in the coherent facies of the Kamiaso Unit, the Permian sequences must have been subducted during accretion. Our results suggest that the chert blocks were derived from the pre-accretion Kamiaso Unit located on the outer trench slope.
著者
伊藤 剛 北川 祐介 松岡 篤
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6, pp.249-259, 2016-06-15 (Released:2016-08-01)
参考文献数
76
被引用文献数
1 6

Middle and Late Permian (Capitanian and Changhsingian) radiolarians were obtained from chert blocks located within conglomerates of the Kamiaso Unit of the Mino terrane along Tsubogawa River, Gifu Prefecture, Central Japan. Previously, the Capitanian and Changhsingian cherts have not been reported from the sequences of the Akiyoshi terrane. Therefore, the collected chert blocks were not derived from the Akiyoshi terrane. The Capitanian and Changhsingian cherts have been recovered from the Permian sequences of Jurassic accretionary complexes in Southwest Japan; however, the characteristics of the Permian radiolarian fauna of the chert blocks are inconsistent with those from previously recovered Permian cherts. This indicates that the chert blocks were not derived from previously known units including Permian sequences. A previous study suggested that Triassic-Jurassic chert clasts within the chert breccias of the Kamiaso Unit were derived from the accreted Kamiaso Unit on the landward trench slope. As the Permian chert has not been identified in the coherent facies of the Kamiaso Unit, the Permian sequences must have been subducted during accretion. Our results suggest that the chert blocks were derived from the pre-accretion Kamiaso Unit located on the outer trench slope.
著者
伊藤 久美子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.61-70, 2011-01-31
被引用文献数
2

若い女性における無彩色を含む2色配色の感情効果を追究した.無彩色と有彩色,無彩色同士の2色配色合計246配色を,マンセル色相環の10色相から系統的に選んだ.これらの配色について,ファッション関係で使われる6尺度を用いて,OsgoodのSD法により,50名の女子短大生に配色効果を評価させた.6尺度とは,派手な-地味な,スポーティ-エレガント,緊張した-ゆるんだ,ゴージャス-シンプル,好きな-嫌いな,調和-不調和である.その結果は,無彩色の明度の違いにより,それを含む配色の色彩感情が異なる事を示した.黒は,配色をより緊張させ,よりゴージャスとし,白は,それを含む配色をより好きに,より調和させる.一般に,高明度の無彩色と低明度の有彩色との配色は調和する.白と黒との配色は,全配色中で最も調和する.
著者
伊藤 暢宏 大輪 芳裕 堀越 伊知郎 黒川 剛 鈴村 和義 野浪 敏明
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.645-648, 2004

症例は64歳, 男性。留置所内において, 自殺目的で腹部に箸を突き立て, 壁にぶつかり受傷し, 当院に搬送された。来院時, 意識状態良好で, バイタルサインも安定しており, 腹部は平坦, 貧血を認めなかった。箸は膀部より刺入, 固定されていた。腹部CT検査にて, 箸は1下大静脈を貫通後, 腰部椎体にまで達していたが, 明らかな腹腔内出血, 遊離ガス像は認めなかった。箸刺創による下大静脈損傷と診断し, 緊急手術を施行した。箸は, Treitz靱帯より約30cm肛門側の空腸と, 総腸骨静脈合流部より約2cm頭側の下大静脈を貫通し, 椎体に刺さっていた。下大静脈貫通部を縫合止血後, 空腸貫通部も一次的に縫合閉鎖をした。他の損傷は認めなかった。術後経過良好で, 第16病日目に退院した。腹部刺創では, 受傷状態のまま搬送することが肝要であり, 全身状態が安定していれば, 損傷部位の診断にCT検査は有用である。

2 0 0 0 OA 志向姿勢再考

著者
寺田 和憲 伊藤 昭
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

人工知能やロボティクスの進歩によって人工システムは人間に近づきつつあるが,はたしてユーザはそのようなシステムを人間と同等の存在として捉えているのであろうか.本稿ではこれまでに我々が行ってきた実験結果を踏まえながらDennettの提案した志向姿勢について再考する.
著者
砂田 安秀 甲田 宗良 伊藤 義徳 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.26.3.11, (Released:2018-01-30)
参考文献数
25

本研究では,約半数のADHDの成人に併発する症状である成人のSCT症状を測定する尺度を開発し,妥当性を検討した。この新たな尺度の狙いは,既存の尺度の項目が抑うつと類似しているために抑うつとの弁別性が乏しい問題を克服することであった。文献のレビューによってSCT項目が選定され,専門家によって内容的妥当性の検討が行われた。これらの項目は抑うつ気分でないときの状況について回答されるものであった。大学生471名が質問紙に回答し,因子分析によって項目の選定が行われた。ジョイント因子分析によって,本SCT尺度は抑うつからの十分な弁別性を有していることが示された。最終的なSCT尺度(9項目)は,収束的妥当性,弁別的妥当性,内的一貫性の高さが示された。
著者
黒田 晃平 東 和生 村端 悠介 大﨑 智弘 柄 武志 伊藤 典彦 今川 智敬 岡本 芳晴
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.303-306, 2018-06-20 (Released:2018-07-20)
参考文献数
16

11歳のミニチュアダックスフントが全般発作を主訴に来院し,MRI検査で髄膜腫と診断された.抗がん剤等の治療を希望されなかったため,病変に対し温熱療法の1つであるラジオ波誘導温熱療法(オンコサーミア)を実施した.本症例は治療開始より1,065日で亡くなった.その間,てんかん様発作は認められたものの,一般状態は良好に維持されていた.今回の症例では,オンコサーミアによって長期間の生存が可能であった(33.1カ月).これは,手術及び放射線を併用した場合と同等の生存期間である.さらに,その期間は大きな副作用もなく,症例のQuality Of Lifeは良好に維持されていた.この結果から,オンコサーミアは犬の髄膜腫の進行を抑える効果がある可能性が示唆された.
著者
伊藤 史彦 長澤 良太 日置 佳之
出版者
Japan Association for Landscape Ecology
雑誌
景観生態学 (ISSN:18800092)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.7-17, 2012
被引用文献数
3

野生生物の適切な生息地保全のためには,現に生息地が確認された場所だけではなくランドスケープレベルの視点から見た潜在的な生息地も考慮に入れることが重要である.本研究では,環境省版レッドデータブックに絶滅危惧IB類に登録され,生息数の減少が懸念されている大型猛禽類のクマタカ(<i>Spizaetus nipalensis</i>)を対象種とし,GISを用いた空間データに基づく多変量解析手法によるハビタットモデルの構築を行い,潜在的な生息地を推定した.3次メッシュ単位でデータベース化された環境指標を独立変数とし,クマタカの目撃情報の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った結果,目撃情報データの64.1%を説明し得るハビタットモデルを構築することができた.さらに,このモデルを用いて作成したクマタカの潜在的生息地図を用いたGap分析や計画道路との関係解析の結果,鳥取県におけるクマタカの潜在的生息地の脆弱な地域を抽出することができた.本研究で得られた潜在的生息地を参考に,今後は,営巣,ハンティング等クマタカの各行動別に利用環境を解析し,クマタカの生息に極めて重要な地域の抽出を行うことで,適切な保護施策を策定していく必要があると考える.
著者
喜田 宏 河岡 義裕 岡崎 克則 伊藤 寿啓 小野 悦郎 清水 悠紀臣
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

我々は鳥類,動物および人のインフルエンザウイルスの生態を研究し,得られた成績に基づいて,1968年に人の間に出現した新型インフルエンザウイルスA/HongKong/68(H3N2)株のヘマグルチニン(HA)遺伝子の導入経路を推定し,提案した。すなわち,渡り鴨の間で継持されているH3インフルエンザウイルスが中国南部で家鴨に伝播し,さらにこれが豚に感染した。豚の呼吸器にはそれまでの人の流行株でうるアジア型(H2N2)ウイルスも同時に感染し,両ウイルスの間で遺伝子再集合が起こって,A/HongKong/68株が誕生したものと結論した。今後もこのような機序による新型ウイルスの出現が予想されるので,渡り鴨と豚のインフルエンザの疫学調査と感染実験を継続することによって,新型ウイルスを予測する研究を計画した。インフルエンザウイルスの供給源として,北方から飛来する渡り水禽および中国南部の家禽集団が考えられて来た。毎年,秋に飛来する渡り鴨からウイルスが高率に分離され,春に北方に帰る鴨からはほとんど運離されないことから,北方圏の鴨の営巣地が一次のウイルス遺伝子の貯蔵庫であると推定した。そこで,本学術調査では1991年および1992年の夏に,米国アラスカ州内の異なる地域で水禽の糞便を収集し,これからウイルスの分離を試みた。マガモとオナガガモ計1913,カナダガン1646,白鳥6,シギクおよびカモメ7合計2579の糞便材料から75株のインフルエンザウイルスおよび82株のパラミクンウイルスを分離した。インフルエンザウイルスはほとんどがアラスカ中央部ユコン平原の湖に営巣する鴨の糞便材料から分離されたが,南部のアンカレジ周辺や北部の材料からの分離率は極めて低かった。分離されたインフルエンザウイルスの抗原亜型はH3N8が14,H4N6が47,H8N2が1,H10N2が1,H10N7が11およびH10N9が1株であった。抗原亜型およびウイルスの分離率は,糞便材料を収集した鴨の営巣地点によって異なっていた。1992年には湖沼水からのウイルス分離をも試み,鴨の糞便から得られたものと同じH4N6ウイルスがそれぞれ2つの異なる湖の水から分離された。鴨の営巣地でその糞便から分離された14株のH3インフルエンザウイルスのHAの抗原性をモノクローナル抗体パネルを用いて詳細に解析した結果,A/HongKong/68ならびにアジアで鴨,家鴨および豚から分離されたH3ウイルスのHAと極く近縁であることが判明した。この成績は水禽の間で継持されているインフルエンザウイルスの抗原性が長年にわたって保存されているとの先の我々の見解を支持する。以上のように,鴨が夏にアラスカの営巣地でインフルエンザウイルスを高率に保有しており,湖水中にも活性ウイルスが存在することが明らかとなった。従って,北方の鴨の営巣地が一次のインフルエンザウイルス遺伝子の貯蔵庫であるとの推定が支持された。秋に鴨が渡りに飛び発つ前に,糞便と共に湖沼中に排泄されたウイルスは冬期間,凍結した湖水中に保存され,春に帰巣する鴨がこれを経口摂取して感染し増殖することを繰り返して存続して来たのであろう。秋,冬および春に一定の鴨の営巣地点で水,氷および凍土を検索することによって,自然界におけるウイルスの存続のメカニズムならびに遺伝子進化を知ることができるであろう。水禽の糞便から分離されたパラミクンウイルス82株のうち81株はニユーカッスル病ウイルス(NDV)であった。これらNDVのHNおよびF糖蛋白の抗原性をモノクローナル抗体パネルを用いて詳細に解析した結果,ワクチン株と異なるものが優勢であった。水禽の間に高率に分布しているNDVが家禽に導入される可能性が考えられるので,渡り鴨の糞便から分離されるNDVの抗原性ならびに鴨に対する病原性を継続して調査する必要があろう。
著者
山森 光陽 伊藤 崇 中本 敬子 萩原 康仁 徳岡 大 大内 善広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.501-510, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
16

児童の授業参加や課題従事行動を,観察対象学級の児童全員について即時的・経時的に把握するために,身体の揺れ,すなわち身体が1秒間に繰り返し運動する回数(周波数)を指標とすることが有効と考えられる.本研究は,授業参加や課題従事行動を加速度計で計測された3軸加速度から求めた周波数で把握できるようにするために,授業中の児童の様々な行動と,それらの行動に伴う身体の揺れの周波数との対応を示すことを目的として実施された.小学校第3,5学年を対象に授業を模した活動を実施し,一般的な授業に近い形で様々な行動を起こさせ,各々の動きに伴う身体の揺れを加速度計で即時的・経時的に計測し,それらの周波数を求めた.行動の種別ごとに,各々の児童がとり得る周波数の最大値の範囲を一般化極値分布に当てはめて検討した結果,当該行動をとっているかを判断するための周波数の範囲が示された.さらに,課題従事とは見なせない児童の行動の周波数はほぼ0Hz であるか2.5Hz を上回るかのいずれかになることも示唆された.
著者
伊藤 英覚 小林 陵二
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.211-218, 1981-04-10 (Released:2011-07-11)
参考文献数
22
著者
伊藤 健太 下川 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.2846-2852, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
7

我が国では,人口の高齢化や生活習慣の欧米化に伴い,虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患患者が増加してきている.我々は,基礎研究の結果を基に,低出力の衝撃波を用いた血管新生療法(「低出力体外衝撃波治療」)を開発し,(1)重症狭心症,(2)急性心筋梗塞,(3)下肢閉塞性動脈硬化症を対象に臨床試験を行っている.重症狭心症に対しては,第1次臨床試験(オープン試験)と第2次臨床試験(二重盲検プラセボ対照試験)を行い,本治療法の有効性と安全性を確認し,論文報告している.本治療法は,麻酔や侵襲的な処置を伴わずに,体外から治療を行うことができる非侵襲的な治療法であり,繰り返し行うことも可能である.今後幅広い疾患への応用が期待される.
著者
亀岡 孝治 塚原 茜 亀岡 慎一 伊藤 良栄 橋本 篤
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

従来の鮮度・品質計測手法の多くは分離分析であり,計測に非常に時間が掛かる等の問題点が多数存在した.そこで,本研究では元素と有機物に着目し,レタスの劣化過程の定量を試みた.さらに表面色彩と水分計測から,外観品質による鮮度(劣化)評価と客観的評価の関係性を把握し,将来的に機械学習に繋がる鮮度評価のためのデータセットと評価方法を検討した.この結果、レタス表面色彩(色相,彩度)の変化と内部品質の関係性が認められたため,実験データを蓄積し機械学習・深層学習を用いて色彩の変化点と内部品質の関係性の解析を行うことで、表面の色彩情報だけを用いてレタスの鮮度を定量・予測できる可能性が示された.