著者
竹中 裕人 神谷 光広 杉浦 英志 西浜 かすり 鈴木 惇也 伊藤 敦貴 佐橋 魁 花村 俊太朗
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.929-936, 2021-07-25

背景:腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)術後の下肢しびれ(lower leg numbness)と歩行能力の関連を明らかにすること. 対象と方法:LSS術後77例を後ろ向きに調査した.術後6分間歩行距離(6 minute walk distance:6MWD)に術後下肢しびれが関連するかを多変量解析で検討した. 結果:術後6MWDと有意な関連因子は,年齢,術式,術前硬膜管面積最小値,術前6MWDであったが,術後下肢しびれの残存は有意な関連因子ではなかった. まとめ:本研究の結果は,LSS術前に術後経過を説明する際や予後予測に役立ち,術前歩行能力向上の必要性を示唆している.
著者
小西 真衣 伊藤 操子 伊藤 幹二
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.45-54, 2009-05-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
32

近年森林や山岳等自然地域では、レクリエーション利用が増加傾向にあり、それに伴う雑草の侵入の増加は重要な問題の一つとなっている。そこで雑草の侵入に対する人為的なかく乱(通行)と環境条件の効果を明らかにするために、京都大学芦生研究林において、かく乱地(通路:車道・林内歩行路・軌道)および非かく乱地の発生雑草の種類および環境要素を調査した。雑草は主にかく乱地で発生が観察され、特に車道基面では、量・種類共に多く雑草の侵入の成功が推察された。発生雑草種の特徴や生活型から、通路上では踏みつけ耐性を有する種が多く、繁殖体の移入経路は車道では人・車両および風、林内通路では人の持ち込みによるものが多いことが示唆された。環境条件は、相対照度と土壌水分率について、車道と林内の間に有意な差が認められた。しかし車道内では、発生雑草種数は相対照度が高い地点で少なく、また土壌水分率と相対照度との間には負の相関が認められたことから、相対照度の高い地点では、開放度の大きさゆえ風圧や乾燥が雑草の発生の障壁となる可能性が考えられた。また、車道基面-のり面、林内歩行路内-歩行路外での発生雑草種の違いから、非かく乱地では雑草の発生に対するなんらかの障壁の存在が予想された。この障壁に関して、土壌硬度が踏みつけのあるかく乱地で有意に高いことから、踏みつけに伴う土壌の二次的な変化の関与が考えられた。
著者
府川 和永 伊藤 義彦 三崎 則幸 野村 聡子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.307-315, 1975 (Released:2007-03-29)
参考文献数
10
被引用文献数
5 2

静脈注射剤投与による血栓性静脈炎の発生予測を行うための試験法を考案し,その病態モデルについて2,3の検討を加えた.実験はウサギ耳介後静脈を用い,血栓性静脈炎発生方法として,検体を単に静脈注射する方法(静注法),血管局所に検体を一定時間貯溜させる方法(貯溜法)の2法について検討した.その結果,静注法では,血栓性静脈炎の発生は認められたが,その発生率は低く,検出率を高めるためには実験例数の増大や大量投与の必要があり,被験薬によっては中毒量に至るような不都合が生ずるため試験法として適さないと考えられた.貯溜法では,少量(0.05ml)の検体を毎日3分間血血局所に貯溜させることY:.より,高率に血栓牲静脈炎の発生がみられ,その病像は組織学的にも静脈注射後のヒト血栓性静脈炎像に酷似することを確認した.また,この方法を用いた数種の薬剤の血栓発生率や炎症強度は臨床統計資料と相関関係を示すことが認められた.さらに,貯溜法において短時間内に反復処置することにより血栓発生率が増大し,その効果は静注法における検体容量効果と相関関係を示すことを見い出した.このことにより,一定容量の検体を処置する貯溜法によっても,臨床上注射容量の異なる検体の発生頻度予想を可能とした.なお,これらの血栓性静脈炎の発生において,血栓は注射針挿入により損傷をうけた血管内壁と刺激性検体の接触が,炎症症状の発現には血管壁およびその周囲組織への刺激性検体の拡散がそれぞれ主要因となることを考察した.したがって,この貯溜法は静脈用注射剤の血栓性静脈炎試験法として適しており,この方法によって臨床上わずか0.04%程度の発生をも予測しうることを見い出した.
著者
[斎藤隆夫著] 伊藤隆編
出版者
中央公論新社
巻号頁・発行日
2009
著者
伊藤 英師 松本 陽一 松岡 敏生 木村 裕和 福嶋 一成
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
Journal of textile engineering (ISSN:13468235)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.15-21, 2008-02-15

In order to reduce the irregularities of sliver made from fine denier fibers, a method of pin-drafting utilizing a moving gill-faller bar was investigated. In the pin-drafting system, both the pin count and the pitch of the gill-faller bar are crucial in the control of staple fibers: the faller bar pitch affects the longitudinal direction of the sliver and the pin count affects it in terms of the width and thickness of the sliver. The effect of fiber control can be estimated by considering the number of fibers in/out of contact with the pins of gill-faller and the size of the group of moving fibers.<BR> The experimental result for fine denier fibers showed that it is necessary to decrease the number of fibers out of contact with the pins of gill-faller and/or the size of the group of moving fibers by controlling the fiber density of the sliver.
著者
柴田 壮一 伊藤 千裕 小室 治孝 増渕 幸二 宮下 博幸 薄井 健介 貝沼 潤 厚田 幸一郎
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.173-179, 2010-02-28 (Released:2010-08-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2

Objective: In the Drug Informatics in Department of Pharmacy, Kitasato Institute Hospital (hereinafter “the hospital”), we have had question-and-answer sessions regarding doping agents (banned drugs) among doctors and other workers and prepared an Anti-doping Quick Reference List (hereinafter “the list”), facing an urgent need to provide precise information quickly.Methods: The list consists of drugs adopted by the hospital and over-the-counter drugs according to package inserts, interview forms, and other sources of information.Results: In the list, hospital and over-the-counter drugs are classified into three categories in terms of a doping test: (1) “Non-banned” (drugs that can be used), (2) “Banned” (drugs that cannot be used), and (3) “Suspected” (unclear drugs) with their half lives for elimination as an indicator of the disappearance time from the body and divided by medicinal effect.  In addition, we indicated any drug for which the Therapeutic Use Exemption (TUE) application (hereinafter, TUE application) is required before use.Conclusion: The list prepared in this investigation offers many benefits, including precise and quickly available information on banned and non-banned drugs, ease in suggesting alternatives, and avoidance of failure in TUE application.
著者
玉木 有子 伊藤 直子 佐藤 恵美子 立山 千草 太田 有子 伊藤 知子 松田 トミ子 山田 チヨ 長谷川 千賀子 山口 智子 小谷 スミ子 渡邊 智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】平成24~25年度日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』の一環として新潟県村上市の食と行事の結びつきについて調査を行った。郷土料理や伝統的な食の文化が親から子へ伝承されにくい傾向がある状況の中で、年中行事や慣わしが現代に受け継がれてきた村上市の現状を報告する。<br> 【方法】村上市在住の75~88歳の高齢者(平均80.5歳)から平成25年11月~平成26年3月に聞き書き調査を行い、村上市の史料館や歳時記を参考に現代に伝え継がれている年中行事、慣わしに関する食と行事の結びつきを調査した。<br> 【結果】昭和34年頃までは旧暦が用いられ、現在も名残が残る。季節毎の年中行事や慣わしが多く受け継がれており、主に祭事に関する料理が残っている。神社の信仰により伝承されてきた村上大祭(7月7日)(村上地区) 、瀬波大祭(9月4日)(瀬波地区)、岩船大祭(10月19日)(岩船地区)の3大祭りの他、稲荷神社の初午(2月の第1の午の日)、七夕祭り(8月16日)、地蔵堂の地蔵祭り(11月3日)などは今日まで受け継がれており、市民生活の潤いとなっている。初午では、粳米に小豆を入れて炊いた小豆飯、糠鰯、三角油揚げ、煮しめなどを食べる。古くは米俵のサンバイシにのせて地域のお稲荷様に供えた。節分では、まいた豆を保存し厄除け代わりに一年中食べる慣習がある。この他にも鮭を特別な魚(魚の中の魚)として大切に食しており、村上市の食と行事の結びつきには精神性の高い食の文化が伝え継がれている。
著者
段 旭東 田代 学 呉 迪 山家 智之 仁田 新一 伊藤 正敏
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.383-395, 2006
被引用文献数
3

精神的負荷の反応は自律神経機能の変化として捉えられる。その評価の指標としてホルター心電図による心拍変動(heart rate variability)解析を用い、ラベンダーの香りが自律神経活動の変動に及ぼす影響について検討した。また、ポジトロン断層装置(PET)を用いて脳内集積を画像化し、ラベンダーの香りによる脳の活動度も検討した。対象は健常成人女性10名(平均年齢23.8±2.5歳)とした。ラベンダー香りを含んだ湿布を30分間添付したことにより、HFが上昇し、LF/HFが低下することがみられ、副交感神経が増加すると考えられた。また、PETによりこのとき、左後部帯状回の活動の上昇が、右側頭葉での活動の低下が見られた。これらの脳部位は、リラクゼーションのみでなく覚睡レベルの上昇の可能性を示唆するものであった。
著者
村田 敬 伊藤 佳代子 高木 洋子 森 栄作 安藤 理子 中川内 玲子 阿部 恵 河野 茂夫 山田 和範 葛谷 英嗣
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.845-848, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

症例は2型糖尿病の男性(49歳),前医にてインスリンおよびエパルレスタットの処方を受けていたが,歩行障害悪化を主訴に来院.BMI 14.9 kg/m2, 下肢優位で左右対称な軽度筋力低下,下肢優位の小脳失調症状を認めた.HbA1c 15.6%, 糖尿病網膜症なし,神経伝導速度は運動・感覚ともに低下.入院後,次第に筋力低下と歩行機能が改善.入院時の残血清中ビタミンB1濃度は0.6 μg/dlと低値.フルスルチアミン100 mg/日の点滴を行ったところ,筋力回復し,軽快退院した.管理栄養士による聞き取り調査では白米中心の偏食傾向があり,ビタミンB1の推定摂取量は0.5 mg/日と所要量(1.2 mg/日)の半分程度であった.以上のような検査結果・臨床経過から総合的に判断して,本症例の歩行障害の主因はビタミンB1欠乏症による脚気神経炎であった可能性が高いと診断した.脚気神経炎は糖尿病性多発神経障害と症状が似ており,つねに鑑別診断として念頭におく必要がある.
著者
伊藤 和也 高橋 弘樹 堀 智仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_43-I_51, 2017
被引用文献数
2

東日本大震災では,津波による被害が広範囲に及び復旧・復興工事量は多く,労働者不足や資材価格の高騰などの問題が顕在化している.このような中,建設業の経験が無い新規参入者が建設業に従事して被災する事例も報告されており,平成23年~25年に発生した建設業での死傷者数819人のうち約1/4の193人が新規参入者による被災であった.そのため,新規参入者等への安全衛生教育の充実等を図る必要がある.本報では,新規参入者等への安全衛生教育ツールとして労働災害事例を「漫画化」した教育ツールの有効性に関して,建設業の労働安全衛生教育を実施している現役講師へのアンケート調査を実施した.その結果,災害事例の漫画化に対して分かりやすいと評価が高かった.一方で,安全衛生教育のツールとしては教育目的としての災害事例を選定が必要があることが示された.
著者
奥田 和明 伊藤 秋男
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.691-696, 1991
被引用文献数
2 1

薄い金属酸化膜試料の膜厚をX線光電子分光法により測定した.試料としてAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>/Al,PbO/Pb,MgO/Mg,SiO<SUB>2</SUB>/Siを用いた.光電子スペクトルは酸化物と金属成分に対応したダブルピーク構造を示す.各々のピーク強度を光電子取り出し角度を変えて測定し角度ごとに膜厚を求めた.又光電子平均自由行程の違いによる影響を見るためX線源としてマグネシウムK<SUB>α</SUB>線及びアルミニウムK<SUB>α</SUB>線を用いた.各X線源に対して得られた膜厚は6%の誤差範囲で一致した.表面粗さが無視できる平滑な試料に対してはあるひとつの光電子取り出し角度(θ)の測定で十分であることが確かめられた.しかし鉛試料の場合膜厚はθとともに系統的に変化しており表面粗さの影響を受けていることが分かった.この様な試料に対しては複数のθについて測定を行い膜厚を決める必要があることが確認された.大気中に長期間放置したAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>/Al及びSiO<SUB>2</SUB>/Si試料の膜厚は各々約33Å,11Åと導出された.
著者
高橋 一重 伊藤 美和
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.26-30, 2014 (Released:2014-05-20)
被引用文献数
1

超純水製造で培ったイオン交換樹脂のクリーン化技術や分析技術の応用展開として,電子材料精製向けイオン交換樹脂の開発に取り組んできた。これまでに開発したイオン交換樹脂として,非水系対応品である乾燥樹脂「アンバーリストTM DRY」シリーズ,また超低溶出品であるクリーン樹脂「オルライトTM DS」シリーズについてその特徴を紹介し,またいくつかの利用例について報告する。