著者
植木 正明 深澤 高広 伊藤 達也 伊藤 淳 大内 聖士 佐藤 啓三
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.727-730, 2021-06-01

は じ め に Simunovicら1)は2010年に大腿骨近位部骨折の早期手術は肺炎や褥瘡発症が少なく,死亡率は低いと報告した.その後,欧米のガイドラインでは,大腿骨近位部骨折は整形老年病医が参加した集学的プログラム管理下に入院後36~48時間以内の早期手術が推奨されている2).しかし,大腿骨近位部骨折手術は早ければ早いほど予後がよいのかという問題がある.この問題に対して,国際多施設共同研究によるaccelerated surgery versus standard care in hip fracture(HIP ATTACK)trialの研究成果3)が報告された. 一方,わが国のガイドライン4)では,できる限り早期の手術が推奨されている.欧米とは違う医療体制のわが国でどこまで早く手術を行えばいいのかという問題に対して,本研究では,大腿骨近位部骨折患者の救急外来受診後,手術まで6時間未満の超早期手術と6時間以降24時間未満の早期手術後の30日死亡率,術後合併症および入院期間を比較・検討したので報告する.
著者
伊藤 精晤
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.p73-86, 1994-12

山村農家の敷地と農家の庭園趣味について,研究Iでは,敷地内の建物配置,境界はいくつかの型が見られた。研究IIでは,農家の趣味生活で,家族構成員のそれぞれが庭園を楽しんでおり,庭園の植物の豊富な種類と維持管理や栽培の自前の実行などから,その趣味の程度は高く,庭園の役割として,生活の実用を含めた心理的楽しみの効果が複合的に期待されていることが明らかになった。本論文では,農家庭が新たな敷地計画のもとに作られることは少なく,元来の農作物のための庭を別として敷地境界と建物配置によって生じる空き地が庭園建設の場に展開してきたことを考察する。また,農家が農業主体から住宅主体に敷地を利用するように変化しており,この敷地の機能面の変化と庭園化の関連を考察していく。敷地に庭園を作る空間的条件は建物の配置によって決まり,境界と建物間の隙間の部分の庭園化,空き地として作業庭に使われた部分の庭園への転換によって,20年から30年前に庭園の建設が行われている。この庭園の建設は趣味生活の拡大が原因となっている。敷地内の庭園部分は玄関の前庭,作業庭,表の座敷庭,裏の座敷庭,路地庭,勝手庭に区分できる。作業庭は半数が座敷庭として庭園化され,半数が作業庭として維持されている。裏の座敷庭は古くから作られることもあったが,庭園趣味と生活のゆとりの中で楽しみとして,表の座敷庭まで作られることが多くなったことが考察される。勝手庭は物干し,洗い場など設置されている。周囲の境界と建物との隙間に路地庭が作られている。玄関前庭,作業庭(主庭),裏庭,前庭,路地庭,勝手庭といった庭園配置に分化した戸外敷地を家族構成員で使い分けが行われていることが考察される。以上から,従来の農家庭の機能と骨格が存在し,これに現代生活と趣味に適合した庭園建設が行われていると結論づけられる。
著者
笠原 義正 伊藤 健 沼澤 聡明 和田 章伸
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.364-369, 2013
被引用文献数
5

野生のトリカブトの葉や根などに含まれている4種のアコニチン類(AC類)をLC-MS/MSを用いて一斉定量した.また,マウスに対する毒性とAC類の定量値との関係を検討した.野生のトリカブトの葉,根,花弁,蜜腺に含まれるAC類を定量した結果,おのおの5.9,928.1,46.1,69.8 μg/gで,根の次に蜜腺の含有率が高かった.また,市販のはちみつを検査したが,AC類が検出されたものはなかった.トリカブトの根エキスのマウス毒性とAC類の定量結果は良い一致を示した.また,AC類が検出されなかったウゼントリカブトにマウス毒性は観察されなかった.4種のAC類の加熱による変化では,0.5分間ゆでた葉のAC類含有量は31.6%に減少し,そのゆで汁に54.5%移行した.また,メサコニチンを加熱してベンゾイルメサコニンに変化することが確認されたので,これが検出されてもトリカブト属植物による中毒が示唆できることが分かった.
著者
小寺 正敏 須浪 徹治 伊藤 勝宏 Kodera Masatoshi Sunami Tetsuji Ito Katsuhiro
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料: 航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム2005論文集 = JAXA Special Publication: Proceedings of Aerospace Numerical Simulation Symposium 2005 (ISSN:1349113X)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-05-017, pp.221-226, 2006-02-28

In this study, CFD has been applied to the prediction of the characteristics of two scramjet engines that will be tested at Mach 8 in JAXA's flight program for 2005. The engines each has the Hyper Mixer (HM) injector, which generates streamwise vortices to enhance supersonic mixing and combustion, or the Back Step injector (BS), which generates no streamwise vortices. CFD results showed good agreements with data obtained from preflight experiments in the High Enthalpy Shock Tunnel. Comparisons between the CFD results for the two engines showed that the mixing ability of the engine with HM (HM engine) was much better than that of the engine with BS (BS engine), because streamwise vortices promoted the spread of H2 distribution over the combustor flow path for HM engine, though the H2 distribution concentrated near the combustor bottom wall for BS engine. Therefore combustion occurred widely in the supersonic core flow for HM engine, while ignition occurred near the injector within the bottom wall boundary layer and combustion occurred locally along the edge of the H2 distribution for BS engine. The total pressure and heat losses were larger for HM engine than those for BS engine despite the larger amount of heat release. Thus the Thrust Potential (Tp) was superior for HM engine to that for BS engine, though Tp for HM engine decreased and approached to that for BS engine as going downstream of the combustor due to the losses dominating over the increment of heat release. This tendency was more remarkable when the nozzle with a fixed expansion ratio was applied to the engines. The changes of the free stream and wall temperatures proved to be sensitive for only the ignition point for HM engine. The change of the fuel equivalence ratio largely affected the ignition point and the heat release distribution for HM engine, while only the heat release distribution in the downstream of combustor for BS engine.
著者
酒井 達哉 佐々木 顕彦 西本 望 伊藤 博章 Tatsuya SAKAI Akihiko SASAKI Nozomu NISHIMOTO Hiroaki ITO
雑誌
学校教育センター紀要 = Bulletin of School Education Center (ISSN:24353396)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.109-121, 2021-03-31

本研究では,女子大学を卒業した新卒3 年目までの正規採用の小学校教員を対象に,若手教員の意識や研修課題及び卒業生支援に対する要望を調べ,それらに対する方策について検討を行った。調査の結果,卒業生の若手教員の多くが教職にやりがいを感じながらも,採用前の予想を上回る学校現場の厳しい困難な現実に直面し,それぞれに研修課題を抱いている実状が明らかになった。例えば,研修課題においては,日々,適切な指導が求められる「教科等の指導」,「生徒指導」や新しい教育課題である「特別の教科 道徳」などのニーズが高いことなどが明らかになった。こうした結果を踏まえ,本研究報告は,在学中の早い段階から教職の魅力を伝えたり,実践的指導力の向上を意識した授業内容を設定したりすることなどの教職課程の改善や,卒業後もニーズに応じた研修を提供するなどの卒業生支援の拡充についての方策を提言している。
著者
韮澤 融司 伊藤 泰雄 薩摩林 恭子 田中 裕之 坪井 美香子 河野 修一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.285-289, 1996-04-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
12

肥満児では正常な大きさの陰茎が脂肪組織のため短小に見えることがあるが,この場合には外科治療の必要はない.一方,埋没陰茎は陰茎海綿体が埋没し,真性包茎を合併しているため正常な陰茎皮膚が形成されておらず外科治療の対象となる.過去6年間で45例の包茎手術を行い,そのうち10例か埋没陰茎を合併していた.これらの症例に対し包茎の手術後,陰茎の背側に Z字型切開,腹側に U字型切開を加え,陰茎と腹壁の間の線維性索状物を完全に切離した後,陰茎を体外に牽引しつつ背側は Z形成を行い,腹側の U字型切開部を Y字型に縫合することにより良好な結果を得た.埋没陰茎に対して包茎の手術のみを行ったのでは陰茎幹は形成されず将来に大きな障害を残すことになる.本法は手技も簡単であり,手術後は健常児とかわりのない外観を示し,勃起も正常となる.埋没陰茎を治療する際,包茎の手術のみにとどめず陰茎の形成も併せて行う必要がある.
著者
廣川 空美 森口 次郎 脊尾 大雅 野村 洋子 野村 恭子 大平 哲也 伊藤 弘人 井上 彰臣 堤 明純
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.311-319, 2021-05-15 (Released:2021-06-03)
参考文献数
17

メンタルヘルス不調者のサポートのために,地域職域連携が謳われているが,実行性のある取り組みは少ない。とくに小規模事業場は課題が多く,地域と職域との密接な連携による対策が求められる。地域で実践されている好事例や認識されている課題を挙げ,メンタルヘルス対策の連携の阻害要因を整理し,実行性のある連携方法を提案することを目指したシンポジウムを開催した。 産業保健総合支援センターを核にした地域専門医療機関との連携による事例では,地域の専門医療機関の情報提供とその有効活用の工夫が示された。地域における産業保健を支援する医療リソースの把握と事業場への情報提供は産業保健総合支援センターが貢献できる領域である。 京都府では,医師会や行政が,地域の産業医,精神科医,人事労務担当者等関係者間で,連携目的に応じた定期的な会合や研究会を開催しており,多様な「顔の見える」多職種連携が展開され,関係者間で発生する課題や不満も含めて議論されている。 社会保険労務士として企業のネットワークを,障害者雇用に活用している事例では,地元の事業活動の核となる金融機関や就労移行支援事業所等と連携して,有病者や障害者のインターンを中小企業で受け入れるプロジェクトが展開されている。フルタイムの雇用にこだわらず,事業場のニーズと有病者の就業可能性をすり合わせる仕組みは,メンタルヘルス不調者の復職などに応用できる可能性がある。 相模原市では,評価指標を設定しPDCAを回しながら零細企業を対象とする支援を行っている。具体的には,市の地域・職域連携推進連絡会において,中小事業所のメンタルヘルス対策を含めた健康づくりの推進を目的に,事業所を訪問し,健康経営グッドプラクティスを収集して,他の中小事業所の事業主へ周知する取り組みを行っている。 連携の阻害要因には,職場から労働者の家族等に連絡が取りにくい点,メンタルヘルス不調者が産業保健のケアの対象から漏れたときの支援の維持方法,保健師等専門職がいない職場でメンタルヘルスを進める工夫,サービスを展開するマンパワーの不足が挙げられた。職域と地域の連携のギャップを埋めるためには,保健師や臨床医を含む関係者による,それぞれのメリットを求めた連絡会や勉強会等の顔の見える関係づくりは有用で,小規模事業場へのアプローチは健康問題全般の支援にメンタルヘルスを組み込む形で行うことが受け入れやすいと考えられた。
著者
伊藤 進一郎 山田 利博
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.229-232, 1998-08-16
参考文献数
9
被引用文献数
14
著者
伊藤 洋平 井上 仁人 高橋 厚史
出版者
社団法人 日本伝熱学会
雑誌
日本伝熱シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.226, 2009

長距離の弾道的熱伝導が行われていると考えられる結果が、カップスタック型カーボンナノチューブ(CSCNT)の熱伝導率計測から得られている。そこで、熱輸送の現象を明らかにするために、非平衡分子動力学法を用いたCSCNTの熱輸送解析を行った。カップ間結合にはレナードジョーンズポテンシャルを適用した。カップ3個の構造と5個の構造では系全体の熱抵抗はほとんど変わらず、フォノンが散乱されずに輸送されていることが示唆される。
著者
金子 栄 山口 道也 日野 亮介 澤田 雄宇 中村 元信 大山 文悟 大畑 千佳 米倉 健太郎 林 宏明 柳瀬 哲至 松阪 由紀 鶴田 紀子 杉田 和成 菊池 智子 三苫 千景 中原 剛士 古江 増隆 岡崎 布佐子 小池 雄太 今福 信一 西日本炎症性皮膚疾患研究会 伊藤 宏太郎 山口 和記 宮城 拓也 高橋 健造 東 裕子 森実 真 野村 隼人
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.6, pp.1525-1532, 2021

<p>乾癬治療における生物学的製剤使用時の結核スクリーニングの現状について西日本の18施設を調査した.事前の検査ではinterferon gamma release assay(IGRA)が全施設で行われ,画像検査はCTが15施設,胸部レントゲンが3施設であった.フォローアップでは検査の結果や画像所見により頻度が異なっていた.全患者1,117例のうち,IGRA陽性で抗結核薬を投与されていた例は64例,IGRA陰性で抗結核薬を投与されていた例は103例であり,副作用を認めた患者は23例15%であった.これらの適切な検査と治療により,結核の発生頻度が低く抑えられていると考えられた.</p>
著者
丸山 成和 丸山 典彦 伊藤 宏 田中 良和 植松 典昭
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.330-333, 1983-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

牛以外の動物, とくに人と豚のアカバネウィルスに対する抗体の保有状況を知る目的で, 両者の血清について, 赤血球凝集抑制 (HI) 反応, 中和 (NT) 試験による調査を実施した. なおHI価10以上, NT価4以上を反応陽性とした.調査期間は人では1977年6月~1979年4月, 豚では1978年9月~1979年2月であった. 調査地域は人では県内8市5町, 豚では9市4町であった. その結果以下の成績を得た.1) 人血清1, 348例のうち1.3%(17/1, 348) がHI陽性であった. これらの陽性例は県東部の隣接田園地区に集中してみられた. 陽性例のHI価は10~40, NT価は4~32であった. なお豚のHI陽性率の高い地域の養豚従事者19人では1例が陽性 (陽性率5.3%) で, そのHI価およびNT価はそれぞれ10および8であった.2) 豚血清1, 134例 (4~5ヵ月齢の肥育豚654頭, 繁殖豚480頭) についてHI価を測定したところ, 1.4%(16/1, 134) の陽性率であった. このうち肥育豚は0.8%(5/654), 繁殖豚は2.3%(11/480) の陽性率であった.陽性例のHI価は10~20, NT価は4~64であった.豚および人は, Vectorの動物嗜好性によることも考えられるが, 牛にくらべて本ウイルスの感染をうけにくいものと推測される.
著者
伊藤 美奈子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.205-208, 1992-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

The purpose is to examine the relationship between self-acceptance and personalities developmentally, as for evaluative and affective dimensions. Results: Males and females showed differences in the formation of adolescent self-acceptance. At junior high school level, the accepted personalities are not yet differentiated as for two dimensions in both males and females. In males, they are differentiated at senior high school, and above this level, they showed a linear increase in differentiation. Females showed emotional differentiation at junior high school, and behavioral differentiation at senior high school, and further emotional differentiation at college level. The transition of male is “from a few limited to diverse”, while for females it is “from diverse to a few limited”, As the traits to self-acceptance diversify, the self-acceptance score is high.
著者
向井 潤 栗田 隆夫 上撫 忠広 原 肇 豊岡 武裕 伊藤 宏之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.18, no.65, pp.41-46, 1994

我々は、ツイステッド・ネマチック(Twisted Nematic)構造を固定化した光学機能性高分子液晶フィルム(LCフィルム)を開発した。本フィルムにおいてねじれ角とリターデーション、さらには複屈折の波長分散特性を制御し、最適化することにより、高コントラストのS TN液晶ディスプレイを実現することができる。また、ねじれ角、リターデーション等を制御することにより、ツイステッド・ネマチックだけでなく様々な構造をとることができ、コレステリック・フィルム等への応用が期待できる。
著者
齋藤 亮子 竹森 幸一 小山 睦美 小玉 有子 伊藤 久子
出版者
弘前医療福祉大学紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学紀要 (ISSN:21850550)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-29, 2014-03-31

本研究の目的は、任意に公費負担で子宮頸がん予防ワクチンを接種することが出来た高1 女子(調査時高2)を対象に、子宮頸がん等の知識の多寡と、ワクチン接種行動を決めた要因を明確にすることである。青森県中弘南黒地区の高2 女子1500人を対象に自記式留置法でアンケート調査を行った。知識に関する合計得点を、都市・農村別、行政区別、接種者・非接種者別に平均値の差の検定等を行った。回収数1180(回収率79.4%)の内、有効数1162(都市部1051、農村111)を解析対象とした。ワクチン接種に関する回答数1148 の内、接種者773(67.3%)、非接種者375(32.7%)であった。知識得点は、全体に非常に低かったが、その中でも都市が農村より、また接種者が非接種者より有意に高かった。接種の決定要因はワクチンが子宮頸がん予防に有効であるという知識に基づき自分で決定したというより、家族の勧めと接種が無料である、また副作用が少ないことであった。当地区の接種率は全国平均(65%)とほぼ同等であったが、社会教育や学校教育による知識の普及で、ワクチン接種率向上の可能性が示唆された。
著者
伊藤 有史 伊藤 春見 中島 千雄 三宅 隆史
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.765-772, 2018-11-30 (Released:2018-11-30)
参考文献数
34

【目的】75gOGTTの男女差を調べる.【方法】2008年11月~2015年5月に当院で75gOGTTを行いHbA1c値が6.0~6.4 %の375名(男性146名,女性229名)について血糖値を男女間で比較した.【結果】男性は0,30,60,120分血糖値のすべてで女性よりも有意に高値を示した.各血糖値を目的変数とした重回帰分析は,性別,Insulinogenic index(II),HOMA-IRが4点の血糖値で,身長が60,120分値で有意な独立変数であった.判定区分別では,境界型の0,30,60分値で男性が,120分値で女性が有意に高値を示した.正常型は境界型と同じ傾向を示したが有意差を認めなかった.糖尿病型は120分値で男性が高い傾向を示したが有意差を認めなかった.各区分のHbA1c値に男女差はなかった.【結語】糖尿病型では境界型で見られた血糖値の男女差が消失した.