著者
大貫 義人 荒木 善行 佐々木 秀幸
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.21-25, 2000 (Released:2002-02-28)
参考文献数
14

ランニング成績に及ぼす準高地暴露の影響を調べるため,男子陸上競技中長距離学生選手における,海抜1,000mでの夏合宿前と中の赤血球物質の変化を計測した.血中2,3-DPG濃度は合宿前の2.31±0.36μmol/mlから.2.69±0.56μmol/mlに有意に増加した(P<0.05).ヘマトクリット値は合宿前が43.0±4.2%で合宿中は40.2±3.7%と有意に減少し(P<0.01),ヘモグロビン濃度は合宿前と中で変化しなかった.今回の研究から,1,000mの準高地ではヘマトクリット値やヘモグロビン濃度の増加には十分でないが,2,3-DPG濃度の変化に現れた.
著者
久保 泰子 津久江 一朗 加藤 重子 佐々木 秀美
出版者
広島文化学園大学看護学部
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-15, 2011-09

本研究では,A精神科病院一般病棟保護室環境を分析・解釈し,その物理的環境を人権と倫理的医療という側面から,治療と人間の尊厳の問題を検討した。保護室環境の分析・解釈結果では,①患者及び他者の生命を守り安全に医療を提供,②自然の恩恵が受けられず人の精神に不快な感情を刺激し安楽が妨げられる療養環境,③人間の尊厳に関する問題とQOL の低下の3つのカテゴリーが抽出された。これらのカテゴリーを人権と倫理的医療という側面から検討した結果,患者および他者の生命を守るということは,人の生存権の問題である。よって,保護室環境は,安全に医療を提供する場所として構造機能上の質的向上,医療及び保護という観点からは,生命の維持と行動観察がよくできる環境設定と同時に,回復を促進するために,自然の恩恵が受けられ人の精神に不快な感情を刺激しない保護室環境とすること,回復を促進できる保護室環境と行動制限の最小化およびセルフケア能力に応じたケアを提供することによってQOL の低下を引き起こさないことが人間としての尊厳を守ることにつながることが分かった。保護室環境の問題は,治療と人間の尊厳のバランスの重要性を示唆しており,精神看護学領域における最重要課題である。
著者
佐々木 秀美
出版者
広島文化学園大学看護学部
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.28-47, 2011-03

本論では,前稿における検証結果を踏まえて,精神的危機からと自立までのプロセスを通して,行為の源としてのナイチンゲールの思想をさらに探究した。神秘主義と科学主義の交差するイギリスの教育思想の影響を受けたナイチンゲールは,成長・発達段階において,神の存在と日常生活の様々な現象とが,神との一体感の中で生まれるものであると感じ,真実の目は真理の探究につながると考えた。その考えは,イギリス経験認識論日常生活における様々な現象を原因と結果の関係において解釈しようとする科学主義的要素と相まって,全て実際に起きている現象を科学的な目で観察・認識しようとした。その真実の目と真理の探究が彼女をして,批判のみならず一歩進んで,自身の取るべき行為を導きだした。彼女の主張は急進的であり,伝統的な社会規範を覆すものであった為に,家族との対立,精神的危機状況を作り出したが,その状態を克服したときにナイチンゲールは人間としての強さを獲得し,自立へのプロセスを踏んだ。彼女の思想の背景には人間存在の問題として人格と生存権の問題があった。
著者
佐々木 秀明 大島 朗伸 石田 昭夫 永田 進一
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.64-69, 2010 (Released:2011-07-21)
参考文献数
31

Escherichia coli is present in the intestinal tracts of warm-blooded animals. Since E. coli cells are released into the environment through feces, they have evolved to possess the ability to adapt various environments such as soil, river, and ocean. The ocean, in particular, is high in salt concentration, and it is a very severe environment for E. coli, but the E. coli adapted to the marine environment, which leads to its ability to gurvive. In this review, we discuss the adaptation mechanism of E. coli cell to a high salt environment. Furthermore, we interpret an outline about the production of useful materials that can be used for high salinity adaptation of E. coli.
著者
木村 丈司 甲斐 崇文 西海 一生 高橋 尚子 佐々木 秀美
出版者
Japanese Society for Infection Prevention and Control
雑誌
日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.405-410, 2009-11-25
参考文献数
7
被引用文献数
1 3

抗菌薬適正使用の推進は院内感染対策において最も重要な課題の一つである.当院では2006年4月より第4世代セフェム系,カルバペネム系,ニューキノロン系抗菌薬と抗MRSA薬を対象として使用届出制を開始した.使用届出制の開始後,特に第4世代セフェム系,カルバペネム系抗菌薬の使用量が減少し,また投与期間が14日以上に及ぶ長期投与の処方件数も減少した.また2008年4月からはpharmacokinetics/pharmacodynamics理論に基づく抗菌薬の投与方法に関する資料の配布を開始した.資料の配布開始以降,cefozopran (CZOP)では1000 mg×3回/day及び2000 mg×2回/dayの投与方法が,meropenem (MEPM)では500 mg×3回/dayの投与方法がそれぞれ増加した.緑膿菌のCZOPに対する耐性株率は2005年度から2006年度で一時増加したが,2007年度では2005年度と同程度まで減少し,またMEPMに対する耐性株率は年々減少が見られた.このように,抗菌薬適正使用の推進及び抗菌薬耐性菌の増加防止において,infection control teamによる積極的な介入は重要であると考えられる.<br>
著者
白井 慎一 水戸 泰紀 小松 博史 矢部 一郎 佐々木 秀直
出版者
The Japan Stroke Society
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.408-412, 2011
被引用文献数
1

症例は17歳女性,既往に特記すべきことなし.2009年8月中旬,突然の右片麻痺が出現し,救急搬送された.初診時,中等度構音障害と右片麻痺あり,NIHSSスコアは11であった.MRI拡散強調画像で左レンズ核部に高信号域を,MRAにて左MCAのM1近位部の途絶を認めた.最終未発症確認時間後2時間52分にrt-PA療法を施行.使用直前のNIHSSスコアは12であったが,90分後には0に改善し,静注120分後のMRAで左M1再開通を確認した.第7病日に経食道心エコーで二次口欠損型の心房中隔欠損症を認め,発症1カ月後に開胸下で閉鎖術を施行した.その後,軽度の右上肢筋力低下を認めるのみで,日常生活動作は自立し,学業に復帰した.未成年発症例におけるrt-PA療法は報告症例数が少ないが,本例のように血栓溶解療法が奏功する場合もあるので,未成年発症例においてもrt-PA療法を治療の選択肢として考慮すべきである.
著者
篠原 徹 飯田 浩之 井上 透 金山 喜昭 杉長 敬治 濱田 浄人 佐久間 大輔 戸田 孝 桝永 一宏 松田 征也 佐々木 秀彦 五月女 賢司 半田 昌之 守井 典子 田中 善明 石川 貴敏 水澤 喜代志 佐々木 亨 柏女 弘道 大川 真 高田 みちよ 神田 正彦 岩井 裕一 土居 聡朋
出版者
滋賀県立琵琶湖博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

博物館を対象に全国規模で定期的に実施されている2つの調査の1つである「博物館総合調査」を継承する調査を、全国の4,045館を対象に平成25年12月1日を調査基準日として実施した。そして、その結果を分析すると共に、博物館の経営・運営と博物館政策の立案上の緊急を要する課題(現代的課題)の解決に貢献できる、「博物館の使命と市民参画」「指定管理者制度」「少子高齢化時代の博物館に求められる新しい手法の開発」「博物館の危機管理」の4つのテーマ研究を行った。これらの成果は報告書としてまとめ、Webサイトに掲載して広く公開している。

1 0 0 0 OA 橋本脳症の1例

著者
太田 敬之 山岡 博之 古川 安志 下村 裕子 中野 好夫 若崎 久夫 古田 浩人 西 理宏 佐々木 秀行 南條 輝志男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.1375-1377, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
9

症例は68歳,女性.画像診断で異常を指摘できない意識障害を認めた.橋本病の存在から橋本脳症を疑い,血清抗N末端α-enolase抗体陽性であった.橋本脳症は抗甲状腺抗体に関連した自己免疫性の脳症と考えられており,多彩な神経症状を呈する.原因不明の脳症を診た場合は,本症を考慮することが重要である.比較的まれな疾患である橋本脳症の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
著者
木村 丈司 甲斐 崇文 高橋 尚子 佐々木 秀美
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.310-316, 2010 (Released:2010-12-05)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2 6

抗菌薬のPK/PD理論に基づく投与方法を実践するため,ICT,薬剤部にて抗菌薬のPK/PD理論に関する資料を作成し,2008年4月から院内への配布を開始した.同時に勉強会やICTニュースの配信,院内の抗菌薬使用指針の改訂といった活動も行い,PK/PD理論の普及を試みた.   活動を開始した2008年度以降の投与方法をみると,CZOPでは1000 mg×3回/dayが,MEPMでは500 mg×3回/dayが,DRPMでは250 mg×3回/day及び500 mg×3回/dayがそれぞれ増加した.また第4世代セフェム系,カルバペネム系,ニューキノロン系抗菌薬及び抗MRSA薬の平均投与期間は,2008-2009年度で2006-2007年度に比べ短縮していた.緑膿菌のCZOPに対する耐性率は,2005年度に比べ2006-2007年度で増加したが,2008-2009年度では2005年度と同程度にまで減少し,またMEPMに対する耐性率は年々減少が見られた.   このように今回我々が行った活動は抗菌薬のPK/PD理論の実践に有用であり,またPK/PD理論の実践は感染症治療期間の短縮及び抗菌薬耐性菌の増加防止に繋がる可能性が示唆された.
著者
貫井 英明 長屋 孝雄 宮城 修 玉田 潤平 金子 的実 佐々木 秀夫 三塚 繁 川渕 純一 河野 徳雄 苅野 忠雄
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.437-445, 1982-06-15
被引用文献数
8 13

The authors reported 7 cases that showed development of new aneurysms or enlargement of small aneurysms originally less than 3mm in diameter. New aneurysms of the anterior communicating artery and the right pericallosal artery were found in one case. In this patient with a 5 year history of hypertensiovn, cerebral angiography performed 8 years before following a head trauma had revealed marked arteriosclerosis and a hypoplasia of A1_1, but no aneurysm. Development of an aneurysm from a dilatation at the origin of the right embryonal posterior cerebral artery was found 3 years after the clipping of an aneurysm of the left internal carotid artery in the other case. In 3 cases, a small unruptured aneurysm all originally less than 3mm in diameter previously noted in conjunction with a ruptured aneurysm were found to have enlarged 3 to 13 years after the clipping of the ruptured aneurysm. In these 3 cases, anomalies of the circle of Willis, such as hypoplasia of unilateral A_1, infundibular dilatation at the origin of the posterior communicating artery and the embryonal posterior cerebral artery were revealed. Arteriosclerosis and hypertension were noted in 2 cases. In 2 cases, a small ruptured aneurysm, which had not been recognized at the first subarachnoid hemorrhage, was noted to have enlarged 5 and10 years after the first bleeding. Changes of the arterial wall due to hypertension, arteriosclerosis, etc., and hemodynamic stress caused by anomalies of the circle of Willis seemed to be responsible for the new development of aneurysm and the enlargernent of aneurysm. A small aneurysm less than 3mm in diameter, including an unruptured aneurysm that is found in association with the ruptured aneurysm, have a high incidence of progressive enlargement and rupture. Therefore, even a small aneurysm should be diagnosed and treated precisely.
著者
里村 雄彦 木村 富士男 佐々木 秀孝 吉川 友章 村治 能孝
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.51-63, 1994 (Released:2006-10-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

チェルノブイリ原子力発電所事故の際に放出された放射性汚染物質の、ヨーロッパにおける空気中濃度と沈着量について、気象研究所の長距離輸送モデルを用いて計算した。このモデルは、気象庁の旧ルーチンモデルで気象要素の予報を行い、ラグランジュ移流拡散モデルで汚染物質の濃度を計算する。発電所からの汚染物質の放出量として、ATMESプロジェクトで配布された発生源データを用いた。 計算の結果、モデルのCs-137とI-131の空気中濃度は観測とよく合うことが示された。しかし、沈着量は観測と合わないこともわかった。気象予測モデルの降水予報の精度の悪さと、観測値とモデルとがそれぞれ代表するスケールの違いが、沈着量の差の原因と考えられる。
著者
佐々木 秀智
出版者
明治大学法律研究所
雑誌
法律論叢 (ISSN:03895947)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.331-363, 2012-01-25
著者
木村 丈司 甲斐 崇文 高橋 尚子 佐々木 秀美
出版者
Japanese Society for Infection Prevention and Control
雑誌
日本環境感染学会誌 = Japanese journal of environmental infections (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.310-316, 2010-09-24
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

抗菌薬のPK/PD理論に基づく投与方法を実践するため,ICT,薬剤部にて抗菌薬のPK/PD理論に関する資料を作成し,2008年4月から院内への配布を開始した.同時に勉強会やICTニュースの配信,院内の抗菌薬使用指針の改訂といった活動も行い,PK/PD理論の普及を試みた.<br>   活動を開始した2008年度以降の投与方法をみると,CZOPでは1000 mg×3回/dayが,MEPMでは500 mg×3回/dayが,DRPMでは250 mg×3回/day及び500 mg×3回/dayがそれぞれ増加した.また第4世代セフェム系,カルバペネム系,ニューキノロン系抗菌薬及び抗MRSA薬の平均投与期間は,2008-2009年度で2006-2007年度に比べ短縮していた.緑膿菌のCZOPに対する耐性率は,2005年度に比べ2006-2007年度で増加したが,2008-2009年度では2005年度と同程度にまで減少し,またMEPMに対する耐性率は年々減少が見られた.<br>   このように今回我々が行った活動は抗菌薬のPK/PD理論の実践に有用であり,またPK/PD理論の実践は感染症治療期間の短縮及び抗菌薬耐性菌の増加防止に繋がる可能性が示唆された.<br>
著者
木村 丈司 甲斐 崇文 高橋 尚子 佐々木 秀美
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.18-24, 2013 (Released:2013-04-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1

腎機能に応じた適正な投与量・投与間隔での抗菌薬使用を実践する為に,抗菌薬の投与量・投与間隔,腎機能に応じた調節を院内にわかりやすく周知する表を薬剤部主導で作成し,2011年4月より普及活動を行った.この活動の有効性を評価する為,MEPM, DRPM, TAZ/PIPCの投与量・投与間隔を腎機能別に活動開始前の2010年度と開始後の2011年度で比較・検討した.   結果として,MEPMではeGFR>50の群で1000 mg×3回/dayが,eGFR 11–50の群で1000 mg×2回/dayが増加した.DRPMではeGFR>50の群で500 mg×3回/dayが,eGFR 31–50の群で250 mg×3回/dayが増加した.TAZ/PIPCではeGFR>50の群で4500 mg×4回/dayが,eGFR≦20の群で2250 mg×3回/dayが増加した.MEPM, DRPM, TAZ/PIPC投与患者全体で今回作成した資料に従う投与方法が選択される割合は,2010年度の52.1%に比べ2011年度は67.0%と有意に増加した(p<0.01).   以上の事から,薬剤師主導による適正な投与量・投与間隔での抗菌薬使用に関する情報提供は腎機能に応じた投与量・投与間隔の調節の実践に有効であった.また腎機能別に抗菌薬の投与方法を評価する事は,抗菌薬使用に関する問題点を詳細に分析するのに有用と考えられた.
著者
佐々木 秀美
出版者
広島文化学園大学看護学部
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.28-47, 2011-03

本論では,前稿における検証結果を踏まえて,精神的危機からと自立までのプロセスを通して,行為の源としてのナイチンゲールの思想をさらに探究した。神秘主義と科学主義の交差するイギリスの教育思想の影響を受けたナイチンゲールは,成長・発達段階において,神の存在と日常生活の様々な現象とが,神との一体感の中で生まれるものであると感じ,真実の目は真理の探究につながると考えた。その考えは,イギリス経験認識論日常生活における様々な現象を原因と結果の関係において解釈しようとする科学主義的要素と相まって,全て実際に起きている現象を科学的な目で観察・認識しようとした。その真実の目と真理の探究が彼女をして,批判のみならず一歩進んで,自身の取るべき行為を導きだした。彼女の主張は急進的であり,伝統的な社会規範を覆すものであった為に,家族との対立,精神的危機状況を作り出したが,その状態を克服したときにナイチンゲールは人間としての強さを獲得し,自立へのプロセスを踏んだ。彼女の思想の背景には人間存在の問題として人格と生存権の問題があった。