著者
佐々木 智樹 松原 崇充 野崎 康 木戸出 正繼
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.1622-1630, 2011-10-01

本研究では,近年活発に研究が行われている"ロボットによる卓球タスク"において,打球の予測問題に焦点を当て,多様なスピン(回転速度と方向)を伴う打球について高精度な打球予測を実現することを目的とする.卓球の球は非常に軽く,スピンによる影響を受けやすいため,高精度な打球の予測のためには,スピンの状態を知る必要があると考えられる.しかしながら,卓球の球は通常無地の球形をしており,状態の変化を表す画像特徴が検出されないため,カメラなどによるスピンの計測は困難である.そこで,本研究では,プレイヤーのスイング動作に着目し,スイング動作に含まれるスピン関連情報を抽出し,打球予測に利用するアプローチを提案する.具体的には,各プレイヤーについて,モーションキャプチャによって計測されるスイング動作と,ステレオビジョンによって計測される打球の位置を多数取得し,これらのデータを用いて,スイング動作からスピン関連情報への特徴変換を求める.そして,多様なスピンを伴う打球について,カメラから得られる球の位置と,スイング動作の特徴変換により求まるスピン関連情報を用いることで,高精度な予測を実現する.
著者
佐々木 康人
雑誌
Isotope news (ISSN:02855518)
巻号頁・発行日
no.641, pp.14-16, 2007-09-01
被引用文献数
3
著者
佐々木 雅英 藤原 幹生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.952-958, 2008-11-01

光子を正確に高感度で計数する技術は,量子情報技術の実現に必要不可欠な根幹技術である.通信において光子から信号を取り出すためのみならず,光の量子状態に強い非線形変換を引き起こす量子ゲートの構成要素としても本質的な役割を果たす.このような位置付けと必要とされる性能,それに向けた技術候補を整理する.次に,半導体素子を用いたアプローチの現状と今後の課題を展望する.
著者
佐々木 裕之 中尾 光善
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

エピゲノムは細胞のエピジェネティックな修飾の総体であり、発生・分化・がん等において重要な働きをする。網羅的・体系的なエピゲノム解析基盤を確立する目的で研究を行い、(1)独自のメチル化DNA濃縮ツールを開発し、(2)マウスの細胞を用いて網羅的解析技術を確立し、(3)この方法をヒト培養細胞や健常者・各種疾患由来の細胞に応用した。これにより、(4)様々なクロマチン因子の相互作用や標的配列を同定することに成功し、(5)ヒト・チンパンジー間のDNAメチル化の差を同定し、エピジェネティクスの制御機構や多様性・進化との関わりを研究する基盤を確立した。
著者
大藤 茂 佐々木 みぎわ
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.50, pp.159-176, 1998-07-31
被引用文献数
12

岩質, 古生物地理および剪断帯の分布と運動像から, 東アジアの各地帯とオーストラリアとの中〜古生代の運動史を次の様に考えた。(1)カンブリア-オルドビス紀の各地帯は熱帯〜亜熱帯区に位置し, オルドビス紀には, 筆石の太平洋区と大西洋区とが識別される。(2)各地帯の上部オルドビス〜デボン系は, サンゴ礁の形成可能な熱帯地域にほぼ東西に配列する, 火山弧近辺の堆積物からなる。(3)上記火山弧列は, 後期デボン紀〜ペルム紀に時計回り回転し, オーストラリアは南極域へ, アンガラ剛塊は北半球の温帯域へ移動した。北中国地塊, 南中国地塊および日本は, 熱帯のカタイシア植物区にとどまった。(4)三畳紀には南北中国地塊の東部が衝突し, 朝鮮半島の臨津江ナップが形成された。(5)南中国地塊は北中国地塊と癒合した後, モンゴル-オホーツク海を消滅させつつ北上し, 前期白亜紀までにはアンガラ剛塊と衝突した。上記の運動の中での, 日本の位置づけも議論した。
著者
粟屋 利江 岩崎 稔 澤田 ゆかり 佐々木 孝弘 野本 京子 吉田 ゆり子 大川 正彦 臼井 佐知子 金 富子 米谷 匡史 左右田 直規 小田原 琳
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ジェンダーをめぐる支配と差別の構造が「家族親密圏」における暴力を通していかに現れるのかということを、アジアとヨーロッパ・アメリカという地域軸、伝統社会における近代化、植民地支配からポストコロニアル状況へという時間軸にそって分析した。その結果、各地域固有の社会的実践や権力関係に見られる〈暴力〉は、支配・被支配の結果であるばかりではなく、相互干渉、癒着、相乗作用の上に成立するものであることが判明した。
著者
佐々木 全 加藤 義男 SASAKI Zen KATOU Yoshio
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.8, pp.263-274, 2009

筆者らは,「高機能広汎性発達障害児・者を考える会(通称,エブリの会)」を立ち上げ,高機能広汎性発達障害児者とその保護者の支援を行っている(佐々木・加藤・田代:2004).高機能広汎性発達障害とは,知的障害を有さない広汎性発達障害である.これには,「自閉性障害のうちの高機能群(高機能自閉症)」,「アスベルガー障害」,「特定不能の広汎性発達障害のうちの高機能群」が内包される. さて,エブリの会の中核的活動となっているのが,小学生を対象として開催している「エブリ教室」である.そして,エブリ教室を「卒業」した(エブリ教室の対象年齢を越えたという意味).中学生以上の年齢,すなわち青年期(思春期を含む)の彼らを対象として,筆者らは2003年3月から「エブリクラブ」を開催している(佐々木,加藤,2003). 現在,高機能広汎性発達障害を含む,いわゆる発達障害児者の青年期が注目を集めている.例えば,大学を含む,高等教育機関における支援(佐藤,徳永,2006 ; 山口,2006 ; 西村,2006 ; 日本LD学会研究委員会研究プロジェクトチーム,2008),就労(近藤,光真坊,2006 ; 清水,加賀,山本,内藤他,2006),さらには触法や矯正教育(梅下節瑠,2004 ; 松浦,岩坂,藤島,橋本他),など様々な切り口からの報告がある.青年期が注目される理由には,二つあるのではないかと推察する.一つ目に,1990年前後から学童期のいわゆる発達障害児が,青年期を迎え,当時想定していた「彼らの将来」が現在となり,現実となったことがある.例えば,筆者らの身近では,エブリ教室の第一期生であった当時の小学校4年生は,現在二十歳となった. そして,二つ目に,青年期を迎えた彼らの多くが示す不適応的な姿がある.それは,例えば,中学校や高等学校での適応上の困難さであり,就労や進学などの進路選択や,日常的な対人関係や生活習慣などに関わる困難さである.それらは,支援状況の不備不足との表裏であることは言うまでもない.その支援状況に関してはそれぞれのシーンで,理解と対応の度合いの「温度差」や「地域格差」を有しながら多様であり,整備途上であると思われる. そこで,本稿では,青年期支援の一環として位置づけられるエブリクラブの実践を報告し,その意義を検討したい.
著者
前田 憲孝 佐々木 崇了 神田 鉄平 藤岡 透 古川 敏紀
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.21-24, 2011 (Released:2012-04-11)
参考文献数
7

長期の慢性外耳炎の病歴を持つアメリカン・コッカー・スパニエルで、右側頬部の膿瘍ならびに外耳道口の腫瘤形成が認められた。CT検査により外耳および中耳の占拠病変、鼓室胞腹側の骨融解が認められ、超音波手術器を用いた外側鼓室胞骨切り術および全耳道切除術により良好な経過を得た。本症例の病態として、慢性の外耳炎が引き金になり、腫瘍が形成されることで、慢性化膿性中耳炎ならびに瘻管形成による頬部の皮下膿瘍が生じたと考えられた。
著者
小幡 明彦 佐々木 和雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.642-651, 1999-02-15
参考文献数
20
被引用文献数
9

ビデオ画像通信を利用して, 分散した職場間のインフォーマルコミュニケーションを支援するシステムの研究が活発化している. これらのシステムではビデオ画像通信を, 会話開始前に受け手の状態を確認することで会話を開始するまでの心理的敷居を下げるためや, 意図しない相手との偶発的な会話のトリガとして利用している. 本論文では,これらのシステムにおける課題として,会話前に受け手を覗くことによって, 受け手に会話を強要する侵入感の問題と,意図しない相手との偶発的会話支援が狙いどおり発生しない問題について焦点を当て, 距離の概念の導入を試みることでこれらの問題点を解決するインタラクションモデルを提案する. また, 本モデルに基づいた実験システムオフィスウォーカを開発し, ユーザ実験により, これらの課題, および, システムの導入効果について検証する. その結果, 侵入感の問題については, 受け手が反応せざるをえなくなる状況が回避でき, 遠隔の相手の様子を気軽に見ることができようになった. 偶発的会話については, 業務グループ間におけるコミュニケーションのうち, 25%が偶発的に生じており, 意図した相手と異なる相手との会話を支援することが可能になった. また, システムの導入効果として, 問合せのカテゴリの会話が有意に増加し, 遠隔のメンバに気軽に問合せができるようになることが確認できた.