著者
安田 康晴 佐々木 広一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.641-648, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
14

目的:救急現場用感染防止衣の除菌・洗浄方法と交換時期について検討すること。方法:ナイロン系をオゾン除菌(4カ月使用想定)と洗濯機で市販洗剤を用いた洗濯後に自然乾燥(50回)させ,耐水・ウイルスバリア性をASTM・JIS,繊維断面を電子顕微鏡で,除菌剤別噴霧を3カ月間の実使用で,不織布を乾燥機で乾燥させ,それぞれ繊維劣化を確認した。結果:オゾン除菌と洗濯後の繊維劣化は有孔膜フィルムナイロン系で認められたが,無孔膜フィルムでは認められなかった。除菌剤別噴霧の繊維劣化は塩素系除菌剤で,不織布製で乾燥機による乾燥で毛羽立ちや毛玉が認められた。結論:ナイロン系・不織布製とも,洗浄は洗濯機で塩素系以外の市販洗剤を用いた洗濯後に自然乾燥させる。除菌はオゾンと塩素系除菌剤は繊維劣化を生じるため繊維劣化が生じない除菌剤を噴霧する。交換は感染防止衣に亀裂や破損,毛玉,毛羽立ちが,不織布製は汚染が認められた場合とする。
著者
佐々木 広一 安田 康晴
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.622-627, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
12

背景:近年,オゾンによる新型コロナウイルス不活化の研究が報告され,救急車内の環境表面などの殺菌のためオゾン発生器を導入する消防本部が増加している。しかし,救急車内でのオゾン拡散が均一となっているかは明らかにされていない。目的:救急車内のオゾン拡散状況を把握すること。方法:救急車内にオゾン発生器を設置し,救急車内の前部・中央部・後部でオゾン濃度を測定した。また,培養した細菌の死滅化を目視確認した。結果:オゾン濃度は各測定箇所での濃度差が認められ,機器が表示する濃度よりも,前部では低く,中央部と後部では高い濃度となった。菌の死滅化においても前部で残存が多く認められた。結論:有効CT値に未到達の箇所や過剰な濃度になっている箇所があり,車内拡散の不均一性が示唆された。殺菌できていない箇所がある可能性があり,オゾン殺菌によるメリット・デメリットを考慮し,効果的かつ安全性を確保したうえで適切に使用する必要がある。
著者
佐々木 茜 岡田 裕樹 水藤 昌彦 大村 美保 遅塚 昭彦
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.49-68, 2023 (Released:2023-11-21)
参考文献数
4

地域生活定着支援センターのフォローアップ業務について,福祉施設等に入所した者のフォローアップ期間の長期化が課題となっている.本研究では,高齢・障害各領域の入所施設等および相談支援機関を対象として,地域生活定着支援センターのフォローアップ業務に関する実態と課題についてヒアリング調査を実施した.その結果,①地域定着支援センターが,福祉施設に対して支援の依頼を行う際に,自らのフォローアップ業務の期限について明示しないことから,福祉施設は地域生活定着支援センターに対して「何かあった時にいつでも相談できる」と理解していること,②地域の社会資源や支援対象者の個別的な特性により,地域生活定着支援センターが直接的な支援を担わざるを得ない面があることが長期化の要因であることが分かった.本研究では,長期化しているフォローアップ業務の課題を解消することを「適正化」と位置づけ,適正化については①フォローアップ業務の整理,②地域生活定着支援センターと福祉サービス事業所間フォローアップ概念の一致,③支援経験のある福祉サービス事業所同士による支援ネットワーク構築が重要と考えられた.
著者
黒岩 利生 佐々木 茜
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-7, 2023 (Released:2023-11-21)
参考文献数
5

強度行動障害のある方の中には,通常食べられないものを口にする「異食」が見られる人がいる.本研究は,異食の発生要因を把握し以後の発生予防方法を検討するため,A園で発生した強度行動障害のある方の異食事故の検証を行った.異食事故に携わった経験のある職員を対象としたヒアリング調査の結果,異食の発生要因は①不満・ストレス,②注意喚起・要求,③周期的な変化,④予測困難に分類された.対象者の所属寮では事前の情報収集や日常生活の観察を通し情報を集約した上で応用行動分析を用いて異食の要因を分析し,要因に応じた支援を行っていた.異食は身体的合併症のほか,生活の場の選択への影響もみられる緊急性の高い行動だが,異食の可能性のある物をすべて排除するのではなく,QOL向上の視点を持って発生要因に応じた支援を行うことが重要と考えられた.

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著者
佐々木陽子編著
出版者
青弓社
巻号頁・発行日
2004
著者
鐘ケ江 光 Igor Massahiro de SOUZA SUGUIURA 佐々木 恭子 大塚 美加 濱野 剛久 田代 連太郎 Mario Augusto ONO 和田 新平 Eiko NAKAGAWA ITANO Md. Amzad HOSSAIN 佐野 文子 植田 啓一
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.107-114, 2023-09-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Paracoccidioides cetiiを原因菌とするクジラ型パラコクシジオイデス症 (英名:paracoccidioidomycosis ceti) は,小型鯨類を宿主とし,皮膚の慢性肉芽腫性病巣を特徴とする人獣共通真菌症である。今回,臨床症状を示すものの従来法では確定診断に至らなかったバンドウイルカ(Tursiops truncatus) とオキゴンドウ (Pseudorca crassidens) の皮膚病変生検組織由来DNAより,原因菌の特異的遺伝子であるgp43をPCRとLAMPの組み合わせにより検出し,確定診断を得た。なお,オキゴンドウ症例は世界初の確定診断例である。
著者
星野 宏司 角田 和彦 佐々木 敏 蓑内 豊 武田 秀勝
出版者
日本スキー学会
雑誌
スキー研究 (ISSN:1349449X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.47-53, 2013 (Released:2018-02-08)
参考文献数
20
被引用文献数
4

Alpine skiers require both aerobic and anaerobic capacity particularly for knee extension and flexion muscle strength. As for most all athletes, lactic acid removal is of utmost importance. In past studies, athletes from various disciplines have had their anaerobic power test measured using the power max VⅡ, but these studies were limited to only three parameters: body weight per peak power(watt/kg);peak revolution(rpm);and peak weight load(kp).However, the data generated was not very useful for elucidating discipline specific characteristics. With that in mind, we felt it necessary to search for more meaningful parameters that could possibly distinguish between speed and strength type muscle power and their relative contributions for peak performance in a range of disciplines. We studied such parameters in alpine skiers and found that they do indeed provide extremely useful data that can be used to better fine tune their training regimen. This study consisted of 97 subjects in three categories: ALP; 32 alpine skiers, XC; 39 cross-country skiers, and a control group of 28 fit but not athletically competitive adults. The average max power outputs for each group were as follows: ALP group 14.8±1.5watt, XC group 13.9±1.4watt, CONT group 13.1±1.5; anoxia values for the power tests anoxia characteristics are not shown as the results are obvious(ALP>XC>CONT). The observed strength to speed ratios varied significantly among the three groups: ALP>XC>CONT, with only the CONT ratio being below 1. This suggests that for alpine skiers the best training regimen should focus heavily on developing power in strength type muscles.
著者
金 守良 金 秀基 小林 久人 奥田 豊一 中井 敦史 藤井 友実 早雲 孝信 佐々木 素子 狛 雄一朗 朝井 章 西川 浩樹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.575-582, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
18

症例は60歳代女性.X年2月乳癌の診断のもと,左乳房切除,病理所見は浸潤性小葉癌であった.同年3月に多発リンパ節,骨転移に対して薬物療法を開始したが,8月より肝障害が出現した.薬剤性肝障害を疑い,薬物治療を中止するも肝障害は増悪した.造影CT,EOB-MRIなどの画像診断で肝転移巣は認めなかったが,腫瘍マーカーCA15-3の上昇がみられた.10月に腹部超音波カラードップラー画像・ソナゾイド造影所見から類洞閉塞などによる門脈血流低下が示唆された.経頸静脈的肝生検を施行したところ,類洞内に浸潤性小葉癌転移と肝硬変様の高度線維化を認めた.
著者
星(佐々木) 摩美
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.165, pp.89-104, 2016 (Released:2018-12-26)
参考文献数
27

韓国中等教育日本語教師の実践とビリーフについて,変化とその要因を中心に12名の教師の質的データを分析し考察した。その結果,変化には二つの要因があることがわかった。 一つ目は教育政策が示す教科のあり方,内容,教え方などの新しい知識を,実践の中でやってみることがきっかけとなっていた。その実践化のためには,①実践の文脈に動機があること,②実践できる手段や方法の具体的イメージが作れること,③教師の持っているビリーフと親和性があり,実践化することで何らかの価値が期待できることが必要であることが考えられた。 二つ目に,授業実践は,主に学習者と,学習者によって媒介された社会との相互作用によって常に再構成されている。教師の実践の語りに現れるビリーフは,教師自身の経験や媒介された社会など異なる源泉をもっており,それが重層的に積み重ねられることが要因であった。その変化はビリーフに多声性をもたらしていると考えられる。
著者
佐々木 浩一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.57, no.539, pp.2211-2216, 1991-07-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

To upgrade the riding comfort of the 0 Series Tokaido-Sanyo Shinkansen electric multiple-unit train, the suspension components of the bogies are successfully developed which improve the damping ratio of lateral body hunting motion. The result of field tests shows that the frequency of lateral body acceleration decreases about 1/1O as compared with the original bogie.
著者
佐々木 尚之 毛塚 和宏 斉藤 知洋 宍戸 邦章
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

人々のライフスタイルや価値観の変容により、社会調査をめぐる環境は著しく悪化した。本研究では、無作為抽出した対象者に対して、オンライン調査または郵送調査、配偶者票の有無をそれぞれランダムに割り当てることにより、調査モードならびに配偶者票の有無が回答に与える影響を分析する。ICTの活用を代表とする今後の社会調査の可能性を検証し、新たな調査手法導入の是非、導入にあたっての課題、状況に適した調査手法の有無を解明することを目的とする。
著者
石黒 正揮 山崎 重一郎 佐々木 貴之
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.520-523, 2023-09-15

暗号資産,デジタル所有権NFT,分散型自立組織DAOなどブロックチェーン技術をベースとした応用・サービスはWeb3.0と呼ばれ,従来のインターネット経済に大きなパラダイム転換をもたらすものとして注目されている.政府においても,内閣府,経産省,総務省などによりWeb3.0経済の推進に向けて検討が進められている.一方で,国内外においてWeb3.0に対する大規模なハッキングや事件が繰り返し発生し,Web3.0経済の発展の障害となっている.本特集では,Web3.0の普及に向けて,Web3.0のリスクや課題を明らかにするとともに,それらに対する解決の方向性,将来展望を示す.
著者
信野 翔満 佐々木 葉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.547-554, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
19

駐車場のような低未利用地がランダムに出現する現象である「都市のスポンジ化」は、地方都市における深刻な課題である。この現象を構造的に理解することは、その対策のために必要である。本研究では、福山市を対象として、駐車場の立地状況の空間自己相関分析と、スペースシンタックス理論による街路構造分析とを行い、両者の関係を時間的に明らかにした。その結果、駐車場の集積と街路のアクセス性の傾向の時代的変化を明らかにした。また地区の詳細調査によって、コインパーキングがアクセス性の高い場所に立地している傾向を示した。以上より、ランダムと見做されている「都市のスポンジ化」現象の特性を都市空間構造との関係で読み取ることを可能にした。
著者
西田 明日香 山口 智史 東郷 史治 佐々木 司
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.16-26, 2020-11-30 (Released:2021-01-09)
参考文献数
44

精神不調を予防・緩和するためにはソーシャルサポートが重要であることが知られている。中でも相談相手から受けるサポートは,ストレスを緩和し困難への対処を助けることからも,特に重要性が高いとされている。本研究は,相談相手の有無や数が精神不調と関連するかを明らかにすることを目的に,相談相手の有無や多寡と不安・抑うつ症状との関連を調べた先行研究に関するレビューを行った。PubMed, PsycInfo, CINAHL, CiNii,医中誌Webで検索しヒットした341編のうち,14編が採用基準を満たしていた。抑うつ症状を調査した研究では,相談相手がいない・少ないと,抑うつ症状を有するリスクや症状の程度が高いことが認められた。不安症状を調査した研究2編でも抑うつ症状と同様の関連がみられた。相談相手がいない・少ない人は精神不調のリスクが高いため,周囲からのサポートを増やす工夫を一層考えていく必要がある。
著者
豊田 拓磨 佐々木 克尚 清水 大輔 沖田 学
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.622-629, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
19

失行症状を含む高次脳機能障害と運動麻痺を呈した症例は,「箸を使ったら疲れる」と訴え食事に1時間かかった.各評価および動作特性から,主な病態は症例がイメージする適切な箸の把握形態の構成が難しく,努力的な箸操作につながっていた.さらに箸の使いにくさを感じながら運動の誤りに気づけず,自己修正が困難で疲労感の増大を助長させていると解釈した.介入方針は,症例が最適な箸の把握形態が構成できて,その把握形態を定着することとした.介入は体性感覚情報を基に自己の運動に置き換えることと,物品から把握形態を想起し構成することを実施した.その結果,症例がイメージした箸の把握形態が定着し,箸操作の疲労感や食事時間が改善した.
著者
武田 克浩 佐々木 慎也
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

脳由来神経栄養因子(BDNF)は非外科的歯周治療と併用することで、過度の炎症を抑制し、セメント質や歯周靭帯、歯槽骨などの歯周組織の再生を促進することが示唆された。また、in vivoで認められた炎症制御の機序の一端として、BDNFがマクロファージの活性に及ぼす作用が考えられた。すなわち、BDNFはマクロファージの貪食能を亢進させることで創傷治癒の初期に起炎物質の排除を促進し、歯周組織再生の促進に寄与している可能性が示唆された。