著者
佐藤 友哉 橋本 塁 嶋田 洋徳 大月 友
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.91-98, 2015 (Released:2015-11-19)
参考文献数
28

本研究の目的は、社交不安の2つのサブタイプ(全般性、非全般性)における、刺激関係の形成の流暢性と、スピーチ場面で生起する生理的反応の差異を検討することであった。54名の大学生を対象に、パフォーマンス場面に対する不安を測定するSocial Phobia Scale(以下、SPS)、対人交流場面に対する不安を測定するSocial Interaction Anxiety Scale(以下、SIAS)への回答を求め、関係ネットワーク間での刺激関係の形成の流暢性を測定するGo / No-go Association Taskを実施し、スピーチ課題中の精神性発汗を測定した。SPS、SIAS得点の平均値、標準偏差をもとに群分けを行い、基準を満たす30名が分析対象とされた。その結果、全般性の社交不安を示す者は、不安が低い者と比較してパフォーマンス場面をあらわす言語刺激群と、ネガティブな情動をあらわす言語刺激群の間の刺激関係を形成しやすいことが示された。また、不安が低い者は、スピーチ準備期と比較して実施期の精神性発汗の程度が高いことが示された。本研究の結果から、社交不安の2つのサブタイプを関係フレーム理論の観点から記述する有用性が示唆された。
著者
横井 創磨 佐藤 一誠 中川 裕志
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-103, no.5, pp.1-5, 2015-06-16

大規模な文書データに対して頻度分布のロングテールに位置する単語は情報量が少ないため,トピックモデルと呼ばれる単語の統計モデルを分布の背後に仮定することで,検索エンジンやオンライン広告などの性能が向上することが知られている.しかし,このような場面において用いられるトピックモデルは,予め仮定する潜在トピック数を高次元に設定する必要があり,計算速度や必要メモリ量が問題になる.トピックモデルの最も基本的なモデルである LDA に対して,大量の文書を扱える SGRLD LDA や高次元のトピックを扱える AliasLDA などの手法が存在するが,大量の文書・高次元のトピックを同時に達成するためには非効率的なアルゴリズムを巨大な計算機リソースを用いて実行しなくてはならない.そこで本研究では,これらの手法をうまく組み合わせることで効率的な計算を可能にする.また,勾配計算において更新の方法を工夫することにより,余分な空間を使わずに期待値計算を行うことができる.実験により,提案手法は大規模データかつ高次元トピックでも実行可能であり,さらに既存手法と比較して速く,特に高次元トピックでは 10 倍以上高速であることを示す.
著者
植竹 勝治 山田 佐代子 金子 一幸 藤森 亘 佐藤 礼一郎 田中 智夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-5, 2014

都市部住宅地に生息するノラネコの健康状態および繁殖状況を確かめるため、我が国の代表的な大都市のひとつである横浜市の住宅地において疫学調査を実施した。調査では、繁殖データ(雌306匹)の収集と生化学および感染症に関する血液検査(雄雌計31匹)を行った。調査対象のネコは全て捕獲-不妊去勢-復帰プログラムの対象個体であった。不妊手術時に妊娠していた雌ネコの割合は4月に最高値(58.6%)を示し、3月から7月にかけて比較的高値を示した。平均一腹産子数(±標準偏差)は3.8±0.5匹であった。血液検査において対象個体の何頭かは基準値外の値を示したが、猫白血病および猫免疫不全の両ウイルス感染症は全頭陰性であった。これらの結果から、横浜市の住宅地におけるノラネコの血液性状および繁殖状況は、健康な家庭ネコに比較して、概ね良好であった。このことは、不妊去勢手術に基づくいわゆる「地域猫」活動を推進する上で参考になる。
著者
佐藤 明
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.61, no.583, pp.933-938, 1995-03-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
15

The object of the present study is to evaluate the performances of various microcanonical molecular dynamics algorithms. To do so, the divergence times and energy fluctuations are discussed for a model system, i. e. a three-dimensional Lennard-Jones system under various conditions of number densities and temperatures. The results of the evaluations of superiority or inferiority of algorithms are as follows. The velocity Verlet, leapfrog, and Beeman algorithms are significantly superior to the other algorithms such as the 4-value Gear algorithm since a system does not diverge and the energy conservation law is reasonably satisfied for much larger time intervals. Although these three algorithms show approximately the same performance concerning the properties of divergence times and energy fluctuations, we can conclude that the velocity Verlet algorithm is the most suitable for molecular dynamics simulations of flow problems, since this algorithm is easy to use, requires less computer memory, and evaluates molecular positions and velocities at the same time steps.
著者
尾崎 正紀 水野 清秀 佐藤 智之
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

5万分の1富士川河口断層帯及び周辺地域の地質編纂図は,既存の地質図情報と活断層調査の成果に,産総研の「沿岸域の地質・活断層調査」プロジェクトで実施した入山瀬断層の成果を加えて作成した,海陸のシームレス地質情報集である.本図は,研究及び減災に活用されるよう国土の基盤情報図となりうることを目的としており,今後の研究成果に基づき修正を行う予定である.また,大縮尺の編纂図では,編集部分と確認部分が識別できるように,どのように断層などの精度・確度を表現するかが課題として残されている. 本地域は駿河湾北縁部に位置し,蒲原丘陵,星山丘陵,鷺ノ田丘陵,富士川扇状地,浮島ヶ原,富士南西側山麓,天子山地及び蒲原山地を含む.また,後期中新世〜鮮新世のトラフ充填堆積物である富士川層群,鮮新世の佐野川岩体,前期〜中期更新世の前縁盆地に形成された主に海陸の扇状地堆積物からなる蒲原層及び鷺ノ田層,第四紀の火山(前期〜中期更新世の岩淵火山岩類,中期〜後期更新世の愛鷹火山,後期〜完新世の富士火山),後期更新世〜完新世の河川〜浅海成堆積物が分布する.入山瀬断層,大宮断層,安居山断層,入山断層,芝川断層などからなる富士川河口断層帯は,ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界に位置し,東西圧縮場で概ね南北方向の断層と褶曲で特徴づけられる. 富士火山の溶岩流と古富士泥流(津屋,1968など)は,これら富士川河口断層帯の変位量推定の重要な基準となっていた.しかし,最近の富士火山の新層序(山元,2014など)に基づくと,古富士泥流は火山麓扇状地Ⅳ堆積物(離水面はMIS4)と火山麓扇状地Ⅲ堆積物(離水面はMIS2)に区分され,活断層の変形を受けた溶岩流の一部も層序と年代が修正されている.これらに基づき既存研究の見直しを行った結果,一部,従来の基準面の設定及び平均変位速度には再検討が必要であることが分かった.また,富士川河口断層帯との関係を理解するため,下部~中部更新統の層序と地質構造の再検討を行った.以下,その概要を示す.(1)入山瀬断層は,今回実施した陸域沿岸域の反射法地震探査(伊藤・山口,2016)及びボーリング調査(石原・水野,2016)と,沿岸海域の反射法音波探査(佐藤・荒井,2016)の成果に基づき,沿岸域の連続性が明らかとなった.また,蒲原地震山を挟んで雁行ないし並行した2つの断層が発達している可能性が高いことが分かった.(2)入山瀬断層の平均変位速度7m/103年は,上盤側の水神溶岩流と富士川扇状地下の大淵溶岩流が同じ溶岩流であるとし,その分布標高の差から求められていた(山崎,1979).しかし,水神溶岩流は富士川沿いから南東へ流れ出たもので1.7万年前の年代を示すのに対して,大淵溶岩流は富士南南西側山麓から南西へ流れ出たもので年代も約1万年と異なる.また,山崎(1979)は,村下(1977)による扇状地下の溶岩流は標高分布から,下盤側の両溶岩流の比高を推定して,それを入山瀬断層の変位基準としていた.しかし,村下(1977)の図では,富士川扇状地下の富士宮期溶岩流の分布は南西方向に低下する1万年前の富士山麓の形状を示しており,入山瀬断層の東側沿い幅約2kmの松岡から五貫島に至る地域のボーリング資料には溶岩流がほとんど認められない.この地域は,入山瀬断層による沈降が著しい地域であると同時に,最終氷期以降,古富士河川による最終間氷期の下刻作用と後氷期の堆積作用が行われた地域のため,基準となる溶岩や古富士泥流が連続して分布していないと考えられる.更に,約1万年前と約1.7万年前とでは,海水準が60〜70mも異なり(例えば, Siddall et al., 2003),その影響も考慮しなければならない.現状では,これらの諸条件の組み合わせにより,入山瀬断層の変位量は,既存の値より大きくも,小さくもなりうる.このため,入山瀬断層の正確な平均変位速度を推定するためには新たな調査が必要である.(3)入山瀬断層と同様に,大宮断層や安居山断層の溶岩流や古富士泥流堆積物を基準とした平均変位速度の推定についても,見直しの必要がある.しかし,再検討した結果,従来の見積を変更する必要はほとんどなかった.(4)芝川断層及び入山断層は,地質断層としては連続するものの,活断層として連続する可能性は低い.両断層が屈曲しながら接合する富士川周辺では,地質断層とは斜交する南北方向の長さ0.5-1kmほどの断層が幾つか発達する.これら断層のうち,月代断層(大塚,1938)は活断層であると考えられる.(5)星山丘陵及び羽鮒丘陵に分布する下部〜中部更新統の地質構造は,中期更新世までの変形の影響を大きく受けており,富士川河口断層帯による変形とは合致しない.[引用文献]石原武志・水野清秀(2016) 海陸シームレス地質情報集(S-5),「駿河湾北部沿岸域」,産業技術総合研究所地質調査総合センター.伊藤 忍・山口和雄(2016) 海陸シームレス地質情報集(S-5),「駿河湾北部沿岸域」,産業技術総合研究所地質調査総合センター.村下俊夫 (1977) 工業用水,no.225,30-42.彌之助 (1938) 地震彙報,16,415-451.Siddall et al. (2003) Nature, 423, 853-858.佐藤智之・荒井晃作(2016) 海陸シームレス地質情報集(S-5),「駿河湾北部沿岸域」,産業技術総合研究所地質調査総合センター.津屋弘逵(1968) 1:50,000富士火山地質図及び富士火山の地質.特殊地質図, no.12,地質調査所.山元孝広 (2014) 地質調査総合センター研究資料集,no.606,産業技術総合研究所地質調査総合センター.山崎晴雄 (1979) 月刊地球,1,571-576.

3 0 0 0 OA ぱいしくる

著者
前田 将希 池上 陽一郎 久保田 彰 佐藤 文宏
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.390-392, 2015-09-18

日本のドラマや漫画で甘酸っぱい青春シーンの定番と言えば,自転車 2 人乗りである.誰しも一度は憧れるが,気恥 ずかしさに邪魔をされたり,そもそも道交法違反であったりと実行に移すのは難しい.そこで本企画では,腰に回さ れる腕,予期せぬスキンシップ,ドキドキを生む不安定なバランスという 2 人乗りの必須要素を自転車型装置で再現 し,擬似青春体験を提供することを目的とする.また,女性には本企画を通して男性が求める女性の理想像に触れて もらい,参考にしてもらうことを目指す.
著者
荒井 勇亮 佐藤 功人 滝沢 寛之 小林 広明
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2010-HPC-124, no.11, pp.1-7, 2010-02-15

近年,従来の CUDA に加えて,GPGPU プログラミングのための新たな標準プログラミング環境として OpenCL が利用可能となった.本論文では,CUDA と OpenCL のプログラムの実行性能差を定量的に評価する.まず,ほぼ同等の処理を行う CUDA と OpenCL のプログラムを実装し,性能を比較する.次に,その性能差の主要因を調査し,CUDA コンパイラではサポートされているいくつかのコンパイラ最適化手法が,現在の OpenCL コンパイラではサポートされていないことを明らかにする.最後に,OpenCL コンパイラで生成されるコードを手動で最適化することによって CUDA と同等の性能を達成できた結果から,今後の OpenCL コンパイラの最適化機能が強化されることにより,CUDA コードを OpenCL に単純変換するだけでも,CUDA と同等の性能を達成できる可能性が示された.
著者
諸原 雄大 近藤 邦雄 島田 静雄 佐藤尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.329-337, 1995-02-15
被引用文献数
8

人がデザイン画についての善し悪しなどの印象を受け取るとき、その基準となる物理的特徴は大きく分けると色と形の二つである。著者らの研究の目的は、色と印象との関係を求めることである。このために、イメージ・カラーを選定する方法を提案する。イメージ・カラーとはデザイン画において用いられている色のうち、特に印象に影響の与える度合が強い色の組合せをいう。イメージ・カラーを選定することによる利点は、デザイン画を見ることにより得られる印象が、イメージ・カラーを見ることにより得られる印象とほぽ同じものとなることである。デザイン画のイメージ・カラーの抽出の方法は配色カードを用いて求めており、経験を必要とする作業である。もしも・イメージ・カラーの自動選定が行えれば、誰にでもデータベースに登録されている画像のイメージ・カラーを求めることができ、新しいデザイン画に他のデザインのイメージを与えることが簡単にできるようになる。本論文においては、デザイナーのイメージ・カラー選定法を参考に、計算機におけるイメージ・カラーの選定法を提案する。デザイン画像はRGBの3原色、各8ビット階調により表現されているものを用いた。このデザイン画像において便用されている色を色空間上でまとめていくことにより色の限定を行い、その中から目立つ色を取り出した。この方法により、計算機においてイメージ・カラーを選定することができるようになった。
著者
佐藤 達男
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.26-51, 2015

<p>This study aims to investigate Nakajima Aircraft Company's airframe business and its production efficiency during WW II in comparison with Mitsubishi Heavy Industries.</p><p>During the Pacific War, Japanese aircraft production was essentially based on job shop system for parts fabrication and sub-assembly. Nakajima Aircraft Company the largest aircraft manufacturer of war-time Japan and Mitsubishi Heavy Industries the second largest utilized both job shop and production line systems for their airframe final assembly lines depending on each plant situations. The United States Strategic Bombing Survey reports evaluated that Nakajima's airframe production system was more developed than that of Mitsubishi, which adhered to original, old-fashioned job shop system. This was substantiated from the fact that Nakajima expanded its production by 1944 to more than eight times of its 1941 production, and Mitsubishi produced only three times for the same period.</p><p>However, in production efficiency measured by airframe weight produced per month per employee, Mitsubishi was predominant until August to October 1944. A positive correlation was observed between production efficiency and monthly number of airframe production. Mitsubishi's improvement degree of production efficiency agreed well with the estimation by learning curve theory, but Nakajima's improvement of production efficiency far exceeded the estimation. This is considered to be the effect that Nakajima's labor utilization rate, which was approximately half of that of Mitsubishi in September 1943, might have increased rapidly as the monthly airframe production increased. The difference of the final assembly line did not have decisive influence on the production efficiency, but the increase in the number of monthly airframe production was influential.</p><p>The production efficiency continuously increased as the monthly airframe production increased, and then dropped sharply from the end of 1944 and after due to the rapid decline of monthly production, which was caused by shortages of essential materials and engines, US air raids from November 1944 and after, factory evacuation, and labor shortage.</p>
著者
関澤 春仁 佐藤 真理 相原 隆志 村上 敏文 八戸 真弓 濱松 潮香
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.129-135, 2016-03-15 (Released:2016-03-15)
参考文献数
18
被引用文献数
5

カキのへたを経由した放射性セシウムの移行を明らかにするため,生育中のカキのへたに可溶性の137Csを含む水を添加し,収穫した果実の137Csを測定した。その結果,137Csを含む水を処理した果実の果肉中の137Cs濃度は無処理区よりも高く,また,生育前半期に果実内へ移行した137Csは,収穫期まで果実内に維持されていたことが明らかとなった。これらの結果から,生育期間中にへたに付着した可溶性の137Csは果実内に移行し蓄積することが示唆された。

3 0 0 0 OA 外科各論

著者
佐藤進 著
出版者
英蘭堂
巻号頁・発行日
vol.一巻, 1887
著者
西田 清一郎 佐藤 広康
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.58-61, 2012 (Released:2012-08-10)
参考文献数
13

未病は,古来より東洋医学において重要なテーマとして掲げられている.未病ははっきりとした病が現れる前から体の中に潜む病態(状)を意味しており,まだ病ではない状態を意味しているのではない.未病は病を発生させる根本的な異常を意味し,東洋医学的には「〓血(おけつ)」と深いかかわりがあると考えられている.我々は,未病を現代医学的に解釈した場合,その病態は酸化ストレスの蓄積が一つの原因であると考えている.〓血に対して処方される駆〓血剤は,酸化ストレスの蓄積を抑制し,すなわち未病の進展を遅延,または阻害すると推察されている.駆〓血剤である桃核承気湯(とうかくじょうきとう)と桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)には,抗酸化作用があることが知られていた.酸化ストレスは血管緊張に変化を与えるが,これらの漢方薬は酸化ストレス負荷条件下で,血管の収縮を抑制し弛緩作用を増強した.駆〓血剤をはじめとする漢方薬は,酸化ストレスに対して,抗酸化剤として緩和作用だけではなく,状況に応じて酸化促進剤として血管収縮作用を表す.つまり,酸化ストレスをうまく制御して生体機能の調節作用をするものと考えられる.この酸化ストレス緩和作用は,酸化ストレスによる障害を和らげ,未病の進展を抑制していると思われる.
著者
佐藤 嘉倫
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-10, 2006-04-30 (Released:2007-08-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

本講演では、エージェント・ベースト・モデルが社会変動論の発展に貢献することを主張する。社会変動は多くの社会学者を惹きつけてきた魅力的な研究テーマだが、マクロレベルでの分析に焦点が当てられていて、ミクロ・マクロ・リンクに着目した研究があまりなかった。例外として、今田高俊の自己組織性理論があるが、彼の理論はミクロレベルからマクロレベルへの移行の分析が弱い。エージェント・ベースト・モデルはこの移行の分析を明確に行うことができる。しかし社会変動論の主題である構造変動にこのモデルを適用しようとすると、役割概念を明確にする必要性が生じる。近年、役割概念をフォーマライズする研究がいくつか出てきているので、これらの研究とエージェント・ベースト・モデルの発想を組み合わせたモデルを開発することで、エージェント・ベースト・モデルは社会変動論の発展に寄与するだろう。
著者
佐藤 嘉彦 田中 利幸
出版者
横浜国立大学教育学部附属理科教育実習施設
雑誌
横浜国立大学教育学部理科教育実習施設研究報告
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-9, 1990-03-25

INOUE and OSATAKE (1988) have recently developed a new tert.-butyl alcohol freeze-drying method for drying biological specimens of scanning electron microscope. Their method has come into wide use recently for drying zoological specimens. The specimens dried acccording to the new method seem to be in no way inferior to the critical-point dried specimens. But there have hardly any accomplishments with regard to the botanical specimens. So, we have intended to compare the botanical specimens dried by the new method with the critical-point dried specimens. And we could take the most exquisite photographs from the specimens produced according to the following procedures: (1) double fixation by 2.5% glutaraldehyde and 1% osmium tetroxide, each buffered at pH 7.2-7.4 with 0.1M phosphate buffer. (2) dehydration by tert. -butyl alcohol series (Tab. 1). (3) replacement with pure tert. -butyl alcohol. (4) freeze-drying with tert. -butyl alcohol (INOUE & OSATAKE 1988). The drying method is expected to become greatly available in future for drying the botanical specimens for scanning electron microscopy, although some further improvements are necessary to realized satisfactory and stable results from almost all botanical materials.