著者
猿橋 裕子 長崎 信浩 木平 孝高 広瀬 雅一 佐藤 英治
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
pp.2020-053, (Released:2020-11-27)
参考文献数
2

臨床の現場で活躍する薬剤師を育成するにあたり,薬物療法の実践能力を修得することは非常に重要である.福山大学では,実務実習セミナーを通し,実習期間中に様々な施設で実習をしている学生及び,教員がともに集まり,討議をすることで,学生間の情報共有を可能とし,また発表内容を「薬物療法の実践」に焦点化することで,学生の薬物療法に係る能力を醸成してきた.しかし,COVID-19パンデミック下で,対面による実務実習セミナーが困難となり,ビデオ会議システムを用いた実務実習セミナーを実施した.ビデオ会議システムを用いることの利点,デバイスの問題への対応,自宅からの参加ならではの副次的効果,さらに,今後の可能性について紹介する.
著者
佐藤 真理子 熊谷 伸子 小出 治都子
出版者
ファッションビジネス学会
雑誌
ファッションビジネス学会論文誌 (ISSN:13489909)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.11-20, 2016-03

袴は、腹部と胸l部を覆い紐で腰に結びつける形の和服の一種で、日本書紀にも記載のある本邦の伝統的民族衣装である。本研究では、袴の再評価と新たな展開を目指し、市場の現状調査、マンガ分析、機能性検討を行った。市場調査の結果、現代の袴に包含される衣服は多岐にわたり、その着用目的も異なるため、分類・定義確認と、各々の流通構造の明確化を要する現状が示された。マンガ分析においては、袴着装キャラクターの登場するマンガは一定数刊行されており、主なキャラクターは「武士・侍」と「学生」であった。現代の若者の袴着装シーンでは、日本の伝統文化の再認識につながる表現がなされていた。機能性検討の結果、温熱的快適性・姿勢保持性・下肢の自由度において、袴は高い機能性を持つことが明らかとなった。和装の主流たる着物(長着)が、その着装法から、ハレの場のみの限定的な衣服、日常生活から乖離した存在となっている現在、袴は、日常着にもなり得る機能性と快適性を備え、伝統文化の継承者、クールジャパンのアイコン、新しい和のモードとしての可能性を有することが示された。
著者
熊谷 広治 佐藤 菜乙美 岩井 恵美 植木 健 神田 隆善
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.691-695, 2000-09-01 (Released:2010-09-27)
参考文献数
8

妊婦外来においてdehydroepiandrosteronesulfate(DHA-S)膣坐剤投与と卵膜剥離操作を組み合わせて施行し,その陣痛誘発の効果について検討した.正期に達した妊婦56例(初産婦28例,1回経産婦28例)を対象とし,以下の4群に分類した.A群=卵膜剥離操作のみ(4例),B群:DHAS膣坐剤投与のみ(18例),C群:DHA-S膣坐剤投与と同時に卵膜剥離操作(16例),D群:DHA-S膣坐剤投与の3~4日後に卵膜剥離操作(18例).これらはおおむね妊娠39週で開始し,陣痛発来まで3~4日ごとに繰り返した.4群間において妊婦年齢,初産婦比率,妊娠期間,分娩時出血量,児体重,Apgarscoreに有意差は認めなかった.B,C,Dの3群間の膣坐剤投与開始から陣痛発来までの日数はそれぞれ,6.2±3.6,4.5±2.8,7.3±2.2で,有意差は認めなかった.A,C,Dの3群間の剥離操作開始から陣痛発来までに要した日数はそれぞれ,6.5±3.2,4.5±2.8,1.5±1.3で,D群が有意に短かかった.またD群ではすべて剥離施行1回で陣痛が発来した.以上より,DHA-S膣坐剤投与から3~4日後の卵膜剥離操作は,外来で簡便にかつ安全に施行できる陣痛誘発法となり得る.〔産婦の進歩52(5):691-695,2000(平成12年9月)〕
著者
橋本 慎太郎 仁井田 浩二 松田 規宏 岩元 洋介 岩瀬 広 佐藤 達彦 野田 秀作 小川 達彦 中島 宏 深堀 智生 古田 琢哉 千葉 敏
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.88-95, 2013 (Released:2014-10-21)
参考文献数
32

PHITS is a general purpose Monte Carlo particle transport simulation code to analyze the transport in three-dimensional phase space and collisions of nearly all particles, including heavy ions, over wide energy range up to 100 GeV/u. Various quantities, such as particle fluence and deposition energies in materials, can be deduced using estimator functions “tally”. Recently, a microdosimetric tally function was also developed to apply PHITS to medical physics. Owing to these features, PHITS has been used for medical applications, such as radiation therapy and protection.
著者
根本 紀子 佐藤 啓造 藤城 雅也 西田 幸典 上島 実佳子 米山 裕子 渡邉 義隆 佐藤 淳一 栗原 竜也 長谷川 智華 浅見 昇吾
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.615-632, 2016 (Released:2017-03-16)
参考文献数
24

不妊治療を含めた生殖に関わる医療を生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)と呼ぶ.第三者が関わるART〔非配偶者間人工授精(artificial insemination with donor's semen:AID),卵子提供,代理出産など〕には種々の医学的,社会的,倫理的問題を伴うものの,規制もないままなしくずし的に行われつつある.第三者の関わるARTについて国民の意識調査を実施した報告は少数あるが,大学生の意識調査を行った研究は見当たらない.本研究ではある程度の医学知識のある昭和大学医学部生と一般学生である上智大生を対象として第三者が関わるARTに対する意識調査を行った.アンケートに答えなくても何ら不利益を被ることのないことを保証したうえでアンケート調査を行ったところ,医学部生235名,上智大生336名より回答を得た(有効回収率94.5%).統計解析は両集団で目的とする選択肢を選択した人数の比率の差をχ二乗検定またはFisherの直接確立法検定で評価し,P<0.05を有意水準とした.第三者の関わるARTの例としてAID,卵子提供,ホストマザー型(体外受精型)代理出産,サロゲートマザー型(人工授精型)代理出産を取り上げ,その是非を尋ねたところ,医学生と一般学生で有意差は認められなかったものの,前3者については両群とも70%以上の学生が肯定的な意見を示したのに対し,サロゲートマザー型代理出産については両群とも40%以上の学生が否定的な意見を示した.「自身の配偶子の提供を求められた場合」と「自身あるいは配偶者が代理出産を依頼された場合」の是非については有意に医学生の方が一般学生より抵抗感は少なかった.1999年の一般国民を対象とした第三者の関わるARTについての意識調査では7割から8割の国民が否定的な意見を述べたことに注目すると,この十数年間で第三者の関わるARTについての一般国民の考え方も技術の進歩と普及に伴い,かなり変化したといえる.今回,これからARTを受けることになる可能性のある若い世代に対する意識調査でAID,卵子提供,ホストマザー型代理出産について肯定的な意見が多数を占めたことは注目すべき結果といえる.本稿では上記三つのARTはドナーや代理母の安全を確保したうえで法整備を進めるべきであると提言したい.また,サロゲートマザー型代理出産は代理母に感染などの危険があるうえ,社会的,倫理的問題を多く伴うので,規制することも視野に入れたうえで法整備を進めるべきと考える.なお,第三者の関わるARTの実施に当たってはARTに直接関与しない専門医によりARTを受ける夫婦およびドナー,代理母に対し,利点,欠点,危険性が十分説明されたうえで当事者の真摯な同意を法的資格を有するコーディネーターが確認したうえでの実施が望まれる.ARTに関する法律が存在しない現在,医学的,倫理的,法的,社会的に十分な議論をしたうえでの一日も早い法整備,制度作りが望まれる.
著者
佐藤 佑 SATO Yu
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大學研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.39-57, 2014

国語科のいわゆる「学校文法」は、日本語研究の分野ではことごとく否定され、大学の教師教育においてすら批判的に扱われることが多い。その結果、国語教師は教えるべき文法のあり方を十分に知らされないまま教壇に立つことになっている。本稿はこうした現状に一石を投じるべく、学校文法の枠組みの中でも特に難解な「連文節」の理論を整理し直すことで、国語教育に携わる人々の一助となることを期するものである。これに加え、学校文法の枠組みから外れる連文節以上・文未満の単位を処理するためのツールとして、橋本進吉が最晩年に整備しようとしていた「文節の群化」のシステム(橋本1944)を再評価し、その重層的で複雑な文構造の捉え方を教育現場に持ち込むための方法論を検討する。具体的には、述語・述部を核とした学校文法の「文の成分」観を肯定的に捉えつつ、その理解を助けるものとして橋本(1944)の理論を応用し、個々の文節間の関係を順序立てて確認する方法、またそれに基づいて、教育現場では構文を階層的・段階的に図解しながら教える手法を提案する。
著者
菊池 里奈 藤井 克幸 上林 悠人 塚畑 宏大 佐藤 愛実 早瀬 彩乃 小宮山 典寛
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.29-35, 2020 (Released:2020-11-02)
参考文献数
14

ネコの尿管閉塞に対する療として、SUB(Subcutaneous ureteral bypass)はスタンダードな治療手段であるが、その多くがX線透視下で実施されている。我々はSUBの設置を、超音波ガイド下および術中単純X線撮影(非透視下)で行っており、今回はその13症例の治療成績、合併症、予後について検討した。その結果、超音波ガイド下におけるSUB設置においても腎数値は従来の報告と同様に改善し、臨床症状も改善した。合併症に関しては、今回の検討では従来の報告に比較すると、術後感染率がやや高かったが、長期的な予後は良好であり、超音波ガイド下でのSUB設置はネコの尿管閉塞に対する有効な一手段と考えられた。また、SUBのカテーテル閉塞防止に関する検討として、食餌内容変化と尿比重の関連を検討したが、症例数が少なく今回は明らかな結果は得られず、更なる検討が必要と考えられた。
著者
佐藤 淳一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.203-210, 2005-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
44
被引用文献数
5 2

The purpose of this study was to construct Jung's Psychological Types Scale (JPTS), and to examine its reliability and validity. First, 87 pairs of items were written, and their content validity examined by two Jungian analysts, who judged 74 pairs of them to be appropriate. In Study 1 542 undergraduates, 245 men and 297 women, responded to the interim scale. Exploratory factor analysis found three factors: extraversion-introversion (E-I), thinking-feeling (T-F), and sensation-intuition (S-N). Results of additional factor analyses indicated that the three factors were almost orthogonal. Then, nine item pairs each for the subscales were selected for the JPTS. The scale had high alpha and test-retest reliability coefficients. In Study 2, concurrent validity of the scale was examined in terms of Myers-Briggs Type Indicator (MBTI) Form M. The correlations showed meaningful patterns for concurrent validity. In addition, the scale was evaluated in terms of NEO Five Factor Inventory (NEO-FFI), a five-factor model (FFM) scale. The result showed that the three factors of E-I, T-F, and S-N corresponded to Extraversion (positive), Agreeableness (negative), and Openness (negative) of NEO-FFI, respectively.
著者
今井 暹 鎌田 好二 佐藤 幸子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.274-280, 1975-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

茂原市郊外のヨード工場ならびにモリブデン工場周辺部の養蚕家に出現した異常蚕について研究した結果, つぎの成績を得た。工場群から特定方向の一定距離内の桑園が工場から出る有害物質の被害をうけ, その桑葉を食下した蚕に異常がみられた。この桑葉は50~100ppmという高濃度のヨウ素に汚染され, これを食下した蚕は特異な病状を呈しながら発育を阻害されることを明かにした。したがってこの異常蚕はヨウ素中毒によるものであり, その病状はヨウ素添食蚕と全く一致していた。また中毒死は, 蚕体内にかなり高濃度に留存しているヨウ素にその原因があるように考えられた。
著者
佐藤 昌也
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.201-204, 2015-09-01 (Released:2017-02-10)

本校第4学年の応用物理実験のテーマに「電子の比電荷(e/m)の測定」がある。著者が担当した当初から,得られる電子の比電荷の測定値は,現在知られている真値(e/m≒1.76×10^<11>C・kg^<-1>)から大きくかけ離れており,その原因を明らかにできずにいた。今回,文献1)を参考に測定結果を解析し,誤差の原因について分析した。
著者
佐藤 有紀 砂田 有史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.546-551, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)

近年,企業にとって情報,データは重要な資産となり,特に消費者をターゲットとする企業にとっては,購買履歴をはじめとする個人に関するデータを蓄積,分析し,マーケティングや広告にいかに活かしていくかが重要なテーマとなっている。このような中,個人の関与の下でデータ流通・活用を進めることにより,個人に関するデータの利活用と個人の権利・利益保護のバランスを図ることができる,情報銀行という制度が注目を集めている。そこで本稿では,情報銀行の概要と情報銀行から個人情報等を取得することを検討する事業者における注意点について概説したい。
著者
長谷川 雄基 佐藤 周之 上野 和広 長束 勇
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.II_29-II_34, 2020 (Released:2020-06-25)
参考文献数
7

本研究では,水砂噴流摩耗試験に対するサンドブラスト法の代替性の検討および材料の耐摩耗性の評価試験として実務上多用されるテーバー式摩耗試験とサンドブラスト法の比較検討を目的とし,細骨材粒径を変化させたモルタル供試体を対象とした比較検証実験を行った.結果として,サンドブラスト法では,試験時間の差異により試験後の供試体表面の状態は変化し,試験時間が短いと水砂噴流摩耗試験に近い選択的な摩耗現象を再現し,試験時間が長くなるとテーバー式摩耗試験に近い面的に進む摩耗現象を再現できる可能性が考えられた.加えて,粒径0.6mm以上の割合が大きい細骨材を使用した無機系補修材については,サンドブラスト法の試験時間を10秒とすることで,水砂噴流摩耗試験による現行の無機系補修材の品質評価と同等の評価ができる可能性が示された.
著者
佐藤 恵美 渡邉 季誠 井上 康介
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2016年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.345-346, 2016-08-20 (Released:2017-02-20)

ヤスデは多数の歩肢の調和的運動により適応的な歩行を見せ,その長い胴体各部において異なる運動パターンを見せる.その背後にある自律分散的な歩行パターン調節メカニズムを明らかにするため,分離トレッドミル上でのヤスデの固定という新しい方法による実験と,それに基づくシミュレーションベースの構成論的調査を行った.本報告ではそれらの結果を報告する.考えヤスデの速度を一定に保ちながら実験できる器具の開発を行った.
著者
吉田 道雄 佐藤 静一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.93-99, 1991-09-20
被引用文献数
4

教育実習の時期および性別の要因が教育実習生の「子ども」というものに対する認知に与える影響を分析した.具体的には,教育実習生に対する予備調査で得られたデータを分析し,「子どもの態度や行動・属性」に関して,六つの因子を見いだした.このうち,「自己中心性の因子」「創造性・積極性の因子」「反抗的・現実的態度の因子」は共通して,実習前に相対的に子どもをポジティブに(楽観的)評価し,実習2週間後には,ネガティブな(悲観的で厳しい)評価に変化し,最終的には再びポジティブな(再評価,再認識)評価をするという一貫した傾向が認められた.実習を通じてさまざまな心理的な「揺れ」を体験することが実習にとっては欠くことのできないポイントであることが指摘された.また,「公平さの要求」「事実を見通す力」の二つの因子については,性別による違いが認められた.いずれも男子の方が,子どもたちは,「不平等やえこひいきに敏感で」「ごまかしがきかない」と認知する傾向が見られた.実習生の性別によって子ども自身が反応の仕方を変えているのではないかと思われる.実習生の性別と子どもたちの関係のあり方についても,さらに分析を進めていくことの必要性が指摘された.