著者
佐藤 健司 小原 秀一 塚口 功 安井 浩一 中田 健 玉井 正彦 小林 芳夫 小塚 隆弘
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.239-244, 1977-03-01 (Released:2013-05-24)
参考文献数
16

正常な房室大血管関係をもつ両房室弁交叉症(criss-cross heart)の1例を報告する.心室中隔欠損,左肺動脈低形成,動脈管開存を合併していた.特徴ある心血管造影所見を呈し,右下側に形態学的左室,左上側に形態学的右室があり,心室中隔は上下の心室間にほぼ水平方向の陰影欠損として認められ,大動脈は右前方に,肺動脈は左後方に位置し,見かけ上は{S,L,D}であるが心房心室関係および心室大血管関係はいずれも正常で,両房室弁を流れる血流が交叉する両房室弁交叉症となっていた.形態発生学的にbulboventricular loopが心臓長軸を中心にして心基部に向って時計方向に,さらに心臓前後軸の回りに後方からみて時計方向に異常回転した結果と考えられ,Andersonの命名法によれぽ,Solitusconcordant(l-rotated)-normalと表現できる.
著者
佐藤 清隆
出版者
明治大学人文科学研究所
雑誌
明治大学人文科学研究所紀要 (ISSN:05433894)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.179-212, 2006-03

2001年の国税調査によると、イングランド中部の一多民族都市レスターの全人口は約28万人で、エスニック・マイノリティは約10万人(36.1%)である。そのなかでもっとも多い割合を占めているのが、南アジアのインド系の人びとである。約7万2000人(25.7%)である。割合は低いとはいえ、インド系以外に、パキスタン系、バングラディシュ系、ブラック・カリビアン、ブラック・アフリカン、中国系なども住んでいる。宗教人口では、キリスト教が一番多いが、その割合は44.7%とすでに半数を割っている。キリスト教徒以外では、ヒンドゥー、イスラーム、シクの割合が多く、三つの宗教合わせて29.9%である。これらの宗教以外では、数は少ないが、ユダヤ教、ジャイナ教、仏教、ゾロアスター教、バハイ教などを信仰する人びとが住んでいる。
著者
小西 有美子 佐藤 寿晃 佐藤 孝史 長沼 誠 鈴木 克彦 成田 亜矢 藤井 浩美 橋爪 和足 内藤 輝
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.65-69, 2011 (Released:2015-11-18)
参考文献数
15

健常男性8名(20-45歳)の右上肢を対象に、肘屈曲角度による前腕回外力の変化について調べた。被験者は、肩外転90°、屈伸0°、内外旋0°、前腕中間位にして上腕と前腕を台の上に載せ、肘を伸展位(0°)から10°毎に130°まで屈曲した状態で、等尺性収縮による最大の回外を行い、その回外力を計測した。回外力は、伸展位で3.9±1.2(平均±標準偏差)kg、10°位で4.5±1.2 kg、20°位で5.1±1.1 kg、30°位で6.2±1.1 kg、40°位で6.8±0.9 kg、50°位で7.7±1.1 kg、60°位で8.5±1.2 kg、70°位で8.3±1.4 kg、80°位で7.7±1.3 kg、90°位で7.3±0.9 kg、100°位で6.5±1.6 kg、110°位で6.0±1.7 kg、120°位で5.4±1.5 kg、130°位で4.8±1.2 kgとなった。回外力は伸展位から60°位までの屈曲で増加、70位°以上の屈曲では減少すること、肘の屈曲角度により回外力は2倍以上変化することが示された。この要因として、肘屈曲に伴う上腕二頭筋の筋線維の長さの変化や停止腱の角度の変化が考えられた。
著者
早川 崇 片岡 俊一 宮腰 淳一 佐藤 俊明 横田 治彦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.75, no.650, pp.723-730, 2010-04-30 (Released:2010-06-14)
参考文献数
25

We estimated the fault of the 1924 Tanzawa earthquake (Mj7.3), which was the largest aftershock of the 1923 Kanto earthquake (Ms8.2). We could successfully reproduce the observed waveforms in central of Tokyo based on the estimated fault model. This is very important to investigate the characteristics of ground motions by M7 events occurring in the Tokyo Metropolitan area because we only have a few observed waveforms of such events in central Tokyo. Finally, we calculated ground motions around Tokyo metropolitan area by the estimated fault model. The simulated ground motions do not exceed the design spectra around the area but in west of Kanagawa Pref.
著者
佐藤 千恵 後藤 政幸 Chie SATO Masayuki GOTO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.149-155, 2015-03

内分泌かく乱作用が懸念されるピレスロイド系農薬の環境生態系への影響を把握することを目的に、貝類中微量ピレスロイド系農薬の分析方法の開発を試みた。ホンビノス貝(Mercenaria mercenaria)を対象に5種ピレスロイド系農薬(ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)を添加して、微量濃度における回収率(ホンビノス貝中各農薬濃度0.1ppm)および分析の迅速性、クリーンアップ処理の妥当性について検討した。農薬分析の前処理には高速溶媒抽出およびゲル浸透クロマトグラフクリーンアップを採用した。結果、ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレートおよびデルタメトリンの回収率はそれぞれ67、86、76、82および79%であり、「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ライン」(平成22年12月厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)に定められた回収率の目標値(70〜120%)のほぼ範囲内であった。また、高速溶媒抽出により分析時間の短縮等有効な抽出ができ、ゲル浸透クロマトグラフクリーンアップ法を取り入れたことでガスクロマトグラフ/質量分析時の夾雑物質による検出器等の汚染や定量感度の低下が解消された。
著者
岩崎 貴哉 佐藤 比呂志
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.61, no.Supplement, pp.165-176, 2009-07-31 (Released:2013-11-21)
参考文献数
81
被引用文献数
2 5

Recent seismic expeditions with controlled sources in Japan provided important constraints on the deformation styles and physical properties of the island arc crust and uppermantle. The crustal structure in the Japanese Islands is characterized by an upper part with a large velocity variation (5.5-6.1 km/s), a middle part with a velocity of 6.2-6.5 km/s overlying a lower part whose velocity is 6.6-7.0 km/s. In many cases, most shallow microearthquakes are concentrated in the upper crust and upper half of middle crust while the lower half of middle crust and lower crust are reflective with very low seismicity. The uppermost mantle is characterized by a low Pn velocity of 7.5-7.9 km/s. Several observations on PmP phase indicate that the Moho is not a sharp boundary with a distinct velocity jump, but forms a transition zone from the upper mantle to the lower crustal materials. A detailed structural section across the NE Japan Arc from intensive onshore-offshore profiling in 1997-1998 revealed crustal deformation associated with the Miocene backarc spreading of the Sea of Japan. The backbone range of this arc shows a pop-up structure formed by inversion tectonics due to the present compressive stress regime. Crustal thinning associated with the backarc spreading is very clear west of this pop-up structure where the crust deduces in thickness from 30 to 25 km. A section across the SW Japan arc elucidated the detailed subduction geometry of the Philippine Sea Plate and inland crustal evolution associated with processes of accretion and magmatic intrusion. The Outer Zone south of the Median Tectonic Line is characterized by northward dipping structures of accretionary complexes, while the lower part of the crust in the Inner Zone is quite reflective, probably modified and homogenized due to the magmatic intrusion at Cretaceous time. Clear structural images obtained for arc-arc collision zones in central Hokkaido and easternmost part of the SW Japan arc provides direct evidence of crustal delamination. The structure in Hokkaido strongly indicates that the delamination of the Kuril forearc occurs at its brittle-ductile transition zone.
著者
小山内 康徳 桂 志保里 佐藤 大峰 木村 礼志 児玉 啓史 高杉 公彦 櫻井 秀彦
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.72-80, 2015-12-10 (Released:2015-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

The purpose of this study was to assess the negative effects of some factors on medicine-taking behavior. For the patients taking oral medication who visited a health insurance pharmacy, we enacted the actual situation of medication and conducted an attitude survey on the feeling of burden and resistance of taking the drugs. The survey also covered the factors that can influence medicine-taking behavior and the extent of the influence. For differences in each factor such as patient characteristics, lifestyle, and medication status, we used the 2 test to analyze the association with medicine-taking behavior. We found significant differences in age, dietary habits, occupation, periodic consultation with the pharmacy/doctor, and unpleasant experiences. In addition, in patients with multiple factors that cause noncompliance with medication, we observed a strong influence of age and occupation. From the factor analysis, we obtained data on time, quantity, and pharmaceutical factors (three factors called regular factors). These factors negatively influenced the use of medication by the patients. Next, in the covariance structure analysis, the influence of time and the quantity factor on medication-related stress was the observed to be the strongest, whereas the influence of the regular factors was not significant. Furthermore, there were differences in the influence of these factors depending on patient characteristics.
著者
佐藤 翔輔
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.662-668, 2020-10-15

【ポイント】◆「災害とSNS」に関連する議論・活動・研究開発はこの10年目まぐるしく,その変化のスピードは早い.◆10年間で災害時に実際起きたことを踏まえて.災害時のSNSの付き合い方(付き合わない方)を提案した.◆災害時,SNSはあくまで情報収集・発信の手段の一つとして捉えることが重要.
著者
佐藤謙三著
出版者
京文社
巻号頁・発行日
1925
著者
佐藤 淳一
出版者
The Japan Association of Sandplay Therapy
雑誌
箱庭療法学研究 (ISSN:09163662)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.5-16, 2013

心理療法において「死と再生」の象徴過程は心の変容過程として重要なものである。しばしば「死と再生」の概念は,死の体験の後に再生が訪れるという面が注目されがちであるが,そのような過程に必ずしも当てはまらない事例も存在している。そこで本論文は,被虐待経験のある中学生男子との遊戯療法過程を報告し,「死と再生」の概念の再検討を行った。クライエントは自らを「悪」と同一化し,セラピストとの間で激しいちゃんばらを繰り広げ,何度も「死と再生」を演じた。また,動物や人形のフィギュアを箱庭の砂の中に埋める遊びを繰り返した。セラピー過程が進むと,箱庭に墓を立てたり十字架を投げ合うなどして,「死」を弔い,魂を鎮める儀式が行われた。本事例から,「死と再生」のプロセスは,死の体験の後に再生が訪れるというものではなく,むしろ「再生の死」,あるいは「死の再生」という過程が繰り返されること,そしてそのプロセスは弔いや鎮魂のイメージによって完遂されることが示唆された。
著者
近藤 雄一郎 佐藤 亮平 沼倉 学
出版者
福井大学教育・人文社会系部門
雑誌
福井大学教育・人文社会系部門紀要 = Memoirs of the Faculty of Education, Humanities and Social Sciences University of Fukui (ISSN:24341827)
巻号頁・発行日
no.5, pp.285-302, 2021-01-19

本研究は「ベースボール型球技」の特徴を明らかにするための基礎的研究として,ソフトボール及びティーボールの競技構造を提起することを目的とし,金井(1977)のスポーツ技術論を援用しながらソフトボール及びティーボールの競技構造を提起することを試みた.研究の結果,各種目を成立させているプレーグラウンドとしての「運動空間」,ルールや用具などの「客観的運動手段」,運動主体が有する技能や戦術能などの「主体的運動手段」について共通性が見られた.一方で,「運動主体」に位置づく投手及び捕手の有無がソフトボールとティーボールにおける大きな違いであり,投手の投球からプレーが開始されるソフトボールと,打者の打撃からプレーが開始されるティーボールのゲーム性に差異が生じていた.以上のことを鑑み,ソフトボールの「競技目的」を「ボールを道具(バットとグローブ)で捕捉することによって生じる時系列的勝敗を身体およびボールの移動で競う」こと,ティーボ―ルは「ボールを打撃することによって生じる時系列的勝敗を身体およびボールの移動で競う」ことにあると提起した。
著者
苅部 智恵子 佐藤 啓造 丸茂 瑠佳 丸茂 明美 藤城 雅也 若林 紋 入戸野 晋 米山 裕子 岡部 万喜 黒瀬 直樹 島田 直樹
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.349-358, 2012 (Released:2013-03-14)
参考文献数
19
被引用文献数
2

安楽死・尊厳死について国民の意識がどうなっているか調査した報告は少なく,特に大学生の意識を報告した論文はほとんど見当たらない.少数ある報告も限界的医療全般について調査したものであり,安楽死について賛成か否かを表面的に調査したに留まっている.本研究では同じ生物学を中心に学んでいるが将来,安楽死・尊厳死に関わる可能性のある医学生と特にその予定はない理系学生を対象として同じ内容のアンケート調査を行った.アンケートでは家族に対する安楽死・尊厳死,自分に対する安楽死・尊厳死,安楽死・尊厳死の賛成もしくは反対理由,安楽死と尊厳死の法制化,自分が医師であるとすれば,安楽死・尊厳死について,どう対応するかなど共著者間で十分,協議をしたうえで,新しい調査票を作成し,これを用いた.医学生は安楽死・尊厳死について,ひと通りの理解をしているはずの99名から無記名のアンケートを回収した(回収率:87.6%).理系学生は医学生のほぼ同年輩の生物学系の博士前期課程学生に対し,第二著者が安楽死・尊厳死について,ひと通り説明した後,69名から無記名で回収した(回収率:71.9%).前記5つの課題について学部間,性別間の意識差について統計ソフトIBM SPSS Statistics 19を用いてクロス集計,カイ二乗検定を行い,p < 0.05を有意差ありとした.その結果,家族の安楽死については学部間で有意差があり,医学生は理系学生より依頼する学生の比率が低く,依頼しない学生の比率が高いことが示唆された.医学生,理系学生ともに家族の安楽死希望理由で「本人の意思を尊重したい」が過半数を越え,自己決定権重視の一端を示していた.尊厳死では両学部生とも希望しない学生より希望する学生が多く,特に理系学生で希望する比率が高かった.性別では自分の尊厳死を希望する比率で有意差があり,女性の方が多かった.家族の尊厳死でも希望する比率は女性の方が多かった.家族の尊厳死,自分の尊厳死を家族の安楽死,自分の安楽死と比較したところ,安楽死より尊厳死を希望する学生が両学部生とも多かった.家族の尊厳死希望理由で医学生,理系学生ともに「本人の意思を尊重したい」が60%以上を占めた.安楽死・尊厳死について法制化を望むか否かを調べると,学部間では有意差があり,医学生は大多数が安楽死・尊厳死の法制化を望んでいるのに,理系学生は両方とも法制化を望まない学生も26%を示した.性別間では女性で尊厳死だけ法制化を望む人が31%を占めた.自分が医師の立場になった場合,安楽死・尊厳死を実施するか否かを調べると,学部間で有意差があり,要件を満たせば積極的安楽死を実施するとしたのが理系学生で41%を示したのに対し,医学生では16%に留まった.性別間では積極的安楽死を実施するのは男性が10%上回ったのに対し,尊厳死を選択するのは女性が10%上回った.以上の結果から医学生は理系学生に比べ,安楽死・尊厳死の実施に慎重であり,両方とも法令のもとに実施を希望していることが明らかとなった.
著者
横田 健太朗 上柿 雅裕 神谷 淳文 佐藤 匠悟 大熊 栄一
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.141, no.2, pp.99-102, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)
参考文献数
7

1.はじめに2020年7月1日の東京駅。14番線ホームの先頭では新型車両一番列車「のぞみ1号」の出発式が行われていた。車体には金色のロゴ。東海道新幹線「N700S」の営業運転開始だった。13年ぶりにフルモデルチェンジした新型車両は午前6時,博多駅に向かって出発した。
著者
佐藤 俊治
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.75-87, 2001-05-30 (Released:2009-05-29)
参考文献数
17

In this paper, I examine van Fraassen's original version of modal interpretations, which have the increasing significance in the foundational research concerning elementary quantum mechanics. I argue that although van Fraassen's modal interpretation has a salient advantage over the standard Dirac-von Neumann interpretation with the projection postulate, it is confronted with two kinds of interpretive difficulties stemmed from one and the same fact of experience, repeatability of the first kind measurement.