著者
佐藤 正志
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.17-27, 2007 (Released:2017-03-23)

Indigo production grew in Tokushima Prefecture which was the biggest indigo producing district in the first half of the Meiji period through the development of the fiber industry. However, due to the inflow of Indian indigo and the rise in the price of manure, indigo work farmers became indigence and the number of people who tried to migrate to Hokkaido began increasing. As a result, from 50,000 to 60,000 people migrated from Tokushima Prefecture during Meiji period. Kousansha was established by ABE Okindo and TAKIMOTO Goro brothers in 1881. Kousansha was the company where farmers from Tokushima, who were skillful in indigo cultivation and processing, settled in the form of a group and manufactured blue indigo. In the latter half of Meiji era, ABE Okindo, who is the foundation person of Kousansha became a typical entrepreneur in Hokkaido. The purpose of this research is to explain the role of which indigo industry has made in the process of the emigration to Hokkaido, which was done in the turning point of the history when modernization and industrialization started. The object of the research is the management history of Kousansha. In the research, "the diary", written for field investigations for the reclaimed land selection which ABE went for in 1881, is analyzed to prove the indication of Mr. YUI Tsunehiko that "many-sided cooperation between the entrepreneurs" relations were seen in the industrialization process of Japan. By this analysis, it became obvious that the ABE's success was caused by forming strong connections between Hachisuka Mochiaki, the former lord and entrepreneurs, from the same prefecture as KONDO Renpei, the manager of Mitsubishi Company. He made use of these relationships well.
著者
若井 明彦 佐藤 真吾 三辻 和弥 森 友宏 風間 基樹 古関 潤一
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.79-90, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
9
被引用文献数
5 7

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震,およびそれに伴う余震によって,東北地方は甚大な被害を受けた。本稿では,宮城県仙台市周辺の丘陵地におけるいくつかの造成宅地の被害状況について,JGS東北支部・関東支部合同第一次調査団が実施した調査結果をまとめる。まず,これまで仙台市内に造成されてきた宅地群の分布や造成年代を俯瞰し,既往の地震での被害有無との相関性や現象把握の留意点を整理する。続いて,今回の地震で深刻な被害を受けた4つの造成宅地の被災事例を順に報告する。一連の事例紹介に先立ち,1978年宮城県沖地震による同様な宅地被害の後に復旧および地すべり対策工のなされた仙台市太白区緑ヶ丘3丁目地区を取り上げ,同対策工特に地すべり抑止杭の存在と今回の被害箇所との関係について検討するとともに,今後の造成宅地の耐震性向上のための技術上の教訓を取りまとめる。
著者
佐藤 智子
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.31-64, 2005-10-31

今から362年前の1643年6月10日、そして再度の7月28日、鎖国時代の日本であったが、1隻のオランダ船ブレスケンス号が、水と食料を求めて山田湾に姿を現した。記録によると、異国船の入港に地元の人々は驚愕を隠せなかったが、乗組員を温かくもてなした。この史実をもとに山田町は、1960年代にブレスケンス号の母港であるオーストブルフ市へ姉妹都市締結の打診をしたが、実現には至らなかった。その後オランダ王室私設顧問からクリステリック・カレッジ・ザイスト校を紹介され、1996年国際理解教育を目的にして同校へ最初の中学生を派遣した。ザイスト市表敬訪問も含むこのプログラムは継続して実施され、両市町の絆が強固になっていった。そして日蘭交流400周年記念の2000年に、山田町はザイスト市と念願の友好都市締結を果たした。提携から今年で5年が経過したことになるが、継続性をみている青少年派遣事業に焦点を当てて交流の内容を検証した。また何故1960年代に山田町が望んだ姉妹都市締結が実現しなかったのか、日蘭関係の歴史を紐解きながら考察した。
著者
田中 真吾 朝比奈 泰子 佐藤 宏樹 三木 晶子 堀 里子 澤田 康文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.6, pp.757-766, 2014-06-01 (Released:2014-06-01)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

It has been reported the use of nonsteroid anti-inflammatory drugs (NSAIDs) in late pregnancy was associated with potentially fetal toxicity (contraction of fetal ductus areteriosus). According to the package inserts in Japan, many oral NSAIDs are contraindicated to women in late pregnancy, but several oral and topical NSAIDs with case reports of fetal toxicity are not. In the present study, a web-based questionnaire survey was conducted in pharmacists/physicians to determine their awareness of fetal toxicity caused by NSAIDs, as well as their attitudes regarding the use of NSAIDs in late pregnancy. Responses were obtained from 427 pharmacists, 22 obstetricians, and 160 non-obstetric physicians. Of the non-obstetric respondents, more than 40% had no knowledge of fetal ductus arteriosus contraction caused by oral ibuprofen, and most of them were not aware of the relevant warning statement on the package insert. In contrast, these were familiar to nearly 100% of the obstetricians. As for ketoprofen tape, only 20-40% of the pharmacists/physicians were aware of the warning statement, and nearly all respondents did not confirm whether the patient was in late pregnancy. The majority of the respondents answered that oral ibuprofen, ketoprofen tape and NSAID-containing OTC drugs should not be used in late pregnancy after they knew the warning statements in late pregnancy. This survey suggests that the fetal toxicity of NSAIDs is not well recognized by pharmacists/physicians. It would be necessary to make it thoroughly known to them through such as enrichment of safety information on the package inserts, accompanying with the evidence.
著者
佐藤 俊樹
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.2_151-2_170, 1988-10-09 (Released:2009-03-06)
参考文献数
22
被引用文献数
1

理解社会学という方法は,社会学の最も古典的な方法の一つで,かつ,現在でも多くの社会学者が意識的または無意識的に用いている方法である。にもかかわらず,この方法はこれまで,理解をめぐる哲学的議論や学説史的な視点からのみ問題にされ,具体的な社会記述の方法として反省的に定式化され理論的に検討されることは,ほとんどなかった。本論考ではまず,理解社会学の方法を,Weber固有のジャーゴンを離れ,行為論の一般的な術語を用いて,公理系として捉える。そして,この公理系の検討を通して,通常全く自然な作業と思われている「理解社会学的に理解している」ということが実際にはどういうことなのか,その射程と限界について明らかにする。
著者
壽 和夫 齋藤 寿広 町田 裕 佐藤 義彦 阿部 和幸 栗原 昭夫 緒方 達志 寺井 理治 西端 豊英 小園 照雄 福田 博之 木原 武士 鈴木 勝征
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
no.1, pp.11-21, 2002 (Released:2011-03-05)

1. ‘あきづき’は1985年に果樹試験場(現 果樹研究所)において‘162-29’に‘幸水’を交雑して育成した実生から選抜したやや晩生の赤ナシ品種である。1993年に一次選抜し,1994年からナシ第6回系統適応性検定試験に‘ナシ筑波47号’として供試した。その結果、1998年8月21日付けで‘あきづき’と命名され、なし農林19号として登録、公表された。また、2001年10月18日付けで種苗法に基づき第9401号として品種登録された。2. 樹勢はやや強く、短果枝、えき花芽ともに着生はやや少ない。開花期は‘幸水’とほぼ同時期で、‘筑水’とは交雑不和合であるが他の主要品種とは和合性である。‘豊水’と‘新高’の間に成熟し、病虫害に対しては通常の防除で対応できる。3. 果実は扁円形で平均果重が500g程度と‘豊水’より大きいが‘新高’よりは小さい。果肉は軟らかく、甘味は‘豊水’程度で酸味が僅かにあり、食味は良好である。芯腐れ、みつ症などの生理障害の発生は少ない。有てい果が多数混在する。

2 0 0 0 OA 鎔造化育論

著者
佐藤信淵 著
出版者
神習舎
巻号頁・発行日
vol.中, 1873
著者
佐藤 圭悟 金子 弘昌
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.187-193, 2019 (Released:2020-01-28)
参考文献数
20

定量的構造活性相関や定量的構造物性相関では,それぞれ化合物の活性・物性 y と化学構造の特徴を数値した分子記述子 x との間の関係を定量的にモデル化する.回帰モデルの予測性能を向上させるため,アンサンブル学習では複数のサブモデルを構築し,サブモデルからの y の予測値を統合して最終的な y の予測値を計算する.各サブモデルの適用範囲 (applicability domain, AD) を考慮することで,AD 内のサブモデルのみ用いてアンサンブル学習における予測性能が向上することは確認されているが,x が異なるサブデータセット間で AD の比較はできず,新しいサンプルごとにサブモデルを選択したり重み付けしたりして y の値を予測することはできなかった.そこで本研究では AD の指標の 1 つである similarity-weighted root-mean-square distance (wRMSD) に着目し,wRMSD に基づいてサブモデルの重み付けを行う wRMSD-based AD considering ensemble learning (WEL) を開発した.wRMSD は y のスケールであるため x の異なるサブモデル間で AD の比較ができ,wRMSD に基づいて各サブモデルからの y の予測値に重み付けすることで,予測値の信頼性の高いサブモデルほど重みを大きくして予測することが可能となる.水溶解度・毒性・薬理活性それぞれが測定された 3 つの化合物データセットを用いた解析をしたところ,WEL を用いることで従来のアンサンブル学習法と比較して AD が広がり予測性能が向上することを確認した.WEL の Python コードは https://github.com/hkaneko1985/wel から利用可能である.
著者
春名 弘一 昆 恵介 稲垣 潤 佐藤 洋一郎
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-23, 2019-01-01 (Released:2020-01-15)
参考文献数
15

動作の改善を目的としたリハビリテーションにおいては,運動の客観的な記録は有用である.しかし,臨床現場で三次元動作解析を実施するには経済的,空間的,時間的障壁が存在し現状では十分な臨床での普及には至っていない.本稿では,これらの障壁を解消する手法として近年注目されているマーカーレスモーションキャプチャによる三次元動作解析について活用事例もふまえて紹介する.マーカーレスモーションキャプチャによる動作解析は,従来から活用されている光学式カメラを利用したモーションキャプチャ手法やモーションセンサ手法に対して,身体に体表マーカーやモーションセンサなどの貼付が不要で,煩雑な計測準備が不要である.また,骨格認識が自動化されているためソフトウェアが扱いやすく,臨床現場での有益性が高い手法であるといえる.一方で,従来法と比較して計測精度は低いのが欠点であるが,センサや骨格認識技術の改良などにより今後はさらに計測精度が向上すると考えられる.
著者
森 尚子 佐藤 祥子
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.177-181, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
7

在宅で,終末期の苦痛緩和のためにミダゾラムによる持続静注を用いた思春期小児がん患児2例(18歳 類上皮肉腫,17歳 横紋筋肉腫)を経験した.2例とも,家族だけでなく本人からもinformed consentを取得した.Palliative Prognostic Indexを用いた推定予後は2例とも3週間未満で,鎮静の適応となった症状は,1例は終末期の身の置き所のなさ・不眠・不安,もう1例は難治性の口渇感と嘔気・嘔吐であった.ミダゾラムの開始量は,各々3 mg/hr,1.25 mg/hrで,呼吸抑制がないことを確認しながら,20~30%ずつベースの流量を増量し,1~2段階増量したところで苦痛緩和を得た.持続鎮静の期間は2週間未満で,鎮静に関連した致死的合併症は認めなかった.在宅でも,医療スタッフ間の密な協力体制があれば,ミダゾラムの持続静注による鎮静は安全に施行可能であると考えられた.