著者
喜田 弘司 朝倉 敬喜 垂水 浩幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.207-208, 1995-03-15

仕事のスケジュールの管理は、変更が多く把握しにくい、複数の人と調整をする必要がある、何を優先的にすべきかわからないといった問題点がある。今、オフィスでは一人一台コンピュータが使え、さらにそれらがネットワークでつながっている環境が普及してきている。われわれは、従来の手帳やカレンダーを超えたスケジュール管理を、計算機ネットワーク環境で構築することで、ビジネスの効率を上げる可能性があると考える。計算機ネットワーク環境における、従来のスケジュール管理ツールの課題を以下にまとめる。(1)スケジュールデータの入力:ユーザは締め切り日や進捗状況といった仕事に関するデータを入力する必要があり、この負担はスケジュール管理ツールの普及を妨げている。すなわちスケジュール管理ツールは、スケジュール入力の負担を上回る利益を、ユーザに与える必要がある。(2)仕事の指示の方法:仕事の指示は口頭で行われることが多く、意図が正しく伝わっていないことが原因で、トラブルが起こりやすい。また、仕事の指示は指示を出す立場の都合で行われる傾向が強いために、仕事担当者は無理な仕事を依頼されることがある。適した人材に適した仕事を割りふるために、仕事担当者の決定や締め切り日の決定のための支援が必要である。(3)スケジュール調整方法:グループワーク管理ツールを用いたスケジュール調整は、会議の設定等を優先とするスケジュール調整を行うため、個人のスケジューリングはトップダヴン的に仕事を決定される傾向が強く、ユーザに好まれない。これらに対し、本研究で検討している基本アイデアを以下に示す。帳票電子メールによる、仕事の指示:仕事依頼者は図1に示した仕事依頼帳票を電子メールで仕事担当者に送ることで仕事を依頼する。こうすることにより口頭より確実に仕事の指示ができ、特に、仕事依頼者が仕事担当者に仕事の工数や優先度を指定することで、どれくらいの精度で行うべき仕事であるのかがわかる。スケジューラは仕事依頼帳票を受け取ると、自動的にスケジュールを登録する。(課題(1)(2)の解決)仕事の忙しさの管理:仕事の分量を管理するすることで、ユーザ毎の"仕事の忙しさ"を把握できる。例えば、『忙しいから、仕事Aは断わろう。』といった判断をシステムが自動的に行える可能性がある。(課題(1)(2)の解決)操作履歴を用いた個人適応:仕事の実行履歴を残し、実行履歴からユーザモデルを作成することで、適応的なシステムを目指す。例えば、上で述べた"仕事の忙しさ"は実行すべき仕事の工数を見積り、その総和と考えることができるが、各仕事の工数は個人の能力に依存しており、単純に仕事依頼帳票の工数欄で指定された工数をそのまま仕事の工数とするわけにはいかない。個人の能力を示したユーザモデルが必要である。(課題(1)(2)の解決)エージェント間通信による協調:個人の都合を主張するスケジューラとエージェントとし、これらの相互作用で、スケジューリングを行う。(課題(1)(3)の解決)
著者
喜田 弘司 朝倉 敬喜 垂水 浩幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.259-260, 1996-03-06
被引用文献数
1

近年、いかにオフィスワークを効率化するかに注目が集まってきている。オフィスワークの効率化には以下の二つの要因があると考えられる。(1)フーガに個々の作業を効率的に実行させる(2)マネージャが資源配分をうまく行う ワープロなどの利用による従来のOAシステムは(1)を目指したものであり、一方、本システムでは(2)を支援することを目的とする。具体的には、仕事をどう選び、どのように組み合わせ、どう配置するかをうまく管理することを目指す。これらを実現するために、各ユーザの個人スケジュールをエージェント以下SchAg)に管理させ、SchAg間で通信を行うことにより他のユーザとスケジュールの調整を行う方式を提案する。
著者
倉本 直樹 大久保 章 藤井 賢一 水島 茂喜 稲場 肇 藤田 一慧
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

近年、普遍的な基礎物理定数によって、キログラムを定義することが検討されている。これまでに我々は、シリコン単結晶の密度などからアボガドロ定数を高精度に測定し、定義改定実現のための研究を進めてきている。アボガドロ定数測定の高精度化には、密度測定に必要なシリコン単結晶球体体積測定の高精度化が支配的な役割を果たす。本研究ではキログラムの基礎物理定数による定義実現のため、次の研究開発を行う。1) 質量1 kgのシリコン単結晶球体の直径を、ほぼ原子間距離に等しい0.3 nmの精度で測定する青色半導体レーザー干渉計を開発し、球体体積を1.0E-8の精度で決定する。2) 28Si同位体濃縮シリコン結晶を用い、アボガドロ定数を世界最高精度(1.4E-8)で決定する。この目標を達成するために、以下の項目を平成29年度に実施した。1)Si球体直径測定用青色半導体レーザー干渉計開発:426 nm付近で光周波数チューニングが可能なシステムを構築した。光周波数の基準には長さの国家計量標準である「光コム」を用い、モードホップのない20 GHzの範囲にわたる光周波数掃引を可能とした。2)28Si単結晶球体を用いたアボガドロ定数測定:28Si単結晶球体の直径測定、質量測定、表面分析を実施し、アボガドロ定数を世界最高精度(1.2E-8)で決定した。新たなキログラムの定義は、原子の質量と密接に関連するプランク定数となる予定である。科学技術データ委員会(CODATA)は、2017年10月に新たなキログラムの基準となるプランク定数の値を決定した。この値の決定に、本研究で決定したアボガドロ定数から導出したプランク定数も採用されている。これは、1889年に国際キログラム原器によって質量の単位が定義されて以来、130年ぶりとなる定義改定に大きく貢献する歴史的な成果である。
著者
佐々倉 航三
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.203-213, 1932

Last year the harvest was poor in every district in Japan, especially in the Northeastern district of the Mainland and in Hokkaid&ocirc;. The total rice yield in the Northeastern district and Hokkaid&ocirc; is estimated as only onehalf that of normal years. There may be several causes of the poor harvest, such as typhoon, droughts, etcRI believe the poor harvest of the last year was due to low temperatures and reduced hours of sunshine. I have drawn 12 climatic maps based on data recorded in the Monthly Bulletin of the Central Meteorological Observatory, Tokyo.<br> From Figs. 7 and 8 we can easily understand that the climatic couditions that prevailed during June and July, 1931, were very unfavorable for the rice crop. The zones of -2.0 C and below it as the mean deviation of air temperature during June and July and those of -10% and below it as the mean deviation of sunshine percentage during June and July, are Aomori and Iwate Prefectures and Hokkaido. These zones correspond to the districts where the rice harvest was very poor.<br> I think that the reasons for low temperatures and lesser sunshine in Japan during June and July last year are as follows: As we can see in Fig. II, the center of the anticyclone in June was situated in the Okhotsk Sea, its barometric reading being above 761mm. Usually in June the anticyclone occupies the offing of the Sanriku district, resulting in the rainy season in Japan : but last year the center of the anticyclone migrated farther northwards and cold air was brought in by north-easterly winds.<br> During July last year the distribution of air pressure resembled that of ordinary years, but the weak high pressure zone still remained in the Okhotsk Sea, and that as many as twenty-five cyclones visited Japan, so that dull weather prevailed during nearly the whole of July. The original cause of the unfavorable climate was undoubtedly the abnormal high pressure that prevailed over the Okhotsk Sea during June last year.
著者
名塚 健史 遠藤 浩士 長瀬 エリカ 佐々木 良江 鮫島 菜穂子 竹中 良孝 北村 直美 浦川 宰 根岸 朋也 山田 智教 藤縄 理 高倉 保幸
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【はじめに】今回、埼玉県理学療法士会スポーツリハビリテーション推進委員会(以下スポリハ委員会)では埼玉県高等学校野球連盟(以下高野連)の依頼により、第88回全国高等学校野球選手権埼玉大会(以下選手権大会)、秋季埼玉県高等学校野球大会(以下秋季大会)でメディカルサポートを実施した。そこで、実際の活動内容と今後の課題について考察し報告する。<BR><BR>【方法】選手権大会は準々決勝、準決勝、決勝の7試合、2球場で各日程4名、秋季大会は準決勝、決勝の3試合、1球場で各日2名の体制でサポートを行った。サポートスタッフはスポリハ委員会の中から甲子園でのサポート、スポーツ現場での活動経験があるメンバーを中心に構成した。サポート内容は試合前後のコンデショニング・テーピングなど、試合中は所定の場所で待機し、デッドボールなど緊急時の対応を行った。実際に行ったサポートの内容はすべて記録し、1日毎終了後高野連側へ提出した。<BR><BR>【結果】実際の活動は、テーピング、外傷に対するチェックと応急処置、試合後のコンディショニングが活動の中心であった。選手権大会はテーピング2件、外傷後のチェック約15件、アイシング2件、熱中症の対応数件、コンディショニング1件であり、秋季大会はテーピング1件、外傷後のチェック約8件、アイシング1件、コンディショニング4件であった。最も多かったのは外傷後のチェックとコンディショニングであり、1試合平均3~4件程度の活動を行った。部位の内訳は、テーピングは肘関節2件、手関節1件、コンディショニングを利用したのは2チーム5名で下肢1件、肩関節2件、腰部2件であった。<BR><BR>【考察】全体的に活動の件数が少ない傾向にあった。外傷のチェックは圧痛や運動痛など疼痛の問診を中心に行ったが、選手は試合を続けたいがために症状を正確に伝えていない可能性が考えられた。また、今回の活動は埼玉県の高野連では初めての試みであり、事前の説明が不足していたことも加わって選手や監督にサポートの内容が浸透していなかった可能性が考えられる。このため、潜在的には今回関わった以上の傷害が生じていた事が予測された。このことより、事前の組み合わせ抽選会などで理学療法士が直接サポートの説明やストレッチのデモンストレーション、障害予防の講演などを行い、サポート活動や障害予防に対する認識を向上させる必要があると感じた。今後も春季大会、夏の選手権大会、秋季大会とサポートを行うことが決まっており、サポート内容、質の向上、事前の啓蒙活動などが今後の検討課題となった。<BR>

1 0 0 0 長谷川利行

著者
小倉忠夫編著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1973
著者
加藤 寛久 小倉 紀雄
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.13, no.7, pp.449-455,430, 1990-07-10 (Released:2010-01-22)
参考文献数
8
被引用文献数
3 2

東京北多摩地区の地下水(湧水,深井戸)中の揮発性有機塩素系化合物濃度について2年間測定した。そのうち湧水1地点については1週間に1回の短間隔で採水,分析を行った。その結果,テトラクロロエチレン濃度が減少する傾向を示したが,トリクロロエチレン,1,1,1-トリクロロエタンはほとんど変化をせず,また,トリクロロエチレンを除いて季節変化を示さなかった。次に,近接する湧水について調べたところ,他の化学成分についてはほぼ同じ値を示しているのにもかかわらず,揮発性有機塩素系化合物濃度はそれぞれの湧水で異なった値を示した。一方,2カ所の深層地下水(深井戸)については1カ月に1回の間隔で採水,分析を行ったが,トリクロロエチレンが2カ所の井戸水とも最も高く,飲料水水質基準を超過したものもあった。しかし,季節変化は認められず,検出されない化合物もあった。また,豪雨後の湧水中の揮発性有機塩素系化合物濃度の変化について調べたところ,降雨に伴う湧出水量の増加にかかわらず,ほぼ一定の濃度を示した。
著者
園山 繁樹 柘植 雅義 洪 イレ 酒井 貴庸 倉光 晃子
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、知的障害特別支援学校に在籍する児童生徒の不登校について、主に次の2つのことを目的としている。第1に.知的障害特別支援学校における不登校児童生徒の実態を調査研究から明らかにする。第2に、知的障害特別支援学校において不登校になっている児童生徒の事例検討から、再登校や社会適応に向けた支援の在り方を明らかにするとともに、校内・校外における支援体制作りを提案する。平成29年度は主として以下の研究活動を行った。1.平成28年度に実施した知的障害特別支援学校を対象とした質問紙調査(不登校児童生徒の在籍状況や支援体制を明らかにするために、知的障害特別支援学校すべて(計865校)に質問紙を送付し、回収した)のデータを分析し、平成29年9月開催の日本特殊教育学会第55回大会でポスター発表した。現在、その詳細をまとめた論文を学術雑誌に投稿中である。2.知的障害特別支援学校において不登校になっている児童生徒の事例検討については、上記1の調査協力校10校を対象に実地面接調査を行い、不登校の児童生徒の状況の詳細、支援体制、具体的支援についてまとめた。その結果の概要については、平成30年9月開催の日本特殊教育学会第56回大会でポスター発表する予定である。3.知的障害児童生徒の不登校に関する先行研究のレビューを行い、その結果まとめた論文を学術雑誌に投稿中である。不登校の知的障害児童生徒を対象にした先行研究の数は非常に少ないことが明らかになった。
著者
小倉 肇
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.71, pp.21-40, 1977-03-31 (Released:2010-11-26)
参考文献数
20

In this paper, based upon the internal and external evidences, the author assumes that the Nara Period ko-otsu(甲乙) distinction in /i/ and /e/(イ列・エ列)column syllables was not the one of vowels with which it is usually credited, but the one of initial consonants: palatal versus nonpalatal. Verifying that in the Suiko Period the otsu ki (キ乙)and gi (ギ乙) syllables had a labial glide, the author attempts to interpret the otsu velar syllables as having uvular phonemes / q-, G-/. On the basis of this reconstruction, the author gives the following phonemic changes from the Suiko Period to the Nara Period.
著者
倉持 秀敏
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.282-290, 2013-10-15 (Released:2016-07-30)
参考文献数
54

放射性物質汚染廃棄物の焼却処理(溶融等の熱処理を含む)に関して3 つの課題(放射性セシウムの挙動解明,排ガス処理,焼却炉内耐火物への蓄積)を提示し,原子力発電の爆発事故以降の学会発表を中心に,各課題に関する調査・研究を収集し,これまでの知見を紹介する.特に,挙動解明については,施設調査,実験研究,計算モデルの3 つの手法に分けて研究動向を整理しつつ,処理対象物による挙動の違いや挙動の制御性の観点から知見を考察する.一方,各課題に対して過去の文献から示唆に富む研究成果を紹介するとともに,これまでの知見と比較しながら,今後解明すべき課題や将来展開についても言及する.
著者
遠藤 浩士 朝倉 敬道 長瀬 エリカ 浦川 宰 佐々木 良江 藤縄 理 竹中 良孝 名塚 健史 水田 宗達 根岸 朋也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P1422, 2009

<BR>【目的】平成20年度全国高等学校総合体育大会ボート競技大会において、埼玉県理学療法士会スポーツリハビリテーション推進委員会の中でコンディショニングサポート活動(以下、サポート活動)を行った.本大会でのPTによるサポート活動は全国でも初めての試みであり、競技・障害特性、活動成果について若干の知見を得たので報告する.<BR><BR>【対象・方法】試合出場選手695名、他関係者に対し、競技前・競技後のサポート活動を行った.公式練習を含む計7日間において、PT24名(1日平均6~7名)体制で、活動内容や利用者アンケートの集計結果を基に、競技の障害特性、介入の有効性について検討を行った.介入効果判定として、症状変化(ペインリリース法)、満足度調査(10段階法)、PTの主観的効果を指標とした.評価用紙及びアンケートの使用については、利用者から承諾を得た.<BR><BR>【結果】総利用者件数は311件で、1日平均44件、再利用率としては33%であった.男女率は、男性62%、女性38%、種目別ではシングル15%、ダブル37%、クフォド48%であり、特にクフォドのポジション別では、2番26%、3番30%の利用率が多かった.主訴は、疼痛37%、疲労感27%、張り感19%、だるさ11%であった.障害発生部位としては、男女共に腰部35%と多く、大腿部20%、下腿部14%、肩11%、膝8%であった.男女比による障害発生部位では、肩に関しては、男性よりも女性に高い傾向があった.発症期間は、大会期間中31%、7日以内5.3%、1ヶ月以内6.7%、1ヶ月以上前31%、未回答23%であった.発症機転としては、練習中29%、練習後27%、練習以外5%、不明8%、未回答31%であった.実施した具体的な内容としては、マッサージ30%、ストレッチ29%、リハ指導16%、促通8.7%であった.介入効果として、症状変化は、4以下が全体の57%、満足度調査結果は8点以上10点までが全体の86%、PTの主観的効果は、有効が61%であった.<BR><BR>【考察】障害の特徴としては、男女共に腰部・下肢への障害が多く、競技特性としてローイング運動そのもののパワーが要求される2番・3番のポジションにおける利用者が多かった.長時間における姿勢や不安定状況下での体幹の固定性が影響しているかと考えられる.特に肩の障害発生率では、女性の方が男性よりも高い傾向にあり、女性は男性に比べ、上肢への運動負荷・負担が強いられることや関節の弛緩性の問題なども影響している可能性がある.1ヶ月以上前のものや発症期間が不明確な事例など、慢性的症状を抱えている利用者が多かった.また、大会期間中における発症が予想以上に多く、大会直前の練習の追い込みや日頃抱えている慢性的症状が悪化したと推測できる.今回の利用者の症状変化・満足度調査結果やPTの主観的効果が高かったことから、PTが日常的に選手のコンディショニングに関わる事の重要性が示唆された.