著者
倉林 工
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.116, no.9, pp.418-422, 2002-09-10

The premenstrual syndrome (PMS) is a collection of affective, behavioral, and somatic disorders that usually occurs in the last 7 to 10 days of the cycle. The most frequently encountered symptoms include abdominal bloating, anxiety or tension, breast tenderness, depression, fatigue, lack of energy, unprovoked anger or irritability, difficulty concentrating, thirst and appetite changes, and variable degrees of edema of the extremities. The etiology of PMS is still not well understood. Selective serotonin reuptake inhibitor (SSRI) is effective for the psychological symptoms of PMS. Perimenopausal estrogen loss causes the various climacteric disorders including vasomotor symptoms, atrophic changes, psychophysiologic effects. Climacteric disorders was caused by not only hypoestrogenemia but also social and psychologrcal factors. Hormone replacement therapy is one of the effective treatments for vasomotor symptoms of climacteric disorders.
著者
山口 浩二 笹部 哲也 倉恒 弘彦 西沢 良記 渡辺 恭良
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.533-542, 2008-06-15

はじめに 「疲労」は誰もが日常生活の中で感じることのある一般的な感覚で,また大多数の疾患において程度の差こそあれ経験する症状の1つであり,心身の疲弊を自らに知らせ,休息を求める生体のアラームである。ありふれた感覚ではあるが,今まで,医学の対象として重要視されていなかった。その理由として考えられることは,疲労が多数の因子が関与した複雑な現象であること,個人により,また同一個体でも状況により感じ方が異なることにより,客観的評価が困難で,科学の対象として扱い難いということに帰している。また,疲労を表現する言葉が,関西では「しんどい」というが,関東では「だるい」,九州では「きつか」,東北では「こわい」というように,狭い日本の国内においても種々の表現があり,その意味する内容も微妙に異なっていることも客観的評価を困難にしていると思われる。このように疲労は主観的な感覚であるため,これまでの評価は各種問診表やvisual analogue scale(VAS)を用いた自己申告式のものが中心となっており,評価として十分に耐え得るものとは言い難かった。一方,なんらかの課題を行った際の反応時間の遅延や,誤反応の増加,多重注意の困難といった疲労時におけるパフォーマンスの低下をもって疲労を評価する手法もあるが,疲労感とこれらパフォーマンスの低下が乖離することが多々あることも我々は日常生活でよく経験し,こういった事情が疲労の客観的評価を困難にしている。 ところで,慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome;CFS)は,ウイルス感染やストレス曝露を機に発症する疾患であるが,高度の全身倦怠感をはじめ,微熱や全身の疼痛,脱力感などの身体症状や,思考力・集中力低下,抑うつなどの精神症状,睡眠障害などの症状が長期間持続し,健全な社会生活が困難となる症候群で,今もって原因は不明とされている。診断は日本疲労学会による診断指針や米国CDCの診断基準に基づくが,いずれにおいても,高度の疲労により日常生活に支障を来していることが診断の必要条件となっている。しかし,高度の疲労か否か,疲労を訴える患者の疲労を客観的に評価することは難しい。 そこで,本稿では,今まで定量化手法を持ち合わせていなかった疲労という現象に対し,加速度脈波を用い,自律神経機能や複雑系の観点から,疲労を定量化する試みについて,CFSを例に紹介することとし,最後にいくつかの慢性疾患の疲労についても検討した結果を例示する。
著者
谷本 隆一 朝倉 孝征 今井 守之 鶴見 康昭 安田 仁彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.69, no.686, pp.2550-2555, 2003

In recent years one-box-cars are very popular in the market. So their interior noise level is required to be the same as that of passenger cars. To find an effective way to reduce the noise level, we studied why the noise level is high in a one-box-car as compared with a passenger car. We found that, because the diesel engine is placed under the front passenger seat, only narrow space is allowed between the engine and the engine cover, and this narrow space amplifies the noise. We confirmed by numerical simulation that this conclusion is appropriate. Based on the conclusion, we proposed to set up a silencer to lower the noise level, and found that it works effectively.
著者
太田 順康 鎌倉 洋志
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.55-75, 2008-09

日本の伝統的身体運動文化である剣道は,世界に広がり2006年12月に台北で第12回世界剣道選手権大会(以下,WKC)が44ヵ国・地域(以下,地域を略す)参加のもと盛大に開催された。剣道の近代化と剣道の大衆化に試合・大会の果した役割は大きく,剣道普及を考える上で,試合・大会の在り方は重要なものである。そこで世界剣道選手権大会と第22回を迎えるヨーロッパ剣道大会(以下EKC)の二つの大会を比較し,これからの剣道の国際普及を考える手がかりを得ること目的とした。剣道の試合には,チャンピオンシップとしての競技的側面,フレンドシップとしての親善・親睦的側面などがある。この両立は困難なもので,国々に参加する意識に違いがあれば,それぞれを目指した性格の異なる世界大会の開催する必要もあるということも視野に入れていくこともありえよう。今後,この両大会の推移を見つめながら,剣道の国際的普及・国際化を論じていく必要があると考える。Kendo is Japanese traditional body movement culture. Kendo spread in the world, and 12th WKC (World kendo championship) was opened in Taipei in 2006. The role which the game played in modernization of kendo and popularization of kendo is important. A game is indispensable to kendo spread. Then, this paper compared two games, the WKC (World kendo championship) and the EKC (Europe kendo championship), and purpose of this paper is considering the international spread of kendo. There are the championship-side, and goodwill and the friendship-side in the game of kendo. Coexistence of championship and a friendship is difficult. Then, opening of two world games from which character differs is also needed. It is necessary to discuss international spread and internationalization of kendo, gazing at transition of both this game.
著者
小倉 仁志
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジー (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.86-88, 2012-03

ナゼナゼ社の工場にて。太郎さんと同僚の杉さんが休憩室でコーヒーを飲んでいるところに、課長が飛び込んできた。「2人とも、ちょっと事務所に来てくれないか」。突然の呼び出しに不安を抱えたまま、2人は課長についていく。歩きながら課長が2人に話しかける。 「昨日ロジック社に納入した製品(設備)で、オプション品の天板が外れているという連絡が入ったんだ」「えっ、天板。
著者
鎌倉 夏来
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

Ⅰ はじめに<BR> 経済地理学においては,製造業大企業を分析対象とする「企業の地理学」が見直され(近藤2007),企業の動態を捉えるにあたっては,組織の慣性などを分析に取り入れる進化経済地理学が注目されている(外枦保 2012).日本の製造業では1980年代後半以降,生産機能の海外移転が急速に進展する一方で,研究開発機能は,国内に集中してきたといわれてきた.しかしながら2000年以降は,海外の進出先に現地対応の開発拠点を新設する企業が増え,研究開発機能におけるグローバルな空間分業が徐々に進展しつつあるといえる.また研究開発活動においては,知識のフローが重視されるため,組織部門間の知識フローに影響を与える,部門間の地理的な配置も重要とされる(太田2008).<BR> そこで本研究では,専ら国内の生産体制における製品間・工程間分業に焦点を当ててきた従来の空間的分業論に対して,新たな分析視点として「新空間分業」の考え方を導入した.具体的な観点は,①国内外の拠点を一体的に取り上げ,②組織や立地の慣性,経路依存などを重視し,③知識フローに注目することである.<BR><BR> Ⅱ 対象企業の概要と分析方法<BR> 本研究では,海外顧客への対応やM&Aによってグローバル化を進める日本の化学企業9社を対象とし,(a)財閥系,(b)繊維出身,(c)スペシャリティの3グループに分類して分析を行った(表1).具体的には,主に社史,新聞記事,IR資料を用いて研究開発機能の立地履歴を明らかにし,聞き取り調査と拠点ごとの特許の出願状況から,現在の研究開発活動における中核拠点を摘出し,拠点間の関係について考察した.<BR><BR>Ⅲ 分析結果<BR>まず「新空間分業」の①国内外の分業関係に関して,現地生産子会社の機能変化やM&Aなど,地域間において進出形態が異なっており,国内拠点との知識フローの方向性に相違が見られた.<BR> 次に②の慣性や経路依存に着目すると,特に立地形態において経路依存的な変遷をたどる企業と,組織や周辺環境の変化によって経路を転換する企業があった.前者のタイプの企業の多くは創業地を研究開発機能の中核拠点としている傾向があり,後者の企業は合併や都市化によって分業形態を大きく変化させていた.<BR> 最後に③の知識フローに関して,特許の出願状況を分析すると,企業外の組織との関係について企業間で差がみられたほか,企業内の拠点間において,一拠点内部で大半が完結している企業と,複数の拠点間での共願関係が多くみられる企業があった.<BR><BR> Ⅳ 議論<BR> 以上にみた企業間の差異をいかに解釈するかが問題となるが,事業戦略や企業文化の違い,合併や子会社化などの組織変更の有無などの点から検討を試みることにしたい.<BR><BR>参考文献<BR>太田理恵子2008.研究開発組織の地理的統合とコミュニケーション・パターンに関する既存研究の検討.一橋研究32(4): 1-18.<BR>近藤章夫2007.『立地戦略と空間的分業―エレクトロニクス企業の地理学』古今書院.<BR>外枦保大介2012.進化経済地理学の発展経路と可能性.地理学評論85(1): 40-57.
著者
熊倉 永子 岩永 亮輔 須永 修通
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.649-654, 2018-03-30 (Released:2018-07-17)
参考文献数
40

Attractive buildings with green roofs and walls in urban areas are currently expected to increase in number worldwide. Although many wards in Tokyo participate in an incentive program to propagate green roofs and walls, information regarding subsidized greenery buildings, including greenery areas, types, and money spent on each building, remain unclear in many wards. In response, we conducted a questionnaire survey in each ward on the achievements and publicity activities of the incentive program in the special wards of Tokyo. The results were as follows: 1) The number of subsidized greenery buildings have declined over the past 5 years in the 17 wards, with decrease in the budget amount in 10 of those wards. 2) A comparison among the incentive programs of the city center, the sub-center, and other areas revealed that the program of the city center has promoted huge areas of greenery. 3) The ratio of budget execution of wards that have more detail condition setting for the budget amount, such as building types and soil thickness, were higher than that of the other wards. Therefore, we propose an improvement in the incentive programs in terms of increasing applications and expanding greenery areas within each ward.
著者
伊賀倉俊貞 著
出版者
清弘堂
巻号頁・発行日
vol.巻之1, 1885
著者
伊加倉俊貞著
出版者
清弘堂
巻号頁・発行日
1885
著者
小山 岩雄 山上 治夫 桑江 豊保 倉田 宗司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.796-799, 1982

The contents of 6-keto-prostaglandin F<SUB>1&alpha;</SUB> (6KF<SUB>1&alpha;</SUB>) and thromboxane B<SUB>2</SUB> (TXB<SUB>2</SUB>) in mouse peritoneal macrophages were determined by radioimmunoassay. When indomethacin at a final concentration of 0.1 mM was added at each stage in the preparation of macrophage samples, i.e. (I) before incubation of peritoneal exudate cells in glass dishes to prepare macrophage monolayers, (II) before harvest of macrophages from the glass surfaces, (III) before sonication of macrophage suspensions, and (IV) before centrifugation of sonicated macrophage solutions, large differences were detected in the contents of 6KF<SUB>1&alpha;</SUB> and TXB<SUB>2</SUB> at each stage. These results suggested that physical stimulation during the preparation of samples resulted in increases of 6KF<SUB>1&alpha;</SUB> and TXB<SUB>2</SUB> production by macrophages.
著者
須藤 勝弘 小倉 広実 三上 秀秋 深瀬 政秋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.96, pp.49-52, 2004-09-24
参考文献数
6

汎用の負荷分散装置を用い,研究用および教育用メールサーバの多重化を行った。メールサーバの多重化は,負荷分散およびフェイルオーバーにより実現している。メールサーバが提供を行うサービスのうち,SMTP,POP3およびPOP3 over SSLについては,負荷分散をおこなっており,目的を達成したが,IMAP4およびIMAP4 over SSLでは,負荷分散により,受信メールの処理に不具合が発生することが想定されたため,負荷分散はおこなっていない。全てのサービスで負荷分散が行われているわけではないが,メールサーバのサービスを停止することなく,サーバ機を停止して保守作業を行うことが可能となり,メールサーバの可用性が高まった。さらに,負荷分散をおこなっているサービスについては,今後,負荷が上昇した場合,新たにサーバを追加することが容易である。Contemporary mail services are frequently interrupted in order to meet with various attacks like computer virus, denial of service, etc. Since those services are public activities, it is crucial to provide a full time mail service even if a mail server system stops in case of its maintenance. With respect to robustness, we have constructed a mail server system by integrating four mail servers, which are controlled by general-purpose server load-balancers. Although IMAP4 and IMAP4 over SSL protocols have redundancy by hot standby system, SMTP, POP3 and POP3 over SSL protocols are completely load-balanced. Thus this integrated system is actually non-stop. If the load of mail servers will continuously rise to be full up to capacity, we can append a new mail server and can connect to the load-balancer at ease.
著者
中井 専人 熊倉 俊郎
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.31-43, 2007-01-15
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

2005/2006冬季は広範囲にわたり多量の降積雪が観測され,「平成18年豪雪」と命名された.12月から1月前半にかけて寒気が断続的に南下し,これに伴って強い降雪が続いた.この冬季のうち2005年12月から2006年2月までについて,10分間隔の気象庁全国合成レーダーデータを使用し,北海道,東北,北信越および中国地方の降雪分布を解析した.解析期間中は4地方とも降水系が入れ替わりながら継続的に出現し,特に線状降雪雲は期間を通して多く見られた.寒気南下の著しかった期間には渦状降雪雲が多く,その後これと入れ替わるように前線等による降雪が増加した.解析期間全体について積算した降雪は特定の地域に集中する分布を示した.北信越地方において降雪分布に最も寄与したのは線状降雪雲で,山沿いから内陸地域に集中する分布を示した.渦状降雪雲と前線などによる降雪は,平地周辺の降雪に多く寄与した.津南から奥只見にかけての降雪の集中については上越近辺の山地の影響が相関解析から示唆された.
著者
髙倉 直
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.1173-1176, 2013-12

最近,垂直農場という言葉が使われ始めた。アメリカの微生物学が専門の教授が著したVertical Farmの訳であり,訳本まで出ている。大都市の高層ビルの各層の窓からあふれんばかりの植物が生育しているバーチャルな構想図が示されており,インターネットでも大々的に宣伝されているし(Despommier 2013),似たような構想図がいろいろとあふれてくるようになった(e. g.,Gordon-graffs 2013,Skygreen 2013)。植物栽培と環境調節を専門とする研究者ならこれはおかしいと直感するのではないだろうか。立体栽培の構想ないしは実験は古くから存在する。バビロンの塔もその一つである。立体栽培は大きく分けて,3つになる。高層建物の室内に観賞用として植物を栽培する。展示会や博覧会場で,人集めのシンボルとして作られる。立体農場として作物を栽培するものであるが,問題は作物栽培であり,インターネット上ではこれらが混同されているので,注意が必要であろう。明確な過去の事例をいくつか紹介しながら,このような構想が安易に実現されないことを祈りたい。窓の限られた高層ビルより,はるかに太陽光が中に多く入る,数十メートルのタワー状の温室すなわちタワー温室がヨーロッパと我が国にかつて存在し,その末路がどうであったかを知る人が少なくなっている。タワー温室は人工光でも実験された。人工光植物工場だけでなく,太陽光利用型温室でも,植物を立体栽培した例はアメリカ,英国,我が国にもあったし,我が国では現存するものもある。その問題点を改めて紹介しよう。
著者
加藤 晴治 小倉 京子
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.755-757, 1960

We have made some experiments on whiteness, smoothness as well as opacity.<BR>Whiteness is remarkably less in Japanese paper than in foreign-style paper.<BR>Japanese paper, when utilized to coloured paper, demands particular deliberation upon its whiteness.<BR>Smoothness is important in case of printing : but the weak-point is that smoothness differs between one surface and the reverse.<BR>Opacity relates to closeness ; the denser the closeness is, the bigger the opacity becomes.<BR>Japanese paper, on the whole has a small opacity.
著者
倉 真一 Shinichi KURA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.67-87, 2003-03-20

本稿は1990年代の日本における入国(移民)管理政策を,「非行性」の産出という観点から概観したものである。最初に1990年代の入国管理政策を画した1989年と99年の二度の入管法改正をめぐって,前者においては非正規外国人の存在が争点であったこと。しかし非正規外国人という存在が入国管理政策によって作り出されているために,非正規外国人の排除という政策意図は失敗したことを確認した。後者においては非正規外国人による外国人犯罪が焦点となり,入国管理政策を正当化する論拠としての「治安対策」が浮上してきたことを確認した。ついで上記の正当化とそれを支える外国人犯罪の否定的イメージそのものが,実は非正規外国人に対する排除の「意図せざる結果」として形成されたことが明らかになった。「違法性」を纏った「法律違反者」である非正規外国人を,その違法性を理由に排除していく末に産み出されていくのが,「非行性」とその所持者としての「非行者」-すなわち「外国人犯罪者」のイメージなのである。要するにフーコーが「監獄の失敗」にみたように,入国管理制度は自分の存在する根拠(=非行性)を,自らの効果として産出するという自己準拠的な構造を有すといえるだろう。 1989年改正入管法の失敗にもかかわらず,あるいは失敗ゆえに99年改正入管法と現在の入国管理制度は存続の根拠(正当性)を「治安対策」として,自らの産み出した「非正規外国人」と「外国人犯罪者」のうえに求めることができるのである。
著者
大富 あき子 北倉 芳久 染谷 清一 橋本 彦尭
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.953-959, 1992-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

かえしのねかしに有用な微生物が関与しない場合の,“ねかし”操作が品質に与える影響を調べ,以下の結果を得た.かえしをねかした場合,かえしが大気に接触する開放系には,品質の改善及び嗜好性の改善が認められ,密封したかえしには品質の改善が認められなかった.微生物の菌数は,どちらのかえしにも同じように酵母の若干の増殖が見られ,その他の菌には経時変化は見られなかった.窒素雰囲気下でもかえしの熟成効果は認められたので,空気による酸化褐変はかえしの熟成による品質改善に影響してはいなかった.開放系でのねかしに伴いアルコール分の蒸発,特に比較的高蒸気圧な成分が減少していることが認められた.しかし高蒸気圧の1成分であるエタノールの減少は官能評価に影響は与えていなかった.以上より,かえしのねかしに有用な微生物の関与しない場合の熟成と思われる品質の改善は,エタノールや水と同時に蒸発するような高蒸気圧成分の揮発による現象ではないかと推定できた.
著者
朝倉 政典 大坪 紀之
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題においては、代数多様体の周期積分とレギュレーターの研究を数論的観点から行った。一連の研究において、超幾何関数は主要な役割を果たしている。研究成果は、大きくわけて3種類に分類される。ひとつは、代数多様体の周期積分に関するグロス・ドリーニュ予想の研究であり、パリ大学のフレサン氏との共同研究である。ふたつ目は、超幾何ファイブレーションのレギュレーターに関するものであり、これは千葉大学の大坪紀之氏との共同研究である。最後に、p進レギュレーターに関する研究成果をあげた。これは広島大学の宮谷和尭氏との共同研究である。いずれの研究成果も論文にしており、将来的に出版する予定である。