著者
川口 陽亮 尾田 敦 石川 大瑛 横山 寛子 前田 健太郎 伊藤 亮太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.59-65, 2019 (Released:2019-10-07)
参考文献数
22

【目的】 疲労課題後の大腿直筋の筋力低下に対するキネシオテープ(以下,KT)の貼付による影響はテー プ幅の違いによりどのように変化するかを検討することである。【方法】 対象を健常大学生30名とし,対象肢は利き脚とした。コントロール,50mmKT貼付条件(以下, KT50),75mmKT貼付条件(以下,KT75)の3 条件をランダムとし,同一被検者に対する各条件での評価測定は間隔を空けて別日に行った。大腿直筋直上の皮膚にKTを貼付した後,BIODEX®system 4 を用い,膝伸展等尺性運動のピークトルク(PT)測定を行った。その後,ERGOMETER を用いた疲労課題を行い,再度PTの測定を行った。疲労課題の際には平均パワー,ピークパワー,ピーク回転数,ピーク到達時間を測定した。統計解析は,疲労課題の前後それぞれのPT体重比(PTW)とその変化量,疲労課題中の各データを 3 条件間で比較した。3 条件内では疲労前後のPTWを比較した。【結果】 全条件にて疲労後のPTWが疲労前よりも有意に低下していた(p<0.05)。条件間での疲労前後のPTW,変化量,疲労課題中の測定データに有意差はみられなかった。【結論】 本研究の結果から KT の貼付はテープ幅の違いに関わらず疲労による筋力低下,即時的な筋力増 強には影響しないことが示唆された。
著者
田口 敦子 備前 真結 松永 篤志 森下 絵梨 岩間 純子 小川 尚子 伊藤 海 村山 洋史
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.582-592, 2019-09-15 (Released:2019-10-04)
参考文献数
16

目的 地域で介護予防活動を行う住民を養成する,介護予防サポーター養成プログラムの多くは,市町村の経験値で組み立てられている現状がある。そのため,必ずしも効果的・効率的に養成を行えている市町村ばかりではない。本稿では,まず,文献検討を行い,養成プログラムのプログラム内容や評価指標等を定める視点を明らかにした。その上で文献検討を基に養成プログラムを作成し,効果を検討した。方法 養成プログラムの文献検討を行い,その結果を基に養成プログラムを作成した。岩手県大槌町を対象地域とし,2017年6~9月に地域包括支援センターの保健師3人と研究者4人とで,養成プログラムを作成した。その後,2017年10~11月に養成プログラムを実施した。評価では自記式質問紙を用い,毎回の終了後に満足度等を尋ねたプロセス評価と,全プログラム前後に,地域課題の理解度等を尋ねたアウトカム評価を行った。活動内容 文献検討から,養成プログラムは,企画者によって予め介護予防サポーターに求める活動が定まっているタイプ(タイプA)と,活動内容を参加者と一緒に具体的に考えていくタイプ(タイプB)の二つに分けられた。プログラム内容の特徴として,タイプAでは,プログラム終了後に介護予防活動に移るための具体的な知識や技術の習得を目的とした内容が多かった。タイプBでは,地域課題の認識を高める講義や演習,先駆的な活動の見学等,プログラム終了後の介護予防活動の内容を住民が考えて具体化できるような内容が多かった。 文献検討を踏まえ,大槌町では,地区の状況に応じた介護予防サポーターの活動方法を参加者が検討し取り組むことが重要であると考え,タイプBを参考に養成プログラムを検討した。アウトカム評価では,解析対象は12人であった。男性2人,女性10人,年齢は71.4±10.0歳[範囲:53-88]であった。プログラム前後のアウトカム指標の平均値の変化は,地域課題の理解度では3.1→4.1(P=0.046),自分自身の介護予防に取り組む自信では3.4→4.0(P=0.035)と有意に上昇していたが,地域の介護予防に取り組む自信では3.1→3.5(P=0.227)であり有意差は認められなかった。結論 文献検討で養成プログラムの目的や内容,評価指標等の視点を明確にし,その結果を基に実施したプログラムで一定の効果を得ることができた。
著者
村田 菜穂子 前川 武 Nahoko Murata Takeshi Maekawa
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.119-133, 2019-03-31
著者
北村 郁海 浦辺 幸夫 前田 慶明 藤井 絵里 森田 美穂
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】アキレス腱障がいはランニング障がいの8-15%におよぶ。発生リスクには,走行中の立脚期での足関節最大背屈角速度(pDV)の増加,腓腹筋の筋活動の増加などがあり,前足部接地で起こりやすいとされている。一方,意識的に後足部接地をする走行では足関節底屈筋群の負担が少ないという報告がある。しかし,足関節背屈を意識した接地による下肢関節運動と筋活動の変化は不明である。本研究では,足関節背屈の意識により,踵接地前の前脛骨筋(TA)および踵接地後の大腿直筋(RF)の筋活動は増加し,立脚期での腓腹筋の筋活動は低下するという仮説のもと測定を行った。【方法】対象は下肢に神経学的および整形外科的疾患がない健康な大学陸上長距離選手6名(男性2名,女性4名,年齢21.3±1.0歳,身長160.3±7.7cm,体重51.8±5.3kg,競技歴6.2±3.3年)とした。マーカーを対象の右大腿,膝,足部の外側6か所に貼付した。筋活動の測定には無線筋電計(追坂電子機器社)を用い,電極を腓腹筋外側頭(LG)と内側頭(MG),TA,RFの筋腹に貼付した。課題動作は,トレッドミル上での通常走行(NR)と,踵接地時に足関節背屈を意識した走行(DR)とし,いずれも2.5m/sの速度で1分間行った。動作はデジタルカメラ(EX-FC500S,CASIO社)を使用して撮影した。McClayら(1998)の方法に準じ,接地時を0%,爪先離地を100%とし,接地前の50ms間を踵接地前,0-60%を立脚前期,60-100%を立脚後期として解析した。得られた筋電図波形は動画と同期させ,%MVCの平均値を各相に分けて算出した。統計学的解析にはExcelアドインソフトStatcel3(オーエムエス出版社)を使用し,対応のあるt検定を用いて接地時の床面と足底のなす角度(FSA),膝関節屈曲角度(接地時,膝関節最大屈曲時とその変化量),pDV,筋活動の5走行周期の平均値をそれぞれ2条件間で比較した。危険率は5%未満とした。【結果】FSA(°)はNRで10.0±7.4, DRで16.1±6.0であり,DRで6.1°の有意な増加を確認した(p<0.05)。膝関節屈曲角度ではそれぞれ有意差を認めなかった。pDV(°/sec)はNRで473.0±26.9,DRで412.0±49.9であり,DRで12.9%有意に減少した(p<0.05)。筋活動(%MVC)は,踵接地前のTAではNRで40.6±9.4,DRで74.8±40.3であり,DRで84.2%有意に増加したが(p<0.05),他は有意差を認めなかった。【結論】本研究では,NRと比較し,DRでは踵接地前でのTAの筋活動が増加し,pDVが減少することが確認できた。TAは踵接地後の足関節底屈時に遠心性収縮をすることにより衝撃を緩衝する機能を持つと考えられる。立脚前期での足関節背屈時には足関節底屈筋の遠心性収縮により衝撃吸収を行う必要があるが,DRではTAによる踵接地時の衝撃が緩衝される影響を受け,pDVが減少すると考えた。これが足関節底屈筋の負担を軽減させ,結果としてアキレス腱障がいを防止することに役立つと推察した。
著者
道前 翔矢 金井 輝人 石井 順久 板谷 治郎 辛 埴 岡崎 浩三 小川 優 岡田 大 鈴木 剛 渡邉 真莉 染谷 隆史 山本 貴士 笹川 崇男 藤澤 正美
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.72, pp.1583, 2017

<p>従来のARPESでは平衡状態の電子構造について盛んに研究されてきた。近年はさらに発展した実験手法として、非平衡状態に励起された電子系が平衡状態へと緩和していく様子をフェムト秒の時間分解能で観測できる時間分解ARPESが試みられている。本研究発表では高次高調波を用いた時間分解光電子分光を用いてアンチノード方向を含めたBi2212の時間分解光電子分光の結果より擬ギャップの起源について議論する。</p>
著者
三木 佳子 法橋 尚宏 前川 厚子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.2_70-2_79, 2013-06-20 (Released:2013-07-04)
参考文献数
52

目的:わが国の保健医療領域者がセクシュアリティのアセスメントに活用できるセクシュアリティの操作的定義を開発することである.方法:Walker & Avantの概念分析の手法を参考に,教科書・辞書に掲載されている定義,原著論文の操作的定義を検討した後,医中誌Webを用いて1995年から2010年までの期間で検索した32件の原著論文を分析した.結果:わが国の保健医療領域におけるセクシュアリティは,個人の性的特性と性的対象者との相互作用であり,個人の性的特性には,性の関心度,性の重要度,男性性・女性性の評価が含まれ,性的対象者との相互作用には,共に過ごすこと,言語的コミュニケーション,スキンシップ,相互の思いやり,性行為のありさまが含まれるとすることができる.結論:開発した操作的定義は実存性があり,保健医療者はセクシュアリティのアセスメントに活用できる.
著者
佐藤 公昭 永田 見生 芝 啓一郎 小西 宏昭 前田 健
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.139-144, 2009 (Released:2009-12-19)
参考文献数
5

腰部脊柱管狭窄診断サポートツールの妥当性を検証し,九州・沖縄版簡易問診票の有用性と問題点について検討した.まず,手術で確定診断が得られた280例(腰部脊柱管狭窄症138例,腰椎椎間板ヘルニア142例)に本サポートツールを用いた調査を実施した.結果は感度92.0%,特異度63.4%であり,ABIの項目は足背動脈の触診で代用可能であった.次いで,50歳以上の腰・下肢症状を有す外来患者201例(腰部脊柱管狭窄症116例,他疾患85例)に,本サポートツールと簡易問診票の双方の調査を実施した.簡易問診票の項目とこれに対応する本サポートツールの項目との合計点には高い一致性を認めた(κ係数0.77).本サポートツールの感度は97.4%,特異度は53.6%であった.一方,簡易問診票の感度は95.7%,特異度は31.8%であり,他の疾患を腰部脊柱管狭窄症とする可能性が高くなることが今後の検討課題である.
著者
松前町町史編集室編
出版者
松前町
巻号頁・発行日
2006
著者
大前 暁政
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.35-44, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
12

教員養成課程の学生に,理科指導に関する実践的指導力を身につけるには,理科教育に関する理論と方法に加え,科学の専門的な知識や実験技能を修得させる必要がある。初めて理科の授業づくりについて学ぶ2回生に,これらの内容を習得させるには,理論を講義形式で伝えるだけでは不十分である。理論を伝えることに加えて,実際に大学教員が模範授業を行うことで,理科教育に関する理論と方法を体験的に学ばせることができ,さらに模範授業の中で実験を行わせることで実験技能にも習熟させることができる。また,理科授業を行う上で必要となる背景にある科学的な知識を教授することで,理科教科内容に関する知識の習得を促すことにつながる。
著者
巽 健 前田 篤志 宮田 哲次 小橋 好充 桑原 一成 松村 恵理子 千田 二郎
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1291-1296, 2016 (Released:2018-01-29)
参考文献数
7
被引用文献数
9

ディーゼル機関は高い熱効率を有しているが,投入熱量の20~30%が冷却損失として失われており,熱効率を向上させる上で壁面熱伝達メカニズムの解明は重要である.そこで壁面挿入型定容燃焼容器を用いて火炎直接撮影および熱流束測定を行なうことでディーゼル火炎と壁面熱損失の相関性を調査した.
著者
前川浩一編著
出版者
三文々司
巻号頁・発行日
1993
著者
山本 正雅 兼田 瑞穂 前田 美穂
出版者
奥羽大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

フュージョンパートナー細胞SPYMEGを用いてヒトのモノクローナル抗体が作製できるか否かを検討した。健常人の末梢血よりリンパ球を得てSPYMEGとPEG法を用いて融合させ、HAT存在下にてハイブリドーマ細胞を培養した。融合細胞を768ウエルに播種したところ、コロニー形成率は平均28%(2回の融合)であった。IgG産生能をサンドイッチELISAにて測定した結果、コロニーが形成されたウエル中27%で陽性であった。これは既報のパートナー細胞Karpasを用いた成績に極めて近い値であった。ヒトのIgGを産生している細胞を限界希釈し単クローンにし、IgGを精製したところ、H-鎖、L-鎖ともに発現しており、完全なIgGが合成されていることが分った。抗体産生能はハイブリドーマに依存するがよく産生するクローンで2〜10μg/ml程度であった。ハイブリドーマはセルバンカーを用いて1ヶ月凍結保存し、その後再び培養を再開しても抗体産生能は凍結前に比べ変化はなかった。この結果から、かなり安定したヒトのモノクローナル抗体が作製できることが明らかになった。そこで、ヒトの特異的モノクローナル抗体を作製するために、ヒトに投与できる抗原としてインフルエンザワクチンを用いた。インフルエンザワクチン投与した場合、投与後1ヶ月以内に末梢血リンパ球を得てSPYMEGと融合させ、HAT存在下にてハイブリドーマ細胞を培養した。またインフルエンザに自然感染した健常人についても検討した。融合細胞を384ウエルに播種し、インフルエンザワクチン抗原AとBの混合液ををELISAプレートにコートし、スクリーニングを行なった。その結果、自然感染の健常人からのリンパ球を用いたときインフルエンザ抗原に陽性に反応するモノクローナル抗体が14クローンが陽性であり、最終的に2クローンが得られた。インフルエンザワクチンを投与したとき、121クローンが陽性であった。このうち最終的に12クローンが得られた。同手法を用いて、血小板のGPIIb/IIIa複合体に対する抗体を産生している自己免疫疾患患者から抗体の作製を行なった。その結果、2クローンが健常人の血小板に反応しIIb/IIIaを免疫沈降してくることがわかった。これらの結果から、SPYMEGはヒトのモノクローナル抗体の作製が可能でり、臨床と基礎医学研究に役立つと考えられた。
著者
宮前 多佳子 井崎 桜子 生田 孝一郎 横田 俊平 山中 寿
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.226-232, 2013 (Released:2013-08-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Chédiak-Higashi症候群は原発性免疫不全症候群のひとつに分類され,わが国では約14例の報告があるに過ぎない.臨床的には易感染性,部分白子症(特異な白銀髪,虹彩色素の減少,乳白色で,紫外線により赤味を帯びる皮膚),出血傾向,進行性神経障害を特徴とするが,accelerated phaseと呼ばれる増悪期には,発熱,脾腫,骨髄抑制などを伴う血球貪食性リンパ組織球症を併発する.また,主に顆粒球系細胞に特徴的な巨大顆粒(ライソゾーム),細胞質封入体を認める.一方,本症候群でみられる血球貪食性リンパ組織球症は原発性血球貪食症候群の一つに分類される.診断には本症候群の存在と特徴的血液像を認識することが必要である.自験例は4ヵ月の男児.発熱,哺乳力低下,肛門周囲膿瘍,肝脾腫にて入院,当初は末梢血で異型リンパ球増多(後に本疾患特有の巨大顆粒を有するリンパ球と判明)が検出され,ウイルス関連血球貪食症候群が疑われた.しかし,ASTやLDHなど細胞傷害を示す細胞逸脱酵素の変動は軽微で,血管内皮障害と凝固線溶系の破綻も急速進行性ではなく,EBウイルスなど明らかな起因ウイルスは検出されなかった.末梢血スメアで細胞内巨大顆粒を検出し,特異な白銀髪,部分白子症と,HLH-2004改定案の診断基準に基づき,血球貪食性リンパ組織球症を呈したChédiak-Higashi症候群と診断した.骨髄移植により臨床症状と検査所見の改善を得た.
著者
前田 将司
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.25-30, 2010-02-28 (Released:2011-02-25)
参考文献数
27

Here we describe the long awaited atomic structure of the gap junction channel. The structure reveals intra-/inter- monomer interactions, which stabilize the channel structure, and intercellular interactions between two apposing hemichannels. The structure also reveals the pore structure in detail, charge distribution, pore-lining residues and so on. The novel structure, pore funnel, is found on the top of the pore and the relationship with channel gating could be inspected.