著者
許斐 信三 前原 智
出版者
社団法人 日本鋼構造協会
雑誌
鋼構造論文集 (ISSN:18809928)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.45-56, 1994

The roof frame of THE FUKUOKA EXIBITION HALL that images sea waves is composed by the large scaled steel latiticed vault and the steel trussed ribs which strengthen the vaulted shell and are utilized as maintenance roots and mechanical uses. Prestressing forces has been introduced to the edge beams of the steel vault to reduce vertical displacement. The designmethods for the metal prestressing shell structure adopted here, the effect of prestressing and the steel trussed ribs, and so on are presented in this paper.
著者
山崎 岳之 鈴木 珠実 上出 直人 石井 麻美子 南部 路治 清水 忍 前田 真治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0493, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】姿勢保持課題には、体幹を安定させるための体幹筋力と体重心の動揺を最小限にする静的バランス能力、さらに体重心の変位を適切に修正する立ち直り反応が必要である。しかし、姿勢保持課題に対するこれらの因子が、それぞれ独立した因子なのか関連した因子なのかは明確ではない。本研究では、体幹筋力、静的バランス、立ち直り反応の各因子間の関連性を検討することを目的とした。【対象】整形外科的疾患や神経学的疾患、ならびに7日間以上継続した下肢痛と腰痛を有さない健常女性30名(平均年齢21.3歳)を対象とした。【方法】体幹筋力の測定には、ハンドヘルドダイナモメーター(Hoggan Health, MICRO FET2)を用い、徒手筋力テストの肢位で腹直筋と脊柱起立筋の筋力を3回ずつ計測した。静的バランス能力の測定には、重心動揺計(Mアニマ,G5500)を用い、前方1m先の指標を注視させながら、軸足での片脚立位を60秒間を3試行し、総軌跡長と矩形動揺面積を算出した。さらに、立ち直り反応の測定には、下記の外乱刺激発生装置と1軸(前後方向)加速度計(日本光電,TA-513G)を用いた。外乱刺激発生装置は、台車上に椅子を固定したもので、台車の後方にはロープで10kgの重錘を滑車を介して吊した。被験者を固定した椅子の上に座らせ、重錘を高さ170cmより鉛直方向へ不意に落下させることで、被験者は後方から前に瞬時に押されるような外乱を発生させることができる。外乱刺激に対する立ち直り反応を頭部に取りつけた加速度計で3試行計測し、外乱刺激発生から500ms間の各方向への頭部加速度ピーク値とピーク値までの時間を算出した。なお、被験者の体重によって、外乱のエネルギー量は変化するため、台車上に重錘を載せて負荷が一定になるよう調整をした。また、外乱刺激の同定のために台車の軌道上の床面に荷重センサーを設置した。統計処理には、計測した3試行のデータを平均化し、体幹筋力、静的姿勢保持能力、立ち直り反応の関連性を被験者の体重を制御変数とする偏相関を用いて解析した。また、体幹筋力の測定値の再現性は信頼係数アルファを用いて検討した。なお有意水準は5%とした。【結果】体幹筋力の測定値には再現性が認められた(α=0.9436)。有意な相関が認められたものは体幹屈曲筋力と総軌跡長(r=-0.56)、更に体幹伸展筋力と矩形動揺面積(r=-0.38)、外乱刺激後の前方への頭部加速度ピーク値(r=-0.48)および後方への頭部加速度ピーク値(r=0.43)に有意な相関が認められた。【考察・結語】体幹筋力が弱い程、静的バランス能力は低下する傾向にあり、また立ち直り反応も低下する傾向にあると考えられた。一方、静的バランスと立ち直り反応には相関は認められなかった。従って、体幹筋力が姿勢保持課題に大きく寄与している可能性が示唆された。
著者
蘇日塔拉図 外山 寛 小杉 剛 木竜 徹 林 豊彦 飯島 淳彦 前田 義信 山崎 健
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.98-105, 2010-02-10 (Released:2010-11-17)
参考文献数
17

Visually induced motion sickness is one of the detrimental effects of video images on human psychosomatic state. Several studies for alleviating this effect have been cumulated in recent years. One of the studies reported that people with high heart rate tended to be immune to the motion sickness. This fact motivated us to assume that the increase of subjects' heart rate through physical exercise before video watching could prevent them from the motion sickness. Then we investigated the effects of video exposure with such pre-exercise on the motion sickness. First we recorded psychosomatic state of 23 volunteers using the simulator sickness questionnaire (SSQ) before and after watching extremely unpleasant video images of a mountain-bike ride capable of visually inducing motion sickness. Then we classified them into nausea and non-nausea groups, based on SSQ evaluation. Subjects' heart rate in nausea group increased gradually during video exposure, while that in non-nausea group was nearly constant. By imposing a 5-minute pre-exercise on 12 subjects in nausea group before video exposure, 10 subjects became immune to the motion sickness, demonstrating that the pre-exercise would be efficient for alleviating the motion sickness. In addition subjects' heart rate in nausea group remained at a higher level during video exposure than at rest, whereas it returned to the rest level immediately after the pre-excise without video exposure.
著者
前田 菜摘 浅田 匡
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.13-23, 2019 (Released:2019-07-08)
参考文献数
24

校内研修は,学校研究として共同的な探求機会を提供するが,その参加や学校研究が追求するテーマに対する理解の深まりが個々の教師の変容にもたらす影響についてデータを用いて明らかにした研究はほとんど見られない。そこで本研究では,若手教師2名を対象に1年間の追跡的なインタビューを行い,共同的な探求活動の参加者の1人として校内授業研究に参加することが自身の学びにもたらす影響について明らかにすることを試みた。インタビュー内容をテーマによって分類整理し,その後,それぞれの言及の間の関係性について考察した。結果,両者の学びは異なる特徴を有していたものの,ともに学校の研究テーマへの理解と自身の実践とが関係しあう様相に対する言及が見られた。この結果は,学校研究という探究的な活動に参加することと個々の教師の成長のプロセスが表裏一体であることを実証的に示すものである。
著者
三島 憲一 徳永 恂 木前 利秋 山口 節郎 細見 和之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

アドルノの後期思想について、当初は『美の理論』『否定弁証法』などの公刊されている著作から出発して検討を開始した。研究期間中にアドルノの書簡集の一部、また50年代、60年代の講義のノートや速記録の公刊が進み、研究に大いに寄与した。それにより、アドルノの後期においては、<限定否定>の概念がデモクラシーの基本的な思考としてますます重要性を帯びてきたこと、一見エリート的な彼の思想が、実は思想の道具化、イデオロギー化を避ける手段であったことが解明され、今後の社会理論のあり方に重要なヒントとなった。また、主観による認識の構成という点で近代の主観性の哲学の推進者であるように見えるカントが、実は<客観の優位>、<物質性>の重要性を意識していたことを述べ、カントの中に密かに形而上学的救済への夢が宿っていることを指摘するアドルノの議論が、彼にとっていかに重要であるかが、カントについての講義録などからも浮かび上がってきた。また、アドルノとハイデガーの同型性と異形性の問題も論じられた。この点は、現代哲学のあり方を考える上で重要な認識であった。また、後期アドルノにとって、アメリカ時代の権威主義的家族に関わる共同作業が、社会学的思考という点で重要な役割を持ち続けたことも、解明された。
著者
松浦由生子 石川大樹 大野拓也 堀之内達郎 前田慎太郎 谷川直昭 福原大祐 鈴木千夏 中山博喜 江崎晃司 齋藤暢 大嶺尚世 平田裕也 内田陽介 佐藤翔平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
第49回日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
2014-04-29

【目的】近年,膝前十字靭帯(ACL)再建術後の再断裂例や反対側損傷例に関する報告が増えている。我々もサッカー選手において反対側損傷率が高いことを報告したが(谷川ら,2012),その詳細については未だ不明な点が多かった。そこで本研究ではACL再建術後に反対側ACL損傷を来たしたサッカー選手の詳細を検討し,その特徴を報告することを目的とした。【方法】対象は2003年1月から2012年10月までに当院にて初回ACL再建術を行い,術後1年以上経過観察しえたスポーツ選手612例(サッカー選手:187例,その他の競技選手:425例)とし,それぞれの反対側損傷率を比較した。さらに,サッカー選手187例を片側ACL損傷173例(男性151名,女性22名:片側群)とACL再建術後に反対側ACL損傷を来たした14例(男性11名,女性3名:両側群)に分けて,片側群と両側群の比較を行った。検討項目は,①初回受傷時年齢,②初回受傷側,③競技レベル,④競技復帰時期,⑤術後12ヶ月のKT-2000による脛骨前方移動量の患健差(以下,KT患健差),⑥術後12ヶ月の180°/s,60°/s各々の膝伸展・屈曲筋力の患健比(%)とした。なお競技レベルはTegner Activity Score(TAS)にて評価し,筋力測定には,等速性筋力測定器Ariel(DYNAMICS社)を使用した。また,両側群(14例)を対象として初回受傷時と反対側受傷時の受傷機転の比較を行った。項目は①コンタクト損傷orノンコンタクト損傷,②オフェンスorディフェンス,③相手ありorなし,④ボールありorなしとした。なお,相手に合わせてプレーをしていた際を「相手あり」とし,相手に合わせず単独でプレーをしていた際を「相手なし」とした。統計学的分析にはSPSS Ver.20.0(IBM社)を使用した。サッカーとその他の競技の反対側損傷率の差,片側群と両側群の初回損傷側の比較にはχ2乗検定を用い,その他の項目はWilcoxonの順位和検定を用いて比較した。さらに両側群の初回受傷時と反対側受傷時の受傷機転の比較にはMcNemar検定を用いた。有意水準5%未満を有意とした。【倫理的配慮,説明と同意】対象者に本研究の趣旨を説明し,書面にて同意を得た。また当院倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】反対側ACL損傷率はサッカー選手7.49%(14例),その他の競技選手3.29%(14例)であり,サッカー選手が有意に高かった(p=0.02)。片側群と両側群の比較において,初回受傷時年齢は片側群28.5±9.5歳,両側群26.7±8.7歳(p=0.32)であった。初回受傷側に関しては,右下肢受傷が片側群49.2%,両側群64.3%で2群間に有意差を認めなかった(p=0.82)。TASは片側群7.5±1.0,両側群7.9±1.1(p=0.12),競技復帰時期は片側群9.3±2.0ヶ月,両側群9.6±2.0ヶ月(p=0.56),KT患健差は片側群0.0±1.2mm,両側群0.5±0.8mm(p=0.14)であった。膝筋力の患健比は180°/sでの伸展筋力が片側群87.2±15.3%,両側群86.4±10.0%(p=0.62),屈曲筋力が片側群88.2±18.9%,両側群87.8±14.8%(p=0.56),60°/sでの伸展筋力が片側群84.4±19.5%,両側群86.6±10.8%(p=0.98),屈曲筋力が片側群86.6±18.2%,両側群91.6±11.5%(p=0.32)でありいずれも有意差を認めなかった。両側群の受傷機転において,初回受傷時では相手あり4名,相手なし10名であったのに対し,反対側受傷時で相手あり11名,相手なし3名であり有意差を認めた(p=0.02)。その他の項目に関しては有意差を認めなかった。【考察】本研究においてサッカー選手がその他の競技選手と比較し,有意に反対側損傷率が高いことが示された。多種目の選手を対象とした先行研究での反対側ACL損傷率は約5%と報告されているが,本研究でのサッカー選手の反対側損傷率は7.49%であり,やや高い傾向にあった。両側群の受傷機転に関しては,初回損傷時よりも反対側損傷時の方が,相手がいる中での損傷が有意に多かった。サッカーは両下肢ともに軸足としての機能が要求される競技であるため,初回再建術後に軸足としての機能が回復していないと予測困難な相手の動作への対応を強いられた際に,反対側損傷を起こす可能性が高まるのではないかと推察した。以上のことから,サッカー選手に対しては初回ACL再建術後に対人プレーを意識した予防トレーニングを取り入れ,軸足としての機能回復や予測困難な相手の動きに対応できるagility能力を高めておくことが反対側ACL損傷予防には重要であると考えた。【理学療法学研究としての意義】本研究では,サッカー競技におけるACL再建術後の反対側ACL損傷は対人プレーでの受傷が多いという新しい知見が得られた。サッカーに限らず,反対側ACL損傷率を減少させるためには,スポーツ競技別に競技特性や受傷機転などを考慮した予防トレーニングを行っていくことが重要であると考える。
著者
梅野 博仁 千年 俊一 前田 明輝 上田 祥久 松田 洋一 栗田 卓 末吉 慎太郎 中島 格
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.95-102, 2010-10-30 (Released:2010-12-10)
参考文献数
15
被引用文献数
4

喉頭外傷新鮮症例56例の検討を行った。医原性喉頭内損傷症例は除外した。性別は男性39例,女性17例,年齢は6歳から77歳までで,中央値は30.5歳であった。喉頭外傷の原因はスポーツ事故15例,交通事故13例,過失11例,自殺企図9例,労働災害7例,喧嘩1例であった。新鮮症例の内訳は開放性損傷8例,鈍的損傷44例,化学熱傷3例,熱傷1例であった。鈍的損傷についてはTroneらの重症度分類の問題点を挙げ,治療指針となる新しい重症度分類を提案した。
著者
瀬戸山 央 根本 正之 前田 良之 Setoyama Ou Masayuki Nemoto Yoshiyuki Maeda
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.57-63,

ミズゴケ属植物(Sphagnum)を用いた水質浄化の可能性を検討するため,リン酸濃度を0~1.6mgL^-^1に調整した培養液でオオミズゴケ(Sphagnum palustre L.)及びアオモリミズゴケ(Sphagnum recurvum P.)を90日間水耕栽培し,その生長量,成分組成及び水耕液からのリン吸収量を調査した。栽培終了時,オオミズゴケおよびアオモリミズゴケの草丈はそれぞれ,水耕液中のリン酸濃度0.1~0.8mgL^-^1および0.1~0.2mgL^-^1の範囲で20mm以上の値を示した。一方,両品種とも1.6mgL^-^1のリン酸濃度で草丈伸長は阻害され,栽培終了後の乾燥重量は最も低い値であった。植栽密度(m^2あたりの個体数)×乾物重量(個体あたりの乾物Kg)×植物体中リン含有量(mgKg^-^1乾物)から算出した単位面積あたりのミズゴケのリン吸収量(mgm^-^2),および酸性ホスファターゼ活性は,水耕液中のリン酸濃度が高まるにつれて両品種ともに増加した。また,水耕液中にリン酸が存在する場合,リン酸濃度に関わらず細胞膜H^+-ATPase活性は10~13μkatalmg^-^1 proteinの範囲にあり,ミズゴケは積極的に細胞内にリンを取り込んでいることが示唆された。以上の結果,ミズゴケ属植物の生育に最適なリン酸濃度は0.1~0.2mgL^-^1であり,1.6mgL^-^1のリン酸濃度条件下で生育は抑制されたが,リン酸を吸収し体内に蓄積できた。従って,下水2次処理水や河川,湖沼及び湿原にみられるリン酸濃度1.0mgL^-^1程度の低濃度リン酸汚染水の浄化にミズゴケ属植物が適応可能であることが明らかになった。
著者
細矢 直基 前田 真吾
出版者
芝浦工業大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

生体組織の病変を早期に発見するために,生体組織を外部から加振し,その際の応答を核磁気共鳴画像法 (Magnetic Resonance Imaging: MRI) により,生体組織に伝播する波動を可視化し,その弾性率を評価する方法として,Magnetic Resonance Elastgraphy (MRE) が検討されている.しかし,広範囲な弾性値を持つ様々な生体組織に対応するためには,十数Hz~数十kHzまでの広帯域な周波数成分を含む入力が必要であるが,加振器のような接触式デバイスでは非常に軟らかい生体組織に対して広帯域な周波数成分を含む入力を作用させることができない.本研究では,所望の音響放射パターン(指向性)に単一デバイスで制御できる,直径数mmの大きさの誘電エラストマーアクチュエータ (Dielectric Elastomer Actuator: DEA) を用いた音源デバイスを創成する.平成29年度は,風船型球面DEAを実現した.柔軟電極をカーボンブラック,誘電エラストマーをアクリル系とし,空気圧により膨らませることで球面DEAとした.この風船型球面DEAスピーカの形状を計測したところ,真上から見た形状は直径15 mmの円,真横から見た形状は長径15 mm,短径12 mmの楕円であった.膨張前の薄膜DEA(円板)の面積が78.5 mm^2,風船型球面DEA(楕円殻)の表面積が2459.2 mm^2であるので,3033 %拡大することに成功した.また,この風船型球面DEAの音響放射特性,振動特性を計測することで,音源デバイスとして有効であることを検証した.さらに,音響放射特性と風船型球面DEAスピーカの振動モード形との関係を調べた.
著者
矢竹 一穂 秋田 毅 中町 信孝 本間 拓也 前田 重紀 水越 利春 河西 司 阿部 學
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.115, pp.P3053, 2004

新潟県十日町市珠川の林地、開放地、道路が混在し、連続した林分と分断・孤立した林分が分布する地域におけるリスの分布と林分の利用状況について、給餌台の利用状況調査とテレメトリー法により調査した。発信機を装着した4個体の夏_から_秋季の行動圏には1)連続した林分を利用、2)分断・孤立林分内で完結、3)複数の分断・孤立した林分間を移動して、利用する3タイプがみられた。車道上の轢死事例があり、孤立林分間の移動の延長として、今後も道路横断の可能性が考えられる。
著者
前田 憲孝 神田 鉄平 岩本 咲 尾高 里美 貝原 美由 金安 真央 斉藤 有衣 深町 沙紀
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3+4, pp.26-32, 2018 (Released:2019-06-27)
参考文献数
16

手術時手洗い時に使用する手洗い方法・製剤による消毒効果・手指の皮膚に与える影響の違いを検討した。その結果、擦式手指消毒剤の種類、手洗い方法にかかわらず、手洗い直後、4時間後共に明らかな消毒効果が認められた。手洗い方法による皮膚の保湿性の違いは認められなかったが、フォーム状製剤の方が、ジェル状製剤に比べ手洗い2時間後の時点での保湿性に優れていた。利便性、費用、皮膚への影響等を総合的に判断すると、フォーム状製剤を用いたウォーターレス法は手術時手洗いとして非常に有効な方法であると考えられた。
著者
前川 明弘 畑中 重光 三島 直生 湯浅 幸久
出版者
コンクリート工学
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.24-32, 2008

ポーラスコンクリートはその内部に連続空隙を有し, 植生ブロック, 透水性舗装など様々な分野での利用価値が高く, 新たな用途開発が積極的に行われている材料である。しかしながら, これまでのポーラスコンクリートに関する研究では, 使用する粗骨材粒子径が2.5~20mm程度の範囲であり, 得られる空隙径にも限界があった。そこで著者らは, ポーラスコンクリートの適用範囲を大幅に拡大させることを目的として, 骨材粒径を小粒径から大粒径 (骨材粒径範囲 : 0.6~400mm) まで変化させたポーラスコンクリートの製造方法や各種特性について検討した。本稿では, 粒径400mm程度のコンクリートがらを使用した大粒径ポーラスコンクリ。トの製造と, 魚礁ブロックとしての適用性について紹介する。
著者
前畑 明美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.184, 2005

1.研究目的 日本は、周囲を海洋に囲まれた世界有数の島嶼国である。その広大な本土とは対照的に、小島嶼では第二次世界大戦以降、本土との隔絶から派生する「後進性」の改善が要請され、国による「離島」振興が推進されてきた。特に1960年代からの「架橋時代」、島々は本土からの莫大な投資により近代化・資本主義化を進め、急速にその孤立性を喪失したといわれる。しかし現在も、それら多くの島嶼では後進性からの脱却は果たされていない。人口減少と高齢化、地場産業の衰退、共同体の消滅によって社会的存続の危機にある。今や日本の島々は、縁辺地域として固定化され、最も生活空間の様相が変質し地域社会の衰退が顕著な地域となってきている。本報告では、沖縄の浜比嘉島を事例とし、"架橋化"という島の大近代化事業を通した「島社会」の変容とそのしくみを、"島嶼性"を考慮しながら総合的に検討してみたい。2.島嶼の架橋化 島嶼地域の架橋化は、事実上、海上交通から常時陸上交通システムへの移行を意味する。それは島嶼の特性である海による本土からの隔絶性を除去し、自然の制約を越えた人と物の自由な往来を可能とする。これまで「離島」振興においては、この隔絶性の解消こそが島の抱える社会・経済問題を解決すると考えられてきた。広域化・大規模化・高速化へと進む現代社会にあり、生活や生産・流通にもたらす橋のプラス効果は絶大、かつ人口減少を抑制するとみなされている。いわば後進性脱却への最終手段である架橋化は今日まで諸島嶼で進められ、現在120橋を数える。3.対象地と方法 浜比嘉島は、沖縄本島中部東海岸の太平洋上に浮かぶ、面積が約2㎢の島である。農業に加え、沖縄屈指の広大なイノー(サンゴ礁の浅い礁池)を背景に漁業を基幹産業としている。琉球開闢の神が渡来した島として知られる浜比嘉島もまた、戦後に人口が減少の一途をたどり(1997年の架橋の前には、40年間に国勢調査人口は1372人から421人へと約70%減少)、過疎が進行していた。 用いるデータは、島での面接による聞き取り・参与観察に拠るもの、そして各種の統計である。これらを基に、島の内情についての価値判断に重点をおき、架橋化に伴う生活の質的変化をみていく。その際、様々な要素から成る「島社会」を捉えるには多面的な考察が必要となる。本研究では、人口・産業・共同体の三つの側面から変容の全体像にせまり、それをふまえそのしくみについて明らかにする。4.結果の概要(1)架橋後の島では、交流人口が増加したにもかかわらず、人口再生産はなお縮小し、引き続き人口の減少傾向がみられる。(2)産業も、その再編過程においてモズク養殖への特化に至り、全体として縮小・不安定化している。(3)共同体は内部の個別化・孤立化を受けて急速に弱体化し、解体へと向かっている。(4)日々の生活や産業、共同体の複合体として成立する「島社会」は、存立基盤そのものを喪失しつつある。その結果、本島への依存性が強まる中、受動的変化を遂げながら「島社会」は著しく衰退してきている。しかしこうした島の動静は、島嶼の人々の人間関係や人と島との関係における現代社会特有の変容ともまた別言される。(5)近年の島の変容は、架橋化のもたらした輸送や心理の効果が、海に基づく「人の繋がり」や「多様な暮らし」を包括していた伝統的「島社会」に対し限定的に、同時にマイナスとしても全般的に働いた帰結である。先行研究では人口面での架橋効果が示されているが(宮内・下里,2003)、島の統計人口を扱う際の問題、さらに「島社会」全体のプラス面を上回るマイナス面の影響にも留意していく必要があると考える。島嶼地域の架橋化は、確かに海上交通にはない利便性を島にもたらす。しかし事例を通しては、島独自の社会生活の向上、および社会的存続という点では、その効果が島嶼の特性に十分に反映されず、一定以上の効果を生み出すのは難しいといえる。
著者
三木 文雄 生野 善康 INOUE Eiji 村田 哲人 谷澤 伸一 坂元 一夫 田原 旭 斎藤 玲 富沢 磨須美 平賀 洋明 菊地 弘毅 山本 朝子 武部 和夫 中村 光男 宮沢 正 田村 豊一 遠藤 勝美 米田 政志 井戸 康夫 上原 修 岡本 勝博 相楽 衛男 滝島 任 井田 士朗 今野 淳 大泉 耕太郎 青沼 清一 渡辺 彰 佐藤 和男 林 泉 勝 正孝 奥井 津二 河合 美枝子 福井 俊夫 荒川 正昭 和田 光一 森本 隆夫 蒲沢 知子 武田 元 関根 理 薄田 芳丸 青木 信樹 宮原 正 斎藤 篤 嶋田 甚五郎 柴 孝也 池本 秀雄 渡辺 一功 小林 宏行 高村 研二 吉田 雅彦 真下 啓明 山根 至二 富 俊明 可部 順三郎 石橋 弘義 工藤 宏一郎 太田 健 谷本 普一 中谷 龍王 吉村 邦彦 中森 祥隆 蝶名林 直彦 中田 紘一郎 渡辺 健太郎 小山 優 飯島 福生 稲松 孝思 浦山 京子 東 冬彦 船津 雄三 藤森 一平 小林 芳夫 安達 正則 深谷 一太 大久保 隆男 伊藤 章 松本 裕 鈴木 淳一 吉池 保博 綿貫 裕司 小田切 繁樹 千場 純 鈴木 周雄 室橋 光宇 福田 勉 木内 充世 芦刈 靖彦 下方 薫 吉井 才司 高納 修 酒井 秀造 西脇 敬祐 竹浦 茂樹 岸本 広次 佐竹 辰夫 高木 健三 山木 健市 笹本 基秀 佐々木 智康 武内 俊彦 加藤 政仁 加藤 錠一 伊藤 剛 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 和英 足立 暁 大山 馨 鈴木 国功 大谷 信夫 早瀬 満 久世 文幸 辻野 弘之 稲葉 宣雄 池田 宣昭 松原 恒雄 牛田 伸一 網谷 良一 中西 通泰 大久保 滉 上田 良弘 成田 亘啓 澤木 政好 三笠 桂一 安永 幸二郎 米津 精文 飯田 夕 榊原 嘉彦 螺良 英郎 濱田 朝夫 福山 興一 福岡 正博 伊藤 正己 平尾 文男 小松 孝 前川 暢夫 西山 秀樹 鈴木 雄二郎 堀川 禎夫 田村 正和 副島 林造 二木 芳人 安達 倫文 中川 義久 角 優 栗村 統 佐々木 英夫 福原 弘文 森本 忠雄 澤江 義郎 岡田 薫 熊谷 幸雄 重松 信昭 相沢 久道 瀧井 昌英 大堂 孝文 品川 知明 原 耕平 斎藤 厚 広田 正毅 山口 恵三 河野 茂 古賀 宏延 渡辺 講一 藤田 紀代 植田 保子 河野 浩太 松本 慶蔵 永武 毅 力富 直人 那須 勝 後藤 純 後藤 陽一郎 重野 秀昭 田代 隆良
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.914-943, 1987
被引用文献数
2

Clavulanic acid (以下CVAと略す) とticarcillin (以下TIPCと略す) の1: 15の配合剤, BRL28500 (以下BRLと略す) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性をpiperacillin (以下PIPCと略す) を対照薬剤として, welI-controlled studyひこより比較検討した.<BR>感染症状明確な15歳以上の慢性呼吸器感染症 (慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎, 感染を伴った気管支拡張症・肺気腫・肺線維症・気管支喘息など) およびその急性増悪, 細菌性肺炎, 肺化膿症を対象とし, BRLは1回1.6g (TIPC1.5g+CVA0.1g) 宛, PIPCは1回2.0g宛, いずれも1日2回, 原則として14日間点滴静注により投与し, 臨床効果, 症状改善度, 細菌学的効果, 副作用・臨床検査値異常化の有無, 有用性について両薬剤投与群間で比較を行い, 以下の成績を得た.<BR>1. 薬剤投与314例 (BRL投与161例, PIPC投与153例) 中, 45例を除外した269例 (BRL投与138例, PIPC投与131例) について有効性の解析を行い, 副作用は293例 (BRL投与148例, PIPC投与145例) について, 臨床検査値異常化は286例 (BRL投与141例, PIPC投与145例) について解析を実施した.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果は, 全症例ではBRL投与群78.8%, PIPC投与群79.4%, 肺炎・肺化膿症症例ではBRL投与群 (79例) 82.1%, PIPC投与群 (73例) 79.5%, 慢性気道感染症症例ではBRL投与群 (59例) 74.6%, PIPC投与群 (58例) 79.3%の有効率で, いずれも両薬剤投与群間に有意差を認めなかった.<BR>3. 症状改善度は, 肺炎・肺化膿症症例では赤沈値の14日後の改善度に関してPIPC投与群よりBRL投与群がすぐれ, 慢性気道感染症症例では胸部ラ音, 白血球数, CRPの3日後の改善度に関してBRL投与群よりPIPC投与群がすぐれ, それぞれ両薬剤投与群間に有意差が認められた.<BR>4. 細菌学的効果はBRL投与群68例, PIPC投与群57例について検討を実施し, 全体の除菌率はBRL投与群75.0%, PIPC投与群71.9%と両薬剤投与群間に有意差は認められないが, Klebsiella spp. 感染症においては, BRL投与群の除菌率87.5%, PIPC投与群の除菌率16.7%と両薬剤群間に有意差が認められた. また, 起炎菌のPIPCに対する感受性をMIC50μg/ml以上と50μg/ml未満に層別すると, MIC50μg/ml未満の感性菌感染例ではBRL投与群の除菌率69.6%に対してPIPC投与群の除菌率94.7%とPIPCがすぐれる傾向がみられ, 一方, MIC50μg/ml以上の耐性菌感染例ではPIPC投与群の除菌率12.5%に対して, BRL投与群の除菌率は66.7%と高く, 両薬剤間に有意差が認められた.<BR>5. 副作用解析対象293例中, 何らかの自他覚的副作用の出現例はBRL投与群5例, PIPC投与群11例で, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>6. 臨床検査値異常化解析対象286例中, 何らかの異常化が認められた症例は, BRL投与141例中45例 (31.9%), PIPC投与145例中28例 (19.3%) で, 両薬剤投与群間に有意差が認められた. 臨床検査項目別にみると, GPT上昇がBRL投与140例中26例 (18.6%), PIPC投与140例中14例 (10.0%), BUN上昇がBRL投与128例中0, PIPC投与127例中4例 (3.1%) と, それぞれ両薬剤投与群間での異常化率の差に有意傾向が認められた.<BR>7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は, 全症例ではBRL投与群の有用率 (極めて有用+有用) 76.3%, PIPC投与群の有用率の74.8%, 肺炎・肺化膿症症例における有用率はBRL投与群81.0%, PIPC投与群75.3%, 慢性気道感染症症例における有用率はBRL投与群70.0%, PIPC投与群74.1%と, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>以上の成績より, BRL1日3.2gの投与はPIPC1日4gの投与と略同等の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を示し, とくにβ-lactamase産生菌感染症に対しても有効性を示すことが確認され, BRLが呼吸器感染症の治療上有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
岡田 仁志 甲斐 司 前田 温子 瀬尾 明裕 尾崎 賢 坂上 貴光 横井 宏佳 宮原 茂
出版者
一般社団法人 日本フットケア学会
雑誌
日本フットケア学会雑誌 (ISSN:21877505)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.124-129, 2017-09-30 (Released:2017-09-30)
参考文献数
23

【要旨】血液透析(HD)患者は動脈硬化症のリスクが健常人に比して高いとされている.足関節上腕血圧比 (ankle brachial pressure index:ABI) は動脈硬化症のスクリーニング検査として重要であるが,その 0.9 未満の症例において栄養障害と動脈硬化の関連した病態を有する症例の多いことが報告された.HD 患者 29 名を対象に ABI を測定し,geriatric nutritional risk index (GNRI) を含めた種々のパラメータとの関連について検討した.ABI は栄養指標の GNRI,Alb,body mass index (BMI)(τ=0.39,0.31,0.25)や糖尿病,WBC,CRP,LDL-C(τ=0.27,0.27,0.24,0.21)と相関を認めた.HD 患者において ABI は各種栄養指標との関連性を認め,特に GNRI と密接な関連があることが示唆された.各種栄養指標の中で,GNRI は ABI と最も強い相関を認め,GNRI が動脈硬化症の病態を反映する 1 つの指標となりうると考えられた.
著者
山田 協太 前田 昌弘 村上 和 布野 修司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.607, pp.71-78, 2006
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

This paper intends to clarify block formation and house types of Wolvendaal, Colombo, Sri Lanka, and analyze their transformation process. The research on which this paper is based is the further study of the project called 'Field Research on Origin, Transformation, Conversion and Conservation of Urban Space of Colonial Cities', which the major targets are Dutch colonial cities all over the world. Further to this project, comparing colonial cities in South Asia, in terms of spatial formation and transformation is the ambitious objective of this research. Another purpose is to elucidate the Dutch way of houses construction in their colonial cities, where in Wolvendaal, Dutch developed the form of town houses for high-density living. Colombo was once a head quarter of Ceylon, one of five administrative districts laid by Dutch on South Asia. Wolfendaal also played an important role in British colonial period when the city experienced rapid growth. At present, there still holds numerous town houses. This paper clarifies the spatial organization of Wolvendaal, by analyzing the distribution pattern of its facilities and block formation, based on field surveys. At the last chapter, the paper focuses on house types of Wolvendaal identified according to their physical features and planning parameters, while the transformation process of these house types are discussed as well. This paper suggests that Dutch colonial town houses still playing an important role in the organization of special formation of Wolvendaal.