著者
川村 直子 北村 達也
出版者
一般社団法人 日本リハビリテーション工学協会
雑誌
リハビリテーション・エンジニアリング (ISSN:13423444)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.95-104, 2023-05-01 (Released:2023-05-25)
参考文献数
12

音声障害のリハビリテーションでは、言語聴覚士に指導された発声を患者が自宅でも適切かつ継続的に反復することが求められる。しかしながら、患者の自主的な発声訓練の継続を支援するシステムは構築されていない。そこで本研究では、先行研究で開発した発声訓練支援システムをIoTクラウドシステム化した。このシステムは音声障害領域で有効性が認められているチューブ発声の発声中の口唇部振動の変化を視覚的にフィードバックし、さらにクラウドサービス、LINEを連携させて自主訓練結果やリマインダーの通知を自動で行う。効果検証の結果、提案システムの視覚的フィードバックやLINEによる声かけ機能は自主訓練の適切性や継続性に有効であった。
著者
北村 立実 松崎 慎一郎 西 浩司 松本 俊一 久保 雄広 山野 博哉 幸福 智 菊地 心 吉村 奈緒子 福島 武彦
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.217-234, 2020-09-28 (Released:2020-11-30)
参考文献数
68

多くの人々が霞ヶ浦から多様な恩恵(生態系サービス)を受けていることから,今後も持続的に利用していくために,その内容や享受量の変遷を把握するとともに,生態系サービスの価値を経済的に可視化することで,政策の意思決定や行動に反映させるなどの適切な湖沼・流域管理に結びつける必要がある.そこで,本研究では霞ヶ浦の生態系サービスの項目を整理し,享受量の変遷を把握することで特徴を明らかにするとともに,代替法を用いて生態系サービスの経済評価を試みた.その結果,生態系サービスを供給サービス,調整サービス,文化的サービス,基盤サービスの 4 つに大別し,生態系サービスのフローの構成として,自然資本,人工資本,人的資本の 3 種の資本を介して得られていると定義した.また,生態系サービスの享受量の推移の特徴として,取水や洪水調節などの人間活動を豊かにする項目は増加したものの,魚種や植物などの生物多様性や人々が霞ヶ浦と触れ合うような項目が減少したことが明らかとなった.さらに,2016 年の霞ヶ浦の生態系サービスの経済的な価値として1,217.3 億円/ 年と見積もられ,供給サービスや調整サービスで高い傾向にあり,文化的サービスや基盤サービスは貨幣換算できない項目が多かった.一方,経済的な価値を算出する上でいくつか課題も明らかとなったことから,今後はこれらの課題解決に向けた研究も必要である.
著者
辻本 芳郎 板倉 勝高 井出 策夫 竹内 淳彦 北村 嘉行
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.477-504, 1962-10-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

本研究は目本の工業を空間的配置の上から研究することをこころざしたものである.まず,最大の工業地帯である京浜の中核である東京都区内の分析を行なつた. 1958年末現在で都内30人以上の全工場を重化学工業・組立工業・軽工業の3部門にわけて考察した. 概観して,中小工場が多く,鉄鋼・化学・繊維などの基礎的原料部門にかけている.〈重化学工業〉城東・城北・城南に多いが,河川・運河ぞいのわつかの部分をのぞき,重量物をあつかうものは少く,雑貨工業か組立工業の一部とみとめられるものが多い.〈組立工業〉城南・城北の2大核心地域をもつが雑貨的耐久消費財の生産が主である.〈軽工業〉各種の問屋の集中地域である日本橋と,浅草を核として城東地域に卓越し,印刷出版は中央地域に集中している.これを総合すると雑貨の多い城東・中央の躯幹部分と,戦中戦後飛躍的に発達した組立工業を主とする城南・城北と,西郊に成立しつつある環状分布の地域に分けられる.いつれも同一製晶をめざした同業・関連業種の工場が割合せまい地域に集つている. これらの工場は,手労働を主とした雑貨的商品が多く製晶ごとめ問屋的生産組織が無数の小営業者を統括しているのが特色である.
著者
磐下 徹 久米 舞子 北村 安裕 堀井 佳代子 宮川 麻紀
出版者
大阪市立大学大学院文学研究科
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
no.72, pp.173-161, 2021-03-31

『水左記』は平安時代後期に村上源氏の源俊房(一〇三五~一一二一)が残した日記である。平安期の貴族の日記には、儀式・年中行事の様子を中心に、朝廷内外の出来事が記録されている。これらの記事は、当時の政治・行政・社会の在り方を伝える貴重な史料である。また、『水左記』には一〇六二~一一一三年までの記事が断続的に残されているが、この期間には摂関政治から院政へという政治形態の大きな変化が生じている。このことから、この日記は古代から中世への移行期の様相を知るうえで重要な史料であるといえる。今回はこうした『水左記』の康平七年(一〇六四)四月~閏五月の記事を紹介するとともにその註釈を提示して、時代の大きな転換期である平安時代後期研究の一助としたい。
著者
北村真紀 金森由博 三谷純 福井幸男 鶴野玲治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.24, pp.1-6, 2013-11-21

リミテッドアニメーションとは,同じ絵を 2 コマあるいは 3 コマ連続して用いることによって,毎秒 24 コマのアニメーションを構成する表現手法である.本研究ではモーションキャプチャのデータを入力とし,このデータからフレームを間引くことで動きのタイミングを制御し,「中無し」 と 「コマ撮り」 の効果を模倣する.具体的には,動きが特に速いフレームを削除することで中無しのように速さを強調し,動きの小さいフレームを更新しないことでコマ撮りのように微小な動きを低減する.適用結果の動画により,リミテッドアニメ風のモーションタイミング調整が実現できたことを示す.Limited animation is a hand-drawn animation style that holds each drawing for two or three successive frames to make up 24 frames per second. In this paper, we propose a simple method for automatically converting motion capture data to imitate the unique expressions of limited animation. Especially, we focus on the following two features related to motion timing; one is that limited animation does not show subtle motion because it omits almost-static inbetween frames. The other is that it exaggerates motion speeds by omitting inbetweens. The accompanying movie with animating cartoon characters demonstrates that our method can imitate the expressions of limited animation.
著者
北村 岩雄 池田 長康 有村 文宏 澤田 邦男 橋本 吉昭 河村 晃一 北村 利博
出版者
富山大学工学部
雑誌
富山大学工学部紀要 (ISSN:03871339)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.31-36, 1994-02

Electric power demands are increasing at present in many fields such as domestic homes, automation product systems at almost factories, maintenance and administration systems of buildings and infrastructure systems for public use. It is important to decrease the electric power loss and to design the electric system to compact one. Fundamental experiments on the metal contact of a high current bus are carried out for this reason. It is found from the experiments that the contact pressure is not essential, but the real metal contact with metal bond structure is essential for the low electric resistance in bus connection and the contact with the metal bond structure is able to almost attain to the value of resistance of metal bus with no connection part.
著者
八田 真理子 太田 郁子 家坂 清子 蓮尾 豊 北村 邦夫
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.629-636, 2010-01-01
参考文献数
18
被引用文献数
1

低用量経口避妊薬(以下「OC」)がわが国で発売されて10年になるが,いまだその普及率は低率である。一方で,OC服用により性感染症(以下「STI」)の拡大をまねくのではないかと危惧する考え方もある。今回,「OC服用で若者のSTIを拡大させているか」を知ることを目的に臨床現場で調査を行った。全国の避妊教育ネットワークに所属する25の産婦人科施設で受診し,クラミジア抗原検査を受けた29歳以下の女性1,630人に対して,OC服用の有無と性行動について詳細に問診した。その結果,OC服用・非服用間で,初交年齢,パートナー数,コンドーム使用状況などに有意差は認めず,クラミジア抗原陽性率もOC服用者で13.8%,OC非服用者で13.3%と有意差はなく,OC服用者の性行動が活発であるとはいえないことがわかった。OC服用者は,二重防御法の実践や不顕性感染発見のための検査などで定期的に産婦人科を受診していることから,むしろSTI予防や自身の健康管理に対する意識が高いことが示唆された。
著者
酒向慎司 宮島 千代美 徳田 恵一 北村 正
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.82(2003-MUS-051), pp.77-82, 2003-08-04

隠れマルコフモデルに基づく音声合成方式を歌声合成に拡張することにより構築した歌声合成システムについて述べる.本システムでは,歌い手の声の質と基本周波数パターンに関する特徴をモデル化するため,スペクトルと基本周波数パターンをHMMにより同時にモデル化している.特に,自然な歌声を合成する上で重要な要素となる音符の音階や音長の基本周波数パターンへの影響を精度良くモデル化するため,楽譜から得られる音階と音長を考慮したコンテキスト依存モデルを構築している.これらのモデルに対して決定木によるコンテキストクラスタリング行うことで,未知の楽曲からの歌声合成が可能となっている.実験から,歌い手の特徴を再現し,なめらかで自然性の高い歌声の合成が可能であることを示す.
著者
北村 正樹
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.381-384, 2002-10-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
佐久間 大輔 石田 惣 石井 陽子 釋 知恵子 山中 亜希子 北村 美香
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.e1-e10, 2022 (Released:2022-04-04)
参考文献数
21

COVID-19 状況下で、博物館活動もネット上で゙の活動が多様性、量ともに大幅に増加した。デジ゙タルアーカイブ゙の活用も、各博物館で゙主に研究成果や所蔵品の公開を中心に進んで゙いる。ここでは、教育活動へのライブ配信の活用とそのアーカイブについて、大阪市立自然史博物館の活動を検討する。教育活動の類型に応じて、様々な配信手法を選択しているが、それぞれにオンライン上の活動に利点と限界があった。細かな工夫で魅力を補うことも試みた。また、教育映像コンテンツのアーカイブの効果についても言及した。
著者
宮本 毅 中川 光弘 長瀬 敏郎 菅野 均志 大場 司 北村 繁 谷口 宏充
出版者
東北大学東北アジア研究センター
雑誌
東北アジア研究 = Northeast Asian studies (ISSN:13439332)
巻号頁・発行日
no.7, pp.93-110, 2003-03-31

Baitoushan volcano (Changbaishan volcano in China), situated on the border between China and North Korea, is one of the most active volcanoes in mainland Asia. The volcanism is divided into three stages, firstly the shield volcano-forming stage effusing large amount of basaltic lava flow, secondly volcanic cone-building stage consisting of trachytic magma, and finally summit caldera (called Tianchi caldera)-forming stage erupting the vigorous alkali-rhyolitic pyroclastics. Tianchi caldera has been formed by some huge eruptions (10th century, 4000yBP eruption and more) since Pleistocene. In caldera-forming stage, the time sequence of such huge eruption progress from Plinian pyroclastic fall to following large pyroclastic flow (ignimbrite). Based on our geological and petrological studies and Radiocarbon dating about wood and charcoal samples in pyroclastics, we found that 9th century eruption, unknown until now, has occurred before 10th century eruption. From the relation of stratigraphy and radiocarbon age the dormancy between this episode and 10th century one is estimated about a hundred year. The time sequence and eruptive style of this new episode is similar to 10th century eruption, but the magma composition is different.