著者
小田部 夏子 原田 浩司
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

書きの困難さの背景には、運動覚性記憶能力や文字の中にまとまりを見つける能力に問題があるのではないかと考え、それを確かめること、さらに運動覚性記憶に問題がある場合は運動感覚に問題がないかを確認することを目的とした。運動覚性記憶は運動覚性書字再生、音読課題で測り、文字の中にまとまりを見つける能力はまとまりを見つける課題を作成し、読み書き困難児と定形発達児に実施し比較した。運動感覚は手の関節位置覚を再現法にて評価し、先行研究で得られた値と比較した。その結果、読み書き困難児に運動覚性記憶の形成に問題がある者が多く運動感覚が不良であること、まとまりを見つける能力が書きに影響していることが示唆された。
著者
高島 有香 守内 玲寧 白戸 貴久 和田 吉生 福澤 信之 原田 浩 清水 聡子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.11, pp.2373-2377, 2020

<p>臓器移植患者は免疫抑制のため水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症のリスクが高く,重症化の恐れもあるが,これまで多数例の検討は少なく,治療基準も明確ではない.当施設で施行された腎移植548症例中VZV感染症を発症した81例につき,患者背景,発症頻度,移植から発症までの期間,臨床症状をレトロスペクティブに検証した.汎発型帯状疱疹を11例に認め,うち1例は脳炎を合併し死亡した.腎移植後のVZV感染症診療の際には,速やかな治療開始と慎重な観察が必須であるが,腎移植後1年間以内の患者や献腎移植患者では特に発症率が高く,より慎重な観察が重要である.</p>
著者
原田 浩二 小泉 昭夫 皆田 睦子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

環境汚染物質ペルフルオロオクタン酸(PFOA)はヒト体内に蓄積しやすい。成人の血清中濃度はPFOAより炭素鎖の長い化合物が急速な増加が認められた。動態パラメータを算出し、一般集団での曝露量を与えて、血中濃度シミュレーションを行った。動物実験ではリン脂質輸送分子MDR2の発現量とPFOA胆汁濃度が相関する。MDR1欠損マウスでは腎臓からのPFOA排出量が低下し、MDR1分子がPFOAの排出に関与することを示した。マイクロアレイの結果MDR1が誘導されていることが分かった。
著者
原田 浩美 能登谷 晶子 四十住 縁
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.408-415, 2006 (Released:2008-01-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

重度運動性失語症を呈した若年発症例に言語訓練を実施し,発症から 11 年 10 ヵ月の経過を追跡することができた。発症 41 日目からの訓練内容および経過を示し,標準失語症検査 (以下 SLTA) 成績によって言語機能成績の推移を評価した。その結果,発症 5 年を過ぎた時点でも訓練効果が認められることがわかった。また,SLTA 成績の経過から,回復は長期にわたることと言語機能により回復の推移と時期が異なることが示された。そのことから,失語症の訓練効果は発症後短期間にのみ見られるものではなく,失語症に対する長期的なアプローチが重要であることが示唆された。
著者
原田 浩二 森山 美知子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.31-39, 2013-11-30 (Released:2017-07-01)
被引用文献数
1

本研究は,飲酒者の飲酒理由や節酒に向けた介入に抵抗を示す理由を明らかにすることを目的に,男性飲酒者12人にグループインタビューを実施し,データを質的に分析した.その結果,飲酒者は「飲酒することに人生の価値」があり,飲酒のための努力は惜しまない傾向にあった.そして価値は容易に歪められないので「節酒に対する意図的な無関心」や「飲酒することの正当化」が認められた.節酒への介入に対しては,節酒効果を体感しにくい上,自分の人生の価値の否定につながるので抵抗を示した.しかし飲酒者は,健康被害によって飲酒ができなくなると人生の価値を示されなくなるから,節酒が「酒と長く付き合いができる」,「いつまでも飲み続けられる」という目的であれば,節酒介入への抵抗は少なくなった.そこで節酒に向けた介入を実施する者は,飲酒者の人生の価値を理解することが基本姿勢として重要であることが示唆された.
著者
藤田 誠 小泉 章夫 飯島 康男 播 繁 樋口 聡 原田 浩司
出版者
日本建築学会
雑誌
学術講演梗概集. C-1, 構造III, 木質構造, 鉄骨構造, 鉄骨鉄筋コンクリート構造 (ISSN:1341447X)
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.267-268, 2003-09

愛媛県武道館の構造材料には愛媛県産スギによる集成材とともに、樹齢数百年のスギ原木を円柱加工したスギ円柱材(径620㎜)が使用されている。このスギ円柱材の長さは約5~13m、末口径800㎜以上の原木を八角形に製材、熱気乾燥後、円柱に加工され、最長約29mまで木ダボにより縦継ぎされている。これらスギ大断面円柱材の材内には、乾燥工程で生じる含水率傾斜の存在が危惧される。そのため、木ダボの引抜性能に及ぼす被着材の含水率の影響を実験的に検討するとともに、木ダボにより縦継ぎされたスギ円柱材の曲げ性能を評価した。
著者
武元 徹 樺沢 勇司 津島 文彦 平井 秀明 小村 健 原田 浩之
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.454-459, 2016-09-20 (Released:2016-12-13)
参考文献数
22
被引用文献数
1

We report a case of chronic expanding hematoma (CEH) in the temporomandibular joint (TMJ) region. A 48-year-old man visited our department because of a mass in the left preauricular region and trismus in November 2012. He had noticed the mass about 2 months previously, which gradually expanded. At initial presentation, examination revealed a hard elastic mass, measuring 22 mm in diameter, in the left preauricular region. The maximum mouth opening was 33 mm. Computed tomography showed a well-demarcated mass lateral to the mandibular condyle, accompanied by condylar bone resorption. On magnetic resonance imaging, the mass showed heterogeneous high signal intensity on T1-weighted images and heterogeneous low signal intensity on T2-weighted images. The mass showed mild uptake on 2-deoxy-2- [18F] fluoro-D-glucose positron emission tomography. Fine needle aspiration yielded a diagnosis of class I. The clinical diagnosis was a suspected tumor in the left TMJ region. The lesion was extirpated with the patient under general anesthesia in December 2012 and was histopathologically diagnosed as hematoma. On the basis of the clinical course and histopathological findings, the lesion was finally diagnosed as CEH. As of about 3 years after surgery, the postoperative course has been uneventful, with no evidence of recurrence.
著者
能登谷 晶子 原田 浩美 外山 稔 山﨑 憲子 木村 聖子 諏訪 美幸 金塚 智恵子 石丸 正 三輪 高喜 吉崎 智一
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.163-170, 2019-04-28 (Released:2019-06-01)
参考文献数
15

要旨: 「金沢方式」による訓練を0歳~1 歳代より開始し, 訓練途中の2~3歳代に人工内耳を装用した小児聴覚障害児8例について, 人工内耳術前後の言語獲得経過を報告した。8例が最初に理解した言語モダリテイは手話であった。その後, 聴覚口話や文字の理解が進み, いずれの児も 1 歳代で可能となった。手話による助詞付き 2語連鎖文は 1 歳7ヵ月~2歳2ヵ月までに出現した。8例は術後 1 年を経ないうちから, 自発文での手話が少なくなり, 装用 1 年経過時には話し言葉のみで会話が可能となり, 健聴児が幼児期に習得する様々な文型の出現を認めた。以上より, 術前から文構造を意識した言語聴覚療法は, 高度聴覚障害児の言語発達を促進することが示唆された。
著者
加藤 裕一 原田 浩
出版者
日本地衣学会
雑誌
Lichenology (ISSN:13476270)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.59-61, 2011
著者
木村 昭郎 原田 浩徳 大瀧 慈
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

原爆被爆者の高令化に伴い骨髄異形成症侯群(MDS)の増加がみられているが、広島市内の4病院において過去15年間に診断されたMDSをリストアップし、87例の被爆者MDSを集積した。被爆者情報は研究代表者の所属する広島大学・原医研が構築した被爆者データーベース(13万人)によって確認し、個人骨髄線量は当研究所が構築したABS93Dによって検索し、放射線被曝による発症相対リスクの統計学的解析をすすめている。予備的結果としては、以前院内統計によって得られた1Svあたり2.5よりさらに高い値が得られている。次に、被爆者MDSでは白血病関連遺伝子AML1遺伝子のラントドメインに高頻度に点突然変異を認め、変異を認めた例の被ばく線量は比較的低線量と考えられた。そこで、標本等の試料を過去にさかのぼって収集し、被爆者10例を追加して解析をすすめた。また、AML1遺伝子のラントドメインよりC末端側についても、非被爆者を含めて点突然変異を5例に見出した。ラントドメイン以外に変異を見い出したのは最初であり、このうちの1例は点突然変異により発現されるAML1分子は正常のものよりも大であった。AML1の変異は放射線誘発MDSに特異的である可能性を有しておりAML1変異と被爆との関係を明らかにすることで、放射線誘発MDSの発症機構を解明することが出来ると考えられる。
著者
原田 浩徳
出版者
広島大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

RUNXファミリー因子異常による新たな造血器腫瘍発症機序を明らかにするために、エピジェネティック異常に基づく遺伝子発現の違いに注目した。本年度は造血器腫瘍患者のCD34陽性細胞RNAを用いてRUNX1アイソタイプの定量およびRUNX3の定量を大規模に行い、その結果をもとに生物学的解析を行った。RUNX1アイソフォーム発現はエピジェネティック制御機構の異常により変化すると考えられるが、正常造血幹細胞においてはRUNX1bが優位であるにもかかわらず、一部のMDS症例において短躯型アイソタイプRUNX1a発現の亢進が見られた。RUNX1aを正常造血幹細胞に導入したところ増殖能の亢進を認めたことから、下流標的遺伝子を同定して機能解析を行った。その結果、最終的にHOXA9の発現を誘導し、MDS発症・進展の一因となっていることが明らかになった。一方、RUNX3の発現を造血器腫瘍においてさらに検討したところ、一部低発現症例が認められたものの、逆に高発現の症例を多く認めた。特に、MDSから白血病への進展に伴って発現が亢進することが明らかになり、MDSから白血病への進展に関与することが示唆された。RUNX3ノックアウトマウスの表現型が高齢マウスのMPN様細胞増殖であることを考えあわせると、がん抑制遺伝子と考えられていたRUNX3が過剰発現によって白血病進展に関与するという新たな制御機構が明らかとなった。そこで臍帯血よりCD34陽性細胞を分取し、レトロウイルスベクターを用いてRUNX3過剰発現を行い、vitroでの増殖能・分化能を検討した。また、RUNX3が過剰発現しているK562細胞を用いて、RUNX3ノックダウンを行い、影響を検討した。これまでの結果、RUNXファミリーの遺伝子異常に依らない制御異常によるMDS・白血病の発症機構が明らかになった。
著者
森鳰 章代 吉村 通央 原田 浩
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

PER2がHIF-1αの発現量に影響を及ぼさないことを確認した。PER2蛋白質がHIF-1α蛋白質と結合し、HIF-1αのHREへのリクルートを亢進することが分かった。PER2によるHIF-1の活性化は、HIF-1α N803が水酸化されていない時にのみ観察された。しかし、PER2蛋白質とHIF-1α蛋白質のインタラクションは、N803の水酸化ステータスの影響を受けなかった。以上の結果は、N803の水酸化状態をモニターできるセンサー分子の助けを借りて、PER2がHIF-1αのHREに対するリクルートを促進するエフェクター分子として機能する可能性を示唆している。
著者
堀 敦史 石川 裕 NolteJörg 原田 浩 古田 敦 佐藤 忠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.106, pp.25-32, 1994-12-08

超並列OSにおけるプロセス間通信では,仮想記憶管理機構の技法を用いたプロセス間共有メモリによるプロセス間通信の高速化技法が必ずしも使えないことや,プロセスのスケジューリングに注意しないと効率的なプロセス間通信が実現できないなどといった,逐次マシンのOSとは異なる側面を持っている.本稿では,超並列OS上での効率的なプロセス間通信を実現するために,"buddy"と"alternate"という2種類のプロセスグループを提案する.Buddyプロセスグループはパイプライン処理,alternateプロセスグループはプロセス間共有メモリを可能とする.同時に,alternateプロセスグループを用いたスケーラブルな並列デバッガ実行モデルの提案も併せておこなう.Inter-process communication on a massively parallel operating system have some different aspects from that on a sequential system. For example, the virtual memory management technique for efficient inter-process communication that can be seen in the Mach micro kernel can not be implemented on a distributed memory parallel machine. Process scheduling is also very important to realize efficient inter-process communication. In this paper, we propose 2 kinds of process groups, "buddy" and "alternate" to realize efficient inter-process communication. The buddy process group is suitable for pipeline processing, while the alternate process group enables inter-process shared memory. Also, we propose a scalable parallel debugger execution model based on the alternate process group.
著者
堀 敦史 石川 裕 Nolte Jorg 原田 浩 古田 敦 佐藤 忠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.94, no.383, pp.25-32, 1994-12-08

超並列OSにおけるプロセス間通信では,仮想記憶管理機構の技法を用いたプロセス間共有メモリによるプロセス間通信の高速化技法を必ずしも使えないことや,プロセスのスケジューリングに注意しないと効率的なプロセス間通信が実現できないなどといった,逐次マシンのOSとは異なる側面を持っている.本稿では,超並列OS上での効率的なプロセス間通信を実現するために、"buddy"と"alternate"というに種類のプロセスグループを提案する.Buddyプロセスグループはパイプライン処理,alternateプロセスグループはプロセス間共有モメリを可能とする.同時に,alternateプロセスグループを用いたスケーラブルな並列デバッガ実行モデルの提案も併せておこなう.
著者
橋本 かほる 能登谷 晶子 原田 浩美 伊藤 真人 吉崎 智一
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.132-137, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
10

幼児期金沢方式による言語訓練中に人工内耳を装用した12例の就学後の問題点と対策について報告した。就学時までに3000語以上の文字言語理解を獲得した文字先行移行パターンを示した8例中7例は就学以降も学業に著しい問題を示さず, 人工内耳においても文字言語の有用性が示唆された。幼児期に手話先行未移行パターン, 文字先行未移行パターンを示した例は就学以降の言語習得に問題が多いことがわかった。したがって, 人工内耳装用後も就学前に十分な言語力を獲得しておく必要があると考えた。さらに, 就学以降も言語力ならびに構音の維持のために定期的な評価・指導の必要性が示唆された。
著者
原田 浩美 能登谷 晶子 橋本 かほる 伊藤 真人 吉崎 智一
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.78-85, 2011 (Released:2011-04-16)
参考文献数
17
被引用文献数
2

金沢方式による言語聴覚療法を受け, 1歳から5歳代に人工内耳の装用を開始した11例を対象に, 理解語彙の聴覚読話移行に影響を及ぼす要因を検討した。手話理解・文字理解の視覚系言語から音声言語理解への6歳までの移行には, 文字先行移行パターン, 聴覚先行移行パターン, 手話先行未移行パターン, 文字先行未移行パターンの4つがあり, 移行パターンにかかわらず, 聴覚読話移行可能となるまでの期間は, 平均12ヵ月であった。6歳までに11例中7例が手話から聴覚読話へ移行した。聴覚読話への移行を可能にする要因を装用開始年齢と手話や文字による理解語彙数からみると, 人工内耳装用開始が2歳前後の場合は理解語彙が350語, 3歳前後の場合は700語, 3歳6ヵ月前後の場合は1000語程度獲得していた例で聴覚読話へ移行していたことがわかった。