著者
郷司 和男 前田 浩志 藤沢 正人 守殿 貞夫 原田 益善
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.297-301, 1988-02-20

第5腰椎以下の中部および下部尿管結石(以下,原発性中・下部尿管結石と呼ぶ)10例と腎あるいは上部尿管結石に対しextracorporeal shock wave lithotripsy(ESWL)施行後比較的大きな破砕片が仙腸関節部以下に存在する下部尿管結石(以下続発性下部尿管結石と呼ぶ)5例にESWLを施行し,その有用性を検討した.治療中の体位は通常の腎および上部尿管結石の場合と異なり,患者の背にくさび状の枕を挿入し垂直座位をとらせ,衝撃波が骨盤底を通って結石に直接到達するようにした.麻酔は多くの例でL_1〜L_2間の硬膜外麻酔と仙骨麻酔を併用した.4例において,結石の確認を容易にし治療効果を高めるため尿管カテーテルあるいは尿管バルーンカテーテルを留置した.しかし殆どの症例は補助的手段なしに治療を施行した.原発性中・下部尿管結石10例すべてに完全排石がみられた.続発性下部尿管結石5例中4例(80%)に完全排石がみられ残り1例は外来にて経過観察中である.いずれも重篤な副作用を認めていない.本法は腎および上部尿管結石ばかりか中部および下部尿管結石の治療法として有用であることが示唆された.それゆえ少なくとも2回のESWLを施行しその不成功例にTransurethral ureterolithotripsy(TUL)および観血的手術等を施行するのが望ましいと思われた.
著者
市村 千裕 梶山 真紀 原田 沙代子 坂口 重樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1597, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】トイレ動作の自立は,患者およびその家族からの要望が高く,在宅復帰可能かどうかの判断基準となっていることが多い。トイレ動作の中で下衣の着脱を非麻痺側上肢で行うためには,体幹の回旋能力が必要であると考えられる。そこで、体幹回旋時の麻痺側下肢の荷重率・回旋角度とトイレ動作の自立度の関係性を検討する。【方法】本研究に同意の得られた回復期病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者15名(内訳:男性10名・女性5名、左片麻痺8名・右片麻痺7名)を対象とし、トイレ動作自立群8名、非自立群7名の2群に分類した。1)体幹回旋角度:日整会の関節可動域測定に従い、ベッド上端座位にて、両足を10cm離し両上肢を組み骨盤を固定した状態で体幹を回旋し測定した。立位では、骨盤を固定し体幹のみの回旋角度を測定した後、骨盤の回旋を伴った体幹の回旋角度を測定した。2)麻痺側下肢の荷重率:Win Pod(メディキャプチャーズ社製)を使用して、静止立位および回旋動作時の荷重率を測定した。静止立位は30秒間行い、その平均値を用いた。回旋動作は自動運動にて最大回旋時の値を用いた。【結果】1)体幹回旋角度とトイレ動作の自立度との関係座位での麻痺側への回旋角度と立位での麻痺側への回旋角度(体幹のみ)は、2群間に有意差は認められなかった。座位での非麻痺側への回旋角度と立位での麻痺側への回旋角度(骨盤の回旋を伴う)、非麻痺側への回旋角度(体幹のみ、骨盤の回旋を伴う)は、2群間に有意差を認めた(p<0.05)。2)麻痺側下肢の荷重率とトイレ動作の自立度との関係麻痺側下肢の荷重率は、静止立位時、麻痺側・非麻痺側への回旋時全てにおいて2群間に有意差を認めた(p<0.05)。次に、静止立位と回旋時の荷重率の変化を表すために、(回旋時の麻痺側下肢の荷重率/静止立位時の麻痺側下肢の荷重率)×100で算出した値を変化率とし、その変化率をMann-Whitneyの検定で比較したところ、2群間に有意差は認めなかった。【考察】トイレ動作に必要な体幹回旋能力として、体幹回旋角度を2群間で比較した結果、肩甲帯と骨盤帯の回旋動作だけではなく、骨盤帯の回旋を伴った体幹の回旋動作の重要性が示唆された。麻痺側下肢の荷重率の結果から、トイレ動作には静止立位・回旋動作時ともに麻痺側下肢の支持性は必要であることが分かった。変化率は2群間に有意差が認められなかったものの、自立群は100に近い値を示す傾向があったのに対し、非自立群は非麻痺側への回旋時、高値を示すものが認められた。つまり、自立群は静止立位時と回旋動作時の荷重率に変化が少ないのに対し、非自立群は荷重率に大きな変化があり立位の不安定性の一因ではないかと考えられた。
著者
岡村 信行 原田 龍一 工藤 幸司 谷内 一彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.146, no.3, pp.144-149, 2015 (Released:2015-09-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2

ミスフォールディングタンパク質の脳内蓄積は,血液脳関門透過性を有するβシート結合プローブを放射性標識し,これを生体に投与することによって計測可能である.PET(陽電子断層撮像法)を用いたアミロイドβタンパク質および微小管結合タンパク質(タウ)のin vivo計測法が近年実用化され,アルツハイマー病に代表される神経変性疾患の診断補助マーカーとして活用されている.またアルツハイマー病における中核的病理像の存在を直接的に反映するバイオマーカーとして,新規治療薬の概念実証や治療対象者の絞り込みにも利用される.アミロイドイメージングでは標準的なPETプローブである[11C]PiBのほか,デリバリー供給も可能な18F標識薬剤が複数実用化されている.近年のアミロイドPET研究では,認知機能の障害されていない高齢者でも高頻度にアミロイドβタンパク質の脳内蓄積が観察されている.プレクリニカル・アルツハイマー病と呼称されるこうした高齢者の一群は,認知症発症のハイリスク群とみなされ,予防的介入研究の対象とされている.一方,脳内に蓄積したタウを画像化する技術はまだ確立されていないが,複数の有力なPETプローブが開発され,その臨床応用報告が近年相次いでいる.タウPETプローブの脳内集積量は疾患重症度とよく相関し,神経変性との密接な関わりを持つ新たな画像バイオマーカーとして注目されている.本技術は疾患モデル動物を用いた小動物イメージングにも応用可能である.これまで死後にしか知り得なかった線維化タンパク質の脳内蓄積を経時的に追跡することで,病初期におけるミスフォールディングタンパク質の形成プロセスを明らかにし,また治療前後での変化をモニタリングすることが可能である.
著者
重本 博充 原田 和郎 石原 好之 戸高 敏之 上田 清 中村 秀司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.176, pp.1-8, 1999-07-16
被引用文献数
1

電気自動車に搭載されるバッテリの車載型充電器用として, 補助スイッチを用いたZVS昇圧形コンバータに関する検討を行った. 回路の諸特性及び主スイッチのソフトスイッチング動作について, 解析及び試作機を用いた実験により検討を行い, ZVS条件並びにスイッチに発生する電圧及び電流ストレスを明らかにした. 特に, 転流用付加回路の接続位置が異なる2態様のコンバータに関して, これらの動作解析による諸特性の比較を行った. 試作機を用いた実験において, コンバータは最大電力4.4kW, 最大効率95%を得た.
著者
舩引 龍平 伊藤 善朗 石井 彰 原田 隆一郎 堀坂 宣弘
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.561-567, 1977

時間制隈給与に馴らしたラットに脂肪カロリー比の異なる食餌をよえ,骨格筋,横隔膜,肝臓のグリコーゲン量,肝臓,骨格筋のホスホリラーゼ活性,血糖値,血清遊離脂肪酸濃度を測定した.肝臓,横隔膜のグリコーゲン量は食餌脂肪レベルの上昇に伴い減少したが,骨格筋のグリコーゲン量は脂肪レベル50%までは減少したがそれ以上脂肪レベルが上昇しても減少しなかった.食餌脂肪成分の筋グリコーゲン量の蓄積におよぼす効果について血清遊離脂肪酸濃度の変動を介しての血糖のとりこみ速度,ホスホリラーゼ活性,糖新生活性から考察した.<br> 本研究の一部は昭和50年度日本農芸化学会大会(札幌)で発表した.
著者
福島 健太郎 乘越 勇美 庄山 正仁 二宮 保 原田 陽介 塚越 健太
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.469-469, 2009

燃料電池用DC-ACコンバータにおいて,入力電流リプルリプルの低減が求められる。提案するパルスリンクDC-ACコンバータにおいて,あるパラメータにおいて,1スイッチング周期内に,入力電流の傾きが零になり,電流値が一定になる期間が存在する動作モードが存在することが確認された。その電流保持モードでコンバータを動作させると,低周波の入力電流リプルが低減されることが明らかになった。本稿では,この電流保持動作モードの動作解析を行い,その動作モードの条件を明らかにする。そして,本動作モードにおける電流リプル低減メカニズムを考察する。
著者
松永 信博 増田 壮佑 中牟田 大嗣 徳永 貴久 矢野 真一郎 押川 英夫 橋本 彰博 藤田 和夫 古賀 雅之 岩下 智明 原田 敦彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1415-1420, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

Laboratory experiments were carried out on water quality purification by a porous concrete block including Bacillus subtilis natto group. The block is called EcoBio-Block (EBB). The time variations of biochemical oxygen demand (BOD) and chemical oxygen demand (COD) were obtained experimentally under the aerated condition by changing the weight ratio of EBB to water. The time variations of BOD and COD were expressed universally by normalizing the data. The reduction rate of BOD increases with the weight ratio. On the other hand, that of COD takes the maximum value at the weight ratio of 0.01 and decreases after that. The rapid reduction of BOD and COD seen in the early stage may be due to the adhesion or adsorption of organic matter by EBB. The mineralization of organic matter and the nitrification of NH4-N by EBB become active at the later stage and the activity increases with the weight ratio. It was experimentally revealed that EBB has also the very high ability for the water quality purification in the DO-saturated water and it depends strongly on the weight ratio of EBB to water.
著者
原田 耕一郎
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.111-118, 1975-04-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
55
著者
原田 秀郎 小泉 光生 北谷 文人 土屋 晴文 飯村 秀紀 呉田 昌俊 高峰 潤 瀬谷 道夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

福島第一原子力発電所のような原子炉過酷事故で発生すると考えられる粒子状溶融燃料中の核物質を非破壊で精度良く測定する手法として、パルス中性子源を利用した中性子共鳴濃度分析法を提案した。本手法の分析原理及び開発計画について説明する。
著者
原田 悦子
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
心理學研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.302-308, 1987

One important issue in direct priming research is whether or not priming effects are restricted to single words. Four series of experiments were conducted with word pairs. The reading time was measured for physically inverted word pairs written in katakana characters. The results indicated that the direct priming effect was obtained with word pairs regardless of the task condition, perceptual or semantic. The important thing is whether the task is processed in an integrated manner or not.
著者
吾妻 重二 三浦 國雄 陶 徳民 湯浅 邦弘 二階堂 善弘 藤田 高夫 澤井 啓一 井澤 耕一 藪田 貫 原田 正俊 増田 周子 篠原 啓方 西村 昌也 于 臣
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

東アジア地域、すなわち中国、韓国・朝鮮、ベトナム、日本など「漢字文化圏」といわれる諸地域における伝統教養の形成と展開を、書院・私塾における教育と講学機能を通して学際的に考察し、多くの論文、図書を公刊した。他の個別作業としては、朱熹の書院講学の記録『朱子語類』の訳注を作成し、さらに大阪の漢学塾「泊園書院」およびその蔵書「泊園文庫」を調査して『泊園書院歴史資料集』や『泊園文庫印譜集』などを公刊するとともに、充実したコンテンツをもつ「WEB 泊園書院」を公開した。
著者
原田 達也 坂田 晶子 森 武俊 佐藤 知正
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, 2000

本研究では, 睡眠中生理量を無拘束かつ小型の装置で計測することを目的とする。具体的には等間隔に並べた圧力センサを枕の下に入れ, 圧力値をワンチップマイコンでA/D変換し, 同室のPCに無線で送る。PC上では呼吸数, 寝返り数を計測するアルゴリズムの構築を試みた。実験では, 医療用生理量計測機器とビデオカメラで睡眠中の寝返り数, 呼吸数を計測し, センサ枕による計測結果と比較する。また簡単なモデルを用いて, 呼吸に伴う頭部の圧力値変化を考察する。
著者
原田 優也 Falguera Norris Z.
出版者
沖縄国際大学
雑誌
産業情報論集 (ISSN:18801927)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.79-95, 2008-03

本論文はフィリピンのカジノ経営、観光産業、および国家財政の関連性について調査分析したものである。フィリピンでは、カジノ経営は国家管理体制のもと営まれており、カジノ売上から得られる税収入を経済開発や社会開発の主要財源として配分している。観光産業とカジノ・ゲーミング経営との相互依存性について分析する。次に、カジノ関連産業の税収と国家収入との関連性について分析する。最後に、フィリピン政府が設立したフィリピン・アミューズメント・ゲーミング・コーポレーション(PAGCOR)の活動と展開過程について概観する。分析は各種白書や報告書のほかに、PAGCOR代表者などカジノ経営の「キーパーソン」へのインタビューから得られた情報を使用する。
著者
原田 英典 清水 芳久 佐藤 大介 宮越 優 松井 三郎 松田 知成 長坂 俊樹
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.383-388, 2006 (Released:2010-01-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Human urine can be diverted from faeces by urine diversion toilets. Nutrient recovery from diverted urine has been a growing concern recently, because urine contains many nutrients. Phosphorus in urine can be recovered as a precipitate of MAP (i.e., struvite, MgNH4PO4·6H2O) by adding magnesium salt under alkaline conditions. In this study, we (1) developed a plant for struvite recovery from urine using a urine diversion toilet, (2) investigated the characteristics of the plant's urine collection, urine storage and struvite formation, and (3) analyzed the precipitates formed in the plant. In this report, we present the phosphorus flow in the plant. The plant was mainly composed of a urine diversion toilet, a storage tank and a reactor. Using the toilet, 94.8% of the urine excreted into the toilet was collected and stored in the storage tank. The composition of the stored urine became stable 19 days after the start of urine storage, and 20.8% of the phosphorus in the urine excreted into the toilet was precipitated with other precipitates during urine storage. The reactor recovered 85.0% of the phosphorus in the influent of the reactor, which was 62.0% of the phosphorus in the urine excreted into the toilet. It was considered that most of the recovered phosphorus in the reactor was in the form of struvite.