著者
日山 亨 國弘 真己 朝山 直樹 卜部 祐司 岡信 秀治 小野川 靖二 國弘 佳代子 桑井 寿雄 児玉 美千世 佐野村 洋次 永井 健太 濱田 博重 古土井 明 実綿 倫宏 毛利 律生 吉岡 京子 田中 信治 岡 志郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.467-479, 2023 (Released:2023-06-29)
参考文献数
101

プロバイオティクスは日常診療において頻用されているが,現在,その使用ガイドラインは作成されていない.そのため,「広島大学消化器内科関連病院プロバイオティクス使用ガイドライン」を作成した.実地診療における疑問や問題を取り上げ,7(実質10)項目のクリニカルクエスチョンを決定した.作成に当たっては「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0」に従い,推奨の強さとエビデンスの質を示した.なお,この領域における本邦からのメタアナリシスなど質の高い報告は少なく,委員のコンセンサスを重視せざるを得ない部分も多かった.ガイドラインは現時点でのエビデンスの質に基づいたものであり,医療の現場で患者と医師による意思決定を支援するものである.個々の患者に応じて,柔軟に対応する必要がある.
著者
岡﨑 陽海斗 大坂 祐樹 古谷 英孝 山下 耕平 星野 雅洋
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.61-68, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
56

【目的】腰椎固定術後患者の術前体幹筋量が患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome:以下,PRO)の予測要因になるかを検討した。【方法】腰椎変性疾患に対して腰椎固定術を施行した86名を対象とした(平均年齢70.8歳)。術前の体幹筋量,骨格筋量指数(Skeletal Muscle Mass Index:以下,SMI)は,生体インピーダンス分析より算出した。統計解析は,術後のPROを予測する要因を検討するため重回帰分析を行った。従属変数は術後6か月のOswestry Disability Index(以下,術後ODI),腰痛Visual Analogue Scale(以下,術後VAS)とした。独立変数は,従属変数との単回帰分析において有意水準を満たした変数とした。【結果】重回帰分析の結果,術後ODIの要因として,体幹筋量,固定椎間数が抽出された。術後VASの要因として,Body Mass Index(BMI),体幹筋量,固定椎間数が抽出された。【結論】術後ODIや術後VASには,サルコペニアの指標であるSMIではなく体幹筋量が予測要因になる。
著者
田内 裕人 天口 英雄 河村 明 中川 直子 古賀 達也
出版者
一般社団法人 地理情報システム学会
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.93-102, 2014-12-31 (Released:2019-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

In this study, a new automated construction method of minute road segments is developed. Numerical simulation models for rainfall-runoff and flood inundation model considering process on roads were based on so-called “Minute road segments” that are formed as simple shape polygons to calculate the flow on roads. In the developed method, firstly crossroads are demarcated from road sections of uninterrupted flow in order to simplify a polygon of road. Secondly road sections and crossroads are divided into minute road segments. The developed method was applied for Kanda catchment and the shapes of minute road segments were validated.It was demonstrated that minute road segments can be created by using the method of this study.
著者
田中 昭吉 古川 哲也 石本 三洋
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1045-1048, 1989-10-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
5

糖尿病は一般に膵内分泌機能の異常をきたす疾患である. インスリンやグルカゴンなどのホルモン分泌を調節し, 血糖を一定に保つ機構における中枢モノアミンの役割について薬理学的に検討し以下の結果を得た. ラツトの血糖は約65mg/dlで, インスリン値は45μU/mlであつた. ストレプトゾトシン処置により血糖値は1.6倍に上昇し, インスリン値は約30%低下した. カテコールアミンの投与は血糖値を上昇させた. セロトニンの投与は血糖値を低下させた. 脳内ノルアドレナリン含量を低下させる処置により血糖値は有意に低下した. また脳内セロトニン含量を増加させる処置により血糖値は低下し, 低下させる処置により上昇した. 以上, 血糖調節作用においてノルアドレナリン作動神経は血糖を上げる方向に働き, セロトニン作動神経は血糖を下げる方向に働く可能性を示唆した.
著者
高木 泰士 Md Rezuanul ISLAM Le Tuan ANH 高橋 篤平 杉生 高行 古川 郁貴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.12-21, 2020 (Released:2020-02-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3 5

2019年9月9日に東京湾を直撃した台風15号の調査結果を速報する.神奈川では相模湾側で大きな高波被害は生じていなかったが,東京湾では直立護岸を乗り越える越波で被害が生じていた.千葉では九十九里浜ビーチ内の施設が被害を受けていた以外,目立った高波被害はなかった.一方,強風被害は激甚で,屋根の飛散や電柱の折損など各地で被害が生じていた.茨城でも高波被害は見かけなかったが,防波堤が堅固であることや,震災後の堤防改修が強靭化に寄与している.波浪追算の結果,ピーク波高は横浜で3.4m,東京や千葉で2.6mと推算された.湾内で急速に発達した高波が1m以下の高潮と相まって局地的な被害をもたらした.関東に上陸した過去の台風との比較では,今次台風はゆっくりと進んだ小型で強い台風と特徴づけられた.
著者
栄 涼子 森 悟 古賀 俊策 朝山 正己
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.63-69, 2001 (Released:2002-10-16)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では,高蛋白食によって生ずる食餌誘発性熱産生(DIT)の増加により,運動開始前の体温が異なる状況下で運動を実施した際の体温調節反応を観察し,DITと運動時の体温調節反応との関係について検討した.実験は健康な女子大学生10人を被検者とし,無摂食と高蛋白食摂取の2条件下でそれぞれ60%V.O2maxに相当する自転車エルゴメーター運動を60分間負荷した.その結果,運動開始前の深部体温は,無摂食時に比して摂食時の方が有意に高い値を示した(P<0.01).一方,運動時の深部体温は,運動前の体温差を運動終了時まで維持しながら上昇した.また,熱産生量は無摂食時と比較して摂食時は有意に高い値を示し(P<0.01),熱放散量には差は認められなかった.以上から,DITによって生ずる体温上昇は,すくなくとも60%V.O2max程度の中等度の運動によって修飾されることは無く,体熱平衡も保たれていた.すなわち,DITによる体温の増加が運動時の体温に加算されて生ずる受動的な反応と考えられる.
著者
山元 直道 古賀 誠 村田 雄一 森田 三佳子 松本 俊彦
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.391-397, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
21

筆者らは地域生活を送る,薬物や処方・市販薬の物質使用障害者を対象とした作業療法プログラム「Real生活プログラム(以下,リア活)」を開始した.本研究の目的は,リア活に参加した対象者のケアニーズや生活上の目標をテキストマイニングの手法で分析し,本プログラムの今後の方向性を検討することである.リア活参加者30名の分析の結果,共起ネットワークでは8個のサブグラフが検出され,人とのつながりや社会復帰,薬物への欲求対処,生活の改善・安定,就労準備に分類できた.リア活は,複雑な背景や症状を抱える物質使用障害に対するテーラーメイドの治療の役割を果たし,参加者が新たに人-作業-場所とつながるきっかけとなる.
著者
古賀 佳代子 木村 裕美 西尾 美登里 久木原 博子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.634, 2020 (Released:2020-03-06)
参考文献数
24
被引用文献数
3

地域包括支援センター(以下,地域包括)は,業務量の過大や職員不足,離職問題等が報告されており,保健師,社会福祉士,主任介護支援専門員それぞれの専門性が発揮できていない。保健師も保健師間相互の連携の希薄さ等を実感し今後の保健活動への懸念を感じている。本研究では,地域包括保健師の研修教育体制を確立するための基礎資料の示唆を得るために,専門性を明らかにすることを目的とした。A県内の地域包括に所属している経験年数3年以上の保健師8名を対象とし,テキストマイニングKH Coderで分析した。その結果,「相談を受け,関係性を大事にし,判断する能力」,「認知症高齢者や精神疾患,医療的知識,在宅生活を知ることが必要」,「介護予防事業の支援」,「保健師が訪問やサロンに行って皆と一緒に活動」,「地域で包括的に保健指導等の活動が求められる仕事」の5クラスターが抽出された。専門性を発揮するためには,保健師,社会福祉士,主任介護支援専門員の3職種それぞれの専門性を活かしてチームアプローチを包括的に支援することが望ましい。また,教育体制として,ビジョンを立てることや相談できる人・スーパーバイズの必要性,キャリアパスの「見える化」を整備することで,地域包括の機能がさらに発揮できると示唆を得ることができた。
著者
宮本 明子 佐古 かおり 古川 瑠美 村山 蘭
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和元年度大会(札幌)学術講演論文集 第10巻 都市・環境 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.125-128, 2019 (Released:2020-10-31)

Micro plastics pollution is becoming a global issue and many data of that have been measured in foreign countries. In Japan some data on the micro plastics pollution of rivers or sea water have been reported, however, there are few data on the PET bottle or tap water. In order to clarify the present situation of the pollution on the tap water in Japan, we measured the number of micro plastics containing in the tap water collected at multiple places in the metropolitan area.
著者
深水 啓朗 山本 佳久 中村 裕美子 鎌野 衛 梅田 由紀子 牧村 瑞恵 古石 誉之 鈴木 豊史 伴野 和夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.964-969, 2006-09-10 (Released:2007-11-09)
参考文献数
17
被引用文献数
17 15

We investigated the uniformity of content, rheological properties and chemical stability for prescription of Kindavate® ointment diluted with white petrolatum. When the ointment was levigated with white petrolatum (Propeto® for dilution) by a pharmacist or mixed by an autorotation/orbital mechanical mixer, a uniform ointment having the precise drug content could be prepared for all conditions. However, as the dilution ratio increased, the hardness of the ointment seemed to decrease based on the yield point measured with a spread meter and apparent absolute viscosity. Also, using a polarizing microscope, we observed a dispersion of oil droplets (consisting of liquid paraffin in clobetasone butyrate) in petrolatum for both Kindavate® ointment and the diluted ointment showing that the internal structure of ointment had not been affected by preparation of the diluted ointment either manually by pharmacists or using the mechanical mixer. When the diluted ointment was stored at 4 or 25°C in tight container in the absence of light, it was chemically stable for at least a month.Since our results showed that Kindavate® ointment diluted with petrolatum had a precise drug content and was stable over time, it should be feasible to prepare the ointment in advance of use.
著者
古池 美彦
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.113-121, 2023-05-31 (Released:2023-06-06)
参考文献数
17

The circadian clock, an internal timekeeping system created and utilized by organisms adapting to the Earth’s Rotation, is driven by the rhythmic chemical reaction cycles of biomolecules such as clock proteins and clock genes. The cyanobacterial clock system is composed of three clock proteins, KaiA, KaiB, and KaiC, which concert the circadian rhythms even in the test tube in the presence of adenosine-tri-phosphate(ATP). KaiC orchestrates the rhythm through an ATP hydrolysis(ATPase cycle)and auto-phosphorylation/dephosphorylation(Phospho-cycle). The N-terminal ring of functional KaiC hexamer determines the clock speed during the ATPase cycle, while another C-terminal ring changes phosphorylation status like time stamps during Phospho-cycle. Structural biology has been investigating the origin of the circadian rhythm in the KaiC double-ring structure for a quarter century. We conducted the comprehensive structural analyses on KaiC and finally identified structural factors that ensure the smooth and tight communication between those distant two catalytic sites, which is critical for the rhythmicity. We also revealed that the time information is propagated to the entire cell through the rearrangement of the KaiC double ring and the assembly/disassembly of KaiA and KaiB.
著者
水本 孝 北村 清明 高橋 裕子 為我 井道子 重森 恒雄 高田 久之 西島 克己 古川 裕夫 雑賀 興慶
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.283-289_1, 1983-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
22

症例は20歳の女学生で,大量の粘血便と腹部激痛を主訴として緊急入院した. 入院する半年前より峻下剤(sennosideA・B,12mg/錠)を服用しはじめた.発症の2日前に上記の下剤を一度に3錠も服用したが,軽度の腹痛を生じただけで排便しえず,発症の約6時間前に更に2錠用いた. 入院2日目に,緊急大腸内視鏡検査を行ったが,直腸から横行結腸の左半分の部位には全く異常がなく,右半分より盲腸に至る部分には広範囲に浮腫及び出血を伴う潰瘍または,びらん形成が見られた.あたかも潰瘍性大腸炎の激症型に酷似していた. 1943年,Heilbrunは下剤を長期間乱用している患者で,上行結腸を中心とした右側半分の大腸に好発する特殊な大腸炎を始めて報告し,cathartic colon(以下c.c.)と命名した. その後,多数の症例報告があるが,腸管の神経叢や筋組織までが変性崩壊し広範囲の不可逆的な病変を生じているのが通常であった. このような症例には最終的に,やむを得ず右側大腸半切除術等の外科的処置も行われるが,それでも充分の効果はなく,なお長期間にわたって腹痛や腹部不快感を訴える上に,低蛋白血症や血清電解質異常を来すものが多い. 著者らの症例は一過性で,便秘薬の服用を禁止し,食餌療法と抗生物質の投与で症状は速やかに軽快しはじめ,三週後の大腸内視鏡検査ではほとんど正常に戻っていた. 一方,cathartic colonはmelanosis coliとの関連性が問題になっているが,われわれの症例でもこれを認めた.われわれのような例もある故,慢性便秘症の患者が安易に下剤を乱用しないように戒しめたい.

1 0 0 0 平家物語

著者
市古貞次校注・訳
出版者
小学館
巻号頁・発行日
1994